先日の クリーム(Cream)の 1968年のオーディエンス録音を収録した商品(『 Winterland 9th March 1968 (Beano-255) 』,『 Fillmore San Francisco 1968 1st Night (Beano-254) 』)に続き,今度は ザ・フー(The Who)の初期音源がリリースされました.
本商品は,4th アルバム 『 Tommy (トミー) 』 のリリースに伴い,プロモーションを兼ねて1969年5月9日ミシガン州デトロイトはグランデ・ボールルーム公演を皮切りに,6月19日カリフォルニア州サンフランシスコはフィルモア・ウェスト公演まで行われた,北米ツアーの 1st レグから,1st レグ終盤に当たる 6月18日カリフォルニア州サンフランシスコはフィルモア・ウェスト公演のオーディエンス録音を収録し,Wardourレーベルからリリースされた 『 Fillmore West 1969 2nd Night (Wardour-558) 』 で,何と録音者は,クリーム(Cream)の上記のオーディエンス録音を収録したテーパーなのでしょうか.
音像は近めで,多少,籠った感を感じる部分もありますが,各パートの出音のバランスも相応に良い,高音質のオーディエンス録音と言えます.
このような音源が未だ残っているんですね.
メーカー情報では
『現在クリーム1968年の貴重音源がYouTube上に現れて世界中のマニアを色めきだたせており、実際に今回フィルモアでの彼らのステージを捉えた貴重オーディエンスが同時にリリースされる訳ですが、これらの音源を公開してくれた人物はクリームと同じくらいザ・フーにも詳しい。それを裏付けるかのように彼らの貴重な初公開ライブ音源を公開してくれており、それが1969年のフィルモア・ウエスト。
稀代の名盤『TOMMY』を完成させたザ・フーはそれまでのロック・コンサートの方程式を覆すようなアルバムを丸ごと披露するという画期的なステージを敢行。そこから1969年を通してウッドストックを始めとした彼らのキャリアにおけるキャリアハイの演奏がいくつも生み出されることになります。
その精力的なライブ活動の割に69年のステージを捉えた録音というのは意外と少ない。確かにウッドストックやストックホルム、そしてロンドン・コロシアムといった要所要所のサウンドボードが存在する点は恵まれているのですが、この年の彼らがこなしたライブの本数からすれば物足りない。
特にウッドストック以前となると音源やアイテムの数ががっくり少なくなってしまう。この状況にとどめを刺したのが有名な「テープを燃やした」事件。バンド側で69年上半期のステージを何本もマルチトラックで録音していたものの、いざそこから何か作ろうとした時にローディがそれぞれの録音を吟味してくれていなかったことにかんしゃくを起こしたピートがテープを燃やしてしまえ…と命じたところ、真に受けたローディが本当に燃やしてしまったというもの。
おまけにピートは自伝で燃やしたテープの中にはフィルモアでの連続公演が含まれていた…とはっきり明言しており、ウッドストックより前のステージを捉えたサウンドボードが存在しないことが確定してしまったのです。何と言っても新作という立ち位置の『TOMMY』を浸透させるべくザ・フーが懸命に演奏していた時期であり、その時期にオフィシャルな記録が存在しないというのは痛手でしかない。
そうした状況の中でマニアに有難がられていたのが6月19日のフィルモア・ウエスト。当時のオーディエンス録音としては驚くほど聞きやすいクオリティであったことから、懐かしの紙ジャケ名盤『FLYING TO NEW YORK TO GO TO COURT』を聞き込んだマニアも多かったのでは。
ところが今回、新たに公開されたのは前日18日のショウ。実は昔から18日とされる音の遠いオーディエンス録音が出回っており、なおかつオンライン上でも簡単に聞けます。ところが今回の音源はセットリストや音源がまるで違っており、公開者からは「今までの録音が実は17日で、今回が正真正銘の18日だ」とテープボックスの画像付きで公開してくれたのでした。
さらに今回の音源は二回行われたショウそれぞれから録音されてもいるのですが、これもまたピートが自伝においてフィルモア・ウエストではビル・グレアムが一日二回のステージを強要して口論になり、なおかつ一回目のステージを短く切り上げてさらに物議を醸したとの記述を裏付ける結果に。
今回の録音の前半にはファースト・ショウ序盤の模様が捉えられているのですが、そこではピートがいつもの「I Can’t Explain」を飛ばして「Fortune Teller」を始める場面が捉えられており、正に自伝どおりであったことが証明される結果にもなったのです。しかし自信作『TOMMY』をステージで披露することで演奏時間が長くなったことから、フーとしては一日一回のステージを希望。妥協案として最終日から一日一回のステージとなりました。そんな事情を実証してくれる文字通りの歴史的音源だとも言えるでしょう。
それ以上に驚かされるのは音質の良さ。翌日の『FLYING TO NEW YORK TO GO TO COURT』も69年のオーディエンスとしては非常に聞きやすいものでしたが、それよりも圧倒的に聞きやすい。同盤は音像が近かった半面ジョンのベースが弱めで、また全体的に粗削りな音質でもあった。
その点、今回の音源はジョンのベースはもとよりロジャーの歌声も含めた演奏全体を実に見事なバランスで捉えてくれている。何よりジョンのベースが飽和することなく、それでいてクッキリ捉えられているのがお見事。この点だけでも『FLYING TO~』を軽く凌駕するのです。この時代のフーのオーディエンス録音といえば「轟音」あるいは正反対の大音量に恐れをなした「遠い音像」のようなビンテージ・オーディエンスが少なくないのですが、69年にこれほどまで見事な録音状態で、なおかつ貴重なウッドストック前のステージを捉えた超貴重音源が眠っていたとは。
サイケデリックの時代ですので周囲にフリークアウトした観客がいたとしてもおかしくない。ところがそうした輩は皆無、リリースされたばかりの『TOMMY』に周囲が聞き入っているものだから、これがまた聞きやすさに大きく貢献してくれている。
これほど音質が非常に良いので、ステージに投入されて間もない『TOMMY』の粗削りな演奏ぶりがまた生々しまでに感じられる。完成の域に達したウッドストックの演奏と比べると流れのぎこちなさが散見され、なおさらその演奏の初々しい雰囲気や力業でねじ伏せようとする『TOMMY』パートが新鮮に聞こえることかと。
そしてフィナーレ「Magic Bus」では正にウッドストックを予見させるような展開で幕を閉じる。「1969年のオーディエンス録音?そこそこ聞けたらいいや」と鷹をくくっていたらどっこい初登場にして素晴らしい音質に驚かされること間違いなし!』
Fillmore West 1969 2nd Night (Wardour-558)
Live At Fillmore West, San Francisco, CA, USA
18th June 1969
Disc 1
[First set]
01. Heaven & Hell
02. Fortune Teller
03. Tattoo
[Second Set]
04. I'm A Boy
05. Happy Jack
06. A Quick One, While He's Away
07. My Generation
08. Shakin' All Over
TOTAL TIME (34:41)
