ザ・フー(The Who)は基本的に余り購入しないのですが,1970年代前後のものは好きで久し振りに購入しました.

 本CDは,1970年6月6日ニューヨーク州はニューヨークのメトロポリタン・オペラ・ハウスを皮切りに,7月7日マサチューセッツ州はレノックスのタングルウッド・ミュージック・シェッド公演まで行われた1970年北米ツアーから,ツアー中盤に当たる 6月19日テキサス州はダラスのメモリアル・オーディトリウム公演をオーディエンス収録し,2月7日にリリースされた 『 Dallas 1970 (No Label) 』 です.
 音像は割と近く,ストレートな音で迫力があり,思った以上に音質が良いのには驚かされます.
 演奏も素晴らしく,これはコアなファンで無くても必聴でしょう.

 メーカー情報では
 『今週は久々に「TOMMY」期のザ・フー絶頂ライブ音源をリリース!
 1969年に同アルバムをリリースしてからの精力的なアメリカでのライブ活動は見事に実を結び、フィルモアからウッドストック、そして(フィラデルフィアの)エレクトリック・ファクトリーなどでの名演と確固たる人気を獲得しました。
 そうした大成功を受け、翌年1970年は母国イギリスでもリーズという歴史的名演と、そしてピートにとっては予想外の大成功だったというライブアルバム「LIVE AT LEEDS」まで産み出されています。そして前年末のロンドン・コロシアムと同じように、今度は6月からのアメリカ・ツアーでもオペラハウスでの「TOMMY」の上演を実現、これが大々的に報じられたことによって同アルバムのアメリカでの売り上げが飛躍的に向上したほどでした。
 同ツアーでは70年ライブ映像としては定番の一つであるタングルウッドのビデオ映像がおなじみですし、月末にはレッド・ツェッペリンを前座に従えた公演まで行われました。そしてアメリカでの人気爆発はブートレグという副産物まで産み出すことに。

 ザ・フー最初期ブートの一つに「GATHER YOUR WITS」というLPがあります。これは正に70年6月のアメリカでのザ・フーのステージを捉えたアイテムだったのですが、そこは初期のブートらしく、日付のクレジットに関しては「TOMMY LIVE from Austin, Texas」というあいまいさ加減。
 大ヒットした「TOMMY」のライブを収録ということがアピール出来れば十分だったのでしょう。それに1970年製ブートレグとしては驚くほどオンな音像のオーディエンス録音であったことも大きなポイントでした。
 もっとも現在では本LPのレコーディング・データも解明されており、実際には6月19日のダラス公演を収録していたもの。それが判明したきっかけは、LPの元になったオーディエンス録音がトレーダー間に出回ったからでした。これによって、一聴すると(当時にしては)良好に思えた音源もLP化された段階でガックリ落ちてしまっていた事実が判明。何しろステレオで録音されていた音源がモノラルとなり、さらにギスギスした状態にまで落ちていたのです。そこまで音質が変わってしまった原因は簡単。ブートレガーがテープを再生したスピーカーから音を拾ってコピーを作ったから。しかしダブルデッキや別のレコーダーへの接続システムが普及していなかった当時では、原始的ながらも当たり前のように行われていたダビング手法だったのです。
 またLPは「Young Man Blues」と「Substitute」が未収録だったのに対して、トレーダー音源の方はオープニングの「Heaven And Hell」が未収録という一長一短な状態でした。それでいて「I Can’t Explain」前で聞かれたキース・ムーンのMCはトレーダー音源の方が長いのがややこしい。ちなみに「TOMMY」パートの「Christmas」がフェードインという点は一緒であり、さらに随所で盛り上がる女性ファンの歓声(笑)までも一緒な点がステレオとモノラルの違いはあれど、元は同じ音源である証となっています。

 それにしてもトレーダー間で出回っていたバージョンの音質の良さには驚かされます。1970年のオーディエンス録音のレベルとしては驚くほど音像がオン、なおかつステレオ録音なのですから。こんな極上音源が見過ごされるはずもなく、過去に一度「WHO IS TOMMY」というCDにてリリースされた実績がありました。とは言ってもカセット・ダビングのジェネ落ち感とピッチの狂いもそのままでしたので、今回のバージョンの見事なアッパー感(セカンド・ジェネレーション・コピー)とは比べ物になりません。元々トレーダー間のバージョンはピッチの狂いがLPよりひどく(そちらの方が正常だった)、今回のリリースに当たってはこの問題を徹底的にアジャスト。これでリスニング上のストレスは激減しています。
 トレーダー音源において唯一の欠点としてはLPで聞かれた「Heaven And Hell」が未収録ということでしょう。ところが先にも述べたように音質の落差が激しく、なおかつ演奏の途中からの録音です。これを補填するとCDの最初が不完全な演奏から、おまけに音の悪いスタートとなってしまう。そして同曲を加えるとディスク一枚の収録時間に収まりきらないということから、あえて「Heaven And Hell」を「GATHER YOUR WITS」LPから採用することを避けました。何よりも音質の落差があまりに激しいので。

