新種牡馬を知ろう
新種牡馬について、①競争成績、②父系ライン、③牝系ラインの3つの視点から分析してみようという企画記事です。
この記事が納得感をもって出資できる一助になれば幸いですし、私自身も記事を書きながら勉強したいと思います。
あくまでまだ産駒も走っていない段階での考察なので、妄想に近い内容であることをご了承ください。
今年は、シルクで募集予定のコントレイル、クリソベリル、インディチャンプ、ポエティックフレア、シスキンを予定しています。(シスキンは新種牡馬ではありませんが)
コントレイルを知ろう
競争成績
日本芝11戦8勝
主な勝鞍
2019/12/28 5中山9 ホープフルS(GI) 1 (ヴェルトライゼンデ)
2020/4/19 3中山8 皐月賞(GI) 1 (サリオス)
2020/5/31 2東京12 東京優駿(GI) 1 (サリオス)
2020/10/25 4京都6 菊花賞(GI) 1 (アリストテレス)
2021/11/28 5東京8 ジャパンC(GI) 1 (オーソリティ)
ディープの直仔の無敗三冠馬。
世代レベルだなんだと色々と揶揄されますが、出した結果は無敗三冠。
古馬になってからもジャパンカップを勝ちきり、近年ではキタサンブラック以来の超一流成績の種牡馬です。
コントレイルを産んだノースヒルズは、日本トップの完全オーナーブリーダー牧場であり、コントレイル以外にもキズナ、ワンアンドオンリーという合計3頭のダービー馬を出しており、数少ないノーザンに芝で対抗出来ている牧場です。
秋デビューで新馬勝ちを決め、圧巻だったのは第二戦の東京スポーツ新聞杯。ダービーのある東京競馬場での2歳重賞で最も距離の長い芝1800mという条件から、毎年のように関東・関西問わずの素質馬が集まるこの一戦で、コントレイルは5馬身差の圧勝を決め、クラシック候補1番手に躍り出ると、ヴェルトライゼンデを抑えてホープフルSでも完勝。早くも三冠の声が聞こえてきます。
3歳になると皐月賞に直行。スタートの不利が響き、後方からのスタートになるも1枠1番から大外をぶん回し、内で抵抗するサリオスをねじ伏せて勝利。
ダービーでは単勝1.4倍の圧倒的一番人気に推され、今度は不利を受けることもなく、3馬身差の圧勝。
同世代に相手らしい相手はサリオスしかおらず、しかもサリオスは朝日杯を使っていることからも分かるようにマイルがベースの馬と見られており、菊花賞に参戦せず、無敗三冠確実の雰囲気となりました。
秋は神戸新聞杯から始動し、完勝。長距離はどうかと陣営から弱音は出つつも、単勝1.1倍という抜けに抜けた一番人気で菊花賞へ。
中段でレースを進めると、直線でエンジンをかけて抜け出しを図るも、アリストテレスに後方から強襲を受けあわやというところまで追い詰められますが、ハナ差残して何とか勝利。
誰もが年内休養だろうと考えていたところ、アーモンドアイの引退レースであったジャパンカップへの参戦が発表されます。
その上、牝馬無敗三冠を達成したデアリングタクトもジャパンカップ参戦を表明し、史上最強牝馬アーモンドアイ、牡馬無敗三冠馬コントレイル、牝馬無敗三冠馬デアリングタクト、舞台は東京芝2400mという世紀の一戦が実現します。
アーモンドアイが先行する中、コントレイルは中段後方でアーモンドアイの仕掛けを見れる位置に。
アーモンドアイが追い出した瞬間に距離を詰め、コントレイルにとってはこれ以上ない理想の展開となりますが、いくら追っても史上最強牝馬アーモンドアイの背中は遠く、逆に差をつけられて完敗します。
しかし、成績に傷をつくのを嫌がる傾向にある近年の競馬界において、史上最強牝馬にあえて挑んだその姿勢は、熱くなるものがありました。
その後、雨の大阪杯でレイパパレの3着に屈すると、態勢を立て直して挑んだ天皇賞秋はエフフォーリアに完敗します。
早熟。そんな言葉も聞こえてくる中、覚悟の参戦となったジャパンカップ。
例年よりもメンバーが軽かったこともあり、連敗中ではありましたが1.6倍の一番人気となります。
中段につけて直線勝負のいつものスタイルで競馬を進めると、1頭次元の違う末脚でオーソリティを下して勝利。プレッシャーに打ち勝った福永騎手の涙のインタビューが印象に残るレースでした。
