冥界


ニマ大師:あらあら よるべなく さまよう
哀れな魂が また ひとつ……
この世の果てに 流れついたようだね。
カオを見てみりゃ まだ 若い。
こんな子が 冥府に落ちるなんて
ホント 神も仏も ありゃしないよ。
ずいぶん 呆けたカオしてるけど
アンタ 自分が これから
どんな運命をたどるか わかってるのかい?

ニマ大師:あーあ 哀れなもんだよ。
あの世に来ただけじゃなく これから待ちうける
苦しみさえ 何ひとつ知らないんだから。
仕方がないねえ 無知なアンタに
この冥府について 少し教えてやろうか。

ニマ大師:なあ にぶいアンタでも わかるだろう。
見ての通り この世界には 何もない。
……そう ここは 無の世界なんだ。
本来 冥府へ いざなわれた魂は
新しい命として 再生するために
大樹へ向かうんだけどね。
魔王によって 大樹が 失われた今
冥府は 完全な 無の世界になった。
哀れな魂の行き場は 永遠に失われたのさ。
…………だから アンタの魂は
もうすぐ この虚無の中で 消えちまうんだよ。
大樹による生命の循環は 絶たれ
やがて すべての命は 消え去る運命にある。
魔王がいる限り これは変えられない。
くやしいだろうけど あきらめな。
もう どうしようもないんだよ。
すべての命の源 大樹の魂を手に入れた
魔王に敵う者がいると思うかい?
いるわけないよねえ。
……でもさ そんな魔王に
逆らおうとしているヤツらが いるらしい。
ホント どいつも こいつも
往生際が悪いったらありゃしないよ。
 



ニマ大師:ふふ……ロウが この世をはかなんで
死んだとでも思ったかい?
とんでもない……逆さ。
アイツは あきらめてなんかいないよ。
魔王をぶちのめすことをね。
ロウ……アンタのじいさんは
郷の奥義を習得するために 決死の覚悟で
死んだ あたいに 会いに来たんだ。
もう あたいが 誰だか わかっただろう?
……そう ロウの師匠であり
アンタの師匠になるはずだった ニマだよ。
……あの魔法陣が 見えるかい?
ロウは 身体に魔力をまとって 舞い踊り
魔法陣に 大樹の紋様を描いてるんだ。
それが 奥義習得の修行ってわけ。
ここに来てから ヤツは ずっと踊り続けてる。
身体が 自由に動くトシでもないのに
ホント無茶するよ。
見てな。あの魔法陣が 完成したとき
ロウは 奥義を会得するよ。

ニマ大師:ロウ!! 甘ったれるな!
また お尻をたたかれたいのかい!?

ロウ:ぬぅぅおおおおおおお!!
おんどりゃあああああ!!

ニマ大師:あのヤロウ やりやがったね。
たまには かっこいい姿を見せんじゃないか。

ロウ:うひゃひゃひゃー!!
大師さま ついに やりましたぞ!
わしの勇姿を見ておられましたか!?

ニマ大師:根性なしのアンタにしちゃ
がんばったじゃないか。
しょうがないから ほめてあげるよ。

ロウ:なっ ななな なんと!
大師さま 今 わしのことをほめましたな!
わしのこと ほめましたよねえ!?
おひょひょーい!
大師さまに ほめられるとは 何十年ぶりか!
その言葉だけで ごはん10杯はイケますぞ!

ニマ大師:……はあ アンタ 調子に乗りすぎて
大事なものを見落としてるんじゃないかい。
横を見てみな。

ロウ:お…おぬしは……主人公!?
おお 主人公よ!
死んでしまうとは なにごとじゃ!

ニマ大師:落ち着きな ロウ。
早とちりするのは アンタの悪いクセだよ。
主人公は……生きてる。

ロウ:なっ なんですと! 生きていると!

ニマ大師:そいつはね お前が 死んだと思って
現世から アンタを助けにやってきたんだよ。

ロウ:そうか……そうか……
まったく危険なことをしおって……。
わしなら もう大丈夫じゃ。
さあ 行こう。奥義を会得した わしと
勇者のおぬしがいれば もう恐れるものはない。
現世へ戻って 憎き魔王をぶちのめすのじゃ。

ニマ大師:おっと 待ちな。どこへ行くんだい?

