【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
原発の情報管理に反対


「原子力資料情報室」(東京)は15日、テロ対策の名の下に、米国や日本で原発情報が隠されているとして「情報秘密化と威圧的な原発警備に反対する」との声明を発表した。
声明は、10月8日の原子力安全委員会が非公開で行われたことや、米原子力規制委員会がインターネットのサイトを閉じたことなどを指摘。「テロの怖さより飛来物に対する原発の脆弱(ぜいじゃく)さが問われるべきなのに、テロ対策の名で、人々の命や健康、安全にかかわる原発の問題点が秘匿されようとしている」と訴え、閉塞(へいそく)状況からの脱出には「早急に原発を廃止する以外にない」としている。(共同通信 2001/10/15)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
ホームページを全面閉鎖 米原子力規制委員会


【ワシントン12日共同】米原子力規制委員会(NRC)は12日、米国内の原子力発電所や原発の安全対策などの情報を提供していた同委員会のホームページを完全に閉鎖した。

米国内では9月11日の中枢同時テロ事件発生後、政府のホームページから公開情報が次々と削除されているが、ページを全面的に閉鎖したのは異例。
ホームページ中の原発に関する情報が、報復テロに利用されることを恐れたための措置だが、反原発団体などからは情報公開に逆行するものだとの批判も出そうだ。

NRCは事件後、原発の詳細な位置や緊急時の対応プランなどについてのインターネットでの情報提供を中止する対応を取った。だが11日、連邦捜査局(FBI)が報復テロの危険性が高まっていると警告したことなどからホームページを全面閉鎖した。
NRCはホームページ上に「公衆の健康と安全を守るとの委員会の使命にのっとり、サイトで提供している材料の内容を検討している。困難な時なので理解してほしい」とのコメントを掲載している。(共同通信 2001/10/13)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
原発にミサイル配備を テロに無防備と米団体


【ワシントン25日共同】米中枢同時テロを受け、米国の市民団体、核管理研究所(NCI)などは25日記者会見し「原子力発電所は大型航空機を使ったテロには無防備で、現在の警戒態勢を強化する必要がある」と指摘した。


NCIなどは、大型航空機によるテロ防止のために、ミサイルのような防空兵器を配備することや、地上からのテロに備えて軍人を常駐させることなどを提言した。

NCIのエドウィン・ライマン博士の試算では、ボーイング757クラスの飛行機が原子炉施設を直撃した場合、飛行機のエンジンなどがコンクリートを突き破って原子炉を損傷する可能性が高い。

同時に予想される火災によって安全装置も機能しなくなり、大惨事につながる。また現在の原発は、複数のグループによる大規模で高性能の武器を使ったテロや、内部に共犯者がいる事態を想定しておらず、今回のようなテロを防ぐには不十分だという。
NCIのポール・レーベンソール代表は「原発に対するテロの危険をこれまでも指摘してきたが、行政の対応は鈍い。日本など他の国の原発についても状況は同じだろう」と指摘した。

(共同通信 2001/09/26)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
大型機によるテロは想定外 米原子力規制委が見解


【ワシントン21日共同】米中枢同時テロ事件で、原子力発電所に対するテロの懸念が高まっていることを受け、米原子力規制委員会(NRC)は21日、原発や核燃料関連施設と大型飛行機を使ったテロに対する見解を発表した。

原発や核燃料の保管施設は今回のボーイング767や同757クラスの飛行機が衝突することは想定外で、施設がこの種の衝突に耐えるようには設計されていないことを認める一方で、事件発生後、核関連施設で厳戒態勢に入り、捜査当局や軍などとも緊密な連絡を取っていると表明。十分なテロ防止対策が取られていることを強調した。

NRCは、原発、核燃料の保管施設や輸送容器などに大型の飛行機が衝突した場合、放射能汚染を招く可能性があることも認めたが、緊急時の防災体制は整備されているとした。
NRCは、今後、大型機衝突と施設の強度に関する解析を進める一方、治安当局などとも協議。施設建設時の基準に、今回のテロのような新たな事態を想定することが必要と判断した場合は、基準の改定も検討するとしている。

(共同通信 2001/09/22)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
原発に壊滅的な被害も


【ウィーン17日共同】ウィーンで17日始まった国際原子力機関(IAEA)年次総会に先立ち、同日会見したIAEAのデビッド・キッド広報官は、米中枢同時テロと同様のテロが西欧諸国の一般的な原子力発電所を襲った場合、「(燃料を満載した)旅客機衝突と火災による被害は壊滅的なものになる可能性がある」と警告した。

同広報官は、原発は旅客機や軍用機の偶発的な事故には耐えられるよう設計されているが、今回のテロのようなケースは想定していないと指摘。「原子炉本体が爆発することはないだろうが、冷却装置が破壊されると内部で水蒸気爆発が起きる可能性がある」と述べた。

