写経屋の覚書-はやて「今回はベセルが横領した報償金がどないなったかいう話やね」

写経屋の覚書-なのは「うん。1909年(隆煕3年)5月1日にベセルが死去したのはベセルの死(1)で見たよね」

写経屋の覚書-フェイト「横領を自白したのが1908年9月だから、それから1年も経ってないんだね」

写経屋の覚書-なのは「実は、国債報償志願金総合所は、ベセル死去後もずっとベセル横領金の所在追求と弁済交渉をしようとしていたんだよ」

写経屋の覚書-はやて「え?生きとるうちに弁済かなんかのかたちでけじめつけさせられへんかったん?」

写経屋の覚書-なのは「うん。そうみたいなんだよ。まず1909年(隆煕3年)8月22日付の大韓民報をみるよ」


写経屋の覚書-19100422民報

●国債報償金所起訴 国債報償金幾万円을英人裴説氏가担任写経屋の覚書-ha17얏다가未得勘簿写経屋の覚書-ha17고身故写経屋の覚書-ha17写経屋の覚書-nan17데其夫人이家産을競売写経屋の覚書-ha17고帰国写経屋の覚書-han17写経屋の覚書-ham17으로国債報償金摠合所에셔右事由写経屋の覚書-rar17英国摠領事에게起訴写経屋の覚書-ha17야右金을裴夫人에게徴出写経屋の覚書-ha17写経屋の覚書-ha17얏다더라

写経屋の覚書-フェイト「帳簿さえ確認できないままベセルが死んで、夫人が家産を競売にかけて処分してイギリスに帰国しようとしたんだね」

写経屋の覚書-はやて「ほんで総合所は英国総領事に訴えて、横領金を弁済させようとしたんやな」

写経屋の覚書-なのは「どうやら英国総領事に訴える前に夫人に面会して事情を訊こうとしたらしいんだけどね。8月24日付大韓民報を見るよ」


写経屋の覚書-19100424民報

●総合所起訴 既報와如히国債報償金総合所에셔裴説氏가犯用写経屋の覚書-han17国債報償金을其夫人에게推尋次로起訴写経屋の覚書-ha17写経屋の覚書-nan17데為先該夫人과面議写経屋の覚書-ham17을請写経屋の覚書-han17즉謝絶不見写経屋の覚書-ha17写経屋の覚書-nan17故로再昨日英国総領事館에起訴写経屋の覚書-ha17고 日本理事에게提出写経屋の覚書-ha17야英領事와交渉케写経屋の覚書-har17次로漢城府에申請写経屋の覚書-ha17얏다더라

写経屋の覚書-はやて「ベセル夫人が面会を拒否したんかいな」

写経屋の覚書-フェイト「22日に英国総領事館への訴えを日本理事に提出して、さらに英総領事との交渉を漢城府に申請したんだね」

写経屋の覚書-なのは「で、その結果と展開が8月26日付大韓民報にあるの」


写経屋の覚書-19100426民報

●国債報償金問題 国債報償金은裴説氏死去後에一問題가됨은已為報道写経屋の覚書-han17바어니와今番에国債報償金総合所長尹雄烈氏와同任員金允五、金麟諸氏가裴説氏未亡人을向写経屋の覚書-ha17야該金額末을質問写経屋の覚書-han17즉未亡人은云写経屋の覚書-ha17되亡夫在日에五千円仮量을任置写経屋の覚書-ha17얏다写経屋の覚書-ham17은聞写経屋の覚書-ha17얏스나現今에写経屋の覚書-nan17該金의所在写経屋の覚書-rar17不知라写経屋の覚書-ha17고其他写経屋の覚書-nan17総히糢糊写経屋の覚書-han17지라右諸氏写経屋の覚書-nan17故裴説氏가아스다하우스氏와高仏安氏의経営写経屋の覚書-ha17写経屋の覚書-nan17銀行에該金을任置写経屋の覚書-ham17을聞知写経屋の覚書-han17故로此両人에게交渉写経屋の覚書-han17즉同両人은裴説氏와写経屋の覚書-nan17金銭借貸가有写経屋の覚書-ha17얏스나総合所와写経屋の覚書-nan17何様関係가無写経屋の覚書-ha17写経屋の覚書-ha17고拒絶写経屋の覚書-ha17写経屋の覚書-nan17지라然則裴説氏가死去写経屋の覚書-ha17얏슨즉該金에関写経屋の覚書-han17責任은其未亡人에게在写経屋の覚書-ha17写経屋の覚書-ha17야英国総領事에게提出写経屋の覚書-ha17얏더니個人事로退写経屋の覚書-han17故로日本理事가交渉写経屋の覚書-ha17리라더라

