ジェフ・ベック(Jeff Beck)は,1975年3月にアルバム 『 Brow By Brow (ブロウ・バイ・ブロウ) 』 をリリース後,そのプロモーションを兼ねてツアーを行います.
 そして,北米ツアーから 「 World Rock Festival Eastland 」(ワールド・ロック・フェスティヴァル) の一環で 1975年8月に ベック・ボガート・アンド・アピス(BBA:Beck, Bogert & Appice)時代(1973年5月)に次いで 2度目の来日を果たし,その後の 9月から約半年をかけてニュー・アルバムのレコーディングを行い,1976年5月にタイトル 『 Wired (ワイヤード) 』 としてリリースします.

 このアルバム 『 Wired (ワイヤード) 』 のプロモーションを兼ねたツアーは,1976年5月の英国を皮切りに,5月末からの北米ツアーを中心に,時期を同じくしてアルバムをリリースした ヤン・ハマー・グループ(Jan Hammer Group)と一緒に行いますが,ヤン・ハマー・グループ(Jan Hammer Group)のツアーのゲスト的な要素が強く,実際にステージでもゲストとして紹介されているのが実情です.
 セット・リストは,ヤン・ハマー・グループ(Jan Hammer Group)が,1976年4月にリリースした 『 Oh, Yeah? (オー,イエー?) 』 収録の "Magical Dog",”Evolve","Oh, Yeah?" 他,ヤン・ハマー(Jan Hammer)名義の曲と,ジェフ・ベック(Jeff Beck)名義の曲がほぼ半々位で構成されると共に,北米ツアーの演奏の一部は,1977年3月にリリースされた 『 Jeff Beck with The Jan Hammer Group (ライヴ・ワイヤー) 』 に収録されたのはファンならばご存知の通りです.
 その関係もあってか,この 『 Jeff Beck with The Jan Hammer Group (ライヴ・ワイヤー) 』 は,日本でこそ ジェフ・ベック(Jeff Beck)名義となっていますが,日本以外では ヤン・ハマー・グループ(Jan Hammer Group)名義になっている場合が多々見受けられます.
 
 5月末からの北米ツアーは,5月29日カリフォルニア州はサンディエゴのコミュニティ・コンコース・シアター公演を皮切りに,7月25日アイオワ州はデモインのアイオワ・ステート・フェアグラウンズ公演まで行われた 1st レグ,3週間後の 8月12日カリフォルニア州はアナハイムのエンゼル・スタジアム公演を皮切りに,9月13日同じくカリフォルニア州はサンディエゴのサンディエゴ・スポーツ・アリーナ公演まで行われた 2nd レグ,3週間後の 10月7日ロードアイランド州はプロビデンスのプロビデンス・シビック・センター公演を皮切りに,10月19日マサチューセッツ州はボストンのボストン・ガーデンズ公演まで行われた 3rd レグ,12月3日フロリダ州はマイアミのマイア・ミジャイーアライ・フロントン公演を皮切りに,12月11日テネシー州はナッシュビルのミュニシパル・オーディトリアム公演まで行われた 4th レグ というように 4つのレグに大別されます.

 本商品は,1976年10月7日ロードアイランド州はプロビデンスのプロビデンス・シビック・センター公演を皮切りに,10月29日マサチューセッツ州はボストンのボストン・ガーデン公演まで行われた北米ツアーの 2nd レグから,2nd レグ 2日目に当たる10月8日ニューヨーク州はニューヨークのザ・パラディウム公演のオーディエンスを収録し Wardourレーベルからリリースされた 『 Definitive Palladium 1976 (Wardour-540) 』 で,既発で,同Wardourレーベルから,2020年9月にリリースされた 『 Palladium 1976 (Wardour-435) 』 のリマスター盤(アップグレード盤)に当たるのでしょうか.

 音像も割と近く,各パートの音の分離も良いですし,臨場感溢れる非常に高音質なオーディエンス録音で,正直,40年以上経って,このような音源が発掘される事も驚きです.
 何と言っても,オフィシャル・ライヴ・アルバム 『 Jeff Beck with The Jan Hammer Group (ライヴ・ワイヤー) 』(録音:1976年10月ー11月) が収録されたのと同時期の録音であり,演奏が悪い訳がありません.
 また ヤン・ハマー(Jan Hammer)の ”Givig In Gently / I Wonder” が収録されているのは,非常にレアと言えるのではないでしょうか.


