1972年8月の初来日を果たし,8月15日,16日と大阪フェスティバルホールでの公演,17日には日本武道館での公演を行ったディープパープル.

 この時の公演を収録したライブ・アルバム 『 Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン) 』 は,同年の12月に日本限定でリリースされます.

 この 『 Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン) 』 は,日本限定販売という契約の為,録音,ミックス,ジャケット等,全てが日本人スタッフによって制作された完璧な日本製で,当時ディープ・パープル側は何ひとつとして協力していませんでした.しかし,テスト・プレスを聴いた段階で,余りの出来の良さに驚嘆したディープ・パープル側が,新たにロジャー・グローヴァーによるミックスで,ジャケットも変更し,オフィシャルとして 『 Made in Japan (メイド・イン・ジャパン) 』 としてリリース.

 『 Made in Japan (メイド・イン・ジャパン) 』 は,プラチナ・ディスクを獲得,シングルカットされた "Smoke On The Water" は,アメリカでも大ヒットし,バンドがアメリカでブレイクするきっかけとなった 1枚となりました.

 その後 『 Who do We think We are (紫の肖像) 』 のレコーディングを行いますが,難航を極め,これを境に,メンバー間が不仲に,またツアー・スケジュールに対する不満や,ツアーの連続に伴う肉体的疲労がピークとなり,もはや修復が不能な段階となったディープ・パープルですが,既に決定していたツアーは消化せざるを得ず,1973年6月23日の広島市公会堂を皮切りに,6月29日の大阪厚生年金会館まで 6公演を行う為,2度目の来日を果たします.

 この来日公演のセット・リストは,4月12日カリフォルニア州フレズノのセランド・アリーナ公演から 6月19日ハワイ州ホノルル公演まで行われた,直前の北米ツアー同様に,前年の日本公演と同じセット・リストとなっており,新曲が加えられていない理由は“練習不足だから”と伝えられていますが,これは 『 Made in Japan (メイド・イン・ジャパン) 』 のヒットと,逆に 『 Who do We think We are (紫の肖像) 』 の評判が良くなく,余りヒットしなかった事によるものなのかも知れません.

 この1973年6月の来日公演から,3公演目に当たる 6月25日の日本武道館公演をオーディエンス収録した 『 Definitive Budokan 1973 (Darker Than Blue 249/250/251/252) 』 が,Darker Than Blue レーベルよりリリースされました.

 この日の音源は,2015年11月に 『 Budokan 1973 (Darker Than Blue 199/200) 』 としてもリリースされましたが,今回は,その音源のアップ・グレード盤,および新発掘となる別音源をカップリングして 4枚組としてのリリースです.

 この公演日は,メーカー情報にもあるように,正に衝撃の公演であり,公演終了後に観客による暴動があり,翌日に予定されていた公演が中止になったと言う曰く付きの日です.

 長目のチューニングおよびサウンド・チェックから,何故か 6月にも関わらず,ジョン・ロードが "Silent Night" をプレイ.これが準備ができた事への合図なのか,"Space Truckin'" の終盤部かと間違えてしまいそうなハモンドでの破壊音から始まる "Highway Star" のイントロ. 

 続く "Smoke On The Water" では,何時ものリフの前に,第三期以降で聴く事のできるブルース調のアドリブを弾いており,これは続く "Strange Kind Of Woman" の導入部でも同様で,ここでのアドリブの締めはバッハのロンド風ガヴォット(:Gavotte en Rondeau),それに続く,ハイハットのカウントからの "Strange Kind Of Woman" のイントロは格好良すぎ.

 "Child In Time" での高音部でのイアン・ギランは流石に辛そう.そして演奏終了後 『 Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン) 』 同様,イアン・ギランのシャウトに応える観客の様子も収録されています.

 "Lazy" 前の "Keyboard Solo" では,バロック風の長い演奏に続き,"Camptown Races"(:草競馬),何故かキース・エマーソン・アレンジの "America","Happy Birthday" 等が飛び出し,そしてリッチー・ブラックモアとの掛け合いを経て,"Lazy" へと突入していきます.そして終盤には 『In Rock (イン・ロック)』 収録 "Flight Of The Rat" の歌パート終了後のフレーズを挟み,イアン・ペイスのドラム・ソロへ.

 最後の "Space Truckin'" では,メインフレーズ終了後のインプロビゼーションに入る際に "Jingle Bells" ,終盤部に "Greensleeves",や "Hush" のフレーズ等を聴く事ができます.
 "Space Truckin'" 演奏終了後は,再度,イアン・ギランの雄叫びがあり,その直後からアンコールを望む手拍子も入っていますが,アンコールは行われませんでした.バンド側がアンコールをしなかった事に不満を持った一部ファンが暴徒化し,アリーナ席のパイプ椅子を破壊,窓ガラスを割ったり等,結局,翌日の公演は中止となってしまいます.

 バンド側は 「 観客がライヴを楽しんでいないようなので,アンコールは演らなかった 」 というコメントを出していますが,観客の反応も良いので,真の理由は演奏中に花火(爆竹)を投げ込まれた事に起因しているのだと思います.
 このCDの中では場所の特定はできませんが,一説によると "Smoke On The Water" 演奏中等に,花火(爆竹)が投げ込まれた模様.

