「寛容」と言う概念のベースには、「ネガティブ・ケイパビリティ」の考え方があると書いてみました。しかしもう一つ大切な概念があります。それは「共感」です。共感もまだネガティブ・ケイパビリティ」なしには考えられません。
韓国の精神科医イ・ホコンは、「人間の最高の財産はエンパシー(共感)である」と述べています。
人は生物として共感の土台に恵まれていますが、それをもっと強くするために不断の教育と努力が必要だと言うことです。
寛容が不足すると、共感も失われます。そして行き着く先は「戦争」です。そうなる前に、対立する相手との「共感」を築いていきましょう。しかしそれはとても難しいことです。
しかし緊張をはらんだ人間関係の中にこそ、共感は必要なんです。
私たちは敵対する相手には、共感しないような構えを作っています。「うかつに共感したら負けだ」「あんなひどい奴は許すわけにはいかない」と考えているのかもしれません。
これほど敵対する相手への共感は難しいのです。あなたは相手に怒りを感じているでしょうし、相手をやっつけることしか頭にないのかもしれません。相手の言うことはすぺて訳の分からないものに感じるかもしれません。
しかしそんな時だからこそ、しばしの間でいいですから、相手の視点に立ってみましょう。其れはとても勇気のいることかもしれません。しかしこれだけは覚えておいてください。相手に共感することは、あなたの正当性を否定するものではありません。
ある男性は妻から、「お金が足りない、節約してね」と言われています。そういわれると自分の稼ぎが少ないのを指摘されているようで、とても不快になります。俺は一生懸命家族のために働いているんだ、なんでそんなことを言われなくちゃならないんだ。と言う思いでいっぱいだから、つい妻と言い争ってしまいます。
けれどもこの男性はあるカウンセラーからアドバイスを受け、妻の視点に立ってありのままの妻の気持ちに寄り添うようにしてみました。
するといつもの妻の「お金が無い」と言う訴えに、妻が感じている子供たちや良心の将来についての不安が、初めて伝わってきたのです。
そこで彼は、「そうか、将来のことが不安で、お金のことが心配になってくるんだな。でも何とかなるよ。僕も節約してみるからさ」と素直に言うことが出来たのです。
この時妻から帰ってきた反応は、驚くべきものでした。
「あなたを責めるつもりはなかったの。私余裕が無くて、お金のことばかり言ってしまって、・・・ごめんなさい」
彼はこの言葉に心を動かされたのでした。
参考および引用・・・「共感の技術」、「精神科医の話の聞き方」