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僕たちは戦後史を知らない
先日、買った日に読了したほど「面白い、興味深い」著作でございまして、先日から長々と明治維新、日清日露、大東亜戦争と論じてきたのは、最後のこのテーマに結びつけるためといって過言ではありません。やっとこのテーマが終わります(笑)もう、ええかげん疲れたわ(笑)
さて、この佐藤健氏氏のご著書、詳細に論じようというわけではなく、概ねの書かれていることと、そしてそれを現代日本に当てはめてみるということを行いたいわけです。
まずはざっと目次を見ていきましょう。
第1章 「終戦」を疑え(1941~1947)
- 戦後はいつまで続くのか?
- 「戦前」の規定から始めよう
- 放棄された国家戦略
- 価値観の逆転はなぜ起きた
- 「終戦記念日』という二重の大ウソ
- 戦後の真の原点とは
第2章 「負けるが勝ち」のカラクリ(1945~1948)
- 語り継がれない占領
- 進駐軍・駐留軍も大ウソだ
- 日本人のシュールな現実認識
- 「負けて勝った」というホンネ
- アメリカこそ「真の日本」だった!
- マッカーサーは神武天皇と見なされた!
- プリンスかジミーか
- ベールのかかった現実
第3章 占領の舞台裏をさぐる(1945~1949)
- ファンタジーの成立条件
- 単独占領をめぐる真相
- アメリカのボスは誰だ?
- 冷戦が生んだ「マッカーサー丸投げ」
- 軍の規律とチョコレート
- 「寛大な占領」の背後にあるもの
- 元帥の人気取り顛末記
- 初期設定はどう揺らいだか
- 経済安定化と賠償中止
第4章 幻想を捨てずに独立する方法(1949~1959)
- なぜ「青い山脈」の台詞は変更されたのか
- 曖昧になった日本人の本心
- 「逆コース:の何がまずいのか?
- 再軍備とマッカーサーの真意
- 朝鮮戦争勃発がもたらした衝撃
- 軍(いくさ)が出来れば腹も一杯
- 元帥解任を日本人はどう受け止めたのか
- 幻想から追放された元帥
- 戦後における「右」と「左」の成立
- 反米にひそむ自己矛盾
- 経済成長の隠れた原動力
第5章 高度成長期という風景(1960~1972)
- 「ファンタジーの戦後史」の分裂
- 「もう騙されない」の不幸
- スターリンの批判の衝撃
- 「真の日本」はどこにもなかった!
- モノの貧しさ、心の貧しさ
- 嘘の感情で連帯できるか
- 安保改定をめぐるシュールな対立
- 所得倍増は風景も変える
- オリンピックを呪った男
- 風景論は何に行きつくか
- 左翼、近代を否定する!
- 世界革命は自滅への道
- 生きがいを感じないことが生きがい
- 憲法に身体をぶつけて死ね
- 繁栄はガラス細工のように
第6章 戦後は終わっても終わらない(1972~1980)
- 繁栄もまた戦災である
- 失われた「芯や種」
- そして街は姿を消す
- シラケをめぐる真実
- 終末論が流行った背景
- 「日本沈没」と石油危機
- ノストラダムスを再評価する
- 世も末だった1974年
- 敗戦への精神的逆戻り
- 日本はホントに自殺するのか?
- 保守型ファンタジーの逆襲
- ブループ1984年の重大な見落とし
- 再生の内実をあばく
- 1980年代にいたる道
第7章 螺旋階段の30年(1980~)
- ノストラダムスvs政治学者
- 堂々巡りの基本パターン
- 保守、日本を否定する!
- なんとなく、アメリカ並み
- ネアカのメリークリスマス
- バブルも「過去の繰り返し」だった
- 暴走を始めた「何でもあり」
- 構造改革のシュールな正体
- 連帯喪失から恋愛不能へ
- 自民党、自己破壊に取り組む!
- 三度訪れた「第二の敗戦」
- 新たな大東亜共栄圏の誕生
大まかな内容を整理してみる
とにかく戦後日本において占領期というのは、まるで歴史上なかったことのように語られません。「その時歴史が動いた」は大好きな番組なのですが、あの番組でも占領期ってのは放送されたことはないんじゃないでしょうか?