写経屋の覚書-フェイト「総合所長の尹雄烈、役員の金允五・金麟がベセル夫人を訪ねて横領金について質問したら、ベセルが生きている時に約5,000円があったことを聞いたことがあるけど、今はどこにあるか知らないとか曖昧糢糊に答えんだね」

写経屋の覚書-なのは「うん。そこで尹たちは、ベセルが横領金をマルタンに貸し付け、コールブランの会社内銀行に預けていたから、コールブランとマルタンに弁済を交渉したの。でも彼らはベセルとは金銭の貸借関係はあったけど総合所とはそういう関係がない、ベセル死後はそのお金に関する責任は夫人にあるって言って拒否したの」

写経屋の覚書-はやて「たしかにベセルが横領した金を誰にどう使(つこ)ても、使われた側には関係ない話やね。但し、コールブラン・マルタンが善意の第三者であればの話や。彼らがベセルの横領を知りつつ金銭を授受したり、最初からベセルと組んで横領に加担しとったら話は別やろけど」

写経屋の覚書-なのは「そのとおりだし、彼らがベセルと組んでいた疑いはあるんだけど、それを証明するのはもう不可能だしね。ともかく総合所の交渉は拒絶されて、英国総領事も個人の事件だからと言って訴えを退けたの」

写経屋の覚書-フェイト「じゃ、これで打つ手なし、おしまいだね」

写経屋の覚書-なのは「いちおう、日本理事を介して英国総領事への交渉を実現しようとしてたみたいだけど無理だったぽいね。ベセル横領金の弁済問題はこのまま記録上から姿を消すんだけどね…」

写経屋の覚書-はやて「なんか気になることあるん?」

写経屋の覚書-なのは「うん。申報社・総合所の保管していた報償金の最終的な金額についてなんだけど、それはまた整理して後で見ることにするよ。とりあえずここまでわかった金銭の流れを表にしてみるね」

大韓毎日申報社

借方 貸方
総合所移管32,300.000 報償金募金61,131.507
マルタン貸付22,500.000   
電気会社内銀行預入6,331.507   

国債報償志願金総合所
借方 貸方
総合所募金
電気会社内銀行預入
12,978.600 報償金募金12,978.600
申報社から移管分
電気会社内銀行預入
2,300.000 申報社から移管32,300.000
申報社から移管分
仁川淮豊銀行預入
30,000.000   

仁川淮豊銀行
借方 貸方
ベセル引出
金鉱会社株券購入
2,5000.000 総合所から預入30,000.000
ベセル引出
マルタン貸付
5,000.000   

写経屋の覚書-なのは「赤字がベセル横領流用分なの。ベセルの罪を簡単にまとめると、まず申報社長として、申報社に集まった報償金を横領して、それを隠して全額銀行に預けたという虚偽の告知をしたこと」

写経屋の覚書-はやて「マルタンへの貸付は完全にアウトやな。利子まで取っとるわけやしね。それと申報に全額電気会社内銀行に預けたって広告載せとったんも虚偽広告になるもんね」

写経屋の覚書-なのは「そして、総合所役員ではないのに総合所の報償金を取り扱って横領し、株購入と貸付をしたこと」

写経屋の覚書-フェイト「うん。投機めいた金鉱会社の株購入とマルタンへの貸付をしていたわけだからこれも弁解の余地はないよね」

写経屋の覚書-なのは「あとね、申報社から総合所へ移管した報償金を電気会社内銀行から仁川淮豊銀行へ預け替えたことも厳密にはアウトなんだよね」

写経屋の覚書-はやて「あれ?国債報償金費消事件(10)で見た警秘収第7764号の別紙、尹雄烈の請願書やと、ベセルからの30,000円預け替えは尹も了承したように書いとったで」

写経屋の覚書-なのは「はやてちゃん、預け替えに総合所長尹雄烈の承認があったとしても、総合所にとって部外者のベセルがそれを実行した時点でダメだよ。承認を与えて丸投げした尹にも責任はあるんだけどね。ベセルが外国人がやらないと不都合があるとか言って騙していた可能性もあるけど」

