写経屋の覚書-なのは「今回も本題に行く前に西岡隊長のスレを紹介するよ」

梁裁判の起訴内容

写経屋の覚書-フェイト「fmdollさんやnumlkさんは、全体像を知った上で書き込んでるんだよね?」

写経屋の覚書-なのは「うん。たまに何も分かってないばかりか、韓国人をバカにできたら気持ちいいってだけの日本IDも来るんだけどね」

写経屋の覚書-はやて「ほんで、作者がちょっとつついたらすぐ逃げるんやねw で、前回はコバーンの対応次第では外交問題になるかもしれへんって話やったね」

写経屋の覚書-なのは「8月1日、東京ではマクドナルド駐日英国大使が伊藤を訪ねてきたの。伊藤は石井菊次郎外務次官も同席させて会ったんだけど、やっぱり用件は梁起鐸の取り扱いの件だったの。会談の様子が来電第11号「英国大使及び石井外務次官との梁起鐸事件対談の件」(『統監府文書5』p215)にまとめられているから見るね」

明治四十一年八月一日午後五時二〇分
伊藤 統監     
     曾禰 副統監
 今朝英国大使来訪石井外務次官も呼寄せ同席せしめ梁起鐸事件に就き問答の末本官より左の通同大使に答えへたり外務大臣よりも七月十九日付英国大使の公文(往電第四号参照)に対し同趣旨の回答文を発する筈

一.韓国には法律上未た保釈の制度なきを以て梁起鐸に保釈を許すを得さること

二.留置中梁起鐸は当該官吏立会の上親戚及内外の朋友に面会するも可なり但し韓国の弁護士(即ち韓人にして公然弁護士を職業とする者)以外の者とは国債報償金費消事件に関する談話は一切之分為すを得さること

三.裁判は公開すること

四.公判は成るへく速に之を行ふこと

 右四箇条は本日英国大使より直に本国政府に電報したる筈なれは其通実行出来されは当方に取りては非常なる困難を惹起すへきに付右の通正確に実行する様各官憲に厳訓せられ承諾の回電に接せんことを望む尚此の会見に於て本官は報償金費消事件の顛末を委しく英国大使に告け「ベツセル」の小松に申出てたる「デーリーニユウス」再刊の事にも言及し置けり大使は英国総領事か取調を拒絶したるは妥当ならさるを以て本国政府に電稟して「コーボーン」をして相当の調査を為し回答せしむる様尽力すへしと好意的に本官に内話せり
 序に一言注意す警察部内にては初より「ベツセル」を罪人の如く看做して調査するの嫌あり是れ官憲の最も慎むへきことなり梁起鐸裁判の結果有罪の嫌疑動すへからさるに至れは兎も角も其迄は決して罪人視すへきものにあらす此点は丸山総監に対し閣下より直接厳重なる訓戒を加へ置かれんことを望む

写経屋の覚書-フェイト「梁の保釈要求って、7月22日の来電第4号でもしてたけど、現在の韓国には保釈制度がないからって理由でダメなんだね」

写経屋の覚書-はやて「官吏立ち会いで家族友人との面会はオッケーやけど、弁護士以外と国債報償金費消事件に関する話はしたらあかんいうんは、まぁ普通の措置やんなぁ。証拠隠滅とかを指示依頼する可能性はあるんやし」

写経屋の覚書-なのは「そうだね。あとは、裁判は公開、できるだけ早く公判するってことを伝えたの。それと今回の事件について推移と状況を詳しく説明したら、マクドナルドはコバーンがベセルへの事情聴取を拒絶したのは妥当なことじゃない、本国に連絡して事情聴取させるよう努力するって話したの」

写経屋の覚書-はやて「こっちはえらい好意的やなぁ。あれ?伊藤の話と本国から聞いとった話が食い違う。どうもコバーンが自分に都合のええように本国に報告したん(ちゃ)うか?っちゅう疑い持ったんかな?」

写経屋の覚書-なのは「そうかもしれないね。説明を忘れていたけど、このマクドナルドは北清事変のとき駐清英国公使で、柴五郎といっしょに籠城戦を戦った人物なんだよ。なんにしても、ここでマクドナルドがコバーンの行動について疑念を持ったことは重要だろうね。それと最後の段落もね」

写経屋の覚書-フェイト「最初からベセルを犯罪者扱いして調査してはいけない。梁起鐸裁判の結果、有罪の疑いが確定したならばともかく、それまでは犯罪者扱いするな、だね」

写経屋の覚書-はやて「丸山警視総監に直接厳重な訓戒せぇって、伊藤は丸山の行動に対してかなり怒っとるんやろね」

写経屋の覚書-なのは「そこなんだよね。伊藤が京城出発前に指示訓戒したことを丸山が守り切れていないことはこの後でも分かるんだけど、かなり重要だと思うんだよね」

写経屋の覚書-フェイト「伊藤と丸山の食い違い、駐日英国大使マクドナルドと駐韓英国総領事コバーンの温度差、どっちも注目だね」

写経屋の覚書-なのは「うん。京城ではそのコバーンがまた要求をしてきたの。往電第28号「ベセル及び梁起鐸に対する告訴手続及び措置の件」(『統監府文書5』p217収録)を見るよ。実はこの電報は『統監府文書4』p359では「梁起鐸とベセルの同時起訴問題と未決囚梁起鐸の健康状態に関する件」という題で収録されてるんだけどね」

