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シルビア:……何が どうなったの?
……ここは いったい どこ?

アリス:シルビアねえさん ここにいたんでがすね。


シルビア:ええ……ちょっと 深呼吸をしたくって。
船室で じっとしていると
イヤなことばかり 考えてしまうから……。

アリス:元気を出してくだせえ。
シルビアねえさんの 悲しそうな姿を
あっしは もう 見てられないでがすよ。

シルビア:あの日……魔王ウルノーガの
すさまじいチカラの前に なすすべもなく
アタシは もう死んだと思ったわ……。
でも アタシは まだ生きていて
目を覚ましたら 世界は 闇におちていた。
…………。
アリスちゃん アタシ 不安で仕方ないの。
助かったのは アタシだけで
みんなは……主人公ちゃんたちは
もう いないんじゃないかって……。

アリス:ねえさん。失礼するでがす……。

アリス:あの人たちは! ねえさんの仲間は!
魔王なんかに やられちまうような
ヤワな人たちなんえげすか!?
……皆さんを 信じてやれるのは
一緒に旅をして 世界のために戦ってきた
シルビアねえさんだけなんでがすよ!

シルビア:……ありがとう アリスちゃん。

シルビア:アタシが こうして 生きているんだもの!
主人公ちゃんや 他のみんなも
どこかで 生きているかもしれないわ!
……いつまでも メソメソしていられない!
あの子たちに会った時 はずかしくないように
アタシ……がんばらなきゃ!

アリス:それでこそ シルビアねえさんだ!
あっしは どこまでも お供するでがすよ!

シルビア:そうと決まれば 行動あるのみよ。
まずは 近くの町へ船を泊めて
世界の様子を この目で確かめましょう。
……こんな 暗い世界だからこそ
アタシたちにしか できないことが
きっと 何か あるはずよ!

アリス:ここから いちばん近い町といえば
……港町ダーハルーネでがすね。

シルビア:あら ちょうどいいじゃない。

シルビア:それじゃ ダーハルーネの町を目指して
シルビア号 全速前進!

アリス:がってん!
 



シルビア:……そこの しょんぼりボーイさん。
どうしたのかしら?

イッテツ:あんた 見たところ 旅芸人か何かだろ?
金が欲しいんなら 他をあたりな。
……俺は 今 一文なしだぜ。

シルビア:あらっ それはダメよ。
しょんぼりした人を ひとりにしないのが
アタシのポリシーなの。

イッテツ:…………。

シルビア:悩みがあるなら アタシに話してちょうだい。
すこしは 心がラクになるかもしれないわよ?

シルビア:やっと 目があったわね。
アタシは シルビア。
お察しの通り 旅芸人よん。

イッテツ:俺の名前は イッテツ。
ホムラの里から来た 鍛冶職人だ。
……情けない話になるが 聞いてくれるかい?

イッテツ:俺は 長い鍛冶修行の旅を終えて
故郷のホムラの里に 帰るところだった。
……だが その矢先 命の大樹が落っこちてな。
故郷に残した おっかさんのことが心配で
なんとか この町まで たどり着いたんだが
俺の運も そこまでだった……。
最近 この町に現れた盗賊団
ドテゴロ一味に 荷物を盗まれちまったのさ。
ホムラの里へは 丸腰で戻れる道のりじゃねえ。
……それによ あの荷物の中には
スズランが入ってたんだ。
もし もう一度 おっかさんに会えたら
苦労ばかりかけちまった せめてもの おわびに
あのスズランを 渡すつもりで……俺は……

シルビア:……お母さまへの アナタの気持ち
痛いほど 伝わったわ!
アタシたちが ドテゴロ一味とやらをこらしめて
荷物とスズランを 取り返してあげる!
そいつらが どこにいるか 教えてちょうだい!

イッテツ:ド…ドテゴロ一味なら 町の南側にある
値下げ合戦で有名な 商人兄弟のアニキの店で
暴れていたような気がするが……。

シルビア:ありがと! すぐに戻るから
イッテツちゃんは ここで待っていてね。
さあ アリスちゃん 行くわよ!