写経屋の覚書-はやて「そっか。尹がベセルの提案を採用しても、総合所役員が預け替えを実行しとったらセーフやったんやね」

写経屋の覚書-なのは「そういうことなの。尹が共犯者という可能性もないわけじゃないけどね。それに、別の銀行へ預け替えたことについては、預け替え当時から疑問視する見方があったみたいなの」

写経屋の覚書-フェイト「疑問視?」

写経屋の覚書-なのは「うん。1908年3月31日の時点での話なんだけど、警秘第977号の1「国債報償金の件」(『統監府文書2』p266収録)を見るよ」

大韓毎日申報社に於て募集したる国債報償金四万二千五百三拾五円余を天一銀行へ預金中の処本月六日同社長「ベツセル」氏及同社主事梁起鐸、朴容圭、前軍部大臣たりし尹雄烈の四名相議り内金三万円を引出し密かに仁川港英涯豊銀行に預金したりと云ふ
因に該銀行は淸国上海に本店を有し仁川は其支店にして曽て報償金を預入したることなし畢竟此事たる他日紛議を来す素因ならんと云ふ
右及報告候也
隆煕二年三月十一日    
警視総監 丸山 重俊
     統監代理 副統監 子爵 曾禰 荒助 殿

写経屋の覚書-フェイト「結局、後日紛議の原因になるだろうっていうのは、丸山が聞きこんできた情報・推測なんだね」

写経屋の覚書-なのは「そうなんだよね、あと、西岡隊長がマルタンへの事業費融資2で推測しているマルタンへの貸付金整理による5,000円のロンダリング疑惑もあるんだけど、これでベセルの国債報償費消事件についてはおしまいにするよ。結論としては横領したベセルが悪いかな♪」

写経屋の覚書-はやて「それと、コバーン要らんことし過ぎ、三浦落ち着け、丸山突っ走り過ぎ、伊藤とマクドナルドおつかれさん、っちゅうんもあるでw」

写経屋の覚書-フェイト「特にコバーンのせいで現地レベルの単純な問題が日英の外交問題にまでなりかけたんだもんね」

写経屋の覚書-はやて「丸山の先走りも問題やね。伊藤が慎重に調査せぇ言うとったのに、梁の捜査・逮捕・送致まで行ってもぉたから、裁判という形式で費消事件の真相解明をせなあかんようになってもぉたんやもんなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「この事件を統監府の申報への言論弾圧の一環とか国債報償運動の弾圧って思える人はかなり単純、じゃなくてシンプルな思考回路を持っているとしか思えないよ」

写経屋の覚書-なのは「韓国の教科書は大体そんな感じなんだよねw…何回か触れてきた田口容三『李朝末期の国債報償運動について』(所収「朝鮮学報」第128輯 朝鮮学会 1988)の最後には『なお、一九〇九年二月、寄付金品取締規則(ママ)が公布され、寄付金募集にあったて(ママ)はあらかじめ内務大臣および関係主務大臣の許可を受けることとなったが、これは報償義捐金不正処理を口実に制定されたものであろう』って書いてるんだけど、1909年2月27日付で制定された閣令第2号寄附金品募集取締規則は、募集目的・方法、保管方法、事業計画、収支予算等をきちんと記載して許可を請願するもので、不透明な事業への寄附行為、強引な寄附、寄附に名を借りた強請(ゆす)りを取り締まるものなの」

写経屋の覚書-フェイト「あれ?この規則、前にどこかで聞いたような記憶があるよ」

写経屋の覚書-なのは「うん。俵学部次官演説要領(明治43年7月)(12)で触れているよ。他者の寄付だけに頼るような基盤のいい加減な私立学校はこの規則の発布によって大打撃を受けたって」

写経屋の覚書-はやて「あー、基盤のええ加減な私立学校は干渉して廃校させるんやなくて、自然淘汰に任せるいう話の中で出とったな」

写経屋の覚書-なのは「この規則は寄付事業に対する透明化・健全化を図るのが目的ってこと。田口と違って、この規則は私立学校の財源を潰し弾圧するために制定されたなんて言う人もいるけど、それはそれで間違ってるしね」

