お金や通貨の本質的価値と負債性-現代貨幣論とネトゲ内通貨- | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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バランスシートとしての通貨

 

 うずらさんが興味深い議論を展開されておられまして、おおよその概要は「通貨=日銀の負債として計上される」というのは正しいが、しかし負債性は実質的にない。なぜならば日銀にとって通貨=負債としても、その負債はまたもや通貨で支払われるからだ。であれば日銀にとっての通貨=負債というのは理論上は正しいかもしれないが、積極財政としてはあまり拘るべきではないのではないか?というようなものです。

 

 まずは負債性という上記の議論に入る前に、通貨とは何か?についておさらいしておきます。

 通貨とは「流通貨幣」の略語で、一般的にはその国家で使われている貨幣を指します。日本でしたら円ですね。

 さて、この円の価値は何が保証しているか?対内的には統治機構、社会の安定、国民意識、政府権力といったものが下支えしていると見るべきでしょう。

 妙な言い方になりますけれどもこう言えます。「日本国民は政府によって強制的に円を使用させられている」

 ただしそうやって強制したほうが各種市場の取引も円滑になり、また通貨の統一は近代国家としては欠くべからざるものですので、メリットのほうが遥かに大きく、だれも強制とは思っていませんが原理的には「政府が円の使用を強制している」なのです。

 したがって弱小国、不安定国では政府の強制力に疑義があり、ゆえに政府が決めた通貨以外が流通している場合が多いという論理的説明がつきます。

 

 ではその政府権力を被支配者側の国民が肯定する理由は何か?それが社会の安定性であり、物質的な豊かさや供給力と所得であり、国民意識であるというわけです。

※民主政なので国民を主権者と見た場合も、やはり国民意識や社会の安定性といった話に結論付けられます。

※今回の場合は対内的な円という話であり、対外的な為替という話は切り離して考えてください。

 

 では統治機構である政府に対して、通貨とはどのようなものか?というと、政府は通貨の発行権を所持していますので、通貨、もしくは国債という形でいくらでも発行は可能です。国債発行額を制限するのは過度のインフレのみであり、つまりは供給能力が追いつかないのにバンバン仕事を発注するな!デスマーチになるじゃねーか!という場合だけです。

通貨に負債性はないかどうか?

 結論からいうと「ない」でしょう。ややこんがらがるのですけれども「通貨=借用書」としての説明は論理的に正しい。借用書には債権と債務の両義的な性質があり「誰かの債務=誰かの債権」でありますから、円が国債なり通貨として市場に多く出回る(財政出動)とは「政府がこれから国民がするであろう仕事に対して、通貨という借用書で対価を払う」という行為です。

 

 ただし注意が必要なのは、国民にとってはそれは「お金」であり政府という通貨発行権をもつ統治機構が保証した「価値(債権)」であるわけですが、政府にとっては自身が発行しているものであり、政府にとっては負債性が特にないという点。

 まあ要するにですね・・・ネトゲの運営がネトゲ内通貨を発行していますよね?ユーザーはその通貨で色々とネトゲ内で戦闘や生産、スキル等々で遊ぶわけですけれども、ではそれはユーザーが運営に対して債権を持っているかどうか?と言われると「ん?」でしょ?

 逆にいえば運営はユーザーに対して債務を持っているか?と言われると「別に?ネトゲ内通貨を発行してるだけやし」でしょう。

 ネトゲ内ではユーザーはその通貨に価値を見出しますが、発行主体にとっては「数字」でしかない、というわけです。

万年筆マネーという概念

 上述した「発行した主体にとっては、通貨というのは数字でしかない」というのは、一般的にはJ・トービンの「万年筆マネー」という概念になります。詳しくは中野剛志さんの「富国と強兵」をご参照ください。

 そして上述した著作の中ではL・ランダル・レイの論にも言及しておりまして、現代貨幣理論においては「財政支出>税収」でないと不健全であると論じております。。

 

 ネトゲで単純にして考えてみましょう。ネトゲで徴税というシステムがあったとします。プレイヤーは毎月、ネトゲ内で得た通貨の5割を運営に返却しなければなりません。プレイヤーは10人、当初の通貨流通量は100ゴールドとします。この100ゴールドを戦闘などのイベントでプレイヤーは得ていきます。

 プレイヤーによって獲得通貨はばらつきはあるでしょうが、全体としては次の月にはゲーム内で流通する通貨は50ゴールドになります。運営の支出が0であれば。

 その次の月には25ゴールド。その次には12.5ゴールド・・・とネトゲない経済は縮小していくわけです。

 