明治四十一年八月二日午前八時二〇分 京城発
  三日午前一時一五分 大森着
曾禰 副統監     
     伊藤 統監
 貴電第十一号に関し「べセル」は主犯にして梁は従犯たるの形迹あるに付梁を起訴するには同時に「ベセル」を告訴するの必要あり依て本日関係官憲をして其の手続を打合さしめたり昨日「コーボン」は三浦に書を送り「マーハム」か梁に面会したる所梁は十畳内外の小室二十九名同居し身体痩せ精神衰へ談話するの気力さへなし此儘放任するは死地に陥いるゝものなれは人道の為め救助せられたき旨請求し来れり之に対し三浦は梁の取扱を他の韓人の未決囚と異にするを得す目下の状態は数年前に比し遥に勝れり尤も新監獄建築中なれは其上は設備は更に改良すへきも今の所如何とも為し難き旨を答へたり右は「コーボーン」より本国へ報告すへきに付為念御通知す又警察官か「ベセル」を追跡し其行為を偵察したるの事実ありたるに付丸山をして厳に之を禁止せしめたれとも猶貴電の趣旨に依り注意を促かし置けり

写経屋の覚書-なのは「曾禰はベセルが主犯じゃないかという見解によって告訴に向けた準備をしていたんだけど、コバーンがまた三浦に梁起鐸の釈放を要求してきたの」

写経屋の覚書-フェイト「えっと、10畳ほどの小さな部屋に29人と同居、衰弱してこのままだと死んじゃうかもしれない。だから人道のために救助してあげて、っていうのが今回の言い分だね」

写経屋の覚書-はやて「法律上保釈がでけへんって分かったら、次は人道を持ちだしてきたんやな。三浦は、梁だけ特別扱いできへん。今の監獄の状態は数年前よりずっとええし。ま、建設中の新しい監獄やとそのへんの設備も改良できるんやけど、今んとこはどうしようもないよ、って答えたんか。なんか引っかかるなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「はやてちゃん、何が引っかかるの?」

写経屋の覚書-はやて「面会したマーナムが梁の身体衰弱を目撃したいう話なんやから、梁が衰弱していないことを証明するか、もし衰弱しとるんやったら現在できる限りで環境を改善するってことでええんと(ちゃ)うん?まずは、マーナムの言うたことが事実か確認するから医者に診察させるわ、とか答えといたらよかったん(ちゃ)うかなぁ」

写経屋の覚書-なのは「何にしても、三浦は筋のいい反論をしてるようには思えないよね。どうやら伊藤もそう受け取ったみたいなの。この往電第28号への返信となる来電第13号「梁起鐸の裁判権及ひベセルの民事裁判に対する回答」(『統監府文書4』p360収録。但し『統監府文書5』p217では「外国人ベセル及び韓国人梁起鐸の民刑事訴訟分離行刑の件」として収録)を見るよ」

明治四十一年八月三日午後〇時四五分 横須賀発
   午後八時三〇分     着
伊藤 統監     
     曾禰 副統監
 貴電第二十八号に関し本官の所見にては梁起鐸は韓人なれは韓国国法に随ひ刑事裁判に移すも差支なしと雖「ベセル」を英国の領事裁判に訴ふるに於ては民事訴訟として寄托金を全部報償会に返却せしむるの訴を起すの外なし初より費消罪の主犯として刑事裁判を要求するは穏当ならすと思考す梁起鐸の未決囚としての取扱は可成寛大にして外国人をして後日批難の種と為さしめさること最も必要なり三浦の「コーボン」に対する返答は外交官としては穏かならす徒に彼の感情を害するのみ閣下より其筋に注意し取扱を改められたし

写経屋の覚書-フェイト「「三浦の「コーボン」に対する返答は外交官としては穏かならす」かぁ…「徒に彼の感情を害するのみ閣下より其筋に注意し取扱を改められたし」って、伊藤怒ってばかりだねw」

写経屋の覚書-はやて「伊藤は梁の扱いをかなり寛大にせぇとも言うとるね。理由は「外国人ををして後日批難の種と為さしめさること最も必要なり」なんやけど、これって治外法権撤廃に関係する話なんかな?それとも人道上の批判を回避するいう話なんかな?」

写経屋の覚書-なのは「んー、たぶん治外法権撤廃の話だね。外国からしたら、韓国の司法制度がこのように拘留者にひどい扱いをする前近代的なものだから領事裁判権の維持が必要だ、っていう口実になるだろうしね。その伊藤に対して曾禰の返信が往電第31号『ベセル及び梁起鐸行刑に関する所見陳述の件』(『統監府文書5』p218収録。但し『統監府文書4』p362では「梁起鐸に対する措置及ひベセル民事訴訟に関する請訓の件」として収録)なんだよ」

明治四十一年八月四日午後五時  京城発
  五日午前〇時四〇分 大森着
曾禰 副統監     
     伊藤 統監
 貴電第十三号に関し三浦は梁に対し特別の取扱を為さんとの意見なりしも当時監獄規則上如何ともしかたしとのことに就き已むを得す前電の如く回答したるなり然れとも貴電の御趣旨に基き更に法部に交渉したるに囚徒中処分済の者多数あり人員減少したるに付梁と同監者は五六に減したり猶監獄医の診断に依れは梁の容体は入監当時と大差なしとのことなり右の趣は三浦より英国総領事に通告せしめ置きたり又た「べセル」に対し民事訴訟を起すには寄托人の請求に待たさるへからさるに本件の如き公衆より募集したる金員に関しては適当の請求者あるにあらされは民事の訴訟を起すを得す仍て「ベセル」は暫らく差措き先つ梁起鐸を起訴し其公判の進行に随ひ英国総領事に「ベセル」の取調を要求することゝし尚其結果同人に対し刑事上の訴訟を起すの理由充分なるに於ては其時に到り起訴することに致したし今日迄蒐集したる証拠のみにては梁を有罪として処分するの見込充分ならす然れとも本件の真相さへ判明せは敢て罪人を出さすとも調査の目的を達したるものとして満足するの外なし右に付御意見承知致したし

