AllAboutより

現在高血圧症の人が、若いときに妊娠中毒症だった率は高い。(平成6年度厚生省心身障害研究より)
■妊娠中の身体は「10年後の自分」?! 


妊娠中毒症は妊娠によって起きる病気なので、たいていは、赤ちゃんが生まれることで治ってしまいます。でも、そこで「もう、これでこの病気とはきれいさっぱりおさらばだわ」と思うのは、ちょっと待って!もしもあなたが妊娠中毒症をかかえながら妊娠生活を送った人だったら、それは、ずっと覚えておくべきことなのです。

実は、妊娠中に高血圧になった人(つまり、妊娠中毒症になった人)は、出産後に治っても、中高年になって高血圧症が出る確率が高いことがわかっています。「妊娠は、自分の10年後の姿を見せてくれる」と中林先生は言います。

妊娠中は、いつもより身体に負担がかかるため、高齢化に似た現象が起きています。それで、血管や心臓に負担がかかりやすい人は高血圧になるし、糖代謝が弱い人は糖尿病のようになります。その人の弱い部分に、中高年に多い病気のような症状が現れるのです。


現在、血圧が正常な人では、妊娠中毒症の経験者が大きく減る。
■マークしたい病気がわかるのは、幸運 


一瞬がっかりするような話ですが、発想を変えてみましょう。これは、自分が高齢化したときなりやすい病気を、教えてもらったようなものですね。

つまり、妊娠中毒症になった人は、その後の人生で予防を心がければ、高齢になって高血圧症になる可能性を低くすることが出来るのです。

■妊娠中毒症経験者は、体重を増やさないように


具体的な予防法としてはどんなものが有効かを調べた調査があります。平成6年に厚生省研究として中林先生たちがおこなったのですが、看護学校の生徒が自分の母親に聞き取りをして調べました。436回答中、若いとき妊娠中毒症にかかったことがある母親は46名いました。

この約半数に当たる22名が、現在、高血圧症になっていました。全体で見ると高血圧症の人は365人中57人(13%)しかいないので、それはやはり高い率です。しかし、高血圧症にならなかった人も多数いたわけで、その分け目になっていた因子のひとつは、肥満度でした。妊娠中毒症の経験者であるにもかかわらず後年に血圧が上がっていない人たちのBMI(肥満度の指数)は22.9±0.6。高血圧になってしまった人のBMIは24.4±0.9で、肥満度がより高かったのです。


■家族に高血圧の人がいる場合は、特に注意 


もうひとつの因子は、家系でした。親やきょうだいに高血圧の人がいる人は、特に注意が必要です。また、赤ゃんがお腹で十分に育たなかった「胎児発育遅延(IUGR)」があった人も、高血圧になりやすくなっていました。

家系は変えられないものですが、体重は変えられますね。このように妊娠中毒症は、今、成人病を予防するためにも、注目されているのです。

なお、妊娠中毒症は、産後からすでに血圧や蛋白尿がおさまらない状態になり、そのまま高血圧症や腎臓病などにかかってしまうことが時々あります(後遺症)。
お産が終わっても、決められた健診をしっかり受けて下さい。

 平成6年度厚生省心身障害研究「妊娠分娩と中高年婦人の健康に関する研究-妊娠合併症と中高年の疾患-分担研究:妊娠中毒症と中高年の高血圧に関する研究」

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これからも血圧気をつけて生活します(・ω・`*)