【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

独原発全廃:独政府が電力会社と今後32年で全廃に合意


【ベルリン15日藤生竹志】ドイツ政府と主要電力会社首脳は15日未明(日本時間同日朝)、国内に19基ある原子力発電所の廃止をめぐる協議を行い、今後32年で全廃することで合意した。これにより、1988年に運転を開始した最新の原発でも2030年初めまでに廃止される見通しになった。独政府は合意を受け、関連法案の策定に着手する。政府と電力業界が脱原発で合意したのは主要国で初めて。他の先進国の原子力政策にも影響を与えそうだ。

協議には政府側からシュレーダー首相、トリッティン環境相、ミュラー経済相、電力会社側はRWE社、フェバ社など主要4社の首脳が出席。首相によると、今後の原発19基の総発電量は累積で約2.5兆キロワット時と限定し、この発電量の枠に達した時点で運転を停止する。首相は、残りの稼動年数は32年に相当するとしている。

原発廃止をめぐってはこれまで、具体的な廃止時期をめぐって政府側と電力業界側が対立。連立政府は昨年末、「原子炉の寿命は30年」とする見解を打ち出した。しかし、電力業界は「原発の稼動は1年のうち11カ月程度で、これをもとに計算すれば、実際の原子炉の寿命は35年」と主張し、政府側と対立。今回の協議で妥協が成立したことで、ドイツの原発廃止は具体化に向けて動き出すことになった。

ドイツの原発依存率は日本とほぼ同じ約3割。98年秋に発足した社会民主党と90年連合・緑の党の連立政権が掲げてきた「脱原発」の公約は実現する運びになったが、原発廃止で火力発電への依存度が高まるため、今後は代替エネルギー源の開発や国外からの電力購入などを含めた電力確保が課題となる。

(毎日新聞 2000/06/15)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

原発コスト:発電単価は安くない 環境NGOが試算


環境NGO(非政府組織)「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」は31日、原発の発電単価について「過去10年間の発電実績で計算すると1キロワット時当たり10.26~10.55円で、水力、火力発電を上回る」とする調査結果を発表した。原発は二酸化炭素(CO2)を排出せず地球温暖化防止対策に有利とする国は、モデルケースを基に「1キロワット時当たり5.9円」という数字を公表している。市民会議は「実績値で原発選択の議論をするべきだ」と主張している。

市民会議の委託で高崎経済大学の大島堅一助教授(環境経済学)が、全国9電力会社の有価証券報告書にある人件費、原価償却費、燃料費などを基に、水力、火力、原子力それぞれの発電単価を試算した。

1989年度から98年度の10年間の1キロワット時当たりの平均単価は水力9.62円、火力9.31円、原子力8.71円だった。市民会議は、原発から出る高レベル放射性廃棄物の処理や原発解体など国が算出している将来コストを加えて、原子力は10.26~10.55円とはじき出した。

一方、国の総合エネルギー調査会原子力部会は昨年12月、1キロワット時当たりの発電単価を、原子力(出力130万キロワット、稼働率80%)は5.9円、水力(同1.5万キロワット、同45%)13.6円、石油火力(同40万キロワット、同80%)10.2円と公表した。これは、いずれも98年度に運転を開始し40年運転した場合のモデルケースによる試算で、同部会は「(ほかの発電と比べ)原子力は経済性にそん色はない」と結論づけている。

市民会議の早川光俊専務理事は「新型原発で稼働率が高ければ発電単価は下がるが、実際には老朽化原発があり稼働率も低くなる。コストは実績値で議論すべきだし、原発のプラントごとの細かい数値も公表すれば、温暖化対策に原発が本当に有効なのか実りある議論ができるはずだ」と指摘する。
これに対し、通産省資源エネルギー庁は「今後の電源の選択を考える場合、過去のコストではなく、現時点を踏まえて将来を見越した形での試算が妥当だ」と話している。【吉川 学】