 メーカー情報では
 『ジェフ・ベックとヤン・ハマー・グループによる1976年のツアーは正に絶頂期というだけでなく、年代を考えると信じられないほど良質なオーディエンス録音に恵まれた一年でして、何しろ最初のステージからして名盤『FIRST GIG』として記録されているという有様。それどころか最近になってもLP時代にベック&ハマー・グループのライブの素晴らしさを伝えてくれていた名盤アナハイム・スタジアムの収録曲マシマシ『ANAHEIM 1976: JON WIZARDO MASTER』という衝撃の拡張版がリリースされたほど。
 何よりオフィシャル『ライブ・ワイアード』がリリースされた時期でもあった訳ですが、とてもよくまとまった名作ライブアルバムであった反面、現在のようにステージをありのままに捉えた極上オーディエンス録音が出揃ってくると実際のステージとはかけ離れた編集内容であったことが露呈してしまったのでした。
 当日のセットリストの原型を留めない曲順は仕方ないにしても、一枚のLPに収めるべくベック以外の演奏パートを短縮するなどの編集が施されていた。それに76年のステージはまずハマー達でステージを始め、ベックが「Darkness, Earth In Search Of A Sun」の途中から加わるという構成。それもまた『ライブ・ワイアード』では無残なまでに崩されてしまっていたのです。

 ところが幸いなことに、このツアーは先の理由からサウンドボードにまったくひけをとらないウルトラ・オーディエンスがゴロゴロしているという幸せな時期。そんな中でも二大巨頭と呼んで過言ではない名録音が10月10日のボストンと8日のニューヨーク・パラディアム。前者は永遠の名作『BOSTON 1976 DEFINITIVE EDITION』が遂に売り切れてしまったのも記憶に新しいところですが、8日に関しては2020年に『PALLADIUM 1976』がリリースされるやいなや、あまりの高音質ぶりからあっという間に売り切れてしまったのでした。
 「これが本当に1976年のオーディエンス録音なの?」と耳を疑いたくなるほどずば抜けた音質の良さ。おまけに2ndジェネという状態だとは思えないほど抜群の鮮度。これほどのクオリティを誇る音源だけに懐かしのSCARECROW盤『EMOTIONAL THE CRAB』のようなリリース実績もありましたが、そこではライブ序盤におけるハマー達のパートがカットされた不完全版かつジェネ落ちという二重苦を抱えた状態ながらも音質の良さゆえに好評を博したという。
 まだアナハイムの頃は「まず僕たちが最初に演奏して、後でベックが登場してくれます」とハマー自身が開演前に説明していたものですが、パラディアムの10月にもなるとそうした説明など必要とせず自信たっぷりに自分たちのセットを始めており、客席からもベックを求めるような声が飛び交っていないほど。だからこそ彼らのパートを含めた完全収録は76年アイテムの必須条件と言えるでしょう。
 何よりこの日はハマーのアルバム『LIKE CHILDREN』の最後を締めくくったバラード「Giving In Gently/I Wonder」が歌われた(何気にいい声してる)貴重な場面まで捉えてくれている。同曲にはギターソロが盛り込まれていたことから、本来であればベックにも参加してもらいたかったところですが、あいにく彼の登場前のパートであったことから、ここは代わりにハマーがシンセのソロをたっぷりと弾いています。

 場数を踏んで自信たっぷりにステージをこなしてきた彼らだけのことはあり、パラディアムは既に大盛り上がり。その激アツな臨場感が超リアルに捉えられている様など、オフィシャル『ライブ・ワイアード』すら相手にならないほどの再現力。そして「Darkness, Earth In Search Of A Sun」が5分を過ぎたところでストラトを持ったベックが登場するやいなや大歓声が飛び交う。
 この凄まじい盛り上がりを前にベックは早くもエンジン全開となり「Goodbye Pork Pie Hat」にて最初の頂点を迎えます。インプロ志向のヤン・ハマー・グループとフレーズ志向のベックという組み合わせは相性抜群で、もはや単なるフュージョンの枠をはみ出た独特の親しみやすい音楽へと昇格。それもまた極上音源が居並ぶ76年ツアー・アイテム人気の秘訣。また「Scatterbrain」や「She’s A Woman」といった『BLOW BY BLOW』収録曲は非常に陽気なアレンジへと進化しており、これもまた76年ツアーの親しみやすさに一役買っている。
 そうしたポジティブな要素が合わさって、この日のベックの振り切れた絶好調ぶりは本当に凄い。よほど気持ちよく弾けていたのでしょう、このメンツで演奏される訳のない「Rice Pudding」をほのめかしてみせるなど余裕たっぷり。極めつけはライブを終えたところで観客に向かってベックが放ったお礼の言葉。これが『ライブ・ワイアード』では「God bless you, thank you」というありふれたものでしたが、パラディアムでは「ワンダフル!ワ・ン・ダ・フ・ル」という心からの感謝ぶりで、まるで彼の笑みが浮かぶかのよう。

