【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
空白時間の測定記録あった 臨界事故で反原発団体入手


昨年9月の東海村臨界事故後、現場の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所周辺で測定されたガンマ線量のうち、空白とされた時間帯の一部を埋める測定データを入手したと、市民団体「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」(小山英之代表)が15日、発表した。

ガンマ線はJCO、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構がそれぞれ測定。このうち、核燃機構は事故当日の9月30日午後、事故現場から北西約700メートルの茨城県那珂町本米崎で測定したデータを原子力安全委員会の事故調査委員会に報告していた。

このデータには、午後3時半から同4時55分まで約1時間半の空白があったため、同会が科学技術庁に問い合わせた結果、「モニタリング車の交代のため、測定できなかった」との回があったという。

しかし、昨年10月末に同町立本米崎小学校のPTA臨時総会で配られた資料には午後4時半のデータが記載されていたことが判明測定値は1時間に4.6マイクログレイで、1時間前の0.6マイクログレイ、25分後の1.1マイクログレイより高く、ピークになっていた。

同会は「これを加味するだけで被ばく線量は公表より増える。住民調査をすべてやり直すべきだ」と指摘、近く科技庁に質問状を送るとしている。

(共同通信 2000/10/15)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
女川原発の作業員が死亡


6日午前8時45分ごろ、宮城県女川町の東北電力女川原子力発電所2号機内の補助ボイラー室で、点検作業のために待機していた福島県富岡町の男性作業員(52)が、仲間の作業員に「具合が悪い」と訴えてしゃがみ込み、その後意識を失った。男性は女川町内の病院に運ばれたが、間もなく死亡した。
東北電力によると、男性は定期点検を委託した三和工機(東京都港区)の社員。10月いっぱい点検作業をする予定だった。男性に持病があったかなどは不明という。
補助ボイラー室は放射線管理区域外で、被ばくする場所ではなく、一緒にいた作業員8人に異常はないという。同社は原因などを調べている。

(共同通信 2000/10/06)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
核燃料輸送中タイヤに異常 無理な積み荷と監視団体


東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町)に核燃料を搬送していた日立物流のトラックが2日夜、宮城県大和町の東北自動車道鶴巣サービスエリアでタイヤに異常が見つかり、タイヤを交換するトラブルがあったことが、3日分かった。

搬送を監視した女川原発訴訟支援連絡会議は「無理な積み荷をしていた可能性がある。走行中のパンクは大事故につながりかねない」と指摘、東北電力に事実確認と安全管理の徹底の申し入れを行う。
日立物流は「タイヤ交換したのは事実だが、安全上特に問題はなかった」としている。

2日は日立物流と別の運送会社一社が大型トラック計18台で、来年春に試運転を開始する女川原発3号機の燃料集合体計216体を、神奈川県横須賀市の核燃料加工会社から初めて搬送。午後8時45分ごろ、休憩した際の点検で右後輪に異常が見つかったという。
同連絡会議は、日立物流の別のトラックが女川町内で、高さ制限の標識に積み荷上部を接触させたのを見たとも指摘したが、日立物流は「接触の事実はない」としている。

(共同通信 2000/10/03)



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1.核燃料輸送車の危険性

 日本は狭い国土に原発や核施設が多数存在します。そのため核燃料や使用済みの核燃料が高速道や一般道を使って、ひんぱんに輸送されています。そして核燃料輸送車の荷台は、近寄れば放射線測定器の針が振り切れるほど強い放射線を出しています。したがって高速道路のパーキングエリアなどで、核燃料輸送車の隣に駐車するのを避けるのはもちろんでが、核燃料輸送車の前後左右をいっしょに走らないよう気をつけます。特に後は事故に巻き込まれる危険性が高いので絶対避けます。

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
国内の原発立地にも暗雲 通産、業界に衝撃


台湾の経済部長(通産相)が「第4原子力発電所」の建設中止を求める報告書を出したことは、日本の原発建設を進める通産省・電力業界、海外での原発建設で生き残りを狙う東芝など重電メーカー双方に、大きな衝撃を与えている。

通産省は今年に入り、それまで20基だった2010年度までの国内の新規立地原発を13基に下方修正した。しかし、この目標の達成すら危ぶむ声が出ている。

実際に現在、建設のめどが立っているのはわずか7基。背景には立地予定地の地元住民の反対運動などで新規立地が極めて難しくなっている状況がある。
それだけに台湾での脱原発の動きに同省は神経をとがらせている。東海村臨界事故などで国民の間に高まっている原発への不信が、さらに加速することへの懸念を隠さない。

