1972年5月27日のオランダ,および28日のベルギーでのウォーム・アップ公演を行った レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin )は,6月6日米国ミシガン州デトロイトはコボ・ホール公演を皮切りに,6月28日アリゾナ州トゥーソンのトゥーソン・コミュニティ・センター公演まで北米ツアーを行います.

 この北米ツアーから,終盤の6月25日カリフォルニア州イングルウッドのザ・フォーラム(通称:LAフォーラム)公演, 6月27日カリフォルニア州ロングビーチのロング・ビーチ・アリーナ公演の演奏が,オフィシャルのライブ・アルバム 『 How the West Was Won (伝説のライヴ ハウ・ザ・ウェスト・ワズ・ワン) 』 の収録曲に選曲されており,何と言っても,ジミー・ペイジ曰く 「 バンドが最高の状態にあった時期のライヴだ 」 と言っているように,ロバート・プラント(Robert Plant)のヴォーカルに陰りは見え始めているものの,全体的に,この時期の演奏も切れがあり,連日,素晴らしい演奏が繰り広げられいます.

 先日も本ツアー初盤にあたる 6月9日ノース・カロライナ州はシャーロットのシャーロット・コロシアム公演のオーディエンス録音を元のリールから収録した 『 Charlotte 1972 Reel Archives (No Label) 』 を紹介したのですが,本商品は,本ツアー最終日に当たる 6月28日アリゾナ州トゥーソンのトゥーソン・コミュニティ・センター公演のオーディエンス録音を元のリールから収録した 『 Tucson 1972 Reel Archives (No Label) 』で,「 ★奇跡の発掘アッパー版。今年一番のZEPタイトル!! 」 との鳴り物入りで,『 Charlotte 1972 Reel Archives (No Label) 』 と同一週にリリースされたもの.

 音像的に距離感は余り感じられず,全体を通して録音入力過多気味な関係か歪み感はあるものの,出音のバランスも相応に良く,録音された年代を考えれば,高音質のオーディエンス録音と言えますし,昨年10月に Graf Zeppelinレーベルからリリースされた 『 Hard-As-Knuckles : Tucson 1972 (LZSC-628) 』 より聴き易くなっていると思います.

 それにしても 『 Charlotte 1972 Reel Archives (No Label) 』 に次いで,トゥーソン・コミュニティ・センター公演も,リール・テープが提供されたのは驚きですね.

[2022/10/30追記]
 Mr. Toad さんからコメント頂きましたので,本文に追加しました.
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 ツーソンのCDは某we盤以外は殆ど所有しています。
 本題の赤ジャケLH盤と既発Graf盤とをくらべると聞きやすさは同じくらいで、むしろこの赤ジャケ盤の方が音が片側に偏ってることと、Whole Lotta Love冒頭付近で頻発するテープのヨレがほとんど修正されてませんので、トータルではそれらの問題がないGraf盤のがベターだと思います。
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 メーカー情報では
 『今回はシャーロットだけでなく、同じ1972年のアメリカ・ツアーからトゥーソン公演までも驚きのアッパー版リールのリリースが実現します。そう、72年のトゥーソンと言えばアメリカ・ツアーの最終日としてマニアには知られた存在。21世紀に入って発掘された音源としても話題を呼びましたが、その割に浸透していない感があるのは基本的に歪んだ録音状態のせいかもしれません。音源が発掘された当初にリリースされたアイテム群は大なり小なりそうした問題を当時のテクノロジーのイコライズで解消しようとした節がありましたが、こればかりは仕方がない。

 また音源を公開してくれた録音主が「実はファイナル・アンコールがある」と打ち明けた挙句「Thank You」が演奏され、その中には「Your Time Is Gonna Come」にメドレーする場面もあった…などとほのめかされたりもしたのですが、当時からしてマニアが「ありえない」と一蹴しており、それが音源の登場から20年が経過した今となっては懐かしいおとぎ話のようですらあります。
 幸いにも音源自体は当初からマスターとの触れ込みで登場したことから、リアタイでのアイテム・リリースが一段落すると、その後は大幅なアップグレードもなく、これもまたマニア間に思いのほか浸透しなかった要因になりません。その証拠として最近になってKRW_CO Transferバージョンが現れてもまるで話題にならなかったのでした。

