1970年1月~3月中旬まで行われた英国・欧州ツアー終了後の 3月21日カナダはバンクーバーのパシフィック・コロシアム公演を皮切りに,4月18日アリゾナ州はフェニックスのアリゾナ・コロシアム公演まで行われた春の北米ツアーから,4月9日フロリダ州はタンパのカーティス・ヒクソン・ホール公演をオーディエンスで収録したものです.私的には最近購入したものですが,相応に前にリリースされていたと思います.

 ファンの方ならばご存知だとは思いますが,レッド・ツェッペリンの1970年春の北米ツアー(1970年3月下旬~4月中旬)は音源に恵まれていません.
 因みに 1月~3月中旬に行われた英国・欧州ツアーにはそれぞれジミー・ペイジの誕生日である 1月9日に行われたロイヤル・アルバート・ホール公演やモントルー公演という代表的音源が存在しますが,3月下旬~4月中旬にかけて行われた春の北米ツアーからは『 Pb 』(『 Mudslide 』) を除くと,相応に音の良い音源は殆ど存在しないのが実状でしょう.

 本CDは上述したように4月9日フロリダ州はタンパのカーティス・ヒクソン・ホール公演を収録してはいるものの,当時オープニングを飾った "We're Gonna Groove","Dazed And Confused","Heartbreaker” が未収録であり,且つ幾つかの曲が不完全収録という残念な状況ではあるものの,現存するオーディエンス録音が非常に高音質で,このツアーきってのものと言っても過言はありません.

 そしてこの時期の "How Many More Times" 内で演奏されるロックン・ロール・メドレー(後に "Whole Lotta Love" 内で演奏)を粗々収録しているという点は非常に重要です.(『 Pb 』 は,ラジオ放送用に収録された音源故に高音質ではあるものの,不完全収録であり,ロックン・ロール・メドレーが演奏された "How Many More Times" を含め未収録曲です.)

 それにしても,この時期の "How Many More Times" は導入部にメンバー紹介を含んで徐々に演奏が始まるパターンは,最高に格好良く私的に好きなんですよね.そしてジミー・ペイジが紹介される箇所では,通常はギターで応対するのですが,テルミンを使っているのも珍しいですし興味深いです.

 この時期は上述したように "How Many More Times" 内にロックン・ロール・メドレーを含んでいる関係で,アンコールに演奏される "Whole Lotta Love" は,ロックン・ロール・メドレーなしの単独演奏となりますが,中間部でのテルミン(Theremin)やオルガンによりサイケデリックな雰囲気を出しているのも独特です.

 ファンならば必聴の価値のある音源かと.

 メーカー情報では
 『先週に続き、今回も当店は70年ZEPのライブ音源をリリースいたします。
 それに今回もアメリカ・ツアー、しかし8月から9月にかけてではなく、今回は3月から4月にかけてのアメリカ・ツアーからの音源です。
 このツアーからのもっとも有名な音源と言えば、ツアー初日のバンクーバーでのライブをサウンドボード録音にて捉えた「Pb」でしょう。このメガレアLPのベスト・バージョンをリリースしたのも記憶に新しいところですが、それがライブ完全収録からほど遠い内容だったというウィーク・ポイントだけはいかんともしがたく、その点は未だにオーディエンス録音の力を借りなければいけません。
 とは言っても今回リリースいたします4月9日のタンパ公演ですが、オープニングの「We’re Gonna Groove」から「Heartbraker」までのライブ前半が未収録な上、録音開始以降もいくつかの箇所にカットが散見されるというのがこれまたウィーク・ポイントなのは事実。
 しかし、そんな欠点を補って余りあるのは、このツアーの中でもベストだとマニアに定評の高い音質の良さ。確かにそのクリアネスは別格であり、70年ライブの中でも特にプラントのスクリームが強烈な時期のライブを、何とも見事な状態でキャッチしてくれています。それに会場の臨場感も実に見事なバランスとクリアネスで捉えられており、確かにこのツアーでは疑いなしにベストのクオリティを誇るオーディエンス録音だと断言いたします!

 「ライブ不完全収録」あるいは「カットが散見される」という問題を差し置いても、やはりこの見事な録音状態がモノを言い、以前はいくつものアイテムがリリースされていました。アナログLPなら「MAKUNDJU」、CDなら「WHO'S BIRTHDAY」といった具合に、マニアであればそれらのタイトルを聴いただけでピーンと来るはず。しかしこれらは80年代末から90年代にかけてのことであり、21世紀に入ってからというもの、アップデートされたアイテムが一体存在しないという状態が続いていたのです。
 何しろ不完全な音源は複数の音源を駆使してコンプリートに仕立てる手法がZEPライブCD界においてあまりにもポピュラーとなってしまい、別音源が存在せずに不完全収録かつカットがある、このような音源はいくら音質が良くとも見過ごされてしまいました。むしろ当店がベスト・バージョンをリリースした前日のラレイ公演の方が今ではよっぽどポピュラーな存在かもしれません。

 それに70年最初のアメリカ・ツアーは「Pb」音源も含め、ややマニア好みな時期であるということも要員でしょう。そんな印象が強いからこそ、あるいはここ最近のリマスター世代にこそ聴いていただきたい、隠れた名音源なのです。先にも触れたクリアネスだけでなく、音像の近さもこの録音の大きな魅力であり、これまで70年タンパ公演を聴かれたことがない方であれば「こんな良質な音源が埋もれていたとは…」と間違いなく驚かれることでしょう。
 