 では運営が当初100ゴールドの時に「徴税額=財政支出額」とした場合、永遠に市場に出回る通貨量は変化しないか?というと、プレイヤーが溜め込む分が存在するので、やはり市場に流通する通貨は減少していくでしょう。

 そんなゲームっておもろい?というわけです。面白くない=不健全でありますね。

 

 というわけで「正常な財政運営」とはじつは「財政支出>税収」の状態である!のです(!!)逆にいえばプライマリーバランスを目指すというのは「不健全な財政運営」なのですね。

 したがって「財政健全化!!!」と唱えるのであれば、すなわちプライマリーバランスを破棄しなければならないわけです。あらビックリ。

政府にとっての通貨と国民にとっての通貨

 政府にとっては通貨とは単なる数字であり、国民にとっては価値であるという非対称性が、通貨という議論をややこしくしている、と論じてきました。この点は非常に強調しておきたいところです。

 「政府にとっての通貨=単なる数字」「国民にとっての通貨=価値」

 

 上述したことは例えば、家族内で肩たたき券を両親にあげて、それを自身の負債だと思う人がいるかどうか?というイメージがわかりやすいでしょう。

 ご両親にとっては肩たたき券は「価値」ですが、発行した当人にとって見れば単にプリンタで印刷しただけのものというイメージです。

 「政府と国民では通貨に対しての概念が非対称的である」。この部分は何度強調してもし足りないと思います。

 したがって結論に入りますが、通貨とは国民にとっては債権(価値)である。しかし政府にとっては理論上は債務だが、単なる数字以上の意味を持たない、という非対称性こそが通貨、貨幣の議論においてしっかりと認識されるべきであろうと思います。

P.S

 最後に1つ言及しておきます。いわゆる主流派経済学が信仰している商品貨幣論、金属主義ですが、これはわかりやすくいえば物々交換を前提としております。

 したがって物々交換が前提条件であれば、「生産したもの=通貨」と捉えるわけで、生産したもの以上に通貨が出回ることはありえないとなり、したがってインフレもデフレも「起こらないはず」となります。なぜならば主流派経済学では「需給曲線でものの価値が決定されて、生産性が同じであれば均衡し、儲からないものは人が作るはずがない、すなわち神の見えざる手によって市場が均衡する」と考えるからですね。

 そしてその「市場が均衡しないのは、金融政策や財政政策といった政府の介入があるからだ。通貨をダブつかせたからインフレになるんだ。インフレもデフレも貨幣現象なのだ!」というおバカ極まりない結論に至るわけです。

 

 なぜこのようなバカバカしい理論になるのか?彼らの理論の中には「国家」という権力組織、統治組織の概念が”存在しない”からです。

 彼らの理論上存在しないものは、存在しないように振る舞ってもらわないと理論が破綻する、というか破綻しているわけですけれども綻びが晒される。だから「プライマリーバランス!」などと要求するわけです。

 ちなみに日本の馬鹿な経済学者たちは現代貨幣論、いわゆる国定信用貨幣論やモダンマネーセオリー(MMT)を「知らない」「知らないふり」「無視」をしております。

 経済”学者”と名乗りながら、学者にあるまじき知的怠け者であり、その実態は単なる「グローバリズム・新自由主義をイデオロギーとする活動家」と評するのが適切でしょう。中核派みたいなもんですわな(笑)

 

 こう解釈してみると日本というのはつまり、グローバリズム・新自由主義の活動家によって占拠されているわけです。1991年のソビエト崩壊で左翼の過激な活動家というのは息を潜ませましたが、それに変わって台頭してきたのが上述した活動家たちであると定義できるでしょう。

 その実態は「現代社会における通貨の実相」を”革新”しようとするものであり、過激派左翼といわざるを得ません。

 その一手が「プライマリーバランス」であり、そしてそれを政府は標榜してしまっておりますから、日本は「過激派革新左翼的政府」を20年間も続けてきたというわけです。そら、どんどん貧乏になりますわ、というお話でした。

 

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本日の男の料理 キュウリと長芋の和物

 二日酔いのときには、スルッと食べられるこれ!というレシピ。

材料

  • 長芋
  • キュウリ
  • 醤油

調理手順

  1. 長芋、キュウリを細めに千切り。千切りビーラーを使ったほうが楽かと思います。
  2. ボールに入れて醤油であえるだけ。

 鰹節をのせて召し上がれっと。

 

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