続報・NDロードスタースピーカーシステム | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

「NDロードスター・スピーカーシス
テム」はすでに製作開始のお知らせを
させていただき、第1ロット分の部品
を手配する段階に入っています。お陰
さまで現在6セットのリクエストをい
ただいております。

製作開始に先だって、このブログでポ
ータブル録音機で収録したサウンドフ
ァイルを公開しました。BOSEサウ
ンドシステム装着車に、NDロードス
ター・スピーカーシステムだけをポン
付けした構成でした。

この状態でも、試聴してくださった方
々からは相当に高い評価をいただいて
いましたが、この時の音は既に過去の
ものとなりました。このブログの最後
の方で紹介する新しいサウンドファイ
ルのC群が、この時の音です。

「NDロードスタースピーカーシステム
/サウンドファイル」
(過去ファイル)

そのブログの中で、純正のBOSEサ
ウンドシステムのサブウーファーを改
善するプログラムを進めている旨をお
伝えしました。去年の秋頃にスタート
した開発がようやく終わり、自信を持
ってNDロードスターオーナーの皆さ
んにお勧めできるものが完成しました
ので、年明け一発目のニュースとして
お知らせいたします。

BOSEサウンドシステムのサブウー
ファーは、オープンエアドライビング
の風切り音やロードノイズに負けない
十分な音量を発揮しているのですが、
ブーンブーンと尾を引くキレの悪さ、
音量を上げると巨大な木魚を叩いてい
るような箱鳴りがあり、これらが音楽
全体にもやっとしたベールを掛けてし
まっている印象があります。

これは、スピーカーシステムの開発に
おいてもずっと気になっていた課題で、
メインスピーカーとツィーターで構成
されたスピーカーシステムのクリアな
表現力を100%発揮させるためは、
どうしても解決しなければならない課
題として研究を進めてきました。

完成した「改・BOSEサブウーファ
ー」(実は、まだ名前も決まってない)
は、純正BOSEサブウーファーの筐
体をそのまま使います。ですから筐体
への改良作業、サブウーファーユニッ
トの交換を施した完成品は、助手席足
下の元あった位置に、そのまま戻せま
す。もちろん、車体への改造は一切不
要で、サブウーファー本体も外観には
100%手を加えません。今回は、防
水仕様になっている純正カップラーも
そのまま使いますので、ユニットが交
換されていることに気づかなければ、
手が加えられたサブウーファーだとは
わからないと思います。

販売に関する具体的なことは、これか
ら決めるのですが、コアチャージとい
う方法を採ろうと思っています。BO
SEサウンドシステム装着車に乗られ
ている方は、愛車から取り外したサブ
ウーファーユニットをそのまま送って
ください。外観が無傷であれば、製作
済みの改・サブウーファーをお送りし
ます。取り外しの際にキズを付けてし
まったり、ご自身の愛車から外したサ
ブウーファーを使って製作してほしい
と希望される方には、約1ヶ月の製作
期間の後にお届けします。

いくつかの部品を外注しなくてはなら
ないので、価格もまだ決まっていない
のですが、製作がけっこうたいへんな
ので、コアチャージで5万円を目処に
考えています。

BOSEサウンドシステム装着車にお
乗りの方であれば、スピーカーシステ
ムと合わせて、15万円でこの後に紹
介するサウンドファイルのサウンドが
そのまま手に入ります。自分で言うの
もアレですが、あり得ない費用対効果
だと思います。余ったお金は、どうぞ
走り回るためのガソリン代とメンテナ
ンス費用に充ててください。わたしも
クルマ好きの端くれ、せっかくのロー
ドスター、もっともっともっと走って
走ってほしいと思っています。そこに
素晴らしい音楽があれば、なんて素敵
なんだろう……というのが、スピーカ
ーシステム発想の根本ですから。


BOSEサウンドシステムが搭載され
ていない仕様のロードスターにお乗り
の皆さんには、純正BOSEサブウー
ファーを別途購入していただく必要が
あります。マツダのディーラーで部品
として注文することができます。価格
は、わたしが開発用に購入したときは、
3万3000円ほどでした。でも、新
品である必要はありません。キズだら
けでも汚れていても、ユニットが壊れ
ていても、筐体が割れてさえいなけれ
ば大丈夫ですので、中古が見つかれば
手に入れてください。パワーアンプは
1万円程度で購入できる小型アンプで
十分ドライブできることを確認してい
ます。