競走馬としては若干小柄な460前後の馬体。ディープインパクトやキタサンブラックのような特別な個性がある馬ではありませんが、操舵性、瞬発力、スピード能力すべてにおいて平均点の極めて高い馬でした。
確かに、世代レベルは決して高かったわけではありませんが、とはいえ三冠をすべて勝ち切ることが、いかに難しいのかということは競馬ファンならだれでも知っています。
競走馬としては素晴らしい成績で、文句なしの超一流。
当然、種牡馬としての期待値も極めて高い一頭です。
血統分析
父:ディープインパクト サンデーサイレンス系
① 競争成績
日本芝14戦12勝
1 2005 皐月賞 GI 中山 芝 2000
1 2005 日本ダービー GI 東京 芝 2400
1 2005 菊花賞 GI 京都 芝 3000
1 2006 天皇賞春 GI 京都 芝 3200
1 2006 宝塚記念 GI 阪神 芝 2200
1 2006 ジャパンカップ GI 東京 芝 2400
1 2006 有馬記念 GI 中山 芝 2500
② 産駒成績:重賞ウィナー161頭
芝重賞ウィナー 159頭
ダート重賞ウィナー 2頭
母父:アンブライドルズソング ファピアノ系
① 競争成績
米国ダート12戦5勝
1 1995 BCジュヴェナイル GI 米 ダ 1700
1 1996 フロリダダービー GI 米 ダ 1800
1 1996 ウッドメモリアルS GⅡ 米 ダ 1800
② 産駒成績:重賞ウィナー55頭
芝重賞ウィナー 9頭
ダート重賞ウィナー 46頭
母母父:ティズナウ マンノウォー系
① 競争成績
米国ダート15戦8勝
1 2000 スーパーダービー GI 米 ダ 2000
1 2000 BCクラシック GI 米 ダ 2000
1 2001 サンタニアH GI 米 ダ 2000
1 2001 BCクラシック GI 米 ダ 2000
② 産駒成績:重賞ウィナー40頭
芝重賞ウィナー4頭
ダート重賞ウィナー34頭
両刀重賞ウィナー2頭
父系分析
父ディープインパクトの瞬発力に、母父アンブライドルズソング、母母父ティズナウの米国中距離血統のパワーとスピードの持続力を掛け合わせた形で、大種牡馬×大種牡馬×大種牡馬と血統にスキがありません。
父ディープだけにSSの濃い牝馬にはつけられませんが、キンカメ系の牝馬や欧州からの輸入牝馬であれば比較的自由につけられそうです。
牝系分析
母母はBCジュヴェナイルフィリーズ勝馬で、三代母はBCジュヴェナイルフィリーズ勝馬、そこからの派生でベルモントS、BCジュベナイルの勝馬が出ている。
しかし、それ以外に重賞戦線で2着に入る馬すらおらず、突然変異的に複数の重賞を勝利する馬が出る牝系のように見える。
牝系は種牡馬の中では中の上程度といったところ。
総合評価
競争成績は抜群で、父系の血統構成も非常に魅力的、牝系は種牡馬の中では中の上程度といったところです。
当然求められるのは初年度からのGⅠ勝利です。
種付け料は、初年度、2年目は1200万円でしたが、産駒の市場での評価は高く、高額で売買されたこともあり、3年目は1500万円となっています。
ディープ牝馬につけられないのはもちろん痛いのですが、キンカメが入っておらず、SSが濃くなければつけられるので、キンカメ系の牝馬につけられるのは魅力で、輸入牝馬なら問題なくつけられるでしょう。
平均点の極めて高い完成度タイプの馬だっただけにここから何を足すのか悩ましいですが、欧州輸入牝馬の血を足してスタミナを強化すれば芝長距離馬が、ダート血統の牝馬につければパワーに秀でたダート馬が、ロードカナロアなど短距離系の牝馬につければ快速馬が誕生しそうで、色々な産駒が楽しめそうです。
芝の大物を狙うなら欧州からの輸入牝馬との組み合わせがイメージしやすい。
今年の新種牡馬では断トツの注目株です。
すでに価格は高いですが、その価値はありそう。
ダイワメジャーみたいにどの馬でもダイワメジャー色に染めるという種牡馬ではなく、キズナのように繁殖牝馬のタイプに合わせて質の高い産駒を供給してくれそうなので、コントレイルに近い馬を探すというよりかは、繁殖牝馬の方向性に合致した馬になっているかを見極めるタイプだと妄想しています。
2024年度