(毎日新聞 2000/05/31)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

放射能の恐怖 次々明るみに
原子炉閉鎖で乳児死亡率激減 米研究機関が発表


【ワシントン26日大軒護】放射線の健康に与える影響を調査している米研究機関は26日、原子炉の閉鎖により周辺に住む乳児の死亡率が激減したとの調査結果を発表した。
調査は免疫学や環境問題などを専門とする医師、大学教授などで組織する「レイディエイション・パブリック・ヘルス・プロジェクト」(RPHP)が、1987年から97年までに原子炉を閉鎖した全米7カ所の原子力発電所を対象に、半径80キロメートル以内の居住の生後1歳までの乳児死亡率を調べた。

調査は、原子炉閉鎖前の死亡率と、閉鎖2年後の死亡率を比較しているが、それによると、87年に閉鎖したワイオミング州のラクロッセ発電所では、15.3%の死亡率減少だった。最も減少率の大きかったのが、97年に閉鎖したミシガン州ビッグロック・ポイント発電所周辺でだった。減少は、がん、白血病、異常出産など、放射線被害とみられる原因が取り除かれたことによるものとしている。

RPHPによると、85年から96年までの全米幼児の死亡率は、平均で6.4%減にとどまっており、「原子炉の影響が実証された」としている。

米国では2003年までに28基の原子炉が、米原子力規制委員会(NRC)へ免許更新申請する時期にきているというが、RPHPによると更新にあたっては周辺の環境問題は考慮されておらず、今後、この問題でNRCへの強い働きかけが必要としている。(東京新聞 2000/04/27)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

チェルノブイリ原発事故 700万人が後遺症
国連機関報告書


【ジュネーブ26日=大内佐紀】国連人道問題調整事務所は25日、ロシア、ウクライナ、ベラルーシなどで、700万人以上が旧ソ連チェルノブイリ原発事故の後遺症に苦しんでいるとする報告書を発表した。
報告書は、現在に至る間の死亡者数は明記していない。だが、後遺症に苦しむ約700万人の中には、事故の事後処理に従事した作業員約60万人や、約300万人もの児童が含まれているとした。
報告書によると、後遺症が出る期間には個人差があるため、早くとも2016年までは、同事故の被害の全体像は判明しないという。
同事故に関連しては、インターファクス通信が今月20日、ロシア保健省担当官の話として、事後処理にあたった作業員のうち3万人がこれまでに死亡したと報じている。(読売新聞 2000/04/27)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

JCOの篠原さん死亡 臨界事故被ばくで2人目


東海村臨界事故で大量被ばくし、重症となっていた核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所社員、篠原理人さん(40)=茨城県日立市田尻町=が27日午前7時25分、多臓器不全のため入院先の東京都文京区の東大病院で死亡した。
昨年9月30日の事故から約7カ月。同12月21日に35歳で亡くなった大内久さんに続き2人目の犠牲者となった。事故の直接原因となった作業に当たり臨界の瞬間を目撃したのは死亡した2人だけで、発生時を知る証人が失われ、事故の刑事責任を追及する茨城県警の捜査にも影響を与えそうだ。

篠原さんや大内さんら社員3人は昨年9月30日午前10時35分ごろ、JCO東海事業所転換試験棟で、ステンレス製バケツなどを使ってウラン溶液を沈殿槽に移す作業中に臨界を引き起こし、多量の放射線を浴びた。
大内さんと篠原さんは転換試験棟の作業は初めてで、臨界の危険性について十分な教育を受けていなかったことから、事故を捜査している茨城県警は2人を被害者とする方針だ。

3人は千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)に搬送され、集中治療を受けた。篠原さんの推定被ばく量は、広島、長崎の原爆爆心地並みとされる大内さんの17シーベルトに次ぐ10シーベルト前後とされた。
篠原さんは当初、意識障害に陥り、リンパ球や白血球の減少が続いた。10月4日、東大医科研病院に転院し、10月9日には造血機能を回復させるため、被ばく医療では初の臍帯血(さいたいけつ)移植を受けた
放射線による皮膚の熱傷も全身の7割近くに及んだが、培養皮膚の移植手術を受けるなどして一時はリハビリを始めるまで回復。
しかし、今年2月下旬以降、肺炎や胃からの出血が起きるなど容体が悪化。4月10日には、大内さんの治療に当たった東大病院に転院し、集中治療室で全身の管理を受けていた。
事故では、大内さんが急性放射線障害による多臓器不全で死亡、作業していた3人のリーダー格の横川豊さん(55)は昨年12月に放医研を退院している。