写経屋の覚書-フェイト「統監府・総督府の行動を全て悪意に結び付けないと気が済まない人はまだまだ多いんだろうねぇ」

写経屋の覚書-なのは「そういうことなの。じゃ、次回からは国債報償運動そのものについて見ていくよ」

国債報償金費消事件(1)   国債報償金費消事件(2)   国債報償金費消事件(3)
国債報償金費消事件(4)   国債報償金費消事件(5)   国債報償金費消事件(6)
国債報償金費消事件(7)   国債報償金費消事件(8)   国債報償金費消事件(9)
国債報償金費消事件(10)  国債報償金費消事件(11)  国債報償金費消事件(12)
国債報償金費消事件(13)  国債報償金費消事件(14)
写経屋の覚書-はやて「なー、なのはちゃん、この国債報償金費消事件、KJCLUBのほうの進展はどうなん?」

写経屋の覚書-なのは「特に進展無しってとこかな。韓国側が話にならないレベルだし」

写経屋の覚書-フェイト「えーっと…『統監府文書』をきちんと読めてないどころか、ちゃんと調べてもいない!?」

写経屋の覚書-はやて「結論ありきで史料探してくるんやから、トリミングするしかあらへんのやけど、それもようせえへんねんなぁw それに、以前に合意した認識や定義を忘れて(おんな)し問答繰り返しとるし」

写経屋の覚書-なのは「そうなんだよねぇ。じゃ、本題に入るね。前回は国債報償金調査会や大邱地方国債報償金消費事実臨時調査所の話だったけど、今回は別の団体の話をするんだよ」

写経屋の覚書-フェイト「報償金の取り扱いについて調査する団体の話だったね」

写経屋の覚書-なのは「うん。憲機第652号「国債報償金調査会準備及役割に対する報告の件」(『統監府文書5』p282収録)に、国債報償金検査所って団体が募金活動を行なっている各団体を調査する動き始めたことが報告されてるの」

一.閔宗植を所長として創設した国債報償金検査所にては本日第一回を開会する筈なりしか皇帝陛下水原に行幸に付取消し更に期日を定め開会の筈なりと然して其決議すへき内容は各道各郡に於て応募し之れを預入れたる場所及金高を第一に調査し而して其預り居る皇城新聞社・期成会・帝国新聞社・安洞婦人会・女子教育会・青年学院・西道義成会・敦明義塾・創漢模薬圃・薬峴教堂・大韓毎日申報社・連合会所・総合所・中央義務社の十四ヶ所に就き対照して其調査を適合する時は預金の返還を求むるに在りと而して検査は第一着に皇城新聞社及大韓毎日申報社を為し次て英人「ベツセル」を調査し若し預金と「ベツセル」に於て預り居る金員と符合せさるときは各道に通文を発し一名宛の総代を上京せしめ以て「ベツセル」を詰問する事に内定し居れりと

二.前項各道より総代を上京せしむるは中央委員而已にては調査の権限薄きを懸念したるに因る又皇城新聞社より先きに調査に着手するは「ベツセル」に対する一般の注意を避くる為なりと云ふ

以上
               明治四十一年十月二日

写経屋の覚書-フェイト「大韓毎日申報社より皇城新聞社を先に調査するのは、一般の注意を避けるため?世間の目がベセルに関係する申報社に向いているからそれを避けるってことなのかな?」

写経屋の覚書-なのは「そういうことだろうね。この検査所については、憲機第663号「国債報償金検査所任員選定の件(十月二日憲機第六五二号参照)」(『統監府文書5』p283収録)でも報告されてるんだよ」

昨四日国債報償検査所にては総会を開催し役員を選定し左の決議を為せりと
  所 長   閔宗植
  副会長   李文求
  検査委員長 権重勲
  委 員   柳甲秀 外七名
  総 務   金誠鎮
  同     閔丙星
  幹 事   金基文 外二名
  書 記   李春雨 外二名
    決議事項

一.十三道各郡に同所の趣旨書一通及其他公函を発送する事(各郡守宛)

一.京城各収金所に検査委員二名を選出派遣する事

一.皇城新聞社・帝国新聞社を検査して後大韓毎日申報社を検査する事

一.検査日時は本月七日より開始する事

 尚閔宗植は左の如き団束令を規定せりと

一.本所は国債報償金の検査を目的とする事

一.本所役員は国法範囲内に於て行動する事

一.所中の経費は所員負担の事

以上

一.各郡に発送す可き公函の大要は左の如しと

     公函(大要)

