崩れ去るグローバリズムと時代の潮流 | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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瓦解し始めたグローバリズム

 引き金を引いたのはやはりあの男だった。そう後世の歴史家に語られるかもしれないトランプをきっかけとして、報道によると報復関税の嵐が起こっているようです。

「自国第一」の連鎖 対米報復関税、7カ国・地域3兆円(日経)

 【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権の鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に各国が反発し、報復関税の応酬となっている。すでに欧州連合(EU)や中国など7カ国・地域が対抗策を表明しており、対象となる米国産製品は最大300億ドル(3.3兆円)を超える。米政権の強硬策が相手国のナショナリズムを刺激し、各地が「自国第一主義」に傾く負の連鎖に陥っている。

(後略)

 日経は非常にネガティブな現象として、アメリカの輸入制限とそれに対する報復関税を報じておりますけれども、私の印象ではもはや「時代の要請であり必然であった」としか思えないのです。

 グローバリズムが行き過ぎて金融が肥大化し、その結果としてハイマン・ミンスキーが唱えた金融不安定性仮説そのもののクラッシュが2008年に大規模に起こり、その10年後に各国が自国第一主義を掲げて関税政策に舵を切る。

 この一連の流れは「行き過ぎたグローバリズムへの反動」と見るべきでありまして、原因を求めるならばそれは1980年代から拡大し続けたグローバリズム、それに伴う世界経済の経済成長率の半減、激減、さらにダメ押しで2008年のリーマン・ショックというクラッシュからの長期停滞こそが、ごく自然な反動としてナショナリズムへの回帰を促していると見るべきでしょう。

 表現を変えるのならば、もはや各国の労働者層がグローバリズムによる賃金抑制、豊かにならぬ生活、そして流入し続ける移民に耐えかねているのではないか?

 政治的エスタブリッシュメントたちにしても、いかに膨大な献金とマスメディアによるプロパガンダを持ってしても、実際の苦しい労働者層の生活をよくできるわけではない。したがってその不満を受け止めるためには、自分たちが推進してきたグローバリズムという夢想を裏切ってでも国民に答えなければいけない段階にまで、各国が追い詰められているのではないか?と思うのです。

 

 つまりグローバリズムという土台はもはやかなり脆弱になっていて、その崩壊の引き金を引いた1人がトランプであったというだけなのではなかろうか?と思うのですね。

崩れ去るグローバリズムと秩序なきパラダイムの始まり

 グローバリズムは1945年~1980年代までの”遺産”を食いつぶしながら、40年近くに渡って世界を席巻したわけですけれども、その遺産はもはや残り少なくなり、グローバリズムという夢想を現実的に追いかけるには心もとなくなった。崩れ去るのは半ば必然の帰結であったと思われます。

 ではアメリカ一極支配とグローバリズムというパラダイムが崩れ去った今、新たなる秩序はどのように構築されるのか?

 

 核保有国が世界にひしめく中において、戦争という手段は実質的には取れないと思われます。

 戦争に依らずに新たなる世界秩序が速やかに構築できるか?これは非常に疑問であります。

 とすると、世界は「秩序なきカオスな時代」に突入するのかもしれないと想定しておくべきで、例えばそれはアメリカが「今まで築き上げてきた秩序の1つであるWTOからの脱退」すら匂わせていることからも、非現実的な想定とは言い難いでしょう。

 1つ有力なビジョンがあるとすれば、それは地政学の祖といわれるマッキンダーが予測したように、地域覇権国家の台頭と、その地域における秩序は地域覇権国家が決定に大きく関与するという時代でありましょうか。

 

 いずれにしても現在のグローバリズムが崩壊しはじめ、世界秩序が混沌とし、ありとあらゆる紛争リスクが跳ね上がる時代というのは、世界がグローバリズムにかじを切った瞬間から、グローバリズムの構造上の問題によって到来することがほとんど必然の帰結であり、グローバリズムという”不自然な旧来の秩序”が崩れ去ることを嘆いても始まらないと思われます。

西洋文明の没落は、新たなる文化の始まりを意味するのか?

 近代国家といわれるものは総じて、西洋文明の発明であり発信でありましょう。資本主義、民主主義、近代国家、三権分立、人権という概念。

 しかし近代国家の勃興とともに興隆し、19世紀からグローバリズムにかじを切ったイギリスは第二次世界大戦を経て凋落し、大事に世界大戦の反省からGATT体制などの緩やかな貿易体制を構築したはずの世界は、またもやソ連崩壊とアメリカの一極支配という時代にグローバリズムへとかじを切りました。

 この一連の動きは、近代国家という仕組みの中に、「覇権を握った瞬間に世界を巻き込んでグローバリズムにかじを切り、そして凋落する」という構造が埋め込まれているんじゃないか?と思えてなりません。

 この2度目の「パラダイム・シフト」を経て問われているのは、近代国家そのもののあり方なのかもしれないとすら思います。

 それは表現を変えるのならば、西洋文明のあり方、それを採用した世界各国、現在の文明そのものが行き場を失っているんじゃないのか?という予感です。

 

 これに対して何かしらの解決策というのは、当然ながら私の脳みそで考えつくはずはありません。もし考えついたのならば、それは私が十代特有の万能感に犯されているか、もしくは歴史上の偉大な思想家を超える天才であった場合だけですが(笑)

 前者はともかく、後者はあり得るわけがないので、脇に置きましょう(笑)

日本は何をすればよいのか?

 1つ考えられるとすれば、「国土に根ざした国家にしないといけないのではないか?」ということです。1990年代から日本は国土への投資を縮小し、やれ規制緩和だ、構造改革だと幻想を追ってまいりました。結果として20年が失われた。それは国土という国家にとって至極基本的なものを忘れ、ひたすら机上の空論を追ってきた証とも言えます。

 

 風土、国土、そして国土条件から国民性やら文化、慣習、常識が生まれ出るのだとしたら、国土という基本を忘れた我が国でクライテリオンの蒸発が起こっているという現象も当たり前の帰結でありましょう。

 非常に逆説的ではあるのですけれども、国土を持たないユダヤ民族が金融という虚業で大きな力を得たというのは、なにか象徴的でありましょう。

 いまこそ国土という国家の基本を思い出し、国土に根ざした国造りを実直にしていく時代なのではないか?と考えます。

 

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P.S

 かの偉人コールリッジは「文化の行き過ぎはないけれども、文明の行き過ぎはヤバいぞ」と言いました。文化とはクライテリオンであり、伝統であり、はたまた精神性であり道徳であります。

 サルに核兵器のボタンを預けるのがヤバいことくらい、誰でも理解可能な話でして(笑)

 これは例えば「ネトウヨに政治させるとどうなるか?」なんて考えてみると、直感的に「うわっやべーな!」となるとすると、それはネトウヨの精神性が非常に拙いことを意味するのだと思います。左翼も同様でしょうけれどもね。

 しかし将来において、もしくは未来において日本人が高度な精神性を獲得できるのか?それは私にはわかりません。案外、宗教や武士道みたいなものの復活が必要になるのかもしれない。

 

 1つ断っておきたいのは、ネトウヨが夢想する「戦前への回帰」や「靖国神社にコスプレ参拝」みたいなものは「復活」とはいわなくて、劣化版焼き直しないし、アイコン化した劣情と劣等感とでもいうべきでしょう。

 

 まだまだ私にはわからないことだらけでありまして、日々「ウーン・・・・・ちゃうなぁ・・・・」と唸っておりますが、思考停止しないことこそがとりあえずは必要なのでしょう。

 

 

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