写経屋の覚書-フェイト「三浦は梁に対して特別の扱いをしようと考えてたけど監獄の規則上どうしようもなかったので、やむをえずああいう返事をしたんだ、って曾禰は弁明してあげてるけど、ほんとなのかなぁ?」

写経屋の覚書-なのは「んー、三浦がほんとに特別扱いを考えてたとしても、はやてちゃんの言ったみたいに譲歩や方便の使える余地を持たせた返答をしたほうがよかったとは思うんだよねぇ…」

写経屋の覚書-はやて「梁の同居者が減ったことで環境も改善されたし、監獄医の診察やと容体は入監当時と変わらへんでーってことを三浦からコバーンに伝えさせたんやな…って、そない答えるんやったら、最初から、とりあえず診察させて容体を確認するて答えといたら時間も稼げてよかったんやないかい!」

写経屋の覚書-なのは「にゃはは。そうだよねぇ。じゃ、今回はここまでにするね」

国債報償金費消事件(1)   国債報償金費消事件(2)   国債報償金費消事件(3)
国債報償金費消事件(4)   国債報償金費消事件(5)
写経屋の覚書-なのは「本題に行く前に、西岡隊長のスレが上がってたので紹介するよ。5,000円についての隊長の考察がおもしろいんだよね」

基礎知識

写経屋の覚書-はやて国債報償金費消事件(3)で見た機密京第10号のマルタン回答やと、1907年9月に借りたのは22,500円やなくて27,500円やったもんね。作者、そこスルーしとったしw」

写経屋の覚書-なのは「にゃはは。すっかり22,500円だと思いこんでたんだよねぇ。じゃ、本題に行こうか」

写経屋の覚書-フェイト「なのはちゃんが前回の最後で「妙なところから問題が持ち上がってきたの」って言ったけど、どんな話なの?」

写経屋の覚書-なのは「これまで見てきた史料でもわかったと思うけど、駐韓英国総領事のコバーンの態度があまり協力的じゃなかったよね」

写経屋の覚書-はやて「そやな。梁起鐸の逮捕について司法上手続の批判したり、ベセルへの事情聴取を嫌がったりしとったな。ベセルへの事情聴取についても本国に訓令をあおがなあかんとか言うてたし」

写経屋の覚書-なのは「たしかにあれっ?て思うようなところはあるよね。で、その訓令が来たということでコバーンが三浦理事官に返事をするんだけど、その内容とそれを受けての統監府の対応について往電第24号「国債報償金消費事件調査報告の件」(『統監府文書5』p213収録)で触れらてれるの」

明治四十一年七月三十日午前七時五五分 京城発
   午後九時二〇分 大森着
曾禰 副統監     
     伊藤 統監
 貴電第八号国債報償金取調に関し当初三浦理事官より英国総領事に照会したる箇条は別電第二十五号第一書簡の通りにして司法手続として取調を請求したるものにあらす然るに英国総領事は本国の訓令を仰きたる上本日第二書簡の通り英国の司法上の原則に正反対なる手続に対しては何等の援助を与ふる能はさる旨を答へたり是より先き同総領事は梁の留置に関し韓国の司法手続を問合せ来りたるに付三浦より韓国には未た刑事訴訟法なけれは従来の慣行に依り令状を用ひさる旨を答へ其後警察官は梁を嫌疑者として漢城裁判所検事に送致したる旨を通知したり英国総領事の今回の回答は言辞穏かならす或は梁拘引の不規律(同総領事の見解)なることを指したるものと思はるれと「ベセル」取調の請求とは自ら別問題なり然れとも同総領事にして既に好意上の援助を拒絶したる以上は貴電御示の如く「ベセル」に対する告訴を提起するの外なしと認め且つ告訴状(「コンプレエント」)を起草せしめ居れり本件に関し今日まで確実なる証拠を得たる事実左の如し

(一)大韓毎日申報社及同社内総合所の募集金総額は七万一千六百余円にして大韓毎日新報の広告に依れは「コールブラン」銀行部に預け居るか如し而して右募集金取扱に関係せるものは所長尹雄烈(其後辞任せりと称す)役員梁起鐸・朴容圭(逮捕手続中)及「ベセル」の四人「ベツセル」は事実上の主任者なり

(二)前記募集金の内三万円を大韓毎日新報の広告と異なりて曩に「コールブラン」銀行部より引出し本年二月七日之を香港上海銀行の代理店たる在仁川「ホームリンガー」会社に預け入れ同月末及四月中三回に同会社より右金額全部を引出したり(梁の自白に依れは右金員は役員四名の連署にあらされは引出す能はすと云へるも「ベセル」か自ら引出したる事実は「ホームリンガー」会社員の証言する所なり)