「改・サブウーファー」を加えたND
ロードスター・スピーカーシステムの
再生音を、前回と同じようにポータブ
ル録音機で数曲分録音しました。一聴
してわかるほどの音で鳴っていますが、
注目ポイントの解説を添えつつ、1曲
ずつ公開します。車内で実際に体感す
る音は、低音の響きも含めて、記録フ
ァイルの10倍は感動的だと約束しま
すが、雰囲気だけでもお伝えできれば
と思います。ぜひ音質のよいヘッドフ
ォンで聴いてみてください。


【ND Roadster/MX-5
  Speaker System Sound file 01】






収録したテスト車は、マツダコネクト
/BOSEサウンドシステム装着車で
す。スピーカーシステム、改・BOS
Eサブウーファーともすべて純正取り
付けどおりのいわゆるポン付け。車両
無改造、内装意匠変更なし、デッドニ
ングも一切なしです。

A)NDスピーカーシステム(ツィー
ター、メインスピーカー)と「改・サ
ブウーファー」を装着。

B)NDスピーカーシステム(ツィー
ター、メインスピーカー)と手を加え
ていない純正サブウーファー。

C)NDスピーカーシステム(ツィー
ター、メインスピーカー)と手を加え
ていない純正サブウーファー(トーン
コントロール=BASS/ー4)

の3つの設定を順に繰り返します。


収録順に、聴きどころを簡単に解説し
ておきます。

1−A)
ドラムとベースで始まる冒頭、ハイハ
ットの質感に注目してください。二枚
が合わさったハイハットのすき間がど
のくらいかわかるような鳴り方です。
1拍、3拍にアクセントにアクセント
がありますが、音の強弱だけでなく、
鳴り方自体に違いがあるのがわかるで
しょうか。

ベースの音程感もはっきりと感じられ
ますし、バスドラムのアタマとベース
のアタマがぴったりと合って聞こえま
す。

最後に入ってくるギターの質感も、し
っかりと分厚く再現されています。

ボーカルが楽器よりも一歩前に浮かび
あがるように感じられます。声の後ろ
側の透明感に注目してください。
フレーズごと最後のリバーブの減衰感
も美しいです。この広い音域が同じ減
衰感で消えてゆく鳴り方は、ND用に
選んだメインユニットの素晴らしい特
徴の1つで、楽器のみの構成のジャズ
ややわらかい女性ボーカルなども含め
て、あらゆる音楽の再生に猛烈に利い
てきます。高級ユニット以外ではなか
なか手に入らないこの特徴がスポイル
されずに表現できただけでも、改・サ
ブウーファーは大成功と言ってもいい
くらい、わたし的な感激ポイントです。


1−B)
サブウーファーだけを純正BOSEに
戻した再生音です。ツィーター、メイ
ンスピーカーは同じスピーカーシステ
ムのものなのに、冒頭からモヤッとし
てしまっている感じがわかると思いま
す。サブウーファーの大音量の箱鳴り
がすべての音に毛布を被せたようなこ
とになってしまっています。この傾向
は、ボリュームを上げれば上げるほど
激しくなります。よく、ボリュームを
上げるとうるさくて聞いていられない
というオーディオがありますが、この
再生音はその典型です。例えばこの動
画の状態からボーカルや楽器の旋律を
聞き取りたくてボリュームを上げる→
実は旋律はすでに大音量で鳴っている
けど、マスクされていて聞き取れない
だけ→聞き取れるところまでボリュー
ムを上げると、もはや尋常ではない超
大音量になっている→うるさいのでボ
リュームを下げる→旋律がはっきりし
ない音楽に戻る。このような低音の鳴
り方は、低音以外のすべての音のニュ
アンスをすっ飛ばしてしまうので、ハ
イハットのアクセントもニュアンスは
ほとんど隠れてしまい、単に音の強弱
だけでしか感じとれなくなっています。
ギターの音もボーカルも、すべてがモ
ワッとした低音の向こう側にかすんで
しまうわけです。リバーブの残響感の
ような消え入るような音のニュアンス
など、まっさきにかすんでしまってい
るのがわかると思います。