ゼネラル・エレクトリック(GE)とともに台湾の原発建設に参加している東芝と日立製作所にとって状況はさらに深刻だ。国内での原発建設が進まない以上、生き残るためには海外輸出に頼らざるを得ないからだ。現地からの「ノー」に関係者の衝撃は小さくない。原発ビジネスは今後、抜本的な見直しが必要になりそうだ。

(共同通信 2000/09/30)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
最悪事故でがん死300万人 静大教授が台湾原発で試算


【台北28日共同】存廃をめぐり議論を呼んでいる台湾第4原子力発電所(台北県貢寮)について、静岡大工学部の小村浩夫教授が28日、炉心溶融などの大事故が発生した場合、台北市などの台湾北部で8000人余りが放射能で急死、300万人以上ががんで死亡するとの予測を台北で発表した。東向きの風の場合、沖縄県与那国島などでも深刻な人的被害が起きるとしている。

小村教授は、京都大原子炉実験所の小出裕章助手らとともに、2004年に稼働予定の同原発で、炉心溶融や格納容器内での水蒸気爆発など、最悪の事故が発生したと想定し試算した。

その結果、事故後3時間原発から放射能の放出が続き、人口が密集する台北市方向に西向きの風が吹いた場合、放射能を浴びて8767人が急死、後発性のがんで334万人が死亡するとしている。

これは事故後、1週間以内に避難が完了したケースで、避難できなければ2万8000人以上が急死し、がんでの死亡は台湾の人口の約3割に当たる716万人に上るとしている。

台湾では5月の陳水扁政権誕生に伴い、経済部(通産省)が建設中の第4原発の存廃を検討する再評価委員会を発足させ、工事続行の是非を検討。林信義・経済部長が30日にも唐飛行政院長(首相)に存廃の判断を伝える予定。

(共同通信 2000/09/28)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
「原発の段階的廃止」を日弁連が提言へ


日本弁護士連合会は、来月6日、岐阜市での人権擁護大会で採択予定の「エネルギー政策の転換を求める決議」案の中で、「原発の段階的廃止」を提言する方針を決めた。昨年9月の茨城県東海村での臨界事故や、ドイツの原発廃止決定などの国際的潮流を背景に、日弁連として初めて「脱原発」を掲げ、その道筋を具体的に示す政策提言をすることになった。

「原子力偏重から脱原発へ」との副題が付いた同決議案は公害対策・環境保全委員会(藤原猛爾委員長)のメンバーらを中心に、欧米への海外視察を繰り返しながら準備された。決議案では(1)既存原発の段階的廃止と新増設の停止(2)使用済み燃料の再処理の中止(3)高レベル放射性廃棄物の地層処分凍結などを提言する。

日弁連は「地球環境保全の立場」からプルトニウム利用などに対してはこれまでも批判してきたが、原発の是非については、会内合意の形成が難しく、明確な主張は避けてきた。しかし今回は相次ぐ事故などで、原発問題にかかわってこなかった弁護士からも「脱原発」の明確化に積極的な提案が出た。採択されれば、政府や電力業界には「新たな逆風の1つ」になりそうだ。

(朝日新聞 2000/09/27)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
震度速報されず、不安の声 原発抱える静岡・浜岡町


伊豆諸島の群発地震が続く中、中部電力浜岡原子力発電所を抱える静岡県浜岡町の震度がテレビなどの地震速報で表示されず、9月1日の防災の日を前に、地元の住民から「東海地震も心配されるのに、町の震度がなぜ発表されないのか」などと不安の声が高まっている。

浜岡町には科学技術庁と町が独自に設置した2つの地震計があるが、いずれも気象庁の検定に合格しておらず、同庁の地震速報網に組み込まれていないため、同町の震度は地震速報時に表示されないという。

気象庁によると、一定の距離間隔や人口密度を考慮して全国2650カ所に地震計が設置され、これらの観測地点から送られたデータを基に各地の震度は速報される。

群発地震後、住民からの問い合わせが相次いでいる浜岡町は「原発があるので、住民の不安も大きい。ぜひとも地震速報網に組み入れてほしい」と気象庁や静岡県に要望。

しかし気象庁は「浜岡町の隣接町に設置しており、震度は観測できるので、新たな震度計(地震計)は必要ない」と素っ気ない。
全国で原発を抱える市町村のうち、東海村(茨城)、柏崎市(新潟)、敦賀市、美浜町(福井)などは観測地点になっているという。

