【新種牡馬を知ろう】ポエティックフレア編 | バッタの一口馬主データ分析室

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  新種牡馬を知ろう

 新種牡馬について、①競争成績、②父系ライン、③牝系ラインの3つの視点から分析してみようという企画記事です。

 この記事が納得感をもって出資できる一助になれば幸いですし、私自身も記事を書きながら勉強したいと思います。

 あくまでまだ産駒も走っていない段階での考察なので、妄想に近い内容であることをご了承ください。

 今年は、シルクで募集予定のコントレイル、クリソベリル、インディチャンプ、ポエティックフレア、シスキンを予定しています。(シスキンは新種牡馬ではありませんが)

 

  ポエティックフレアを知ろう

 

 

  競争成績

欧州芝11戦5勝

主な勝鞍

2021 英国 英2000ギニー GⅠ 1 芝8.0F
2021 英国 セントジェイムズパレスS GⅠ 1 芝8.0F

 

 2歳3月にデビュー戦を勝利して、そのまま7か月の休養を挟み、2歳の名門GⅠディハーストSに挑むも、流石に惨敗し、なんと連闘でGⅢに挑戦し勝ち切ります。

 その後、三歳では、4/11の英2000ギニートライアルを皮切りに、5/1~6/16までの1か月半で、英2000ギニー、仏2000ギニー、愛2000ギニー、セントジェイムスパレスSという3歳マイルの主要レースに皆勤賞を果たし、1着、6着、2着、1着の好成績を残します。

 その後も7月はジャックルマロワ賞、8月はサセックスSと欧州の主要マイルGⅠを2着2回と好走し、現役最後にアイルランドの芝中距離GⅠ愛チャンピオンSに出走し、3着(4頭しか出走していませんでしたが…)に入り、引退しました。

 タフな馬だなというのが第一印象です。

 3歳4月~9月までの半年間で8戦と、条件馬でも中々走らないペースで走っています。 

 4頭立てとはいえ、芝2000mでも0.2差の3着と形をつくっており、マイルまでしか絶対無理という馬ではなかったようです。

 

  血統分析

 

父:Dawn Approach ガリレオ系

① 競争成績

欧州芝12戦8勝

2013 英国 英2000ギニー GⅠ 1 芝8.0F
2013 英国 セントジェイムズパレスS GⅠ 1 芝8.0F
2012 英国 デューハーストS GⅠ 1 芝7.0F
2012 愛国 愛ナショナルS GⅠ 1 芝7.0F


② 産駒成績:重賞ウィナー6頭

芝重賞ウィナー 6頭

ダート重賞ウィナー 0頭

 

母父:ロックオブジブラルタル デインヒル系

① 競争成績

欧州芝13戦10勝

2002 英国 英2000ギニー GⅠ 1 芝8.0F
2002 愛国 愛2000ギニー GⅠ 1 芝8.0F
2002 仏国 ムーランドロンシャン賞 GⅠ 1 芝1600m
2002 英国 セントジェイムズパレスS GⅠ 1 芝8.0F
2002 英国 サセックスS GⅠ 1 芝8.0F
2001 英国 デューハーストS GⅠ 1 芝7.0F
2001 仏国 仏グランクリテリヨム GⅠ 1 芝1400m


② 産駒成績:重賞ウィナー43頭

芝重賞ウィナー 43頭

ダート重賞ウィナー 0頭

 

母母父:ロイヤルアカデミーⅡ ニジンスキー系

① 競争成績
欧州芝7戦4勝
1990 米国 BCマイル GⅠ 1 芝8.0F
1990 英国 ジュライC GⅠ 1 芝6.0F


② 産駒成績:重賞ウィナー59頭
芝重賞ウィナー 54頭

ダート重賞ウィナー 3頭

両刀重賞ウィナー 2頭

 

父系分析

 ノーザンダンサーの5×5×5×5というザ・欧州といった血統構成。

 本馬はDawnAproachの最高傑作ですが、DawnAproach自体が競争成績の割には種牡馬として実績がついてきておらず、失敗種牡馬とは言いませんが、決して大種牡馬といえるような成績でもありません。

 母父ロックオブジブラルタルは欧州快速馬であり、芝1400m~芝1600mのGⅠを7連勝した名馬で、父としても優秀ですが、母父として入ったときにスピード能力を強化する種牡馬として優秀で、代表的な例としてはミッキーアイルが挙げられます。

 母母父はニジンスキー系では珍しく、種牡馬としても成功を収めたタイプで、この馬もマイルを中心に重賞馬を輩出しました。

 このように本馬は、鈍重な欧州種牡馬というイメージとはかけ離れた血統構成で、欧州の快速血統が3つ重ねられた血統で、父、母父の産駒の活躍傾向からしても早熟性もかなり高そうなイメージがあります。 

 

牝系分析

 叔母の仔に重賞好走馬がいますが、近親の活躍馬はその程度で、三代母からの派生でGⅠ馬がでていることを「近親」の活躍馬とするのは抵抗があります。

 牝系は決して恵まれているとはいえません。

 ただ、一族の特徴として、2歳重賞での活躍が目立つということは注目に値します。

 欧州からの輸入繁殖というと晩成というイメージがありますが、本馬はかなりの早熟性のある牝系に属していると言えそうです。

 

  総合評価

 父系、牝系いずれも早熟傾向が強く、同じ欧州種牡馬でもハービンジャーとは全く違うタイプと思ったほうがいいと思います。

 これまで欧州からの輸入種牡馬は、クラシックディスタンスで活躍してきた馬を輸入することが多く、その場合、日本では全然スピードが足りずに失敗するというパターンが多かったように思いますが、ここにきて全く違うタイプを輸入してくるあたり、社台が色々試している感じが伺われます。
 スピードに振り切った日本の競馬に欧州の快速馬が対応できるのかがカギです。

 多くの馬は、日本のスピード血統と組み合わせて、スピードを強化し、芝の短距離~マイルの馬になるのではないかと思います。

 中長距離馬を出したいなら、牝馬からスタミナのある血を取り入れる必要があります。

 ダートは短距離だけならいける可能性はありますが、中距離はさっぱりでしょう。ダートのつぶしが効きにくく、勝上率では苦労しそうです。

 種付料は、初年度600万円で108頭、2年目500万円で66頭、3年目はPrivateで頭数不明となっています。受胎率がかなり悪いようで、初年度108頭に種付けしていながら、産駒はわずか38頭であり、それを理由にPrivateとなったようです。

 108頭に種付けできたということは、ウォーエンブレムのように種付け自体を拒否しているわけではないと思うので、単純に生殖能力が低いということなのだと思います。

 生殖能力が低いと競争能力が低い仔が生まれるというわけではないので、そこはあまり気にしなくてもいいと思うのですが、ここまで生殖能力が低いと、生産者には敬遠されてしまい、今後商業ベースでの種付けは困難なのではないかと思われます。

 とはいえ、1年目、2年目の産駒から大物連発となれば、リスクを負ってでも繁殖牝馬が集まるかと思いますので、いきなり正念場です。

 先例のないタイプなので、予測は立てづらいというのが正直なところですが、それでもあえて予測してみるのであれば、日本のスピード血統は日本の馬場というフィールドにおいては間違いなく世界一なので、そこにあえて欧州馬の快速馬を持ってきて、スピードで対抗して成功するのかな?という疑問があり、あまり活躍は見込めないのではないかと思っています。

 サンデー社台のツアーでは馬体は結構よかったとの情報はありますが、果たして。

 

  2024年度