(共同通信 2000/04/27)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

作業員5万5000人死亡 旧ソ連、ロ副首相が公表
チェルノブイリ事故


【モスクワ26日共同=及川仁】ロシアのショイグ副首相兼非常事態相は史上最悪の原発事故であるウクライナ・チェルノブイリ原発事故から丸14年の26日、事故炉の処理に当たった旧ソ連の作業員86万人のうち5万5000人以上がこれまでに死亡したことを初めて明らかにした。

同原発は今年末に完全閉鎖されることが決まっているが、チェルノブイリ事故の大規模な被害の実態がようやく明るみに出てきた。
副首相はモスクワ市内の墓地での犠牲者追悼式典で述べた。死者すべてが事故の後遺症によるものかどうかについては言及しなかったが、多くは作業時に浴びた放射線障害などが直接、間接の原因とみられる。

作業員は兵士や技術者、建設労働者で構成され、事故直後に爆発が起きた4号機やその周辺地域で消火作業などに当たった。

またベラルーシのルカシェンコ大統領も26日、同事故で1020万人いる国民のうち、5人に1人が約50万人の子供を含め被ばくなどの被災をしたことを明らかにした。
ウクライナ非常事態省当局者も同日、同国内の被ばく者総数約342万7000人のうち病気にかかっている人の割合は、作業員が86.9%で最高と指摘。多量の放射線下で処理に当たった作業員らの健康悪化が深刻であることを強調した。

同国で被ばくした人のうち病気にかかっているのは、大人(10代の子供含む)では82.7%、10歳未満の子供は73.1%。特に血液、血液循環系統疾患、甲状腺(せん)がんが急増しているという。

(共同通信 2000/04/26)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

チェルノブイリ事故処理 作業員3万人死亡 露保健省専門官が指摘


【モスクワ21日=布施裕之】インターファクス通信によると、ロシア保健省のヘリー・メスキフ主任専門官は20日、

記者団に対し、86年4月のチェルノブイリ原発事故の事後処理に従事した作業員のうち、これまでに3万人が死亡したことを明らかにするとともに、うち38%の死因は「自殺だった」と述べた。
これに対し、同省のリュボーフィ・ボロパーロワ報道官は21日、本紙の問い合わせに対し、死亡数については確認したが、自殺に関しては「あくまでも専門官の個人的な解釈で、本省の公式データではない。そのような統計(自殺のデータ)は内務省の管轄に属するもの」と専門官の発言の信ぴょう性に疑問を投げかけた。
専門官の発言は、チェルノブイリ事故14周年を控えて開かれた記者会見の場でなされた。

(読売新聞 2000/04/22)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

原発 温暖化対策に不適 ウラン濃縮で大量CO2 WWF報告


原発からの二酸化炭素(CO2)の排出は燃料になるウランの濃縮まで含めると、少ないとは言えず、発電の効率も悪いため、原発の利用は有効な地球温暖化対策とはならないとの報告書を、世界自然保護基金(WWF、本部スイス)が6日、発表した。
WWFは「地球温暖化対策の名の下に、原子力技術を発展途上国などに移転すべきではない。CO2の排出は徹底した省エネやエネルギー利用効率の向上によって実現すべきだ」と指摘している。

報告書によると、核燃料として利用可能なウランを天然ウランの中から濃縮する過程で膨大な電力を必要とするため、1キロワット時当たりのCO2の排出量は35グラムと試算され、風力の同20グラム、水力発電の同33グラムを上回る。

