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ロウ:……………………。
…………んんっ?
こ…ここは どこじゃ……?
わしは なぜ こんな所におるんじゃ?
……うーむ おかしいのう。
ちっとも 思いだせんぞ。

ロウ:なんじゃと! まさか彼女は……!?

ロウ:……おおっ やはり!
我が愛読書『ピチピチ☆バニー』の
バニーちゃんに ウリふたつではないか!
何が何やら わからんが……
あの バニーちゃんなら ここがどこかも
お耳に 挟んでるやもしれぬな。
……よし。そうと決まれば 突撃あるのみじゃ!
おうい バニーちゃ~ん!
すぐに行くから 待っていてくれ~い!

 


 

ロウ:……うう。何が 起こったんじゃ?

ロウ:そんな……!
いや しかし 見まごうはずもない。
ここは ありし日の ユグノア城……。

バニー:ふふ……。似合ってるじゃない 王さま。

ロウ:この姿は わしが ユグノアにいた頃の……!?

ロウ:この姿は わしが ユグノアにいた頃の……!?ううむ ワケがわからんぞい。
バニーちゃんよ……
そなたは 何か 知っておるのか?

バニー:……私に ついていらっしゃい♪

 


 

ロウ:そ…そんな……!?

エレノア:ごきげんよう……お父さま。

ロウ:お前たちは 若き日の
エレノアと アーウィン!
なぜ ここに……。

アーウィン:エレノア王女殿下の 護衛隊長アーウィン……
お…おそれ多くも 王女殿下と連れ立ち
ロウさまの御前に 参じました……!
ほ…本日こうして 参りましたのは
ロウさまに 大切なお話があってのこと……。

ロウ:な…なんじゃ 話とは?
申してみるがよい。

アーウィン:じっ… じつは……。

アーウィン:じつは この私と……王女殿下の婚約を
お認めいただきたいのです!

ロウ:アーウィン……。

アーウィン:一介の兵士に過ぎぬ 私には 不相応な願い……
それは 承知しております。
……しかし! 不肖ながら このアーウィン!
王女殿下のため 鍛え上げた この剣……
そして 揺るぎなき この思いの強さは
世に並び立つ者なしと 自負しております!
アーウィンとエレノア DQ11
アーウィン:ですから ロウさま。今後は 護衛隊長ではなく
夫として 生涯 王女殿下を守り抜くことを
お許しいただけないでしょうか!?

ロウ:……断る理由なぞ ありゃせんわい。
わしは知っておるぞ。
おぬしは エレノアの伴侶になる男じゃ。

エレノア:ああ お父さま……!

ロウ:アーウィンよ……
我が娘を よろしく頼んだぞ。

アーウィン:はい……。ありがとうございます ロウさま。
ありがとうございます……。

 


 
バニー:お…おぬしは さっきの バニーちゃん!
今まで どこに行っておったんじゃ!?
そして この場所は いったい……。

バニー:うふふ……。なつかしかったでしょう。
次も 楽しんでいってね♪

 


 
兵士:アーウィンさま ロウさま!
お産まれに なりました!

アーウィン:そっ そうか!

女性:アーウィンさま ロウさま
おめでとうございます!
本当に かわいい
たまのような 男の子で!

アーウィン:うむっ。

エレノア:あなた……。

アーウィン:よく やったな!
おうおう このように 元気に泣いて……。
さっそくだが この子に
名前をつけないと いけないな。

アーウィン:トンヌラ というのは どうだろうかっ!?

エレノア:まあ ステキな名前!
いさましくて かしこそうで……。
でもね 私も 考えていたのです。
主人公 というのは どうかしら?

アーウィン:主人公か……。
どうも パッとしない名だな。
しかし 君が気に入っているなら
その名前にしよう!

アーウィン:命の大樹より さずかった 我らの息子よ!
今日から お前の名は……
主人公だ!

エレノア:まあ お父さまったら!

ロウ:ごほん ごほん……。

エレノア:……さあ お父さまも 抱いてやってください。

主人公:……だあ だあ。

ロウ:おお よしよし……。
わしは お前さんの おじいちゃんじゃよ。

ロウ:な なんということじゃ……。

バニー:……お楽しみいただけたかしら?

ロウ:バニーちゃん どういうことなのじゃ?
場所といい 出来事といい
ここは まるで 本物の……。

 


 
ロウ:……なんじゃ これは?

主人公:おじいちゃん お誕生日おめでとう!

ロウ:おお なんと!
お前は もしや 孫の主人公……。

主人公:ふっふっふっ! おどろいた?
おじいちゃんを ビックリさせるために
みんな ナイショで準備してたんだよ!

アーウィン:おめでとうございます ロウさま!
ダーハルーネのパティシエを招いて 作った
特性ケーキは 気に入っていただけましたかな?

エレノア:お父さま おめでとう!
これからも うんと 長生きして
この子の成長を 見守ってあげてくださいね。

ロウ:アーウィン……。エレノア……。

兵士:ロウさま おめでとうございます!
今日 この国が こうして平和なのは
あなたさまの たゆまぬ努力のおかげです!

兵士2:その努力を 無駄にすることのなきよう
この国は アーウィンさまと共に
我らが お守りいたします!

ロウ:頼もしき 我が兵士たち……。

ユグノアの民:よう ロウさま おめでとさん!
地下城の 飲み仲間一同で
パーーッと 祝いにきたぜ!