 この来日公演後に,イアン・ギランとロジャー・グローヴァーが脱退する事が決まっていた事を,当時の観客は知る由もありません.
 そして日本最終公演,つまり第二期のディープ・パープルとして最後の公演である 6月29日の大阪厚生年金会館では "Space Truckin'" 演奏後に,イアン・ギランが 「 This Is The Last Night.The End. 」 (『 "The End" (Darker Than Blue 201/202) 』 等で確認できます.)と言ってステージを去ります.

 既に脱退が決まっており消化公演的に捉えられがちな日本公演ですが,1曲目の "Highway Star" から演奏も素晴らしく,とても消化公演とは思えません.そこは流石にプロ.

 Disc 1,2に関しては,音像は多少遠く,歪みはあるものの,1973年という録音時期を考えれば,非常に高音質なオーディエンス録音です.
 既発にあった "Child In Time" の 3分33秒等にある元マスター劣化に起因するであろうテープのヨレは存在しません.些細なところですが "The Mule" の01分18秒のカットに伴うテープの切り貼りは既発と一緒ですが,全体を通して楽しめます.
 Disc 3,4に収録されている Recorder 2 は,今回新たな発掘となった訳ですが,Disc 1,2 に収録されている Recorder 1 と比較すると,正直音質は悪い状況なので,単体での発売は厳しく,このようなカップリングでの発売が最善です.とは言ってもギターとオルガンは割と前面に出ており楽しめます.

 しかし 44年を経過した今,新たなソースの発掘は正直びっくりです.

 1972年の初来日に比較すると多少売れ行きは悪いものの,告知10日弱で100枚
 「 8/25 ★ディープ・パープル「DEFINITIVE BUDOKAN 1973」のナンバー入りシール・ステッカー付きは完売致しました。お問合せ多数の為、急遽20セット(No.101~120)を用意させて頂きました。

 メーカー情報では
 『衝撃の新発掘シリーズ、真打ちの登場です。
 今週は“運命の1973年”から3本ものライヴアルバムが同時リリースとなりますが、その中でもド級の1本。あの“暴動の夜”として知られる「1973年6月25日:日本武道館」公演の一大決定盤です。
 何よりも衝撃的なのは、本作は初公開の新音源入り(!)の2種同時発掘ということ。先週・今週の発掘シリーズは、いずれも新登場のマスターとは言え、録音自体は既発と同じものでした。しかし、本作は「既発と同録音の新マスター」をディスク1-2に、「新登場録音」をディスク3-4に配した4枚組なのです。
 もちろん、この2種は別録音ですからテープチェンジ等の欠けパートも異なる。そこで、新発掘だけでなく2種の相互補完による完全版にもなっているのです。
 その中身が気になるところですが、今週は“1973年の日本”から3本も同時リリース。その整理の意味も含め、各日の代表作をまとめておきましょう。

   ・6月23日:広島市公会堂 『DEFINITIVE HIROSHIMA 1973』
   ・6月24日:名古屋市公会堂 『DEFINITIVE NAGOYA 1973』
   ・6月25日:日本武道館 【本作】
   ・6月26日:日本武道館(中止)
   ・6月27日:大阪厚生年金会館 『FINAL BLACK』
   ・6月29日:大阪厚生年金会館 『"THE END"』
   (※各日とも代表プレス・タイトルのみ)

 【ディスク1-2:さらに長くなった暴動マスター】
 まず登場するのは、既発と同録音ながらさらにグレードアップした新マスター。
 この日の決定盤と言えば、大暴動も収録した衝撃作『BUDOKAN 1973(Darker Than Blue 199/200)』ですが、本作はそれと同録音。しかし、さらに長く、サウンドも素晴らしい別マスターなのです。
 まず、再生して驚くのはサウンド。既発からして“1973年日本のベスト・サウンド”と激賞された極上録音なのですが、本作はさらにナチュラルで極太の楽音。何よりも素晴らしいのは、ノイズが極小なクリアさ。『BUDOKAN 1973』でも破格ではあったものの、流通の過程で弱音部を上げるようなダビングがあったらしく、静かなパートではヒスノイズや低音のハムノイズが目立ってもいました。そのため、ダイナミックに展開する曲では妙な違和感もあったのです。
 分かりづらい表現になってしまったので具体例。既発をお持ちでしたら「Space Truckin’」の18分台を聴いてみてください。しずーかに緊張感を高めて一気に爆発!となるのですが、この静寂で「シー」というヒスが大きくなるのが分かると思います。そこに演奏がドカン!と入ってくると、ヒスが消える。これにより、まるでテープが切れているように聞こえるのではないでしょうか。ところが、これはシームレスな演奏。今回のマスターにはこうした不自然なボリューム加工がなく、弱音部は弱音のまま。ドカン!と入ってきても極めてナチュラルに第2期の爆発力を浴びられるのです。もちろん、これは1つの例であって、ここだけが凄いわけではありません。全編に渡ってナチュラルでクリアなサウンドが目一杯、詰まっているのです。
 さらに衝撃なのが、長くなったパート。そのパートというのが、他でもない“あの”大暴動シーンなのです。『BUDOKAN 1973』では「Space Truckin’」の終演後にテープは一度停止。その後、約50秒ほど暴動シーンが記録されていましたが、本作は2分17秒も収録されているのです。
 しかも、長いだけでなく中身も凄い。『BUDOKAN 1973』でもパイプ椅子がぶつかるような破壊音が聴けましたが、その後はもっと凄まじかった。女性が悲鳴にも似た絶叫(言葉が聴き取れないと言うより、言葉になってない)を上げると会場全体がどよめき、ガラスの割れる音、バン!という破裂音、思い物がぶつかっているドン!という衝撃音……。さらにはバンドに怒っているのか、暴徒に叫んでいるのか、野太い怒号までもがしっかりと記録されているのです。あの凍り付くようなドキュメントを更にリアルに、さらに長く体験できるのです。