しかし、同広報官は、原発は米国防総省(ペンタゴン)や世界貿易センターに比べると小さく上空から視認しにくいため、飛行機で衝突するのはかなり困難だろうと語った。(共同通信 2001/09/17)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
被ばくの実態知って 米の核施設、閉鎖後なお危険性も /福岡


米ワシントン州のハンフォード核施設による放射能被ばく被害の告発運動をしているトム・ベイリーさん(54)が、10日午後6時半から、福岡市中央区今泉1丁目の農民会館で講演する。入場無料。

ハンフォード核施設は第2次大戦中からプルトニウムを作り続け、長崎市に投下した原爆のプルトニウムもここで製造された。
今はすでに閉鎖されているが、大量の高レベル放射線廃棄物の処理などは進んでおらず、廃棄物タンクの爆発などの危険性が残っているという。射能漏れが指摘されており、風下の地域では乳幼児の死亡率が特に高いとの指摘もある。

ベイリーさんは、母親が、原爆開発計画の科学者側責任者だったオッペンハイマー博士の秘書兼タイピストをしていたという因縁をもつ。父の代から、ハンフォード核施設の近くでリンゴ農園を営んでいる。自分自身もつめの奇形など健康障害を負い、体験者として地元住民の被ばく実態を告発し続けている。

今回は、広島、長崎で開かれる原水爆禁止世界大会に出席するため来日した。県原水協の木村勇事務局長は「自由と民主主義の国で放射能の人体実験などが行われていたことに驚く。国は真実を隠そうとするが、被ばく体験者の証言からその一端を知ってほしい」と話している。
問い合わせは、県原水協(092・741・9146)へ。(朝日新聞 2001/08/03)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
「MOX燃料の原爆転用簡単」 英専門家が報告書


【ロンドン30日共同】英国の著名な核物理学者フランク・バーナビー博士が「プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の原爆転用は極めて簡単」とし、核拡散につながりかねない安易な輸送に警告する報告書を英政府に出した。
31日発売の英科学誌ニューサイエンティストによると、博士はMOX燃料から容易にプルトニウム酸化物とウラン酸化物を分離できると指摘。硝酸ランタンや樹脂反応を利用した方法を具体例に挙げた。抽出したプルトニウム13キロで、TNT火薬100トン分の破壊力を持つ初歩的な原爆を製造できるという。

(朝日新聞 2001/05/31)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
チェルノブイリ原発閉鎖
傷む「石棺」安全は遠く 住民の雇用問題も深刻


ウクライナ国中がテレビ中継を見守る中、15日午後1時15分(日本時間同午後8時15分)すぎ、チェルノブイリ原子力発電所で最後まで稼働していた3号炉の停止ボタンが押された。同原発の完全閉鎖で、焦点は事故を起こした4号炉をコンクリートと

鋼鉄で覆う「石棺」の補強工事の早期実施など廃炉の安全確保に移る。

キエフ市内で開かれた閉鎖式典。ウクライナのクチマ大統領が「チェルノブイリ原発の3号炉停止を命じる」と大統領令を読み上げると、テレビ画面にチェルノブイリ原発が現れ、運転停止のボタンが押される瞬間が映し出された。この後、同大統領は「チェルノブイリの事故は20世紀最後の悪夢だった」と演説。「私たちは国家の利益を捨てても世界の安全のために行動する」と決意を述べた。

キエフ市民は今も事故の影響におびえている。書店で働くラリサさん(31)は「チェルノブイリ原発は事故直後に閉鎖すべきだった。今でも食料に放射能汚染が残っていると思う。でも怖くてだれもその話はしたがらない」と不安を隠せない。美容師のガリーナさん(50)は「同じ集合住宅に住む22歳の若者が白血病で亡くなり、葬式があったばかり」と声を震わせた。

しかし、チェルノブイリ近郊の町スラブチチでは「政治的な決定には納得できない」など閉鎖反対を訴える横断幕が翻った。原発閉鎖で約6000人の従業員が解雇される見通しで、深刻な雇用問題が起こっているからだ。「安全」と「雇用」の間で、地元の人たちの心も揺れ動いている。

チェルノブイリ原発では日本を含む世界26カ国と欧州連合(EU)の支援を受けて放射能物質の除去や石棺の補強工事が進められる。石棺は30年の耐久性を確保する設計だったが、すでにコンクリート壁にひび割れが発生、内部には放射能を含んだ大量の水がたまり危険な状態にある。7億6800万ドルをかけて補強する計画だが、具体的な工事内容については検討段階にとどまっている。(キエフ=石川陽平)


<チェルノブイリ原発事故> 1986年4月26日未明、ウクライナ北部のチェルノブイリ原発4号炉=黒鉛減速軽水冷却炉=が爆発、隣接するベラルーシ、ロシアや欧州諸国など8万2000平方キロに放射性物質をまき散らした。ウクライナ政府によると、半径30キロなどの住民約16万人が避難。ショイグ・ロシア非常事態相は今年4月、事故処理に当たった旧ソ連の作業員86万人のうち5万5000人以上がこれまでに死亡したと発表した。(キエフ=共同)