原子力発電の熱がほとんどそのまま捨てられているのに対し、天然ガスや木材を利用したバイオマス発電では、発電過程で出る熟を電力と同時に供給する「熟電併給(コージェネレーション)」が可能。

このため熱利用まで含めて考えると、原発からのCO2排出量は天然ガスとほとんど変わらず、バイオマス発電の7倍近くなるという。


WWFは日本のように原子力発電への依存度が高い国ほどコージェネレーションの導入率が低いといった例を挙げ、「大規模な原発の利用が国内のエネルギー利用効率向上を妨げている」と指摘している。

(中日新聞 2000/04/07)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

MOX燃料データねつ造は96年から


【ロンドン18日=芝田裕一】関西電力高浜原子力発電所(福井県高浜町)向けウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の品質検査データねつ造事件で、英原子力施設検査局(NII)は18日、製造元の英核燃料会社(BNFL)の燃料製造部門の管理体質を厳しく批判する報告書を公表、同社に対して業務体制の大幅改善を求める勧告を出した。報告書は、ねつ造が長期にわたって常態化していたことを指摘する一方で、「燃料の安全性には影響を及ぼしていない」と結論づけている。

日本に輸送済みの燃料について日本は英国への返還を求めているが、英側は多大な費用や輸送沿岸国の反発などを懸念して難色を示しており、今後、この返還問題が大きな課題となる。

事件が起きたのは、イングランド北西部の同社セラフィールド事業所内のMOX燃料製造施設で、1994年に稼働を始めた。報告書によると、96年からねつ造が続けられていたといい、NIIは「管理体制の欠陥が、多くの従業員に品質保証記録のねつ造を許した」と厳しく断じている。またNII首席検査官は、BNFLが勧告された改善策をすべて満たさない限り、MOX施設の操業再開を認めないことを明らかにした。
報告書が、製造済み燃料の安全性に問題はないとした点について通産省資源エネルギー庁は、「精査する必要はあるが、今回の問題は安全性でなく、品質保証データにねつ造があったという、信頼性の問題だと考えている」と語った。


BNFL社長が関電に謝罪

関西電力高浜原発(福井県高浜町)で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の品質管理データがねつ造されていた問題で、製造元の英国核燃料会社(BNFL)のジョン・テイラー社長が18日午後、大阪市の関西電力本社を訪れ、「25年にわたる良好な関係を取り戻したい」と謝罪するとともに、経緯を説明した。この中でデータねつ造が発覚する以前の昨年9月、高浜原発3号機用の燃料棒にねじなどが混入され、不合格になっていたことを明らかにした。BNFL側は「社員が故意に入れた可能性がある」と認め、同社の悪質な作業ぶりが改めて浮き彫りになった。
BNFLの報告書などによると、同年9月7日、料棒2本の底にねじとコンクリート片のような異物が入っているのが見つかった。燃料棒には通常、燃料を焼き固めたペレットが詰められているが、「本来の作業工程では異物が入ることは考えられない」(BNFL)という。

当時、関電は不合格の燃料棒があることを口頭で聞かされただけで、異物の詳細などは知らなかったが、BNFLはこれをきっかけに外部の専門家に特別調査を依頼した。関電は「データのねつ造より悪質で、信じがたい」と、BNFLに社員教育や作業改善などを徹底するよう申し入れた。

(読売新聞 2000/02/18)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

核兵器部品を極秘保管 被ばくの恐れと米紙報道


【ワシントン11日共同】11日付の米紙ワシントン・ポストは、米ケンタッキー州パドゥーカにあるエネルギー省所管のウラン濃縮工場周辺で、1600トン以上の核兵器の部品が極秘に保管され、被ばく事故の恐れがあると報じた
工場関係者が米原子力規制委員会に文書で報告した。しかし工場労働者や周辺住民には被ばく危険性などについて、これまで一切知らされなかった
文書によると、核兵器の部品は1950年代から運び込まれ、一部は埋められ、残りが工場内に分散保管された。この工場関係者によると、米エネルギー省の職員が核兵器解体に関する書類を最近運び出したという。

(共同通信 2000/02/11)