(三)前記募集金の内二万七千五百円は昨年九月中九朱の利子にて「アストルハウス」主人仏人「マルタン」に貸与し本年八月二十一日より毎月金五百円つゝ返却し皆済に至る迄据置くの約束を為したり(前電参照)此の分梁の自白に依れは一万円なりとあり梁は「ベセル」よりの偽言に依り斯く信したるか如し(三浦の英国総領事に対する照会状には梁の自白に基き一万円と記載せり)

(四)前記募集金の内二万五千円にて「コールブラン」より米国「ハアトフヰルド」京城金鉱会社の株券を買入れ「ベセル」のみの名義か役員の名義かは未た判明せぬ(尚五千円を「ベセル」自ら所持し居れりと云ふ此の五千円は同人の家屋修繕に費やしたりとの報告あり取調中なり)以上三万円は先きに在仁川「ホームリンガー」会社より引出したる分と推察せらる

(五)「コールブラン」には目下約一万五百余円預けありとのことに付前記引出金と合算するも総計六万八千円にして募集せし七万一千六百余円に比すれは尚三千円内外の不足あるのみならす預金の利子は如何に処分せしや不明なり「ベセル」の告訴状には右等の事項を列挙し英国法律に依り相当の処分を為さんことを要求する積なり

「ベセル」は両回小松書記官を訪問し喜んて事実を開陳すへしと云へるに拘はらす英国総領事は一回も同人に聞糺さす直に本国の訓令なりとて簡単なる拒絶状を送付し来れる等本件に就ては毫も妥協の態度に出てす本国政府に対しても果して事実通の報告を為したるや甚た疑はし貴電御意見の如く万一我か告訴状を却下する如きことあらは本件を外交問題に移すの外なきに至るへし告訴状は脱稿次第郵送すへきに付其の節は更に御意見を伺ふへし

写経屋の覚書-なのは「ここでは「別電第二十五号」として触れられている往電第25号「コバーン総領事と三浦理事官との往復書信一部を統監に報告の件」(『統監府文書5』p214収録)に三浦の照会とコバーンの返答が載ってるよ」

Arrived Ⅶ 30. 1908.

Prince Ito.
  No.25
First Document Miura to Cockburn.
(After referring to facts) At the instance of Coren authorities I have the honor to request that you will be so good as to make necessary investigation with regard to the following points and let me know the result at an early date.

(1)In what capacity Mr. Bethell was or is connected with Corean Foreign loan redemption funds?

(2)By what authority did he draw first amount of ten thousand yen and loan it to Mr. Martin, what are the terms of loan and the rate of interest?

(3)By what authority did he draw second amount of thirty thousand yen from Messrs Holmeringer d Co. of Chemulpo?

(4)What has he done with the money so drawn?

(5)Is there any deposit of the said funds remaining in Mr. Colbran Bostwick Co. in the name of Mr.Bethell?


Second Document
Cockburn to Miura
(After referring to notes exchanged) in reply, I have the honor to state that in proceedings that are diametrically opposd(ママ) to English principles of the administration of Justice, it is not possible for me to give any assistance.

Sone.

写経屋の覚書-フェイト「えーっと、

(1)どういう資格でベセルは国債報償金に関したあるいは関しているのか。

(2)どういう権限で彼は最初に10,000円を引き出してマルタンに貸し付けたか。その貸付条件と利率は。

(3)どういう権限で彼は次に30,000円をホームリンガー社から引き出したか。

(4)彼は引き出された金銭をどうしたか。

(5)ベセル名義でコールブラン銀行部に残っている上述の預金はあるか。

の5点についてベセルに事情聴取してほしいってことなんだね」

写経屋の覚書-はやて「ほんでコバーンは本国に事情聴取してええかどうか問い合わせて、その指示によって、英国の法執行の原則に正反対な訴訟手続に対してはどんな援助を与えることもでけへんって回答したんやね…これって協力的(ちゃ)うどころかむっちゃきつい拒絶の言い方やんなぁ」

写経屋の覚書-なのは「正直言って、一国の外交官が簡単にこんなことを言っていいとは思えないんだよね…前にコバーンは梁起鐸の留置について韓国の司法手続を問合せたんだけど、三浦は韓国にはまだ刑事訴訟法がないから従来の慣行どおり令状を使用しなかった。その後は梁を嫌疑者として漢城裁判所検事に送致したって答えたの」

写経屋の覚書-フェイト「コバーンの今回の回答は言辞が穏かじゃなかった。それに梁起鐸拘引の「不規律」の話もベセル取り調べの請求とは別問題だしって言ってるけど、たしかに拒絶自体の妥当性に関係なく、コバーンの態度はいろいろおかしいよね。なんて言うかな、頑なというか意固地というか不自然というか…」

写経屋の覚書-なのは「そう思われても仕方ないかなぁ。ともかく、こうなった以上は、往電第14号で伊藤と寺内外務大臣が協議してたようにベセルに対する告訴を提起するしかないってことで、告訴状を起草させているところなんだよ」

写経屋の覚書-はやて「7月30日の時点で曾禰が確認できとる事実は

(1)申報社・総合所の報償金総額は71,600余円。申報の広告通りなら全部コールブランの銀行に預けてあるはず。金銭の取り扱いは尹雄烈・梁起鐸・朴容奎・ベセルやけど事実上ベセルが主管しとる。

(2)30,000円は広告文言と違て、銀行部から引き出されて2月7日に淮豊銀行代理店のホームリンガーに預けられた。梁起鐸は役員4人連署やないと引き出せへんて言うたけど、コールブランの社員はベセルが引き出したって証言。