ロウ:大師さま たいへん お世話になりました。
修行も終わったことですし
我々は 元の世界に帰ろうかと……

ニマ大師:修行は まだ 終わってないよ。
……主人公 アンタの修行がね。
さあ こっちに来な。

ニマ大師:さっき ロウが放った技こそ
ドゥルダの奥義……グランドクロス。
あの技は 神話の時代
勇者ローシュの仲間のひとり
ウラノスによって 編みだされた技だ。
そして アンタに教える技は
グランドクロスにも
引けを取らない大技……覇王斬さ。
なんてったって 覇王斬は ローシュが
初代大師 テンジンとの修行の中で
編みだした 空前絶後の秘奥義だからね。

ロウ:なるほど。わしが ウラノスさまの技を覚え
おぬしが ローシュさまの技を覚えれば
向かうところ 敵なしじゃな。

ニマ大師:でもね 覇王斬は
郷に受け継がれながら ローシュ以外には
誰も 習得することができなかった。
その技を わずかな時間で
覚えようってんだから 当然
修行は とんでもなく厳しいものになる。
主人公 どんなに
つらく厳しい修行が 待ちうけていても
それに耐える覚悟が アンタに あるかい?

ニマ大師:いい返事だね。
それじゃあ さっそく覇王斬の修行を始めるよ。
覇王斬は 使用者が 自身の魔力を
刃の形にして放つ技。さあ 手を前に出し
剣をイメージして 魔力を集中させな。

ニマ大師:ま 最初は そんなもんだろう。
というわけで……あとは 実戦で
技を磨いていくとしようかね。

ロウ:それでは まさか 大師さまと……
いや しかし それは早すぎませぬか……。

ニマ大師:はあっ? なに言ってるんだい。
主人公の相手は お前だよ。
お・ま・え。

ロウ:……えっ!? なっ なんと!
わしが 主人公と戦うのですか!?

ニマ大師:さっき 奥義を覚えた お前ほど
ピッタリな相手は いないだろ。
ユグノア王家の血を引く者同士の戦い
こいつは 見物だね。
じゃあ 準備ができたら あたいに言いな。

ニマ大師:主人公
ロウと戦う準備は できたかい?

ニマ大師:じゃあ ちょっと 待ってな。
修行のために ロウに チカラを貸すからね。

ロウ:うおおぉぉ パワーがみなぎる!
若き日のチカラを取り戻したようじゃ!
今なら 大師さまにも勝てそうじゃわい!

ニマ大師:いいかい ロウ! 手加減は いらないよ!
全力の グランドクロスを使って
主人公を いたぶってやんな!

ロウ:がってん承知ィ!

ニマ大師:主人公! アンタは
ロウの猛攻に耐え 隙を見つけたら
覇王斬を ロウに お見舞いするんだ!
それを繰り返すうちに 覇王斬は
どんどん 威力が増していく。
そうやって 覇王斬を完成させてみな!

ロウ:では ゆくぞ 主人公!
ありったけのおぬしを見せてみい!
 



ニマ大師:いいねえ いいねえ!
主人公 よくやった!
わずかな時間で 覇王斬を習得できるか
内心 心配していたけどさ
どうやら とりこし苦労だったようだね。

主人公は 覇王斬を習得した!

ニマ大師:いいかい? あの光の剣の強さは
アンタの心の強さ。あの剣を鍛えあげるんだ。
決して 折れない 強き剣に。
そうすれば アンタは
どんな困難にも 立ち向かっていけるよ。
じゃあ ロウを起こすとするか……。

ロウ:奥義を覚えた わしを倒すとは……。
まさか おぬしが ここまで
成長しているとは思わなんだぞ。

ニマ大師:主人公 つらい修行から逃げずに
よくがんばったね。これで もう
アンタは あたいの立派な弟子だよ。

ウルノーガ:見つけたぞ……



ロウ:そっ その声は まさか!?

ニマ大師:魔王 ウルノーガ!!

ウルノーガ:死滅した世界で はいずり回る 虫ケラどもよ
ここで 滅ぼしてくれよう……

ニマ大師:いけない!

ニマ大師:ちぃっ 魔王め! とうとう
この冥府にまで その触手をっ!
ヤツのチカラを ちょっと甘く見過ぎてたか!

ニマ大師:ああ もう! 教えたいことが
まだ残ってるってのに 忌々しいヤツだ!
でも こうなったら 仕方ないね!
この場で アンタたちに 最終奥義を授けるよ!