一.国民の義務を果たさん為め国債報償せんとせし我同胞の血誠より出せる義金昨今疑議紛起せり本所此に該金の調査の任に当る貴郡の義金額調査報告せられ度云々

以上
               明治四十一年十月五日

写経屋の覚書-はやて「見える、見えるでー。乱立した調査団体が足を引っ張り合って共倒れする未来がw」

写経屋の覚書-なのは「はやてちゃん、残念だけど現実はそこまでいく前に消滅したり整理統合されたんだよ。国債報償金調査会は検査所等の団体が既に調査を始めてるから、並行して調査する必要はないってことで10月30日に活動停止、国債報償金検査所は、田口容三『李朝末期の国債報償運動について』(所収「朝鮮学報」第128輯 朝鮮学会 1988)では1909年(隆煕3年)11月に発足した国債報償金処理会に統合吸収されたんじゃないかってしているんだけど、確認できないの」

写経屋の覚書-フェイト「じゃ、集まった報償金はどうなったのかな?それにベセルが横領した分は?」

写経屋の覚書-なのは「ごめん。それらについては確認したい史料が何点かあるから後回しにするね。その代わりに他の報償運動団体の横領について見ることにするよ」

写経屋の覚書-はやて「他にも横領しとる団体があったんかいなw って予想通りやけど」

写経屋の覚書-なのは「そうだよねぇw じゃ、往電第465・466号「国債報償会の募金に対するベセルの立場に関する件」の別紙憲機第40号「国債報償金報償金状況報告書写本」(『統監府文書4』p355収録)を見るよ」

国債報償金に関し聞知し得たところ左の如し
    京城各新聞社其他の会に収金せる高
一.大韓毎日申報社会計室収金三万六千余円
一.同申報社国債報償志願金総合所  四万二千三百八円十銭
一.皇城新聞社八万二千余円
一.帝国新聞社八千四百二十円六銭
一.前万歳報現今大韓新聞社三百五十九円
一.国債報償期成会一万八千七百円二十二銭七厘
一.女子教育会保管金なし会長秦学胄私消百余円
一.安東婦人会保管金なし(女名申簫堂)私消三百円
以上
    消費若くは保管中の高
一.大韓毎日申報社及同総合所総合計金七万八千三百八円十銭也
 此内裴説犯用金二万五千円 黄海道遂安郡金礦に使用
  金五千円 家屋建築の際使用
  朴容奎金三百八十六円八銭私消
 新門外馬田ホテル金一万円(九厘利子にて貸与)
 残金三万七千九百二十円〇二銭(裴説預り金)

一.本日国債報償金総精算の為め関係者約五十名毎日申報社に集会協議の予定

一.大韓毎日申報国債報償収金に関する帳簿一切は七月十三日同社長英人万咸,裴説の宅に持行き社に置かすと

 右一説として御参考迄及内報
      
              明治四十一年七月二十七日

写経屋の覚書-フェイト「この時点で判明してたベセルの横領額は株購入25,000円・自宅修繕5,000円の30,000円なんだね。あれ?マルタンへの貸付は?」

写経屋の覚書-なのは「新門外馬田ホテルがマルタン経営のアストルハウスのことだよ。最初にベセルが梁起鐸に貸付額は10,000円だって嘘をついて、梁がそれを信じて丸山警視に話した結果がここに出てるの」

写経屋の覚書-はやて「ほんまは22,500円やった分やね」

写経屋の覚書-なのは「朴容奎っていうのは総合所役員なんだけど、実は彼も横領の容疑が掛かっていてベセルの家に逃げ込んでいたんだよね。9月に起訴されたことが警視第57号「国債報償金費消事件」(『統監府文書4』p355収録)でわかるんだよ」

 国債報償金濫費に関する梁起鐸の被告事件は現に京城地方裁判所に於て審理中に有之候処右事件の外別に朴容圭に対し総合所評議員安重植外三名より義捐金濫費の事実調査を請願せり取調を遂くるに朴容圭は国債報償志願金総合所財務監督にして総合所の收入に属する金額の監督整理を為すの任に在りなから隆熙元年七月初旬忠清南道徳山郡支收所長趙鍾灝より国債金総合所会計室に宛て送納したる義捐金八十三円九十二銭を収受し総合所規程に定むるか如く之を銀行に預金せす又新聞に掲載せすして濫費し償還せす尚又隆熙元年十二月十日頃全羅南道順天郡義務所総務趙泳薫外一名より総合所に送納したる義捐金三百十四円十八銭を収受し前同様濫費して償還せさるものと認む依て本件は刑法大全第六百四十三条の犯罪と思料し八月二十七日右事件を京城地方裁判所検事長に送致せり
右及報告候也
隆煕二年九月二日    
警務総監 若林 賚蔵
     統監 公爵 伊藤 博文 殿