イッテツ:ダ…ダンナ。気持ちはうれしいが やめときな。
あらくれ者ぞろいの ドテゴロ一味に
ただの旅芸人が かなうわけねえじゃねえか。

シルビア:そういうことなら 安心なさい。
アタシたち こう見えても
ちょっとだけ ウデに覚えがあるのよ♪
 


 

ダーハルーネの町


ドテゴロ:おいおい ダンナ ジャマしないでくれよ。
オレたちゃ この店の店主と お話中なんだ。
用がねえなら さっさと失せな。

シルビア:アナタたちが 盗賊団 ドテゴロ一味ね?
イッテツちゃんから盗んだ 荷物を
今すぐ 返してちょうだい。

ドテゴロ:ははっ 盗賊団に向かって 獲物を返せとは
ずいぶんと おもしれえ野郎じゃねえか!
……だが その頼みは聞けねえな!
しょせん この世は弱肉強食だ!
荷物を返してほしけりゃ
チカラずくで取り返してみやがれ!
 



シルビア:ちょっと 失礼。

シルビアは イッテツの荷物を 取り返した!

アリス:ところで シルビアねえさん。
こいつらは どうするでげすか?

シルビア:盗賊団なのに 武器の扱いも 戦い方も
危なっかしくて 見ていられなかったわ。
アナタたち なぜ こんなことをしているの?

ドテゴロ:……オレたちは もともと 海の男だ!
誰も 好きこのんで
盗っ人なんか やってるんじゃねえ!


ドテゴロ:命の大樹が 落ちてからというもの
海には魔物が あふれかえって
港は ほとんど 閉鎖状態になっちまった。

モレオ:……生活は 日に日に苦しくなって
今じゃあ 1日の食事にだって
満足に ありつけねえ ありさまさ。

ドテゴロ:あの日から 世界も……人も……
すべてが 変わっちまった。
家族を失い 助けてくれるヤツもいねえ。
……それなら オレたちも変わるしかねえ。
もう 盗賊にでもなって
生きていくしかねえじゃねえか!

シルビア:さあさあ 皆様 お立会い!
わたくしめが 手にしているのは
かたくて するどい 鋼鉄のヤリ!!

シルビア:はっ!!


シルビア:……焼きたてを どうぞ 召し上がれ。


シルビア:親分ちゃんも こわいカオは やめなさいな。
お腹が いっぱいになったら
忘れてしまった笑顔を 思い出してみて。

ドテゴロ:……待ってくれ!

ドテゴロ:アンタは いったい……!?

シルビア:ただの しがない 旅芸人よん。
 



イッテツ:……よかった スズランも無事だ。

イッテツ:これで おっかさんの所に帰れそうだ。
シルビアさん 本当に ありがとよ。
今は こんなものしかねえが 受け取ってくれ。

シルビア:あら ありがとう イッテツちゃん。
大切に使わせてもらうわね。

イッテツ:あとで ホムラの里に寄っておくんな。
その時には もっと ちゃんとした
お礼の品を 作らせてもらうぜ!
それじゃあ 俺は行くよ。
シルビアさんなら 大丈夫だと思うが
道中 気をつけてな。

アリス:シルビアねえさん? どうしたんでげす?

シルビア:……今のアタシに できること 見つけたわ!
アタシ ずっと考えていたの。
世界中のみんなが 苦しんでいる この時に
自分には 何ができるのかって……。
その答えが 今 わかったの!
……アタシ 人助けの旅に出るっ!
ひとりで 世界を救うことは できなくても
小さな人助けが集まれば いつの日か
世界を救うことが できるかもしれないもの!

アリス:……さすがは シルビアねえさんだ!
あっしは どこまでも お供するでがすよ!

ドテゴロ:……話は 聞かせてもらったぜ!


アリス:さっきの盗賊団……!
あっしらに なんの用でげすか!?

ドテゴロ:ダンナ……アンタと出会って 目が覚めた!
オレたち 自分を見つめなおしたいんだ!
……アンタの旅に 同行させてくれ!

シルビア:無事に戻れるかも わからない 厳しい旅よ。
……覚悟はできているの アナタたち?

ドテゴロ一同:もちろんだ!

シルビア:……アタシ シルビアっていうの。
これから よろしくね みんな!

新たな仲間が 3人加わった!

シルビア:それじゃあ ドテゴロちゃんたちに
とっても いいものをあげる。
ひとり 1本ずつ 手に持ってちょうだい。

シルビア:いや~! みんな とっても似合うわ~!

アリス:シルビアねえさん これは!?

シルビア:イッテツちゃんにもらった プレゼントよ♪
どうせ 旅をするなら すこしでも
にぎやかなほうが 楽しいじゃない♪

シルビア:……うふふ♪ これで 準備はカンペキね。
それじゃあ まずは この辺りの土地を回って
元気のない子たちを 助けてあげましょう!

シルビア:シルビアの世助け大作戦へ しゅっぱ~つ!

一同:おおーっ!

 

 

 

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