ロウ:さっ 最終奥義!?
わしが覚えた技 グランドクロスこそが
ドゥルダの奥義ではなかったのですか!?

ニマ大師:それは 違う! ローシュとウラノスが
協力して放つ合体技。それこそが
初代大師が 考案した 真の最終奥義だ!

ニマ大師:さあ ふたりとも 覚悟は いいかい!?
はるかなる時を越え
もう一度 伝説を繰り返すんだ!
アンタたちが放つ 最終奥義!
それを あたいの冥土の土産にさせておくれ!

ウルノーガ:させるか!

ニマ大師:あたいの掛け声に合わせて 技を放ちな!
チャンスは 一度きりだよ!
ロウ! ありったけのチカラを込めて
空に グランドクロスを打ちあげるんだ!

ロウ:ぬぅうあああああっ!!

ニマ大師:主人公! 今だ 覇王斬を!

ニマ大師:この技こそ ドゥルダに伝わる
真の最終奥義…………
グランドネビュラだ!!
グランドネビュラ DQ11
 



サンポ大僧生:戻ってきました!

サンポ大僧生:むっ これは いけません!
身体が衰弱しています!
急いで ふたりを郷まで 運びましょう!

疲労の中 意識を失った 主人公は
ニマ大師が 最後のチカラを振り絞り
魔王の目をくらませる夢を見た……。
そして夜が明けた!
 


 

ドゥルダ郷


グレイグ:よかった 目が覚めたな。
身体も 大丈夫そうで なによりだ。
ロウさまは 先に目覚められて
ひと足先に 外に出ている。俺たちも行こう。
 



ロウ:おお 主人公。遅かったではないか。

ロウ:なんじゃ? 人のカオを ジロジロ見おって。

グレイグ:ロウさまが すっかり 元の姿に
戻られたので おどろいているのですよ。
一時は 骨と皮だけでしたからね。

ロウ:ふぉっふぉっふぉ! あれくらい
大師さまの修行に比べれば なんでもないわい。
メシを食べれば すぐ元通りよ。

サンポ大僧生:主人公さん ロウさまから
話は 聞いています。冥府で
大師と出会い 修練を受けられたそうですね。
さらに ローシュさまの技を覚えただけでなく
ドゥルダの最終奥義まで 習得したとのこと。
本当に よろこばしい限りです。

ロウ:そうじゃ グレイグ。
わしが あっちの世界にいる間 主人公が
世話になったようじゃな。礼を言うぞ。

グレイグ:それには及びません。これまでの無礼を考えれば
当たり前のことをしたまで。
むしろ こちらが お詫びする立場です……。

ロウ:いいんじゃ グレイグ カオを上げい。
そなたも 運命に翻弄された 哀れな男。
おぬしを責めるつもりはない。

グレイグ:……しかし ロウさま。我々は これから
いったい どうすれば? ドゥルダに来れば
何かわかると思ったのですが。

ロウ:そう……それについては 心当たりがある。
大師さまの話によると 先代勇者ローシュは
神の乗り物で 空を飛び 邪神と戦ったらしい。

グレイグ:神の乗り物……?

ロウ:くわしくは知らんが 先代勇者たちが使用した
その乗り物を手に入れれば 天空にいる
魔王を討ち果たす方法も 見つかるやもしれん。
……それに バラバラになった仲間たちのことじゃ。
皆 あきらめの悪い者ばかりじゃから
きっと 世界のどこかで 生きのびているはず。
よいか 主人公。勇者 ローシュの
足跡をたどるため 仲間を探しながら もう一度
神語りの里 聖地ラムダを訪ねるのじゃ。
さあ ゆっくりしている時間はない。
一刻も早く ウルノーガの野望を砕かねば。
皆の者 出発するぞ。

ロウが ふたたび 仲間に加わった!
ロウのスキルパネルが 新たに解放された!
ロウはとくぎ『グランドクロス』と
主人公との れんけい技
『グランドネビュラ』が 使えるようになった!


サンポ大僧生:主人公さんが 強大なチカラを持つ
魔王ウルノーガと 戦うために
我らドゥルダの民も 協力いたします。
勇者さまのために 特別な修行を用意しました。
自らのチカラを 高めたいと思ったら
ぜひドゥルダの大修練場に来てください。

 

 

 

 

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