(3)27,500円は、昨年9月、年9朱つまり9%の利率でマルタンに貸し付けた。今年8月21日から月500円で返済の約束。英国総領事への照会の時は梁の自白に基づいて10,000円と記述したけど、梁はベセルの嘘を信じて10,000円って言うたみたい。

(4)25,000円は株券購入(ベセル名義か役員名義かは不明)、5,000円はベセルが自宅修繕に使ったという報告があるから調査中。これらの30,000円はホームリンガーから引き出した金(ちゃ)うかと推察。

(5)コールブランには残金が10,500円ある。そやけど上記の引き出し金額と合わせても68,000円で、報償金総額71,600余円と比べたら3,000円不足があるし、利子についても同処分したか不明。ベセル告訴状にこれらを列挙して英国法律によって処分することを要求するつもり。

の5点やねんな」

写経屋の覚書-なのは「そうだね。ベセルは2回小松を訪問して喜んで事実を開陳しようと言ったのに、英国総領事は1回も事情聴取をせず、本国の訓令とかいって簡単な拒絶状を送ってくるなど、この件について全然妥協しないってことについてなんだけど、本国に事実を報告したかも怪しいんじゃないか?って曾禰は疑ってるの」

写経屋の覚書-フェイト「これって、三浦の要求が理不尽なものと思わせるように、わざと事実じゃないことあるいは事実を曲げて本国外務省に報告して、回答拒絶の訓令を獲得したんじゃないかって意味だよね?」

写経屋の覚書-はやて「そうやんなぁ。本国が三浦の要求を不当と判断して回答拒絶の訓令を出す、ほんでコバーンは本国の訓令やからという理由で堂々と拒絶できる、いう策やな」

写経屋の覚書-なのは「そのへんは駐英日本大使や駐日英国大使とも連絡を取って究明するしかない問題だけどね。ま、その疑いは措いといて、もしコバーンが告訴状を却下するようなことがあったら、伊藤の見込みどおり、これは外交問題にするしかなくなっちゃう。告訴状はでき次第郵送するからチェックして意見をください、って指示を仰いだの」

写経屋の覚書-フェイト「外交問題かぁ…とんでもないところに火が移った感じだね」

写経屋の覚書-なのは「本来現地レベルで解決できる話だと思うんだけどねぇ…じゃ、今回はここまでにするね」

国債報償金費消事件(1)   国債報償金費消事件(2)   国債報償金費消事件(3)
国債報償金費消事件(4)
写経屋の覚書-なのは「今回はまず、前々回に見た曾禰発伊藤宛の往電第14号「大韓毎日申報記者 梁起鐸調査に関する件」について、伊藤からの返信となる来電第8号「国債報償金消費事件正確調査報告件」(『統監府文書5』p209収録)を見るよ」

明治四十一年七月二十八日午後八時
伊藤 統監     
     曾禰 副統監
 貴電第十四号に関し梁起鐸をして「コールブラン」銀行部に対し預金勘定書提出方を請求せしむるは妥当ならす他に相当の請求者を選定するを可なりとす又本件の経過に顧みれは将来終に「ベセル」を被告として英国の領事裁判に訴へ出てさるを得さるに至るやも知れす其の場合に於て英総領事従来の態度に依れは或は告訴を受理せさることなしとも限らす果して然らんには当方にては国際談判に移すの外なく随て英国政府をして「オークワード,ポジション」に立たしめさるへからさるか故に外務大臣とも協議の上予め本件の顛末及英領事の態度等を精しく在本邦英国大使に告け知らしむることに決したるを以て本邦に関する一層確実詳細の事情を至急電報せられたし

写経屋の覚書-フェイト「伊藤は梁起鐸に電気会社銀行への預り金勘定書提出要請をさせるのは妥当じゃないって反対したんだね」

写経屋の覚書-はやて「そら、この時点で梁は横領嫌疑者やしね。ほんで他の人を選べ言うんやね」

写経屋の覚書-なのは「この件の推移の結果、最終的にはベセルを被告にして英国の領事裁判に訴えることになるかもしれない。その場合、これまでの態度からして総領事が告訴を受理しないとも限らない。そうなると外交交渉に移管するしか方法がなくなって、英国政府を不利な立場に置くことになるって危惧してるの。「オークワード,ポジション」は「awkward position」、不利な立場、窮地って意味だよ」

写経屋の覚書-はやて「あー、前回見たようにコバーンのあの態度やったら告訴不受理くらい普通にやりそうやなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「外務大臣とも協議して、その最悪の事態に備えてあらかじめ本件の顛末と英国総領事の態度を駐日英国大使に告げることに決定したから、一層確実な詳細を至急電報してって指示してるのかな。つまり根回しのための準備だね」

写経屋の覚書-なのは「そういうことだね。あ、7月14日に西園寺内閣が総辞職して桂内閣になっているから、ここでいう外務大臣は林董じゃなくて寺内正毅(陸軍大臣と兼任)なの。そんな中でベセル本人が統監府を訪れたんだけど、往電第18号「国債報償会報償金に対するベセルの立場に関する件」(『統監府文書5』p210収録)でその様子が報告されてるの」