 そうした中、我が国のZEPコレクターがシャーロットと同時に入手してくれたリール・テープがトゥーソンだったのです。とはいえ提供してくれたマニアはシャーロット以上に本リールに対しては懐疑的で、はっきりとした素性も分からないことから「ギフトにでも使えれば」というノリで提供してくれたのでした。つまり提供してくれた側もリールとはいえ大した期待を抱いてなかった。
 ところがどうでしょう、提供されたリールを実際に再生してみたらビックリ。それまでのバージョンのどれをも上回る音質だったのです。まず音源の登場時にリリースされたアイテム群から比べて大幅な音質の向上を遂げているのはもちろん、先のKRW_CO Transferバージョンと比べてもさらにワンランクアップ。その秘訣は本音源の持病である歪みが軽減されたのはもちろん、KRW_CO Transferに残っていた雑味も取り除かれてさらにスッキリ聞きやすくなったことが大きい。
 これは既発盤と聞き比べてもらえれば歴然なのですがイコライズなどではなく、あくまでもリールの状態が良いからこそ。もっとも今回もオープニング「Immigrant Song」開始時における音量の上下、さらには「Whole Lotta Love」メドレー突入時におけるテープの回転ムラもまったく一緒。それでいてこれほどまでに自然なアッパー感を感じさせるということがテープの状態の良さを如実に物語っているのです。むしろ従来と同じ状態でありながら、それでいて音質そのものがはっきり良いという点が今回のリールの素晴らしさを物語っている。
 問題の「Whole Lotta Love」メドレーにおける回転ムラですが、これが主に歌パートでないジミーのテルミン・アクションを中心とした場面で生じていたことは不幸中の幸いでしょう。おかげで当初の状態から何とか聞き流せる状態だったのに対し、今回は可能な限りアジャストを加えましたので、より落ち着いて聞けるようになりました。

 演奏の方はLAフォーラムとロングビーチという西海岸での名演の後だけに悪いはずがない。そもそもツアー最終日ということからプレイヤー三人は極めてリラックスした状態でステージに上がっている様子が伝わってきます。そんな三人がそれぞれに余裕の駆け引きをみせた「Dazed And Confused」は「Walter's Walk」と「The Crunge」それぞれを含んだ72年バージョンの中でも非常に堂々たる展開が印象的。そこに輪をかけてジミーはツアー最終日ならではの弾けっぷりが「Since I've Been Loving You」のプレイで輝きを放っている。
 何よりロバートは自身がハイトーンをメインで歌えたステージ最後の記録がこの日だと言ってよく、当時の新曲「Over The Hills And Far Away」をレコードと同じ旋律で歌ってくれる様はやはり格別。同じことはフィナーレ「Rock And Roll」にも当てはまります。ZEPの大スタンダードと化した曲も本ツアーまではリリース済の曲でありながらレギュラー扱いではなく、まだレパートリーとして固まっていない状態で演奏されているのが極めて貴重。その上でロバートがレコードと同じ旋律で歌うのはもちろん、ジミーのソロが終わらない内に歌い始めてしまうというハプニングが傑作。秋の来日からはオープニングとして完全に定着しますので、未だに初々しさが残る演奏が尊い。
 そしてモノラルかつ大なり小なり歪みのある録音状態ですので、鑑賞方法として推奨したいのは間違いなくスピーカーから。もちろんヘッドフォンで聞けば先に触れた雑味のない鮮度などもはっきり分かるのですが、やはり独特の音質と相まったこの日の演奏の振り切れ具合を楽しむならスピーカーでしょう。ロバートが「Whole Lotta Love」メドレーの中で歌うエルヴィス(このタイミングで回転ムラが収まってくれて本当に良かった)の場面など、熱狂と興奮に包まれた西海岸の勢いが見事に持続したツアー最終日らしい名演であったことを思い知らされるはず。何より72トゥーソンってこんなに音が良かったっけ?