写経屋の覚書-フェイト「こっちは梁起鐸と違って本当に横領してたんだね」

写経屋の覚書-なのは「女子教育会と安東婦人会は完全に横領で使いきっていたみたいだね」

写経屋の覚書-フェイト「でも、100円と300円だから、大韓毎日申報社や皇城新聞社に比べるのはかわいそうだけど、そんなに集まってなかったってことだよね」

写経屋の覚書-はやて「ここでは各団体保管の報償金の総計が187,787円38銭7厘になっとるけど、この数字は正確なんかなぁ?」

写経屋の覚書-なのは「んー、1910年4月19日付大韓毎日申報には総額159,253円99銭9厘っていう数字が載っているんだけど、それとの差額は-28,533円38銭8厘だね」

写経屋の覚書-フェイト「でも、187,787円38銭7厘って、ベセルと朴容圭の横領額込みだよね」

写経屋の覚書-なのは「うん。187,787円38銭7厘からベセルと朴容奎の横領額を引くと134,901円30銭7厘になるから、1910年4月19日付大韓毎日申報の総額との実際の差額は24,352円69銭2厘になるよ。1908年7月から1910年4月の間に募金がなかったとは言わないけど、弁済された金額がその差額の多くを占めているって考えるほうが自然だろうね」

写経屋の覚書-はやて「前回言うとった株売却による一部弁済がそれにあてはまるんかもしれへんね」

写経屋の覚書-なのは「調査結果と各団体の帳簿書類が正確だという前提条件つきだけどね。書類不整理のせいで計算が合わなかった例が往電第38号「国債報償金報償金顛末調査報告」(『統監府文書4』p365収録)で報告されてるしね」

明治四十一年八月九日午後二時五分 発
曾禰 副統監
     伊藤 統監 宛
 貴電第十四号大韓毎日申報以外の諸新聞社募集金に就き警視総監か今日まて取調たる所に拠れは皇城新聞社募集額六万三千余円にして不足額は二十一銭二厘万歳報社の分三百三十八円余国民新聞社の分五十五円余共に過不及なし帝国新聞社八千四円余其中二百二十四円余は社員保管すと云ふも該社員目下不在の為め調査未済に属す前電同社に於て一千円費消の形跡ある旨御通知に及ひたるは当時丸山総監の明言に拠りたるも今回の報告には其費消にあらさりしこと判明したるか如し又国債報償期成会の分一万八千余円銀時計二個銀器 (しろかねうつわ) 三十点不足額は二百十五円余あるも関係書類不整頓の為め誤算を来したるものと認むるも尚ほ調査中なりと云ふ

写経屋の覚書-フェイト「丸山警視総監、またドジ踏んだの?」

写経屋の覚書-なのは「そういうことになるかなw じゃ、今回はここまでにして、次回はベセルが横領したお金はその後どうなったか?を見るよ」

国債報償金費消事件(1)   国債報償金費消事件(2)   国債報償金費消事件(3)
国債報償金費消事件(4)   国債報償金費消事件(5)   国債報償金費消事件(6)
国債報償金費消事件(7)   国債報償金費消事件(8)   国債報償金費消事件(9)
国債報償金費消事件(10)  国債報償金費消事件(11)  国債報償金費消事件(12)
国債報償金費消事件(13)
写経屋の覚書-フェイト「作者は無事帰省を終えて帰ってきたよー」

写経屋の覚書-はやて「オイッコニウムとメイッコニウムを大量に補充してきたんやてw」

写経屋の覚書-なのは「さ、国債報償金調査の団体が結成されることになるんだけど、まず憲機第537号「国債報償金調査委員選定の件報告」(『統監府文書5』p262収録)を見るよ」

 八月三十日国債報償金調査会を開き役員を選定せり

一. 来会者は尹孝定・李学宰・李昇鉉・呂炳鉉・崔恒来・李敏卿・金麟・金允五・姜■[王允]熙・権東鎮・朴基元・鄭顕哲・諸有志にて臨時会長は尹孝定をして選定せしめたり