そして左翼の史観も右翼の史観も、どうもこの時期をさかいに矛盾、フィクション、ファンタジーが混ざっているような気がしてならなかったのですが、その疑問に大いに答えてくれる1冊といえます。
たとえば内容とは関係がないのですが、1つその矛盾の例をだしてみますと、在日米軍と憲法9条の関係性があります。
軍隊を持たない国家というのは常識的には考えられませんから、日本にも「一応、軍隊ではなく実力組織」という名目で自衛隊が存在します。
そして国家の防衛とは一義的に国家の軍隊が当然ながら行うもののはずですが、基本的に自衛隊は盾の役割しか持っておりません。防御特化型であり、敵基地攻撃能力がないのがその証拠。
このような国家体制で日本を防衛しようとするのならば、他国の軍隊に頼る他ありません。それが在日米軍というわけですね。
つまり憲法9条護憲派は在日米軍を積極的に評価しなければならない話になり、逆説的に改憲派は在日米軍を否定し、撤退を求めるのが自然です。
しかし!我が国においては護憲派が在日米軍をどちらかというと嫌い、改憲派が在日米軍を擁護するのですからまさに「矛盾」といえましょう。
どの政治勢力にも「改憲して在日米軍には撤退してもらう!」という主張もなければ「護憲で在日米軍に守ってもらうんだから、沖縄は我慢して!」という主張もありません。
私は沖縄に多くの在日米軍基地が存在していることは問題だと思っておりまして、自衛隊を強化して拡大して、沖縄には朝鮮半島有事のさいに邦人救出にあたる自衛隊基地を設置するべきであり、在日米軍は撤退してもらう、というような主張が好ましいと思っております。
上記の9条、在日米軍という事実から鑑みても、日本の政治低主張のほとんどは「ファンタジー」の域をでないといえます。有り体にいえば「ひん曲がってる」のです。
おそらくは佐藤健志氏が現実分析として書いたこの著書も、そのことを認識しろ!と主張されておられるように思います。
いい加減に、占領期の日本を直視しようぜ、日本は1945年に終戦したのではなく、敗戦したのだ、そして屈辱的に占領軍によって占領されたんだという「現実」を「歴史」として直視しなければなりません。
現実認識してからどうするのか?
私はご存知の通り零細自営業でありまして、状況認識がファンタジーであったなら10年以上前に潰れていたでしょう。だから状況認識、現実認識の大切さというのは辛いほどに理解しているつもりです。
どのような問題、トラブルも「現状を正確かつ適切に認識すること」が対処への第一歩なのですね。
日本には様々な問題がありますが、一向に解決したという話を聞かない(笑)1980年代から「将来少子高齢化がやばいぜ!」といいながら、少子高齢化になっちゃっている。1990年代から「食料自給率やばくね?」といいながら、TPPに突き進むオツムの残念さも発揮しました。
2000年代から「デフレがヤバい!どうにかしなきゃ!」と唱えながら、緊縮財政でデフレに一直線という愚鈍さも持ち合わせております。
北朝鮮問題なんて1990年代には認識されていたはずなのに、20年以上たった今も核シェルターは整備されず、敵基地攻撃能力も「議論、検討、でも政府では検討してません」の段階。
本来は冷戦期に核シェルターの整備が進んでも不思議ではなかったのに、この有様ですから開いた口が塞がらないどころか、常識的な人なら顎が外れますよ(笑)
佐藤健志氏の言葉でいうならば「戦後とは『日本が生き残りをかけて、国際社会を舞台に、独自の国家戦略を追求しなくなった時代』と規定できよう」というわけで、動物でいうならばナマケモノですわな(笑)
ナマケモノは天敵から逃げる時も時速120mで、見つかったが最後、捕食者から逃げ切れる事は非常に稀です。
では、彼らは捕食され絶命する瞬間、彼らは何をすると思いますか?