(共同通信 2000/08/31)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
千島に核廃棄施設計画か サハリン州が反発


【モスクワ7日共同】ロシア紙な どは7日までに、同国の研究所が千島列島のシムシル島(新知島)に外国から受け入れる使用済み核燃料の貯蔵施設を建設しようと計画していると報じ、地元のサハリン州議会は建設に反対する書簡をカシヤノフ首相らに送った。
ロシアや台湾の一部新聞によると、ロシアのクルチャトフ原子力研究所(モスクワ)は北方領土に近いシムシル島に使用済み核燃料や放射性廃棄物の貯蔵・廃棄施設の建設を計画し、台湾の電力会社との間で台湾の原発から出る廃棄物を有料で受け入れる覚書も結んだという。
しかしロシアの環境保護法は使用済み核燃料などの外国からの受け入れを禁じており、研究所側は同法修正に向け議会でロビー活動中とされる。
7日のインタファクス通信によると、サハリン州議会は書簡でシムシル島は地震の危険があり「建設は受け入れられない」と反発、報道が事実かどうかも確認するよう首相らに求めている。

(共同通信 2000/07/07)

昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
危険・電力だぶつき「もうつくらぬ」流れ
ドイツが脱原発 市場自由化追い風


ドイツ政府と電力業界が国内に19基ある原子力発電所を段階的に全廃することで合意し、総発電量の約3割を原発に頼るドイツは脱原発へと大きく踏み出した。「もうつくらない」という欧米の潮流をさらに定着させる動きだ。ドイツの合意を可能にした事情や、原発をめぐる世界の現状をまとめた。(ベルリン=古山 順一、科学部・上田 俊英)


ドイツの原発は、1970年代に社会民主党(SPD)が加わった連立政権下で推進されたが、86年のチェルノブイリ原発事故を機に見直された。89年以降、新たな原発建設はなく、90年のドイツ統一前後には、旧ソ連製の原子炉を使っていた旧東独の6基すべての解体が決まった。

SPDは緩やかな脱原発へと方針を転換し、98年秋、環境問題を重視する90年連合・緑の党との連立協定に脱原発を盛り込んだ。

電力業界も、使用済み燃料の処理問題など金のかかる原発に代わるエネルギーを模索し始めていた。政府との協議は昨年初めに始まったが、採算などの面から原子炉の寿命35年を主張する電力側と、即時廃棄を求める90年連合・緑の党との隔たりは大きかった。

電力側との合意なしに一方的に原発廃棄を法制化すれば、損害賠償などでばく大な費用がかかることが予想された。SPDのシュレーダー首相は90年連合・緑の党の歩み寄りを求め、同党は今年3月、政権維持の立場から原発の即時廃棄の方針を放棄した。

90年連合・緑の党にとって大きな方針転換だが、今回の合意では原発の今後の総発電量を、これまでの総発電量を上回る約2.6兆キロワット時と算定した。企業寄りの妥協だとして、23日に開く党大会では連立政権にとどまるかどうかも含め、もめそうだ。

一方、電力市場は98年4月に自由化され、送電線がつながっていれば国内外の発電事業者から安い電気が買えるようになった。大手電力会社の地域独占は崩れ、料金が大幅に下がった。

さらに今年4月、風力など再生可能エネルギー利用の促進を目指す新法が制定され、同エネルギーの利用が電力会社に義務づけられた。政府は、再生可能エネルギーが発電に占める割合を現在の5%から2010年までに倍増させる計画だ。
また電力はだぶつき、一部を輸しているほど。原発廃棄に伴う代替エネルギーの一部は、既存の発電所の稼働率を上げることで補えるとの目算もある。ロシアなどから天然ガスの輸入を増やして発電に利用することも検討されている。


スウェーデン流踏襲 先進国で魅力薄れる

ドイツ政府と電力業界との「原発全廃」合意は、すでに脱原発を進めるスウェーデンのケースとよく似ている。両国は、原発をすぐにやめると決めたわけではない。選んだのは「もうつくらない」という道だ。

スウェーデンでは1980年、原発の是非をめぐる国民投票が実施され、「原発は新設しない」ことなどを柱とする段階的廃止案が多数の支持を得た。これを受けて、国会が「2010年までに全原発を段階的に廃止する」と決議した。