一. 会長張博,副会長崔秉憲,総務は李敏卿に決定せり

一.調査方針に付討議せしも議論百出遂に一定せすして閉会したり

以上
               明治四十一年八月三十一日

写経屋の覚書-はやて「大韓協会の尹孝定もおるし、総合所の金麟・金允五もおるし、いろんな団体が参加しとったと見てええんかな?」

写経屋の覚書-なのは「うん。8月31日の国債報償金調査会について、警秘第3419号の1「国債報償金調査会の件(報告書)」(『統監府文書5』p264収録)を見るとそれがよく分かるよ」

 昨三十一日午後三時四十分より同六時三十分に亘り鍾路商業会議所に国債報償金調査会を開く会するもの二十六名代表者を出したる団体は大同会・湖南学会・帝国実業会・大東学会・漢城銀行・天一銀行・大韓協会・一進会・関東学会・畿湖学会・商業会議所・大邱断烟会の十二なり

一.会議の状況
尹孝定を臨時会長に金明濬を書記に姜燁を司察に選挙し金明濬は前回の会録を報告し了て本会議に移れり
李敏卿規則書を朗読す
尹孝定は会員に対して曰く本日の会は単に規則の発表及役員の選挙を為さんか為め開きたるものにして役員中本日は会長副会長及総務の三人を選挙し其他は時期の会に譲りたし而して会長の如きは一般に最も信用ある人を選挙せさるへからす云々
此に対し一進会の代表者崔学来反対演説を為して曰く京城に於ける各団体の数凡て四十八然るに本日会するもの僅に十一総人員二十六人に過ぎす斯の如き小数の代表者を以て役員を選挙するは公明を欠くの嫌あるを以て宜しく全部の団体代表者を集めて公選するを穏当なりと信す云々
尹孝定は前説を主張して曰く既に各団体に対して集会を促したるも来会せさるもの多し此等のもの悉く集会するを待たは遅滞の憂あり故に本日会合の団体に於て適当の人物を公選して調査の歩を進むるを以て上策と為すと
議是に決し直に役員選挙を行ひしに会長に張博・副会長に崔炳憲・総務に李敏卿当選せり

一.大邱断烟会代表者李一禹一場の演説を為して曰く予は中央総合所の通知に依り去る六月中に上京し七月三十日地方有志は会場に出頭せしも京城人士は一人として出席したる者なし是れ京城と田舎とに於て如何なる区別あるや国債報償の如き素より挙国一致たるへきに斯る区別を為し吾々を軽蔑せんとする乎甚た不快に堪へす斯の如く公平を欠くの行動あるに於ては吾々地方人は本会に対し信を置くこと能はす云々
李敏卿弁明して曰自分か当日出席せさる理由は国債報償金は未た調査せられす総合も亦未了なるに維持の方法を講するは事の順序を顛倒したるものなるか故に未た其機に非らると認めたるに依れり諸君も同様の意見にて出会せられさりし事と信す敢て京城と地方との区別を立てたる訳にあらす云々

一.次会に於ては左の役員を選挙することに決議し了て無事閉会せり
 検査員十人    文簿調査員五人    評議員三十人    以上

右及報告候也
隆煕二年八月三十一日    
警務総監 若林 賚蔵
     統監 公爵 伊藤 博文 殿

写経屋の覚書-フェイト「ほんとだ。京城の団体だけじゃなくて報償運動の先駆者の大邱断烟会も参加してる。結局今回の参集団体の中から役員を選出して終わったんだね」

写経屋の覚書-はやて「大邱断烟会の李一禹が、総合所の呼びかけで7月30日に地方有志が京城の会場に行ったら京城のもんが誰もおらんかったって言うてむっちゃ怒っとるやん。京城と田舎に何の区別があるねん。挙国一致せなあかんときにこんな真似して我々を侮蔑するんか!不快や!って」

写経屋の覚書-フェイト「7月30日?その日に報償運動団体の集まるような大会ってあったかなぁ?」

写経屋の覚書-なのは国債報償金費消事件(4)で出てきた憲機第421号「七月二十九日憲機第四一六号続報」にあったように、午前11時から大韓毎日申報社内でベセルに対する追求が行なわれた日なの」