普通の動物であれば
「生き延びる為に必死に抵抗する」
「一か八かで捕食者に牙を向く」
だと思います。
ナマケモノは違います。
彼らは捕食され絶命する直前
「あきらめて全身の力を抜く」そうです。
・・・泣
結局のところ「国家戦略を持たなくなった」ために「諸問題の解決は基本的に成り行き任せ」となり、少子高齢化もデフレも、北朝鮮問題も食料自給率も「成り行きに任せて、いまだにまったく解決の糸口すらない、というか解決する気がそもそもない」という状態なわけです。
まずはこの現状を認識してから「さて、どうするか?」と考えなけりゃなりませんが、政治家自身も国民もこの問題から目を背けているので、そもそも解決に至るはずがない。
「もう騙されない」の不幸
よくネトウヨが「私は真実の歴史を知り、目覚めました!」なんていいますが、あれ、じつはとっても不幸なことです。佐藤健志氏の名文を引用しましょう。
関連して紹介したいのが、朝鮮戦争が勃発した直後の1950年秋、福田恆存が発表したエッセイ「青年について」である。これは福田が、数名の青年と議論した経験を題材にするものの、彼が「大人」であり、「保守系の知識人」でもあるということで、青年たちは最初から不信感をあらわにしていた。
福田はこれについて、不幸なことだと述べたうえで、「それはまた、私達すべての不幸でもあります」と語る。青年たちは、敗戦までは日本政府に騙されたと思っており、つづく占領初期にはアメリカ占領軍に騙されたと思っている。だからこそ、もう騙されたくないと警戒しているのだが、それこそが落とし穴なのだ。
「騙されたと分かって地団駄踏んでいる人間を騙すことくらい、易しいことはないのです。『君たちは騙されたのだぞ』---この一語で、相手はたちまちこちらを信じてくれます」
彼が指摘するとおり、何らかの幻想を信じ込んだあげく、それが幻想にすぎないと気づいて悔しがっている者ほど、新しい幻想を信じ込みたがる。「ファンタジーの戦後史」が広く浸透したのも、軍国主義に騙されたという被害者意識を、日本人の多くが持っていたからに違いない。
サヨクはいうに及ばず、ネトウヨも「戦後教育に騙されていた!反日日教組に騙されていた!そしてネットで真実を知った!」というわけですが、それが「またもやファンタジーな戦前、戦中を捉えた戦後史観」であるとは考えないわけです。
一度詐欺に引っかかった人間は、もう一度詐欺に引っかかるとはよく言ったものです。
あと多分、ナマケモノなんでしょうね。自分で色々と調べようとしないし、判断しようとしなくて、ようするに手っ取り早いファーストフードのような「すぐ信じ込める都合のよいモノ」を探しているだけ、という風にも見えます。
戦後はいつ終わるのか?
私見になりますが、私は日本の戦後はこのままだとよほどのラッキーがない限り終わらないんじゃないか?少なくとも私のいきている内に終わることはないのではなかろうか?と思ってしまいます。
なにしろ国家戦略すらまともに持っていない国家が、次の戦争が起きたとして勝てるはずがない。これは本能的にサヨクもネトウヨも理解しているようで、だからこそたとえばネトウヨは「米国についていけばいいんだ」というし、サヨクは「憲法9条護持!護憲!表面上は在日米軍に反対しているけど、でていってもらっては困るがホンネ」なわけです。
そして当のアメリカは凋落の一途でございますので、どうもおんぶ抱っこを見直さなきゃならないわけですが、それを見直そうという動きはほとんど出ていないし、そんな論調は一部でしか聞いたことがない。
とするならば、本当の2度めの敗戦を避けるために、永遠の戦後を継続しなきゃならないという話になりゃしませんかね?つまり次の戦争には参加しちゃいけないと論理的にはなります。
とするならば戦後が終わるはずもなく、少なくともあと50年~100年位は「二度目の敗戦」なる戦後フレーズが使われ続けるんじゃないかと。
なんだかなぁ・・・という結論になって今日はお終い。
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毎日更新されているんですが、当然ながら私も毎日みています。多分見始めて7~8年くらい?むっちゃ勉強になりますから。
本日の男の料理 甘長ししとうのフライパングリル
ししとうってやつは、たまーに当たり(ハズレともいう)が入ってまして、めちゃくちゃ辛いときがありますよね?でも甘長ししとうならその確率はほとんどない(ハズ)
材料
- 甘長ししとう
- 醤油
- 日本酒
- 鰹節
調理手順
- テフロンのフライパンに油を敷かずに甘長ししとうを入れて強火に。焼き色を付けていきます。破裂が怖い場合は、フォークか竹串で穴を開けておきましょう。
- 醤油1、日本酒1を入れてさっと絡めたら、お皿に盛って鰹節をのせて完成!
お酒のおつまみには最適!とくにビールに無茶苦茶あいますよっと。