当時、スウェーデンには運転中の原発が6基、建設中が6基あったが、どの原発も数十年後には必ず老朽化して、使えなくなる。新設しなければ、原発は寿命の順に閉鎖され、いずれはなくなることになる。

原発廃止というエネルギー政策の大転換には、代替エネルギー開発などに長い時間が必要だ。2010年という目標は、その準備の時間と、原発の寿命を25年間と見込んで決められた。

スウェーデンが脱原発に踏み出したのは、国民投票前年の1979年、米国でスリーマイル島原発事故が起こり、原発の安全性への不安が高まったからだった。
いま、原発は経済的にも逆風にさらされている。電力需要の伸び悩みや電力市場の自由化などによって、多額の初期投資が必要な原発は他の発電方式と比べ、経済的に次第に不利になってきている。
これは、先進国にほぼ共通する問題だ。現実に、北米と西欧では現在、建設中の原発は1基もない。

日本も現実には、原発の新規立地はまったくといっていいほど進んでいない。政府は2010年度までに最大20基の増設という目標を掲げているが、電力業界は今年3月、同年度までの増設計画を、20基から13基に引き下げた。

脱原発の道は、平たんではない。スウェーデンは97年、全廃目標の「2010年」を「雇用や福祉などへの悪影響を考慮」して撤回した。閉鎖した原発も、まだ1基だけだ。
しかし、原発の魅力は着実に薄らいでいる。電力関係者からは「原発建設のような多額の投資は、自由化の先が見えるまでは控えたい」という意見が、よく聞かれる。


賛成 経済的にも理にかなう

90年連合・緑の党のエネルギー政策責任者ミヒャエレ・フステット連邦議会議員 脱原発は経済的にも十分な理由がある。ドイツでは必要量よりも約3割過剰に発電しているため電力会社は発電所を新規につくる必要がない。最新の天然ガス発電所は、原発の発電コストの半分で済む。天然ガスのほか、風力や太陽光といった再生可能エネルギーヘの投資が必要だ。

お金がかかる原発を建設するよりも、これらの分野の投資に電力会社も前向きだ。キリスト教民主同盟(CDU)は、政権を奪取したら脱原発を放棄する、と言っているが、我々は長期的な経済効果もみながら脱原発を進めている。


《政府と電力会社の合意の概要》

▽原発の運転開始からの運転期間を基本的に32年とし、2000年1月からの各原発の残りの運転期間をそれぞれ算出する
▽運転停止中のミュルハイムケーリッヒ原発について電力会社は運転許可申請と、州政府に対する賠償請求を取り下げる。代わりに約0.1兆キロワット時分を全体の今後の総発電量に加える
▽同原発と稼働中の19の原発で今後発電できる総発電量を約2.6兆キロワット時と算定する
▽使用済み燃料の再処理は2005年7月以降、最終処分場に直接持ち込むことに限定する
▽原発建設の禁止などを骨子とする原子力法の改正に電力側は理解を示す
(注=今後の総発電量を各原発にどう割り当てるかは電力会社に任されているため、実際は32年以上運転される原発も出てくる)

(朝日新聞 2000/06/22)



【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
原子力発電コスト 火・水力より高い? NGO試算


非政府組織(NGO)の「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」(CASA)はこのほど、原子力発電のコストは1キロワット時当たり10円を超え、水力や火力発電より高くついているという試算結果を発表した。政府は5.9円で最も安くつくと発表しているが、CASAは「算定の元になる詳しいデータが公開されておらず、疑わしい」と話している。

CASAによると、1989年度から98年度までの10年間の発電単価は1キロワット時当たり、原子力が平均10.26-10.55円、水力が平均9.62円、火力が平均9.31円だった。通産省は昨年12月に原子力5.9円、水力13.6円、液化天然ガス(LNG)火力6.4円などの試算値を発表している。

CASAは大島堅一・高崎経済大助教授に委託し、電力9社の1970年度から98年度までの有価証券報告書総覧のデータと通産省令で定められた発電原価を求める規則から、電源ごとに発電単価を求めた。これに、政府が発表している解体放射性廃棄物や高レベル放射性廃棄物の処理費用、電源三法交付金などを加算した。
政府試算が理想的なモデルプラントで発電コストをはじき出しているのに対し、CASAは実際の発電コストを計算し、さらに技術開発・立地対策費用を加えたことで、違いが出ているという。

(朝日新聞 2000/06/19)