写経屋の覚書-フェイト「え?でもその会議の参加者14名に大邱断烟会の人も他の地方団体の人もいないよ…まさか会場を変更して総合所関係者以外を締め出したってことなの?」

写経屋の覚書-なのは「憲機第416号「大韓毎日申報社内国債報償金報償金のための会議開催通文に関する件」だと、ちゃんと会場が申報社だと明記してるんだけどね。また、参加予定者が27名って報告されてるから差し引き13人が欠席したことになるんだけど、その13人が地方団体の代表者だったのかなぁ?」

写経屋の覚書-はやて「朝鮮十三道から一人ずつやったら計算は合うけど、各道に一個ずつ団体があったわけでもあらへんやろしなぁ。でもそれやと、地方団体有志の方が会場分かっとんのに欠席したことになるから、李一禹が怒るんはおかしい話になるしなぁ」

写経屋の覚書-なのは「正直、そのへんの事情はわからないの。地方の話だと、大邱では調査所を作って有志に調査と報告を呼びかける檄文が飛ばされたことが「大邱地方国債報償金消費事実臨時調査所設置活動状況報告」(『統監府文書5』p270収録)で報告されてるの」

 慶尚北道警察部の報告に依れは大韓毎日申報社に保管中の国債報償金費消事実伝播以来大邱居姜永周発起して臨時調査所を設け印刷物を各郡に配布し且つ市場に人を派し道路演説を為さんとするの計画あり由て屋外演説は治安を害するものと認め戒告せり印刷物は別紙訳文の如し
右及報告候也
               隆煕二年九月二日
内部警務局長 松井 茂
     統監 公爵 伊藤 博文 殿

○別紙
  〔上件 発起人の各郡に配布せる報償金消費事実確認調査に対する声明書 日訳文〕
 偉哉壮哉国債報償の論起るに当つて也難且重なりや伊来断菌貯蓄の金額個人の籌策をを合做して扶国の大義を弁得し二千万の彛策を感起して畢に弥天の血誠を露す丐乞嚢を傾け橐を倒し婦嬬飾を解き佩を捐す孰か之を聞かさる十三省数年収合したる数甚た小ならす而して今何処に積置するやを知らす又何人か乾没せしやを知らす此罕世堂々たる盛挙にして龍頭蛇尾に終り我愛国進々の思想をして鱉縮し蟹退くに至らしむ徒に外債を報せさるのみ惹て隣邦の貽笑を招くを如何せん愚衷激する所禁せんとして能はす宜しく一々調査し我民族の熱誠鳩聚を以て空中の消融たらしむへからす当地寿昌社に於て先つ此の文を発せしも未た調査の言有らす故に本人は茲に僉君子に警告す幸に人をして言を廃せしめす各々其義捐金収納領収を後録に依て本調査所に送交せは当に逐一事実調査して自然明白に顕露の上該金額を只公議に遵ひ帰着せしむへきを以て疑ひなく函図せられんことを望む

隆煕二年八月 日    
発起人 姜永周 告白  


一.各道郡各面洞各門中各個人及左右社任房にして義捐金収合したる事実及ひ何処に納めたるやを指示する事

一.各其収納したる領収を抄出して本件は各自所持し該写を郵便を以て速刻本調査所に送致する事

一.一郡より代表者一名を択派し調査及処理の方針を議決す若し派遣し難き処は意見書を送るも妨けなし

一.郷豪士強にして自服したるか如き弊ありて其姓名を指示すれは本所より法司に告けて措置方取計ふへし

一.該金額自服者を私情を以て告けさるか又は此調査を尋常の事と見做し若くは此敬告を文具同様に考ふる者は同胞として待つへからす

一.本調査所の費用は告白人之を負担するを以て此旨諒せられたし

一.臨時調査所は慶北大邱光門内二十統六戸朴聖達方と定む


写経屋の覚書-はやて「えーっと…国債報償運動っちゅう国を憂えてみんなが力を合わせた素晴らしい盛挙が、竜頭蛇尾に終わって日本の笑い物になるんはどうにかせんとあかん。ウリ民族の熱誠が消えてしまえへんようにするんや、要するに調査費用は出すから報償金横領者がおらんか調査して報告してくれってこっちゃな」

写経屋の覚書-なのは「ま、これ以降どうなったかは分からないんだけどね。ちょっと早いけど、今回はここまでにするよ」

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