あいさつするな! | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

何のとりえもない平凡で臆病者の神経質者が語る森田的生き方ブログです。

テーマ:

Y嬢は、中堅企業に勤めるOLです。彼女はどちらかというと、仕事よりも私生活を重視するタイプで、以前勤めていた会社では、なるべく早く自分の仕事を終えて、定時で上がることを旨としていました。

今勤めている会社も、一応自分の仕事が終わったら定時で上がることになっているのですが、なぜか定時になっても皆さん帰ろうとしないのです。

「退社時刻過ぎているのに、周りの人が仕事をしているのに、自分だけ帰るのは気まずい」

「上司が残業していると、何となく帰りづらい」

こんな思いをかみしめながら、Y嬢は今日も仕方なく仕事をしている「フリ」をしているのです。

 

 

ここ数年で、働き方改革の流れで、長時間労働が見直されるようになりました。とはいうものの、現実的にはまだまだ「サービス残業」が後を絶ちません。自分の仕事が終わっても、周りが残業していれば、「自分だけ定刻でサクッと帰るのは勇気がいる」という声を良く聴きます。

本音は早く帰りたいものの、上司や先輩、同僚がまだ仕事に励んでる場で、自分だけ退社するのは気が引けるものです。

「俺たちの手伝いもせずに、一人帰るつもりか!」

「お前だけずるいぞ・・」

という周りからの声が聞こえそうで、つい残業をしているフリをしてしまいます。そういうフリをしているうちに上司から、「悪いけど、これを今日中に頼む」などと言われたりして、本当の残業になってしまったりするのです。

 

良くビジネスマナーの本などを見ると、

「退社する時は、上司や周りの人に『お先に失礼します』と挨拶してから、席を立つこと」というようなことが書いてあります。

ですが、このマナー通りにやろうとしても、先に帰ることには変わりありません。ならば、先に感じたような不安、

「生意気だと思われるのでは・・」

「頑張れないやつだな・・と思われているのでは」

という不安は消えないと思うのです。

それが嫌さに、Y嬢のように残業するふりをするのも、プライベートの時間が無くなってしまうので、ストレスになってしまいます。

周りから反感を買うことなく、定時になったらスマートに退社できる方法はないのでしょうか。

 

 

ここで種明かしをしますと、

「先に帰ったら、生意気なやつだと思われる・・」

「上司より先に帰ったら、嫌われてしまう・・」

とするのも、考え方の癖なんです。このような考え方のもとには、

「残業するほど頑張って会社に貢献しなければ、排除される」

という恐ろしい思い込みが存在しています。

しかし決められた時間に帰るのですから、就業規則には違反してないし、当然、罰せられることもありません。

むしろ会社にとっては、余計な残業代を出さなくてよいので、早く帰ってもらう方がメリットが多いのではないでしょうか。

試しに一度、実験として定時で上がってみることをお勧めします。ただし条件があります。それは・・

「挨拶せず、無言でスーッと姿を消すように退社する」のです。

 

マナー本にあるように、「お先に失礼します」と挨拶するのは、わざわざ「これから私は帰りますよ」とみんなにアピールしているようなものです。わざわざ同僚の作業の手を止めさせて「お疲れさまでした」と言っているわけです。これって結構気が引けますよね。

事務職ならともかく、現場作業をしている人は作業に夢中になっているので、他人の気配に気づきにくいのです。また、ちょっとでも注意がそれると大事故につながるような危険な機械もあるので、そういう状況で「挨拶」をすることは、ある意味非常に危険な行為であるわけです。

無言で帰ると、慣れるまではドキドキするかもしれません。しかし翌朝出社してみると、いつもと何も変わっていないことに気づくはずです。そうなれば一気に気が楽になるでしよう。

 

 

そうなんですよ。

あなたが定時に帰ったところで、マイナスな事は何一つ起きないのです。会社が不利益を被るわけではありませんし、上司や先輩から冷たくされることもありません。

これを繰り返していくことで、次第に先に帰ることに対する罪悪感やうしろめたさは軽減していくことでしょう。

そのころには偏った考え方の癖も、改善されて、毎日がもっと楽しく働けるようになるはずです。

 

ある程度以上の年代、少なくとも今の40代以上は、「挨拶はしっかり、面と向かって大きな声で行いましょう」と指導されてきたと思います。。したがってこの世代が早く上がろうとすると、何が何でも上司に挨拶していかなければ・・と言う思い込みに縛られることになります。

上司がすぐそばにいれば良いのですが、どこにいるかわからないとき、放送で呼び出すのも気が引けます。いる場所がわかっていても、電話で済ますのも申し訳ないような気がします。勢い上司の姿を求めてあちこち広い会社内を探し回ることになります。

挨拶するだけで、「一仕事」です。

 

余談になりますが、今の20代以下の世代は、「知らない人には挨拶しないように」という指導を受けているそうです。事件に巻き込まれる恐れがあるからです。私の世代から見ると寂しい思いがしますが時代の流れなのかもしれません。

今から数十年後、挨拶という習慣はすたれてしまうかもしれません。そんな世の中って、今より煩わしさがなくなって、快適になるんでしょうか。それとも・・

 

参考・・・『自分を大切にする考え方』、『心のクセのなおし方』