 演奏の方は全編を通して貫禄に満ち溢れた盤石のレベル。
 特筆すべきは「TOMMY」以外のレパートリーがリーズの頃から大幅に変更されたことでしょう。長年のレパートリーだった「Tattoo」や「A Quick One While He's Away」が遂にセットリストから落とされ、代わりに新曲が投入されたのです。中でも「The Seeker」は既にシングルとしてリリースされていた当時の最新ナンバーであり、このアメリカ・ツアーからステージ・デビュー。にもかかわらず数回演奏されたのみで姿を消してしまい、以降オリジナルのザ・フーがライブで演奏することがなかった超貴重なレパートリーでした。その数少ないライブ演奏の中でもステレオの高音質で聞けるここダラスでの録音の価値は群を抜いています。
 そして「TOMMY」のリリースから経過し、なおかつオペラハウスでの上演を成功させた後ということもあり、同アルバムのセットは終始オーディエンスの熱狂的な反応が伝わってきて感動的です。それでも演奏が歓声にかき消されることは(まったく!)なく、むしろド迫力の音像と典型的なアナログ・テイストな音質で捉えられている上で、ステレオの豊かな臨場感が楽しめる。
 ライブの雰囲気や演奏の出来自体がこの時期の定番である三週間後のタングルウッドのプロショット映像を上回っており、「TOMMY」パート終了後のライブ後半が未録音(そこを「GATHER YOUR WITS」LPではアルバム未収録シングルのコピーで埋めていました)ながらも、スッキリCD一枚で最高のステージが堪能できます。マニアには先のビンテージLPで聞いていた音源のアッパー版ともなりうるでしょうし、何と言ってもこれは名演!』

Dallas 1970 (No Label)
 
 Live At Memorial Auditorium,Dallas,TX,USA 19th June 1970

   1. MC
   2. I Can't Explain
   3. Young Man Blues
   4. Water
   5. Seeker
   6. Substitute
   7. Overture
   8. It's A Boy
   9. 1921
   10. Amazing Journey
   11. Sparks
   12. Eyesight To The Blind
   13. Christmas
   14. The Acid Queen
   15. Pinball Wizard
   16. Do You Think It's Alright ?
   17. Fiddle About
   18. Tommy Can You Hear Me ?
   19. There's A Doctor
   20. Go To The Mirror
   21. Smash The Mirror
   22. Miracle Cure
   23. I'm Free
   24. Tommy's Holiday Camp
   25. We're Not Gonna Take It
   26. See Me, Feel Me
   TOTAL TIME (76:38)

 Young Man Blues
 
 I'm Free
 
 See Me, Feel Me
 


 本商品の初回ナンバー入りステッカー付きに限り,1970年北米ツアーの最終日に当たる 7月7日のマサチューセッツ州レノックスはタングルウッド・ミュージック・シェッド公演をオープニングからラストまでノーカットで 1時間33分に亘って収録したマルチアングルのプロショット映像『 Tanglewood 1970 (Special Bonus DVDR) 』 が付属しています.

 この映像は数年前に 『 Tanglewood 1970 (Gift DVDR) 』 として商品を 2組購入すると希望者に配布されるギフト・アイテムとしても登場したもので,下記のメーカー情報も当時のものと同一です.

 メーカー情報では
 『1970年、マサチューセッツ州レノックス、タングルウッドでのコンサートをオープニングからラストまでノーカットで1時間33分に亘って収録したマルチアングルのプロショット映像。
 正しい日にちは資料によると、この年のアメリカンツアーの最終日、イッツ・ア・ビューティフル・デイとジェスロ・タルを前座に行なわれた7月7日の公演となっています。
 この映像は、数年前にネットにアップされた秘蔵映像をマスターとしており、これまで彼らの映画「The Kids Are Alright」のエンディング・ロールシーンでほんの一部が流出していた以外は、それまではまったく公開されたことのなかったものです。時期的にはオフィシャルリリースされている「ワイト島コンサート」のほぼひと月半前で、セットリストにもシングルのB面曲となったWaterやI Don't Even Know Myselfを含んでいる過渡期のものでした。ワイト島と同様、ここでも完全再現されているロックオペラ「TOMMY」のストイックなパフォーマンスが素晴らしく、さすが全盛期、と見入ってしまうこと請け合いの内容です。ピートがキース・ムーンと自分のアタッチメントの不具合に腹を立て、ミスプレイもするワイト島の映像に比べ、より演奏に集中している感のある本映像でのザ・フーが彼ら本来の姿でしょう。
 画質は、前半はオフィシャル作品並みのクリアなもので、Christmasの途中からジェネレーションを経たものにレベルダウンしますが、色抜けしていない十分鑑賞に堪えるものです。MyGenerationのラストは、唯一オフィシャルで公開されていたギター・スマッシュシーンの綺麗な映像に差し替えられているという細かな仕事ぶりです。音声はオフィシャル並みのステレオ・サウンドボード録音で画質が変化する箇所でも音質はまったく変わることはありません。オフィシャルのロンドン・コロシアム映像と並び称せられる貴重なプロショット映像。
 観ておいて損はない70年のザ・フーの映像を是非この機会にご覧ください。ピートのジャンプ、ロジャーのマイク・トワリング。なぜフーが人気グループに躍り出たかの秘密がこの映像にありますどうぞお見逃しなきようお願いします。』

Tanglewood 1970 (Special Bonus DVDR)
 
 Live At Music Shed,Tanglewood,Lenox,MA,USA 07th July 1970
 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.93min.
 
 
   1. Heaven And Hell
   2. I Can't Explain
   3. Water
   4. I Don't Even Know Myself
   5. Young Man Blues
   6. Overture
   7. It's A Boy
   8. 1921
   9. Amazing Journey
   10. Sparks
   11. Eyesight To The Blind
   12. Christmas
   13. The Acid Queen
   14. Pinball Wizard
   15. Do You Think It's Alright ?
   16. Fiddle About
   17. Tommy Can You Hear Me ?
   18. There's A Doctor
   19. Go To The Mirror!
   20. Smash The Mirror
   21. Miracle Cure
   22. I'm Free
   23. Tommy's Holiday Camp
   24. We're Not Gonna Take It
   25. See Me, Feel Me
   26. My Generation
   TOTAL TIME (93:01)

 収録されている映像は過去ブログ 『 Tanglewood 1970 (Gift DVDR) 』 を参照して頂きたいのですが,殆どの映像は著作権違反に伴って削除しました.

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