 これほど充実の演奏を完璧な音質で捉えた名録音ですので、ストレートな再発でもよかったかもしれません。しかしそこは単に売り切れたというだけでなく、ベック亡き後に待ち望まれている再登場です、改めて音源を見直しました。そこで今回はフェルナンド・サーンダースのベース域を最新のテクノロジーにて調整した結果、ただでさえクリアネスと鮮度に長けた録音の見晴らしがさらに良くなるアッパー版へと進化。
 ボストンと並ぶ1976年ツアー最強のオーディエンス録音が文字通りディフィニティブな形で再登場と相成りました。一枚もの『ライブ・ワイアード』では物足りないマニアだけでなく、ベックの1970年代オーディエンス・アルバム入門として最高の教科書になりうる一枚。どうぞ、永久保存プレス2CDにて究極の音源をあなたのお手元に。

(リマスター・メモ)
 ★低音、特にベースの低音弦がモコッてる印象を軽減しました。
 軽減して減圧した音圧分を均等に持ち上げたので全体が鮮明な印象になってます。』

Definitive Palladium 1976 (Wardour-540)
 
 Live At Palladium, New York City, NY, USA
 08th October 1976
 [UPGRADE]

  Disc 1
   01. Intro
   02. Magical Dog
   03. Evolove
   04. Givig In Gently / I Wonder
   05. Oh Yeah
   06. Band Introductions
   07. Darkness / Earth in Search of a Sun
   08. You Know What I Mean
   09. Freeway Jam
   10. Goodbye Pork Pie Hat
   11. Earth (Still Our Only Home)
   12. Scatterbrain
   13. Come Dancing
   TOTAL TIME (77:41)

  Disc 2
   01. She's a Woman
   02. Diamond Dust
   03. Rice Pudding Intro
   04. Full Moon Boogie
   05. Blue Wind
   06. Led Boots
   TOTAL TIME (34:49)

 Jeff Beck : Guitar
 Jan Hammer : Keyboards, Vocal
 Tony Smith : Drums, Vocal
 Fernando Saunders : Bass
 Steven Kindler : Violin

  Freeway Jam
 
  Scatterbrain
 
  Blue Wind
 

[参考]
 Palladium 1976 (Wardour-435)
 

 Emotional The Crab (S045)
 

 1976-1977 Tour Dates
 ※) 詳細なツアー日程は不明なので,あくまで参考程度.
 1976
 May
  08 Vale Hall, Aylesbury,UK
      ⇒ [UPP]
  xx Roundhouse, London,UK
  23 Roundhouse, London,UK

  [North American Tour]
  29 Community Concourse Theatre, San Diego,CA,USA
  30 Iowa Jam 1976,Iowa State Fairgrounds,Des Moines,IA,USA

 June
  01 Kinsmen Field House,Edmonton,AB,CANADA
  02 Telus Convention Center,Calgary,AB,CANADA
  04 Concord Pavilion,Concord,CA,USA
  05 Day On The Green 1976 #3,Oakland-Alameda County Coliseum,Oakland,CA,USA
  06 Day On The Green 1976 #4,Oakland-Alameda County Coliseum,Oakland,CA,USA
  12 Starlight Bowl,Burbank,CA,USA
  13 Golden Hall,San Diego,CA,USA
  15 Warnors Theatre,Fresno,CA,USA
  19 PNE Garden Auditorium,Vancouver,BC,CANADA
  24 Un-Known Venue,Milwaukee,WI,USA
  25 Glen Oak Amphitheatre,Peoria,IL,USA
  26 Glen Oak Amphitheatre,Peoria,IL,USA
  27 North Dakota State University,Fargo,ND,USA
  29 Super Jam '76,Busch Memorial Stadium,St. Louis,MO,USA
  30 Cincinnati Gardens,Cincinnati,OH,USA