ユグノアの民2:ふふふ これからも 掘り出し物の
ムフフ本を 仕入れたら
すぐに 教えてくださいねっ?

ロウ:愛しき 我がユグノアの民……。

主人公:おじいちゃん 泣いてるの?
……もしかして うれしくなかった?

ロウ:違うんじゃ 主人公……。
おじいちゃんは うれしいんじゃよ。
とっても うれしいんじゃ……。

ロウ:ユグノアはが 滅ぼされることなく
エレノアもアーウィンも 主人公も
誰もが 幸せそうに生きておる。
この場所も ここにいる皆も
おそらく 現実ではないのじゃろう。
じゃが そうとは わかっていても……。

ロウ:……なんと 幸せで 離れがたい光景じゃろう。


主人公:ううっ……。

ロウ:おうおう 大丈夫か 主人公や……。

主人公:うわあああーーん!

ロウ:これこれ 泣くでない。


ロウ:そうじゃ あの日 わしらは戦いに敗れ
世界は 闇におおわれた……
そして ひとり目を覚ました わしは
仲間たちの無事を 祈りつつ
魔王と戦う チカラを得るべく 旅に出た……
そう 我が師である ニマ大師に
修行を つけてもらうために。
ということは ここは……。

主人公:……どうしたの おじいちゃん?

ロウ:すまんのう 主人公。
おじいちゃんには 行くべき所……
やるべきことが まだ 残っているようじゃ。

主人公:おじいちゃん どこかへ 行っちゃうの?

ロウ:……ああ 行かねばならぬ。
もしかすると さびしい思いを
させてしまうかもしれん。
でも お前さんは 強い子じゃ。
きっと 元気でいておくれよ……。
 
 
バニー:あら どうしたの王さま。
パーティーは まだ 続いているわよ?
まさか…… ここから出て行く気?

バニー:ここには 夢のような幸せが
まだまだ 数えきれないほど 待っているわ。
それなおのに 本当に 出ていっていいの?

バニー:……わかったわ 王さま。
そこまでの決意なら もう 止めはしない。
でも どうして? 理由を聞かせて。

ロウ:思いだしたんじゃよ……。
……今 わしに必要なのは
甘い 夢の世界ではなく
魔王を倒すための 強さだということを。
だから わしは 一刻も早くここを抜け出し
我が師匠 ニマ大師のもとで
修行を受けなければ ならないのじゃ!

ニマ大師:……せっかく アンタの好みに合わせて
こんな姿まで とったっていうのに。
どうやら 余計な気遣いだったようだね。

ロウ:な…なんと その姿は……!
バニーちゃんが 我が師匠 ニマ大師に!?

ニマ大師:……はあっ!!

 


 
ロウ:…………ここは!?

ニマ大師:ここは よるべなく さまよう
哀れな魂が 流れつく場所……。
冥府へ ようこそ。……ひさしいな ロウ。
こんな所まで 修行を受けにくるなんて
我が弟子ながら 見上げた根性だね。

ロウ:大師さま!

ニマ大師:幸せとは 時に おのれの歩みを引きとめる
何より手強い カセとなるもの。
よくぞ それを断ち切った。

ロウ:では あの光景は やはり……。

ニマ大師:そう。全部 あたいが用意したのもさ。
しっかり 乗り越えてくれて
まずは ひと安心……といったところかね。

ロウ:おおっ! それでは……!
わしに 修行をつけてくださるのですね!?

ニマ大師:なあに 早とちりしてるんだい。
あれだけで 終わりってんじゃ
アンタも ものたりないだろう?

ロウ:ふえっ?

ニマ大師:今のアンタに 修行を受ける資格があるか……
毎日の稽古を サボってなかったかは
なつかしの コレで 確認させてもらうよ!

ロウ:それは 大師さまの伝家の宝刀 お尻たたき棒!
しかも 二刀流ですとっ!?
ぬう 本気ですね 大師さま……!
……ならば わしも 死力を尽くすまでっ!!

 


ロウ:ぜえ ぜえ……。

ニマ大師:どうやら 稽古は サボってなかったようだね。
けど あたいに言わせれば まだまださ。

ロウ:そ…そんなあ……。

ニマ大師:……しかし 覚悟は見せてもらったよ。
アンタの拳から ひしひしと伝わってきた。
……今の アンタなら
奥義を 習得できるかもしれないね。

ロウ:大師さま! では 今度こそ……!

ニマ大師:ああ お望み通り 修行をつけてやるよ
ただし アンタが この冥府にいる間
アンタの肉体は どんどん消耗していく……。
だから 本来 何年もかかるような修行を
ごく短い時間で たたきこむことになるよ。
……地獄を見る準備は できてるかい?

ロウ:……もちろんです!
このロウ 大師さまと ご一緒できるなら
地獄の果てまで おともいたしますぞ!

ニマ大師:よし……いい返事だ。

ロウ:しかし……大師さまの バニー姿には
すっかり だまされましたなあ。
あの完成度……。
まるで 本物の『ピチピチ☆バニー』を見ているようでしたぞ!

ニマ大師:まあ あたいも若い頃は いろいろとね……。

ロウ:んん!? それは どういう……?

ニマ大師:そんなことより ちゃっちゃと修行を始めるよ!
まずは ウデ立て 1万回からだっ!

ロウ:い…いちまんかい ですとっ!?
ぎょええーーーーっ!!

 

 

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