1−C)
そこでトーンコントロールのBASS
をマイナス4まで下げてみました、と
いうテストです。実は低音の質感はま
ったく改善されないのですが、大音量
の箱鳴りにかき消される感じは、ずい
ぶん改善されているのがわかるでしょ
うか。モワッと感が減って、ハイハッ
トのニュアンスもずっとよくなりまし
た。もともと出ている音なので、邪魔
する音がなくなれば当選聞こえてきま
す。ただしトーンコントロールの調整
だけでは解決できない問題に直面しま
す。BOSEのこのオーディオシステ
ムのトーンコントロールは、サブウー
ファーだけでなくオーディオ全体に利
いてしまいます。サブウーファーだけ
でなく、メインユニットの中低音も含
めた広範囲がまとめて消えてしまうわ
けです。ベースの腰感を出している音
も、ギターの弦の質感を出している音
も、まとめてマイナス4、という感じ
で、とても薄っぺらい音になってしま
いました。ボーカルも歌い始めから、
すごく線が細い感じなのがわかると思
います。



2ーA)
1−A、B、Cと同じ並びの構成で別
のパートを収録しました。ここでは、
リズム隊の上に、ボーカルとギターが
一気に乗っかってくるところにポイン
トがあります。ボリュームも音数も一
気に増えているにも係わらず、それぞ
れの音がくっきりしているのがわかる
と思います。ドサッと大きなカタマリ
のような音にならず、それぞれの音に
異なる種類のリバーブが掛かっている
ことも自然に感じられているはずです。
そして、低音の立ち上がりも消え方も
音源にないような響き方をしないので、
すべてのパートがリズムの裏表を絶妙
に縫いながら一体となって盛り上げて
いる感じも、ほんとうにわかります。
この曲の最高にワクワクするポイント
じゃないかと、個人的には思います。


2−B)
1−Bと同じです。ブンブンした低音
以外は、すべてベールの向こうで鳴っ
ている感じなので、来い来い! と待
っていた盛りあがりポイントも、なん
だかサラッと過ぎていってしまいます。


2ーC)
ゴソッと低音をカットしてしまった弊
害が、1ーC以上に感じられるパート
です。ギターの音、ペナペナに薄くな
ってしまい、まるでフェイザーという
エフェクター(ギタリストしか分から
ない表現でごめんなさい)をかけ過ぎ
てしまったようなことになっています。
シャウトするボーカルも、残念なほど
に金切り声になってしまいました。そ
してもちろん、サブウーファーの立ち
上がりの遅さと箱鳴り感はそのままな
ので、リズムの切れ味が悪く、2−A
で楽しめたようなリズムの絡み合いも
なんだかいまひとつです。


3)
A、B、Cの音傾向はお分かりいただ
でしょうか。3では、それぞれを通し
て記録しておきました。他にもたくさ
ん発見があると思います。


そんな細かいことを、と思われるかも
しれませんが、こういうことを地道に
積み重ねてゆく以外にイメージをカタ
チにする方法はないようです。けっこ
う苦労しましたが、ND用のスピーカ
ーシステムもようやくここまできまし
た。

わたしは大企業の研究員ではないので、
開発予算もわずかですし、立派な機材
もありません。誰にでも手に入る資料
で勉強したことと、できる範囲で可能
な限りしてきた経験と耳、そしてわた
しなりの感性。ガレージで使える武器
はこのくらいのものですから、またし
てもなんとか辿りついた岸辺という感
じです。やっとカタチになった宝物を、
こういうものがほしかった、と心から
思っていただける人たちと共有して楽
しみたいと思っています。

そして、このシステムを土台に、まだ
まだ上を目指してやれることは残って
います。いいね、と思ってくださる皆
さんと一緒に楽しく、次の岸辺を目指
したいと思います。


『NDロードスタースピーカーシステム』




山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
webTV「モーター日本」
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facebook / Yamaguchi Munehisa