◎戦争のタイプ


ロシアのウクライナ侵攻が続いてるようである。


まさに五黄土星年の象意通りの幕開けと言える。


世論は「戦争は絶対悪!」のもとにロシア、或いはプーチンに対する批判が加速している。


しかし、戦争とは善悪二元論で割り切れるものではないし、単純な二元論だけで判断するとことの事実を見誤ることになる。


そもそも戦争のタイプを大別すると3つある。


1、侵略戦争

2、防衛戦争

3、予防戦争


1の侵略戦争、これは世論が言うように絶対的な悪である。自己の利益を最大化する為に他国を侵略し敵国及び自国にまで犠牲を強いるものである。


2の防衛戦争はその侵略国の攻撃に対抗する為の戦争である。国民の生命、安全、財産、伝統文化、領土を守るのは国家の義務であり国家存立の大条件である。これはその国の立場に取っての最大の正義である。


3の予防戦争は、グレーゾーンである。


もしかしたら攻めてくるかもしれないから先に攻撃しよう、と言う戦争だ。


これはその「攻撃を受けるかもしれない」と言う情報の確実性と状況による。その如何によって侵略戦争にも防衛戦争にもなる。


本当は4に代理戦争があるが長くなるのでやめる。



◎極東有事から


極東有事、即ち日本を例に取れば、北朝鮮がミサイルを我が国に向けて過去から何十発も撃って来てるが、それは「脅威」ではあってもそれによって被害を受けてないし北朝鮮と言う貧乏国家が我が国の領土を占領出来るだけの軍事力もないのは明らかである。


しかし「脅威」だからこそ先に攻め込んで相手の領土を占領しよう、と言うのは侵略型予防戦争でありやってはならないことである。


要はミサイルが「脅威」であると限定出来ている場合はそのミサイルをどうにかするべきだからでこっちから侵略する必要はまったくない。


なので北朝鮮のミサイルに対する迎撃能力だけでなくミサイル基地攻撃能力を持つべきだと言う議論は防衛型予防戦争になるのであって、これは大いにすべきだ。


しかし台湾が中国に侵略の危機に晒されるとなると話は別。台湾海峡は我が国のチョークポイント、生命線であり、ここを押さえられたら我が国は中国の支配下に入る。




なので台湾が危機に陥ったら我が国は真っ先に動かなければならない。アメリカが動かないなら我が国独自に台湾防衛に加わらなければならない。これは防衛型予防戦争だ。実際に戦闘が発生した場合は防衛戦争となる。


これは日本だけの問題ではなく海洋国家の東南アジア諸国も含めての安全保障問題となる。


ここで大切なことはその国の生命線となるチョークポイントを守ると言うこと。


ここが危機に晒されると言うことは、それを死守しなければならず確実に取られることが分かってるなら先に取らなければならない。その為には先制攻撃も已むを得ない。


取られたら取り返せないからだ。


だから極東版NATO的存在を早急に作るべきだ。


まさに「汝、平和を欲せば戦いに備えよ」である


これが予防戦争がグレーゾーンであると言うこと。




◎ウクライナ侵攻は侵略か否か


翻ってこれをロシアに当て嵌めると、クリミア半島のセバストポリにある黒海艦隊基地の軍港はロシアにとって海へ出る為の要衝である。


そもそもロシアに取っての主要な不凍港は7ヶ所、西側諸国が攻めて来た時に対応出来るのはこのセバストポリとノヴォロシスクの二つしかない。


ここを取られるとロシアに取っては海からの攻撃に対抗出来なくなる。


もしウクライナがNATO加盟した場合、ロシアはそこをNATOに押さえられることになる。


それだけじゃない。


貿易船にしても黒海に面したこの二つの不凍港から更に進むには、ボスポラス海峡を抜け地中海へ進み更にジブラルタル海峡と言う二つの重要なチョークポイントを抜けないと大西洋へ出られない。


トルコがロシアに強気でいられるのもボスポラス海峡とダーダルネス海峡と言うチョークポイントを押さえてるから。


なのでウクライナがNATO加盟をチラつかせたりするのはロシアに取っては脅威となる。


海に囲まれた我が国と脅威の度合いと地理的条件が違うのだ。


逆に言えばロシアとウクライナは陸続きで、我が国と北朝鮮みたいに海で阻まれている訳ではないので真剣味が違うのである。


なのでクリミア半島は米NATO側とロシアでここをめぐって「見えない戦争」が行われていたが今回ロシア側からする実際の軍事行動はそうせざるを得ないぐらいに追い込まれたと言うこと。


つまり米NATOの作戦勝ちと言える。







しかし、国際政治の「国家は生き残りを掛けて行動する」と言う大原則からしたらロシアの行動は当然の帰結であった。


なので一方的にロシア、或いはプーチンが責められる話ではない。


追い込んだ側にも責任はある。


ロシアに取っては安全保障上の問題であって、安全保障は経済より優先されからだ。


即ち損得など度外視だ。


逆に西側諸国側からすればかつてロシアはソ連として侵略して来た歴史がある。だからこそ、それを防ぐ為にNATOの存在意義があるのだ。


ロシア側に取って侵略型予防戦争、NATO側にとっては防衛型予防戦争。善か悪かで言ったら直接の脅威でないにも関わらずけしかけてる米が1番悪い。


もちろん両陣営お互いの挑発の結果であるが。


しかしウクライナからすれば今現在実際の侵略を被ってる。


これが事実で、西側諸国のNATOと大国ロシアに挟まれ翻弄される緩衝国ウクライナの悲劇である。


まったくの余談だが日露戦争時、当時最強と言われていたロシアのバルチック艦隊を日本海軍は破ったが、そのバルチック艦隊の航路図が以下。





アホとしか言いようがないが…。



◎遠い国の戦争なのか?