明治四十一年七月二十九日午前〇時五五分 京城発
   午前八時二〇分 大森着
曾禰 副統監     
     伊藤 統監
 昨二十七日「ベセル」は小松書記官に面会(過日本官に会見したき旨申込みたるに付小松をして対談せしむることに取計置きたり)の上自分か当初英字新聞を発行したるに当り専ら日本政策の弁護に努めたりしか長森事件に関し当時の日本公使館書記官と衝突し爾来排日的態度を執るに至りたるのみ然れとも今や自分は何時まで相反目するの双方に不利なるを悟り従来の態度を一変して「デイリイ,ニユース」の再刊を図らんとする趣旨を縷述し之に対する御意見を承知したしと述へ小松は右申出の趣は充分に了解したれとも此の主要事件に付ては自分の意見を語るを得す上官に伝達して其の裁決を待つの外なし但し此の問題を上官に提出するに先ち前以て解決し置かさるへからさるものあり其は貴下(ベセル)の身辺に纏綿せる報償金費消の疑団を一掃すること是なり此事件にして今日の儘にて経過せんか新聞再興のことを考慮する余地なかるへき旨を答へたるに「ベセル」は如何にも尤もなり自分の潔白なることゝ梁起鐸の無関係なることを証明するは容易の業なりと述へたるに依り然らは何故に英国総領事に事実を開陳して当該官憲に之を表明せさるやと尋ねたるに英国総領事より何等の質問なかりし故なりと答へ尚英国総領事に協議すへしとて立去りたり
 同日三浦理事官か英国総領事に面会し「ベセル」取調に関する回答を促したるに同総領事は本国政府の訓令を仰き置きたれは両三日中には回答すへしと語りたり就ては英国総領事にして確実なる「ベセル」の陳述を聴取り之を報告へ来らは兎も角同総領事にして法理に拘泥し到底好意上にては右の報告を提出する能はすと云ふに於ては不得已「ベセル」に対する「コンプレヱント」を提出し裁判上の取調を要求するの外なかるへし中川京城地方裁判所検事長の意見に依るも梁を取調へたる結果本件に関しては「ベセル」の方主謀者たる形跡あるに付き梁に対し起訴するときは事の順序として同時に「ベセル」に求刑をも為さゝるへからさるか如し然れとも「ベセル」は昨日小松の問に対し身の潔白を明かにしたる以上は報償金全部を官の保管に移すは自分の切望する所なりと答えへたるに依り之を察すれは報償金の所在及ひ取扱方法を弁明するの自信あるに似たり想ふに報償金費消の形跡ありと雖事件の性質上之を立証するは困難なり殊に韓国の刑法にては費消したる寄托金を即時に償還するときは罪とならさるに依り事件の真相さへ判明せは強て追窮せさる積りなり

写経屋の覚書-フェイト「小松書記官と会って自分の態度について大演説したんだねー。長森事件って何なのかな?」

写経屋の覚書-なのは「元大蔵省官僚の長森藤吉郎って人が、1904年6月に官有地・所有権の明白な民有地以外の全ての荒蕪地の開発経営を自分に委託させる『韓国荒蕪地開拓案』って案を林公使経由で提出した話なの。結局反発を受けて立ち消えになったっぽいんだけどね」

写経屋の覚書-はやて「その事件について日本公使館書記官と衝突して反日姿勢に転じるようになったいうんやね。そやけど、今になって自分と日本官憲が反目するのは双方のためによくないと悟って、反日的態度を変えてデイリーニュースを復刊したいということなんか…で、デイリーニュースって何なん?」

写経屋の覚書-なのは「英語新聞の『The Korea Daily News』といって、これが大韓毎日申報の発祥なの。この時期には廃刊してたんだけどね、ま、廃刊の経緯についてはあらためてどこかで詳しく触れるかもしれないよ」

写経屋の覚書-はやて「その経緯はなんとなく読めたw 小松はそれらの話について上司に伝えて判断取り扱いを待つしかないけど、その前にせなあかんことあるやんねー、と切り返すんやな」

写経屋の覚書-フェイト「ベセル自身の国債報償金費消疑惑の解明だね。ベセルは自分の潔白と梁起鐸が疑惑に関係ないことを証明するのは簡単さ、って言ったんだね」

写経屋の覚書-なのは「小松は、じゃ、どうして英国総領事に事実を説明して韓国・統監府の官憲に発表しないんだ?ってさらにツッコミを入れたんだよ。それに対してベセルは、英国総領事から訊かれなかったからって答えたの」

写経屋の覚書-はやて「訊かれへんだから言わんかった?どこのキュウベェやねん!!」

写経屋の覚書-フェイト「三浦理事官のほうは英国総領事コバーンに会っていたんだね。コバーンは、ベセル取り調べについて本国に訓令をあおいだから3日以内には回答できる、って言ったみたいなんだけど…」

写経屋の覚書-なのは「きちんとベセルに事情聴取してその結果を伝えてきたらいいんだけど、もしそうでなかったら、ベセルに対するコンプレヱント(complaint)つまり告訴状を出して裁判に関係した取り調べをするしかないってことなの」

写経屋の覚書-はやて「そやけど、梁の取り調べの結果、むしろ梁は従犯、主犯はベセル(ちゃ)うん?いう形跡が出てったから、もし梁を起訴するんやったら同時にベセルにも求刑せなあかんって判断なんか」

写経屋の覚書-フェイト「でも、かんじんのベセルは小松に、身の潔白を明らかにしたら報償金全部を官に移管することは切望するところだって言ってるし、どうも報償金の所在と取り扱い方法について弁明する自信があるっぽいって曾禰は感じたんだね」

写経屋の覚書-なのは「それに報償金費消の形跡があったとしても、事件の性質上それを立証するのは困難だし、韓国の刑法では費消した寄託金を即時に償還したら罪にならないから、事件の真相さえ判明したらそれ以上追及はしないつもりだって曾禰は意見を述べたの」