 ★独自入手したリールテープ2本より収録。
 これまでの既発より、圧倒的に音が良く、内容も非常に良い。』

Tucson 1972 Reel Archives (No Label)
 
 Live At Tucson Community Center, Tucson, AZ, USA
 28th June 1972
 [UPGRADE]

  Disc 1
   01. Drone
   02. Immigrant Song
   03. Heartbreaker
   04. Black Dog
   05. Over The Hills And Far Away
   06. Since I've Been Loving You
   07. Stairway To Heaven
   08. Bron-Y-Aur Stomp
   TOTAL TIME (52:29)

  Disc 2
   01. MC
   02. Dazed And Confused
   03. What Is And What Should Never Be
   04. Dancing Days
   TOTAL TIME (38:52)

  Disc 3
   01. MC
   02. Moby Dick
   03. Whole Lotta Love
   04. Rock And Roll
   TOTAL TIME (54:04)

 Since I've Been Loving You
 
 Dazed And Confused
 
 Whole Lotta Love
 


[参考]
 Reel Tape
 

 テープ・チェンジ箇所(メーカー情報から)
  Disc 1
   01. Drone
       ::::
   06. Since I've Been Loving You
   07. Stairway To Heaven
       ⇒ ★11:31 テープチェンジ
   08. Bron-Y-Aur Stomp

  Disc 3
   01. MC
   02. Moby Dick
       ⇒ ★2:17 テープチェンジ
   03. Whole Lotta Love
   04. Rock And Roll

 Hard-As-Knuckles : Tucson 1972 (LZSC-628)
 

1972 North America Tour Dates
 [European warm-up shows]
 May
  27 Oude Rai, Amsterdam, NETHERLANDS
  28 Forest National, Brussels, BELGIUM

 [North America Tour]
 June
  06 Cobo Hall, Detroit, MI, USA
  07 Montreal Forum, Montreal, QC, CANADA
  08 Boston Garden, Boston, MA, USA
  09 Charlotte Coliseum, Charlotte, NC, USA
  10 Buffalo Memorial Auditorium, Buffalo, NY, USA
  11 Baltimore Civic Center, Baltimore, MD, USA
  13 The Spectrum, Philadelphia, PA, USA
  14 Nassau Coliseum, Uniondale, NY, USA
  15 Nassau Coliseum, Uniondale, NY, USA
  17 Memorial Coliseum, Portland, OR, USA
  18 Seattle Center Coliseum, Seattle, WA, USA
  19 Seattle Center Coliseum, Seattle, WA, USA
  21 Denver Coliseum, Denver, CO, USA
  22 Swing Auditorium, San Bernardino, CA, USA
  23 San Diego Sports Arena, San Diego, CA, USA
  25 The Forum, Inglewood, CA, USA
  27 Long Beach Arena, Long Beach, CA, USA
  28 Tucson Community Center, Tucson, AZ, USA


 

 














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Hard-As-Knuckles : Tucson 1972 (LZSC-628)
 
Detroit 1972 (Bonus CD)
 
  ※) 『 Detroit 1972 : 2 Source Mix (No Label) 』 に付属のボーナス・アイテム(過去商品)
Detroit 1972 : 2 Source Mix (No Label)
 
European Warm Up Shows 1972 (No Label)
 
Buffalo 1972 (Gift 2CDR)
 
Live In Charlotte 1972 (No Label)
 
Nassau Coliseum 1972 1st Night (No Label)
 
How The West Was Redone : 2018 Remaster (Gift CDR)
 
Definitive Beach Party (LZSC-027)
 
伝説のライヴ ー How The West Was Won ー <2018リマスター>
 
San Bernardino 1972 (Gift CDR)
 
Seattle 1972 1st Night (Gift CDR)
 
How The West Was Redone:2016 Remaster (Gift CDR)
 
Charlotte 1972 (Gift CDR)
 
Long Beach Arena 1972 2nd Source (Gift CDR)
 
How The West Was Too! (Gift CDR)
 
How The West Was Redone (No Label)
 
Burn Like A Candle (LZSC-011A/B/C)
 
Burn Like A Candle (No Label)
 


#2022-09-27