我が国の立場で言えば、中国とロシアは「第一の脅威」「第二の脅威」である。




今回、ウクライナ侵略に対して米NATOの枠組みを越えて西側諸国、そして中立国も相次いでロシア批判の声を上げ経済制裁、そしてウクライナへの支援を表明した。


この経済制裁が実効されロシアが疲弊し立ちいかなくなれば、ロシア側から外交カードとして北方領土返還のカードを持ち出してくるであろう。


ロシアからしたら北方領土返還などまったく必要ない話であったが、経済立て直しに日本が必要となったらそれが現実味を帯びてくる。


したがって当然の如く我が国もロシアを追い込む側に回らなければならない。それが日本の国益になるならそれが日本の外交と言うものだ。


そしてそれは「第一の脅威」である中国への大きな牽制となる。


遠い国の戦争ではないのである。


そして何より実際に被害を受け侵略に晒されてるのはウクライナである。


我が国が義によりてウクライナに加勢を致すのは当然である。


我が国の政治家にもウクライナの人たちも早く逃げれば良いのにと吐かしてたバカがいたが、自分たちの国を自分たちで守ろうとしないで誰が守るんだ。



◎「プーチン対ユダヤ国際金融資本」と言う図式の幻想


また一部のアホたちの間では「世界支配勢力であるユダヤ国際金融資本へ敢然と戦いを挑むプーチン」などと主張するバカたちがいる。


この手の連中は歴史を知らず、知っても色眼鏡の付いた歴史観しか持たず、地政学や国際政治を学んだことがないので現実の国際政治情勢など理解出来ず、思想的なものも学んだことがないので自分が今どこに立ってるかも分からない哀れな連中である。


「妄想のヒーロー」を賛美し「妄想の敵」ばっかり批判して、自分だけが真実を知ってると思い込んで、「現実の国際情勢」と「そこにある脅威」を全く理解出来ない連中である。


この前も一日中ウクライナのライブ動画をチェックして戦闘が映ってないから「ほら、ウクライナは平和でしょ?この戦争は茶番(笑)」「八百長だよね(笑)」なんてやって悦に浸ってる人がいた。


もう、ここまで来たら狂気じみたものを感じる。


更にネット情報やマスコミを信じるな!と言いつつ自分の情報源もネット情報でそれを鵜呑みにしてんだから左翼ウィルスとは斯くも恐ろしいものかと改めて実感した。


その手の連中のイルミナティvsプーチンなんて図式はかつての共産主義者たちの万国の労働者よ!一致団結せよ!とか打倒資本主義!の焼増しでしかない。もうソ連が崩壊して久しいんだがな。


https://news.yahoo.co.jp/articles/e8d0b2f80887861e8676e61537bb5c79ba49c693



またウクライナのゼレンスキー大統領を悪者に仕立て上げようとする意見もあるが非常に短絡的で話しにならない。


それは国民を巻き込んで最低とか言った意見だが、これはウクライナ国民全体の問題だ。それにゼレンスキー大統領は逃げずに最後まで戦う構えを見せている。国のトップとして当たり前だ。その上で国民一丸となって戦おうと呼び掛けている。何度も言うが自分たちが守ろうとしないで誰が守ってくれると言うのか。日本と置かれた状況がまったく違うのだ。


またゼレンスキー大統領は米に援助されてるから操り人形の傀儡でなんちゃらとか言う意見もウクライナの置かれた状況を無視した意見で取るに足りない。


この手の意見もユダヤがどうのイルミナティがどうのと言った戯言に過ぎない。


そう言った輩はそもそも国家観がない。


なので国を失った人たちがどんな悲惨な状況になるか分かってない。


何度も言うが海で囲まれてる日本とまったく状況が違うのだ。


国家は生き残りを懸けて行動するのが大原則。


その国の人間が国の誇りと生き残りを懸けて戦っているんだ。平和ボケした意見など言ってんじゃない。



◎立ち上がる勇者たち


現在、ポーランドに各国から義勇兵が続々と集まり、その数52カ国約2万人。我が国でも数十名の方々がウクライナの若い人が死ぬくらいなら俺が代わりに死んでやると志願したらしい。


立派な方々である。


命を懸けて侵略に苦しむ人の為に立ち上がる、これこそ本当の勇者たちだ。


まさに「義を見てざるは勇なきなりである。


長々と書いて来たが以上のことから我もまた及ばずながら義によってウクライナに加勢を致す。


南無勝軍地蔵菩薩、願わくば秘密神呪の功徳力によりウクライナの国土国民を守り給え!