写経屋の覚書-はやて「曾禰は往電第14号でも犯罪捜査やなくて調査するんが目的なんやって言うとったね」

写経屋の覚書-なのは「ベセルは自信満々の態度を取ってたんだけど、韓国人たちは報償運動の方針の話し合いとベセルに返金させるための会議を開こうとしたの。まず『統監府文書5』p211収録の憲機第416号「大韓毎日申報社内国債報償金報償金のための会議開催通文に関する件」で会議予定が報告されてるの」

 国債報償募集金に関し本日左記の如く通文を発し明日大韓毎日申報社内に会議開催の上左の各項決議する予定なりと云ふ
     左記

一.敬啓者本所国債義金を帰正する為めに本月三十日午前十一時特別総会を毎日申報社内に開催する故に遅期なく来臨せられたし
大韓毎日申報社内国債報償志願金総合所

所長 尹雄烈
   会議の目的事項

一.総合所金四万二千八百三十円〇六銭を「ベツセル」より返金せしむる事

二.皇城新聞社帝国新聞社其他各社会義金を総合所に於て管轄し内閣にて監督する事

三.裴説若逃走し或は該金の全部を返還せさるときは総合所委員は内閣に請願し英国総領事館に裁判を開く事

四.国債総合所は毎日申報社外に移転する事

五.梁起鐸・朴容圭等は重罪犯の被告として告訴する事

     告訴人
所 長 尹雄烈
検査員 李康鎬
評議員 安重植
書 記 鄭志永
 追て
  明日会議出席者二十七名の予定なりと 以上
右御参考迄及内報
明治四十一年七月二十九日     

写経屋の覚書-フェイト「総合所金42,830円6銭の返還っていうのは…そっか、マーナムが金庫ごと家に持っていっちゃったんだった」

写経屋の覚書-なのは「朴容奎は国債報償志願金総合所の役員で横領に関与してる容疑が掛かっていて、ベセルの家に逃げ込んでいたの」

写経屋の覚書-はやて「ベセルの家は治外法権の効力範囲内やし、韓国政府・統監府官憲も踏み込まれへんしなぁ」

写経屋の覚書-なのは「7月30日に会議が開かれたんだけど、ベセル糾弾集会になったみたいなんだよねぇ…『統監府文書5』p211収録の憲機第421号「七月二十九日憲機第四一六号続報」にその様子が報告されてるの」

 前報の如く七月三十日午前十一時より左記十四名大韓毎日申報社内に集合し午後五時迄「ベツセル」に対し論議したる概要左の如くなりと云ふ
    左記
前大臣尹雄烈前参奉李康鎬前観察使李恒儀前統制使閔泳玉
趙存禹前主事安重植前教官鄭志永青年会牧師金麟
青年会牧師姜泰膺前兵使李廷珪前秘書官安喆瑢幼学李淳祐
前副尉尹致昞賛成員ベセル以上

一.当日決議す可き予定項目は

(1)目下現存せる筈なる国債報償義金四万八千三百余円を「ベツセル」より即時取戻す可き事

(2)総合所印・銀行通章(電気会社の意ならん又印章書類等は万咸の宅に持ち帰り居れり)及書類の三点を万咸より取戻す事

(3)前項四万八千三百余円及印章書類等は尹雄烈に保管せしむる事

二.右之内第(1)項を議題として協議したるも唯紛擾を醸せる而已にして遂に要領を得さりき

三.集会せし者より「ベツセル」に対し種々詰問したる結果「ベツセル」答弁の要領は次の如し

余か関係せし国債報償金の内に於て自ら費消したるものは平安南道遂安郡金礦の株二十五を昨年十二月二万五千円にて買収し尚五千円は昨年九月より本年三月迄の間に於て自己の家屋建築の為費消したる而已と(以上は口頭而已ならす書面を以て申立てたりと而して該書面は尹雄烈所持し居ると云ふ)

四.「ベツセル」の答弁前項の如くなるも金礦買収の為に費消したる二万五千円は果して事実なるや否やは疑問にして会員之に対し種々詰問する処ありしも要領を得す

五.会員の調査せる処に依れは「ベツセル」の関係せる金額は約七万八千三百余円なり(国債報償志願金総合所に収金の分約三万六千余円毎日申報社に収金の分約四万二千三百余円にして以上は「ベツセル」の保管に委し尹雄烈「ベツセル」朴容圭・梁起鐸四名の名義を以て電気会社に預けしものなり)

六.然るに「ベツセル」の答弁に依れは其費消せる額は三万円なるを以て尚ほ電気会社に現存せる残金四万八千三百余円なるへきに同会社に就き会員の調査したる処に依れは僅か一万三千円ある而已なるを以て約三万五千三百余円は何れに費消したるものなるや不明なり此点に就き会員より「ベツセル」に詰問せるも要領を得す

七.以上の如くにして遂に第(2)第(3)項を協議するに至らすして閉会せりと

八.両三日中更に会合して協議する由なるか其事務所は中署磚洞普成館内に定むる予定なりと

以上
明治四十一年七月三十一日     

写経屋の覚書-フェイト「えーっと、みんなの追及に対してベセルは、25,000円で12月に株を購入、5,000円は自宅修繕に使ったって答えたんだね。で、これは口頭での回答だけじゃなくて、書面もあり、尹雄烈が持っているらしいんだね」