 July
  01 Louisville Gardens,Louisville,KY,USA
  03 Masonic Temple Theatre,Detroit,MI,USA
      ⇒ [Two Shows]
  04 Groves Stadium,Winston Salem,NC,USA
  05 Iowa Fairgrounds,Des Moines,IA,USA
  10 Comiskey Park,Chicago,IL,USA
  15 Municipal Auditorium,Jackson,MS,USA
  16 Fox Theater,Atlanta,GA,USA
  17 Dixon-Myers Hall,Memphis,TN,USA
  18 Moody Coliseum,University Park,TX,USA
  19 Hofheinz Pavilion,Houston,TX,USA
  20 Hogg Memorial Auditorium,Austin,TX,USA
  23 Arrowhead Stadium,Kansas City,MO,USA
  24 Casino Arena,Asbury Park,NJ,USA
  25 Iowa State Fairgrounds,Des Moines,IA,USA

 August
  12 Angel Stadium,Anaheim,CA,USA
  21 Capital Centre,Largo,MD,USA
  23 Pinecrest Country Club,Shelton,CT,USA
  25 Nassau Collisseum,Uniondale,NY,USA
  26 Nassau Collisseum,Uniondale,NY,USA
  27 Cape Cod Coliseum,South Yarmouth, MA, USA
  30 Richfield Coliseum,Richfield,OH,USA
  31 Richfield Coliseum,Richfield,OH,USA

 September
  02 Outside Inn,Buffalo,NY,USA
  02 Buffalo Memorial Auditorium,Buffalo,NY,USA
  03 Kingdome,Seattle,WA,USA
  04 Concord Pavilion,Concord,CA,USA
  08 Tempe Stadium,Tempe,AZ,USA
  12 Anaheim Stadium,Anaheim,CA,USA
  13 San Diego Sports Arena,San Diego,CA,USA

 Octobar
  07 Providence Civic Center,Providence,RI,USA
  08 Palladium,New York City,NY,USA
  09 The Spectrum,Philadelphia,PA,USA
  10 Boston Music Hall,Boston,MA,USA
  12 Palace Theater,Waterbury,CT,USA
  13 University of New Hampshire,Durham,ON,USA
  14 Onondaga War Memorial Auditorium,Syracuse,NY,USA
  15 Maple Leaf Gardens,Toronto,ON,CANADA
  16 Bergen Community College,Paramus,NJ,USA
  17 Naval Academy,Annapolis,MD,USA
  18 Palladium,New York City,NY,USA
  19 Boston Gardens,Boston,MA,USA
 
 November
  09 Marquee Club,London,UK

 December
  03 Miami Jai-Alai Fronton,Miami,FL,USA
  04 Curtis Simpson Hall,Tampa,FL,USA
  08 Warehouse,New Orleans,LA,USA
  09 Expo Hall,Mobile,AL,USA,USA
  10 Boutwell Auditorium,Birmingham,AL,USA
  11 Municipal Auditorium,Nashville,TN,USA

 1977
 January
  [Oceania Tour]
  23 St James Theatre,Wellington,NEW ZEALAND

 February
  01 Festival Hall,Melbourne,AUSTRALIA
  04 Hordern Pavilion,Sydney,AUSTRALIA
  05 Hordern Pavilion,Sydney,AUSTRALIA
  07 Activity Center,Brisbane,AUSTRALIA
  [North American Tour]
  18 Kiel Opera House,St. Louis,MO,USA
  19 Auditorium Theatre,Chicago,IL,USA
  21 Veterans Memorial Auditorium,Des Moines,IA,USA















[関連記事]
Anaheim 1976 : Jon Wizardo Master (Wardour-485)
 
Des Moines 1976 (Gift CDR)
 
Day On The Green 1976 Day 1 (Gift CDR)
 
Sophie (Wardour-054)
 
Minneapolis 1976 (Wardour-108)
 
Complete Cape Cod 1976 (Wardour-071)
 
Masonic Temple 1976 (Wardour-068 )
 
Sophie (Wardour-054)
 
Boston 1976 Definitive Edition (Wardour 074)
 
Des Moines 1976 (Bonus CDR)
 
 ※) 「Arrowhead Stadium 1976 (Wardour-110)」 に付属のボーナス・アイテム
Arrowhead Stadium 1976 (Wardour-110)
 
Day On The Green 1976 Day 1 (Bonus CDR)
 
 ※) 「Day On The Green 1976 Day 2 (Wardour-092)」 に付属のボーナス・アイテム
Day On The Green 1976 Day 2 (Wardour-092)
 
Palladium 1976 (Wardour-435)
 
Wired : Mobile Fidelity CD (Gift CDR)
 
Jeff Beck With The Jan Hammer Group Live : Music Scope Special (Gift CDR)
 
Wired:UK Original LP (Gift CDR)
 
San Diego 1976 (Gift CDR)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Jeff Beck - San Diego
First Gig (HFS RH-23576)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Jeff Beck - First Gig (RH-23576)




#2023-02-22