 そして先のような録音上の問題を抱えながらも、プラント唯一無比のスクリームを始めとしたZEPの演奏の強烈な素晴らしさはこのツアーならでは。当たり前のように強烈なスクリームを決める70年のプラントでも、この年上半期のワイルドで奔放な歌いっぷりは本当に格別。
 まだリリースどころか録音すら行われていなかった「Since I've Been Loving You」ではペイジのギターとプラントの歌が完全にがっぷり四つとなった強烈さ、これは70年ならではのもの。 「Thank You」でジミーのバック・コーラス(ジョンジーより危うく歌われる感じがジミーではないかと…笑)が被さるという光景もまたこの時期でしか聴かれない場面です。
 そして「How Many More Times」と「Whole Lotta Love」がライブ・レパートリーとして同居する最後の時期でもあります。この頃はまだオールディーズ・メドレーが前者の方で繰り広げられています。後者のメドレーの常連となる「Mess Of Blues」がアップテンポに演奏されるのが「How Many~」バージョンならではで、そこからプラントが「My Babe」に雪崩れ込むのはレアでしょう。極めつけはペイジが弾き出すラヴェル「Borelo」のフレーズ。
このように、不完全収録であっても70年春のアメリカ・ツアーの魅力が凝縮された演奏内容と音質の素晴らしさは掛け値なしに絶品。しかし過去リリースされたアイテムはテープのジェネレーション、イコライズ、そしてピッチなど、何かしら問題を抱えていた状態のままで収録されていたこともあり、それらの問題をすべて解消した今回こそ、音源本来の魅力を出し切った、マスターからの決定版が限定のプレスCDにてリリースされます。これは名演!』

Tampa 1970 (No Label)
 
 Live At Curtis Hixon Hall,Tampa,FL,USA 09th April 1970

  Disc 1
   1. Bring It On Home
   2. White Summer - Black Mountain Side
   3. Since I've Been Loving You
   4. Organ Solo
   5. Thank You
   6. What Is And What Should Never Be
   7. Moby Dick
   TOTAL TIME (59:14)

  Disc 2
   1. How Many More Times
   2. Whole Lotta Love
   TOTAL TIME (31:23)

 Since I've Been Loving You
 
 Whole Lotta Love
 

 本商品の初回ナンバー入りステッカー付きに限って,1970年春の北米ツアー終了後の 4月23日にジミー・ペイジ単独でテレビ出演した際のBBCライヴ映像 『 Jimmy Page : Julie Felix Show 1970 (Special Bonus DVDR) 』 が付属しています.

 収録されている映像は 5分強程度のもので画質も音も相応にクリアなのですが,メーカー情報にもあるように画面がスプリットしているので,コアなファン以外には厳しいとは思いますが,これは単なる付属であることを考えれば何も問題はないでしょう.

 メーカー情報では
 『「Spring 1970 North American Tour」終了直後にBBCテレビ番組「JULIE FELIX SHOW」に出演したジミー・ペイジのアコースティック・パフォーマンスを収録。
 タイムコード入りで画素そのものは悪くないのですが、画面が大きくスプリットしてしまっており、非常に見づらいです。
 公式ホームページでも紹介されている映像ですが、そこの説明でも、これよりベターなクオリティなものは無いようです。但し、音声はライン録音で太くしっかりと収録されているので、「こういうものだ」と判ってみていれば、ストレスなく見ることができます。
 収録曲はWhite Summer / Black Mountainsideで、演奏そのものは大変素晴らしく、ファンは間違いなく必見です。』

Jimmy Page : Julie Felix Show 1970 (Special Bonus DVDR)
 
 BBC TV Lime Grove Studios 23rd April 1970
 PRO-SHOT COLOUR NTSC
 Approx.5min.
 

 Acoustic Performance Of White Summer / Black Mountainside
 On The Julie Felix Show 23rd April 1970
 TOTAL TIME (5:14)

 収録されている映像の一部
  

[参考]
 Pb (No Label)
 

1970 1st (Spring) Tour Dates
 March
  21 Pacific Coliseum,Vancouver,BC,CANADA
  22 Seattle Center Arena,Seattle,WA,USA
  23 Memorial Coliseum,Portland,OR,USA
  25 Denver Auditorium Arena,Denver,CO,USA
  26 Salt Palace,Salt Lake City,UT,USA
  27 The Forum,Inglewood,CA,USA
  28 Memorial Auditorium,Dallas,TX,USA
  29 Hofheinz Pavilion,Houston,TX,USA
  30 Civic Arena,Pittsburgh,PA,USA
  31 The Spectrum,Philadelphia,PA,USA

 April
  01 Boston Garden,Boston,MA,USA
  02 Charleston Civic Center,Charleston,SC,USA
  03 Macon Coliseum,Macon,GA,USA
  04 Indiana State Fairgrounds Coliseum,Indianapolis,IN,USA
  05 Baltimore Civic Center,Baltimore,MD,USA
  06 Fulton County Stadium,Atlanta,GA,USA
  07 Charlotte Coliseum,Charlotte,NC,USA
  08 Dorton Auditorium,Raleigh,NC,USA
  09 Curtis Hixon Hall,Tampa,FL,USA
  10 Miami Beach Convention Center,Miami Beach,FL,USA
  11 Kiel Auditorium,St. Louis,MO,USA
  12 Met Center,Bloomington,MN,USA
  13 Montreal Forum,Montreal,QC,CANADA
  14 Ottawa Civic Centre,Ottawa,ON,CANADA
  15 Winnipeg Arena,Winnipeg,MB,CANADA
  16 Roberts Municipal Stadium,Evansville,IN,USA
  17 Mid-South Coliseum,Memphis,TN,USA
  18 Arizona Veterans Memorial Coliseum,Phoenix,AZ,USA
  19 Las Vegas Convention Center,Las Vegas,NV,USA

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