写経屋の覚書-はやて「みんなが株購入に25,000円ってほんまか?と詰問したんやけど、要領を得ない発言で逃げたんやな」

写経屋の覚書-なのは「みんなの調査だと、ベセルの関係する金額は78,300余円、内訳は総合所への報償金36,000余円と申報社への報償金42,300余円。これらはベセルが保管して、尹雄烈・ベセル・朴容圭・梁起鐸四名の名義で電気会社つまりコールブランの会社内銀行に預けたってことなんだけど…」

写経屋の覚書-フェイト「ベセルの話だと使いこんだのは30,000円だから残金は48,300円のはずなのに、実際は13,000円しかなかった。残りの35,300余円はどこへいったのかな。ベセルを詰問しても、これも要領を得ないままだし」

写経屋の覚書-はやて「そのせいで、決議予定項目の(2)・(3)まで協議でけへんままお開き。3日以内にまた会議する予定になったと。全然潔白(ちゃ)うし、誰も納得させられてへんやんw 小松の前で見せた自信はどこに行ったんやw」

写経屋の覚書-フェイト「でも、ベセルはよく自宅修繕なんていう完全な横領を認めたね。まだ株購入の方が報償金を増やすためだとかいって言い訳しやすいのに」

写経屋の覚書-なのは「それはね、この会議以前に白状しちゃってたからなんだよね。『統監府文書5』p213収録の憲機第422号「上件続報(七月三十一日憲機第四二一号続報)」にその事情が報告されてるよ」

一.「ベツセル」の関係せし国債報償金の内五千円は「ベツセル」自己の家屋建築費中に費消したりと云ふ事発覚せし原因は本件の社会に曝露せる稍以前に(日不詳)於て総合所長尹雄烈は関係者間に種々の風説あるを耳にし潜かに之か調査を為さんかため其子尹致昊をして「ベツセル」を訪問せしめ事件の内容を質さしめたり其際「ベツセル」の答弁に五千円は慥かに自己家屋建築のため費消したる旨答へたるに依り今更之れか食言する能さるを以て昨日の会議に遂に公然発表するに至りたるものなりと云ふ

明治四十一年七月三十一日          
(七月二十七日憲機第四〇七号参照)     

写経屋の覚書-はやて「あー、尹致昊に言うてもおてたんか…そらごまかされへんわ」

写経屋の覚書-フェイト「さすがにベセルも前言を翻すことはできなかったんだね」

写経屋の覚書-なのは「そういうわけで、尹雄烈はこの結果を広告として大韓毎日申報に8月6日から8日まで3日連続で掲載したんだけどね…」


写経屋の覚書-19080806大韓毎日申報

本人이国債報償義務에会員의勧告를難孤하야昨年五月分에総合所所長之任을勉行以後로収入■額이為四万二千余円인바該金은大韓毎日申報社前社長裴説이가句管貯置이미니本年六月地方騒擾以後로義金은不来写経屋の覚書-ha17야報償이無期写経屋の覚書-ha17고兼且老病이難強写経屋の覚書-ha17야自今春으로所長之任을自退이되該金額帳簿写経屋の覚書-rar17不容不調査故로今月初一日에交渉於該社写経屋の覚書-ha17야各其任置写経屋の覚書-han17바各人自筆領証을昭詳保管写経屋の覚書-han17明証을本人이領受写経屋の覚書-ham17이如左写経屋の覚書-ha17오니京郷間同胞写経屋の覚書-nan17照亮写経屋の覚書-ha17심을望写経屋の覚書-ham17
一万二千九百七十八円六十銭
 韓美電気会社内銀行任置
 隆煕二年七月三十一日
 骨仏安自筆証明
二万五千円
 同  年 月   日
 骨仏安宝時旭開発会社立本
五千円
 新門外馬田家立本
 馬田自筆証明
 同  年 月   日
前総合所所長尹雄烈 広告

写経屋の覚書-なのは「骨仏安はコールブラン、宝時旭はボストウィック、馬田はマルタンのことなの。この広告は8月4日付皇城新聞にも掲載されたんだよ」

写経屋の覚書-フェイト「ねぇ、なのはちゃん。横領ってどこにも書いてないね」

写経屋の覚書-はやて「25,000円がコールブランの会社、5,000円がマルタンのとこにあるとしか書いてへんもんなぁ」

写経屋の覚書-なのは「うん、分かりにくいんだよ。総合所規程第4条には「本所総合金額は内外国を論ぜず信実たる銀行にしばらく人をして任置せしめ(後略)」って書いてあるから、総合所は申報社のように預ける銀行が決められてないんだけど、銀行じゃないコールブランの開発会社とマルタンのところに報償金がある時点で運営管理としてダメなんだけどね」

写経屋の覚書-はやて「しかも、報償金がコールブランの開発社とマルタンのところにあるいう「事実」だけ書いといて、それらが株購入や貸付に使われたせいでそうなったんやいうことは書いてへん」

写経屋の覚書-フェイト「横領という不祥事を隠そうとしたか、糊塗しようとしたんじゃないかって疑っちゃうやり方だよね」

写経屋の覚書-はやて「これはこれでキュウベェっぽぉて(やー)なやり方やなぁ」

写経屋の覚書-なのは「だよねぇ…まぁそういうわけで、ベセルは責められ、統監府官憲は梁の取り調べと金の流れの調査を続けるんだけど、妙なところから問題が持ち上がってきたの。今回はここまでにして、次回はその問題を見ていくね」

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