 【ディスク3-4:初登場の新録音】
 何とも凄まじい新マスターでしたが、さらに衝撃的なのはディスク3-4。こちらはアップグレードではなく、初公開となる新録音です。
 さすがに「1973年日本のNo.1」と謳われた名録音(ディスク1-2)には譲るサウンドなのですが、それは相手が“頂点”なのだから仕方ない。この録音も充分に素晴らしいヴィンテージ・オーディエンスなのです(そうでなければ、カップリングでプレス化などしません)。
 何より嬉しいのは、リッチー・ブラックモアのギターとジョン・ロードのオルガンが極太でディテールも鮮明なこと。特に曲間や極弱音のパートでつま弾かれるギターを大きく拾ってくれている。名録音でさえ不鮮明だったパートも、はっきり聴くことができるのです。
 また、先述もしましたが別録音だけにカット・ポイントが違うのも大きい。ディスク1-2のカット・ポイント「The Mule」のテープチェンジ部分(約33秒)はこちらから補完しています。逆に、こちらのカッ・トポイント(開演部分/「Child In Time」中間部11秒/「The Mule」終演後の曲間30秒)はディスク1-2のマスターで補完しています。残念ながら初登場マスターには暴動シーンは含まれていませんでしたが、「Space Truckin’」終演後は10秒ほど長く収録されています。

 やたら細かい話が多くなってしまいましたが、それもこれも「6月25日:日本武道館」があまりにも歴史的だからに他なりません。あの大暴動をさらに長く収録した新マスターと、新たに姿を現した初登場マスター。そして、それぞれに衝撃的ながら相互補完によって実現した完全版……。今回の新発掘シリーズでも、間違いなく最大・最強の重大作となる一大巨編。どうぞ、刮目してご体験ください。』

Definitive Budokan 1973 (Darker Than Blue 249/250/251/252)
 
 Live At Budokan,Tokyo,JAPAN 25th June 1973

[Recorder 1]
 Disc 1
  1. Intro.
  2. Highway Star
  3. Smoke On The Water
  4. Strange Kind Of Woman
  5. Child In Time
  TOTAL TIME (45:16)

 Disc 2
  1. MC
  2. Keyboard Solo
  3. Lazy
  4. Drum Solo
  5. The Mule
  6. Space Truckin'
  7. Riot
  TOTAL TIME (46:12)

[Recorder 2]
 Disc 3
  1. Intro.
  2. Highway Star
  3. Smoke On The Water
  4. Strange Kind Of Woman
  5. Child In Time
  TOTAL TIME (45:17)

 Disc 4
  1. MC
  2. Keyboard Solo
  3. Lazy
  4. Drum Solo
  5. The Mule
  6. Space Truckin'
  TOTAL TIME (44:06)

 Ian Gillan : Vocal
 Ritchie Blackmore : Guitar
 Jon Lord : Keyboard
 Roger Glover : Bass
 Ian Paice : Drums

 [Recorder 1]
 Smoke On The Water [Disc 1,Track 3]
 
 Lazy [Disc 2,Track 2]
 
 Riot [Disc 2,Track 7]
 

 [Recorder 2]
 Highway Star [Disc 3,Track 2]
 
 Smoke On The Water [Disc 3,Track 3]
 
 Highway Star [Disc 3,Track 2]
 

[参考]
Deep Purple 1973 Japan Tour Dates
 June
  23 Hiroshima-shi Kokaido, Hiroshima, JAPAN
  24 Nagoya-Shi Kokaido, Aichi, JAPAN
  25 Budoukan Hall, Tokyo, JAPAN
  26 Budoukan Hall, Tokyo, JAPAN (Cancelled)
  27 Kouseinenkin Hall, Osaka, JAPAN
  29 Kouseinenkin Hall, Osaka, JAPAN

 終演後の会場(:ネットからの頂き物)
 
 

 Budokan 1973 (Darker Than Blue 199/200)
 

Live In Japan
(Deluxe Edition)




Live In Japan
Documentary DVD




Made in Japan
(Deluxe Edition)




Who do We think We are
(紫の肖像)




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