Disc 2
[Tommy]
01. MC
02. It's A Boy
03. 1921
04. Amazing Journey
05. Sparks
06. Eyesight to the Blind
07. Christmas
08. The Acid Queen
09. Pinball Wizard
10. Do You Think It's Alright?
11. Fiddle About
12. There's a Doctor!
13. Go to the Mirror!
14. MC
15. Smash the Mirror
16. I'm Free
17. Tommy's Holiday Camp
18. We're Not Gonna Take It
19. Summertime Blues
20. MC
21. Magic Bus
TOTAL TIME (54:02)
Heaven & Hell
My Generation
Pinball Wizard
[参考]
1969 North American Tour Dates
[Tommy Tour]
[1st Leg]
May
09 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
10 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
11 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
13 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
14 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
15 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
16 Fillmore East,New York City,NY,USA
17 Fillmore East,New York City,NY,USA
⇒ [Two Shows]
19 The Rock Pile,Toronto,ON,CANADA
23 Electric Factory,Philadelphia,PA,USA
24 Electric Factory,Philadelphia,PA,USA
25 Merriweather Post Pavilion,Columbia,MD,USA
29 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
30 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
31 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
June
01 Kiel Auditorium,St. Louis,MO,USA
07 Majestic Hills Bandstand,Lake Geneva,WI,USA
08 Guthrie Theater,Minneapolis,MN,USA
08 Guthrie Theater,Minneapolis,MN,USA
13 Hollywood Palladium,Los Angeles,CA,USA
17 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
⇒ [Two Shows]
18 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
⇒ [Two Shows]
19 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
[2nd Leg]
August
12 Tanglewood Music Center,Lenox,MA,USA
16 Max Yasgur's Farm,Bethel,NY,USA
⇒ [Woodstock]
[3rd Leg]
October
10 Commonwealth Armory,Boston,MA,USA
11 Grand Riviera Theatre,Detroit,MI,USA
12 Grand Riviera Theatre,Detroit,MI,USA
14 C.N.E. Coliseum,Toronto,ON,CANADA
15 Capitol Theatre,Ottawa,ON,CANADA
17 Holy Cross Field House,Worcester,MA,USA
18 State University Of New York At Stony Brook,Stony Brook, NY,USA
19 Electric Factory,Philadelphia,PA,USA
⇒ [Two Shows]
20 Fillmore East,New York City,NY,USA
21 Fillmore East,New York City,NY,USA
22 Fillmore East,New York City,NY,USA
23 Fillmore East,New York City,NY,USA
24 Fillmore East,New York City,NY,USA
⇒ [Two Shows]
25 Fillmore East,New York City,NY,USA
⇒ [Two Shows]
26 Syria Mosque,Pittsburgh,PA,USA
31 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
November
01 Veterans Memorial Auditorium,Columbus,OH,USA
02 McDonough Memorial Gymnasium,Georgetown University,Washington,DC,USA
03 Westchester County Center,White Plains,NY,USA
04 Bushnell Memorial Hall,Hartford,CT,USA
06 Denison University,Granville,OH,USA
07 Convocation Center,Athens,OH,USA
08 Kiel Opera House,St. Louis,MO,USA
10 Palace Theatre,Albany,NY,USA
11 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
12 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
13 State University College of Education At New Paltz,New Paltz,NY,USA
14 Public Auditorium,Cleveland,OH,USA
15 Kleinhans Music Hall,Buffalo,NY,USA
16 Onondaga War Memorial Auditorium,Syracuse,NY,USA
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#2023-07-05