(日本経済新聞 2000/12/16)


関連記事:チェルノブイリ事故後、8000キロ離れた日本で関係者がドギモを抜いた放射能汚染の実態

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
放射性物質輸送容器 英仏2社、自主検査怠る
運輸省 55基の使用停止


使用済み核燃料など放射性物質の輸送容器について、日本の電力会社の委託を受けて容器を管理している核燃料会社の「BNFL」(英)と「コジェマ」(仏)の2社が、運輸省が義務づけている安全確認のための自主検査を怠っていたことが1日、関係者の話で明らかになった。運輸省は今年2月に両社が保有する輸送容器55基の使用を停止するよう指示。関西電力や東京電力など5社は同3月、同省に「使用廃止届」を提出していたが、こうした事実はこれまで一切公表されていなかった。

英核燃料会社のBNFLを巡っては、昨年9月、関西電力高浜原発向けのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の検査データをねつ造していた問題が発覚。輸送を監督する運輸省や科技庁が検査漏れの事実を把握したのは、データねつ造が問題となっていた時期だけに、こうした事実を公表しなかった電力会社や行政官庁の姿勢が問われることになりそうだ。

放射性物質の輸送容器については、海上が運輸省、陸上輸送は科学技術庁が、その安全性を審査する。同省が1990年に出した通達は、この輸送容器を適切に保管するため年に1回、管理者が自主検査を行うよう日本の電力各社に義務付けている。

検査漏れが発覚したのは、関電と東電のほか、日本原子力発電、東北電力、北海道電力の5社が、BNFLとコジェマに使用済み核燃料を輸送する際に使用した26基の容器。

関係者によると、日本の電力会社に昨年12月、BNFLなどから一部の容器の検査が遅れたとの報告があった。電力会社は運輸省に報告、同省は検査漏れが確認された26基と、残り29基についても「電力会社が現地の管理状況を把握できていないのは問題」として、使用の停止を指導。今年3月、電力会社から使用廃止の届け出があった。

一方、科技庁は中部電力から検査漏れがあるとの報告があり、廃止届の提出を受けたが、指導はしていなかった。
運輸省は「使用を禁止したので実際に輸送することはあり得ず、安全性に問題が出ることはない。運輸省に事業者の監督責任はなく、積極的に開示する必要性はないと考えていた」と話している。


関西電力の話 運輸省の指導に従って廃止届を出しており、現在の原発運転や環境には影響はない。公表する事案ではないと考えていた。

東京電力の話 管理上の問題があったとは認識しているが、輸送容器は再利用するメドがなかったので、安全上の問題はないと思い公表しなかった。

(日本経済新聞 2000/12/02)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
21世紀の科学と人間
原子力エネルギー(3)「放射線と茶カテキン」


静岡大学理学部助教授(付属放射科学研究施設放射化学・放射能利用分析)吉岡濶江
原子力エネルギーの利用に際して、だれもが抱く共通の不安は、万が一起こるかもしれない事故による、大量の放射線被ばくにある。生体は何故大量の放射線に弱いのか? 生体に損傷をもたらす因子は何なのか?

の身体は70~80%の水とタンパク質や核酸、脂質などの分子からできている。この水分子は放射線から高いエネルギーをもらい、自ら分解して、ヒドロキシルラジカル(・OHと書く)と呼ばれる活性酸素を生成する。この・OHは非常に反応性の高い物質で、核酸の1つであるDNA や脂質分子と反応して化学変化を起こし、その結果、正常細胞が壊されてしまう。DNAが切断されると遺伝情報が正確に読めなくなり、遺伝病やがんなどになる。

最近、いろいろな病気や老化までも、活性酸素によって引き起こされることが明らかにされてきた。
一方、この活性酸素は、放射線のみでなく、紫外線や食品添加物、あるいは精神的ストレスなどによっても発生することも分かってきた。 従って私たちが健康な身体を維持するためには、たとえこのような活性酸素が身体の中でできても、それを消去してしまう物質(抗酸化物質という)を、身体の中に同時に持っていることが必要である。最近特に注目されている抗酸化物質の1つは、県特産品の緑茶に多く含まれているカテキンである。

私たちの研究室では、放射線によってDNA鎖が切断されるときに、緑茶の浸出液や、その成分であるカテキンを一緒にしておくと、その切断がおさえられることを明らかにした。これはカテキンが、放射線で生成する・OHを消去してしまうからである。

つまり緑茶は放射線防御の観点からみても、非常に有効なものであることが証明されたことになる。私たちは現在、カテキンの活性酸素を消去するメカニズムをいろいろな方法を用いて研究しているが、その研究をさらに進めて、より有効な抗酸化物質を探し出したり、合成したりすることも目指している。

(静岡新聞 2000/11/11)