前回に引き続いて、連邦政府とアメリカの大学の関係についてのブログです。
今までの話を簡単に整理すると、
① 連邦政府の大学教育に対する権限は州に比べて限定されたものになっている。
② しかし、限られたチャンネルの中で連邦政府が大学に与えている影響は非常に強大である。
③ 連邦政府の大学教育に対する主な使用用途は、奨学金、ローン、そして研究費である。
④ 連邦政府からの拠出金はその使い道が法律で定められているため、大学の運営のために自由に使うことはできない。
という感じになりますが、今日は、連邦政府の予算に出てこない、いわば影の部分のサポートである、大学に対する税制度に対して述べてみようと思います。
アメリカにNPOが多い理由として、その原因が税制度にあると主張している人を昔何かの記事で見たことがあります。
アメリカの大学も法律上はNPOになるのですが、大学はNPOの中でも501(c)(3)という、アメリカの国税庁が定めた組織分類コードに配属されます。
この501(c)(3)は、主に次の5つうち、どれか一つをその組織の目的としているところに認定されます。すなわち、
a. 宗教活動
b. 慈善活動
c. 教育
d. literary (文学?正しい訳がわかる人がいれば教えてください)
e. 科学 (おそらく研究機関のことをさしていると思います)
そのほかにも、細かい規定があるのですが、詳しくは英語版ですがこちら:
http://www.mycorporation.com/nonprofitfaq.htm
それで、この501(c)(3)に認定されるとどうなるかというと、法人所得税を免除されます。これは、実は組織上非常に重要なわけです。所得税で本来もって行かれるところの額がまず、そのままそのNPOの収入として入ってくるからという理由がその一つです。しかし、それ以上に、これは寄付金の増加に役に立ちます。
その理由の一番目は、まず寄付金に税金がかからない、ということが挙げられます。せっかく、巨額の寄付をしたとしても、その大部分が税金で引かれてしまったら、寄付をするというモチベーションもあがりません。
次に、これは寄付金をする方の立場ですが、この501(c)(3)のNPOに寄付金をした場合、この寄付金の額は、自分の所得から控除することができます。つまり、税の申告を行う際、自分の所得を、寄付金後の所得を自分の総所得として申告することが出来るわけです。これは、累進課税システム社会においては非常に大きな意味を持ちます。
もう少し詳しく説明すると、つまり自分の所得申告額を、寄付をすることによって減らし、それによって所得税額を減らすことが出来るわけです。うまくやれば、寄付をすることによって、自分の手元に残る所得を、本来の所得より増やすことも可能になることもありえます。
話がややこしくなりましたが、要するにこの501(c)(3)は、寄付金を提供する側と受け取る側、両方にとってメリットがあるようになっているシステムがあるわけです。アメリカの大学は、その寄付金の額の大きさで有名ですが、それはこの501(c)(3)によるところが大きいわけです。
このメリットの大きさをより理解するためには、それでは501(c)(3)がなかったらどうなるのか、ということを考えてみるとより鮮明になります。
まず、当然NPO法人は、法人所得税を払わなければならないので、組織としての収入が減ります。
次に、寄付者の側ですが、法人所得税を払っている組織に対する寄付金は、所得控除の対象とはならないので、寄付した額の一部が税金として差し引かれるだけでなく、申告する所得額は、寄付金をする前の総額を申告しなければならないため、より多くの税金を引かれることになります。この状態で、果たして寄付をしようなどという人がいるのでしょうか?いたとしても、その数は限りなく限定されることになるでしょう。
というわけで、アメリカを述べた後で日本の話というのはいつものパターンなのですが、日本は、まさにこの501(c)(3)のようなシステムがない状態、というのは今でもそうなのでしょうか?2-3年前の段階では確かにそうだったと思うのですが、最近そのあたりが変わったとか変わってないとかいう話が自分のなかで明確になってはいないのですが、もしご存知の方がいればご一報下さい。
その一方で、このようなサイトを見つけました。このサイトによれば、一定の寄付金額は控除されているということです。でも、完全控除ではないようですね。
http://www.npo-support.jp/social_infra/si520.php
ともあれ、アメリカの大学はこの501(c)(3)によって、約4.5兆円分の恩恵を受けていることになります。この税優遇制度がアメリカの大学を支えていることは間違いでしょう。
さらに興味深いのは、この税制度は、高等教育政策の一環として出来たわけではないということです。この事実は全体的な視野にたって、高等教育政策というものを考えていくことの大事さを物語っているような気がします。
(一応最後に言い訳として、自分自身、税金に対する専門用語の知識はあまりないので、言葉の使い方とか間違っているかもしれませんが、その辺はご容赦お願いします)