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サマディー王国


兵士:……なんだ お前たちは?
ここから先は サマディー王国の領地。
先に進みたくば 通行手形を見せろ。

兵士:ふむ……。確かに 通行手形に間違いない。
よし 通ってよいぞ。
 



セーニャ:にぎわってますね お姉さま。
なんだか お祭りが始まるみたい。


ベロニカ:ははーん なるほど……。
ここサマディーは 騎士の国と呼ばれていてね。
城の裏の オアシスの上に レース場があるの。
そこで ウマのレースが おこなわれるのよ。
前に ここに来た時 年に一度 特別なレースが 開催されるって聞いたわ。
きっと今は それで にぎわってるのよ。

カミュ:ふ~ん。ウマのレースも 面白そうだが
オレたちの目的は 大樹の枝だからな。
忘れんなよ おチビちゃん。

ベロニカ:なによ ノリが悪いわね。
主人公。あんなヤツは ほっといて この町を 楽しみましょう。
 



:えー……。本日は 絶好の好天となりまして ファーリス杯という 我が王子の16歳の 誕生日を祝う レースにふさわしい……
いや ちがうな。
こんなスピーチでは ありきたりだ……。
民衆を 楽しませることなどできん。

サマディー王:うん? なんだ そなたたちは?
今は 客の相手をしているヒマなどない。
出直して……

ファーリス:父上! ただいま 訓練から戻りました!

ファーリス DQ11
サマディー王:騎士たる者!

ファーリス:信念を決して曲げず 国に忠節を尽くす!
弱きを助け 強きをくじく!
どんな逆境にあっても 正々堂々と立ち向かう!

サマディー王:うむ よろしい。
今日も 騎士道精神を忘れてないようだな。
ファーリスよ。お前も 今年で16歳。
ファーリス杯では 騎士の国に恥じぬ 勇敢な走りを 期待しているぞ。

ファーリス:おまかせください 父上。
必ずや 期待に こたえてみせましょう。
それでは これにて……。

ファーリス:あ……あなたは……。
失礼ですが 旅の方。お名前は?
……ふむ。主人公さんというのですね。
何用で 我がサマディーを訪れたのです?

主人公は 大樹の枝を求め サマディーにやってきたことを 伝えた。

ファーリス:大樹の枝……?
もしや サマディーの国宝…… 七色にかがやく 虹色の枝のことでしょうか?
……ボクなら お役に立てるかもしれません。
後で 大階段を下り 左に曲がった所にある ボクの部屋に来てください。お待ちしています。

 



ファーリス:おお 来てくれたか。
わざわざ呼びだして すまなかったね。

ファーリス:うんうん。思ったとおりだ。
身長も体格も ピッタリだし ウマの扱いに長けていそうな カオをしている。


ファーリス:キミたち 虹色の枝を求めて 来たんだっけ?
残念だけど あれは国宝でね。
旅人にあげられる物では ないんだよ。
……だけど ボクが 父上に掛けあえば きっと 虹色の枝を ゆずってくれるだろう。
その代わり…… ボクの頼みを聞いてほしい。

ファーリス:ここでは 誰が話を聞いてるか わからない。
今 城下町に来ている サーカス一座の ショーを観ながら 話をするってのはどうだい?

ファーリス:よし 決まりだ。それじゃ 夜に 城下町にある サーカステントの前に来てくれ。
時間に遅れないように 頼むよ。



ファーリス:やあ 来たな。約束通り サーカスを見ながら
例の話の続きをしようじゃないか。
テントに入る 準備はいいか?

ファーリス:……よし いい返事だ。
もう サーカスは始まっているようだし
さっそく 中に入ろうじゃないか。
 



司会者:さて! お次は 世界を飛びまわっては
訪れた町を魅了して 去っていく
謎の旅芸人の登場だ!
流浪の旅芸人……シルビア!!
摩訶不思議なショーを とくと ご覧あれ!!
シルビア ドラクエ11
シルビア:キャーーーッ!
まちがえて 全部 燃えちゃったわ!!
誰か 助けてーーーッ!!

シルビア:も…もう ダメーーッ!!

シルビア:……なーんてね。フフッ。
大切なお客さまに ケガなどさせません。
楽しんでいただけましたでしょうか?
 



ファーリス:……みんな サーカスに夢中のようだな。
では そろそろ 本題に入ろうか。
これから言うことは 口外しないでくれよ。

今度 騎士たちが 乗馬のウデを競う
ファーリス杯 っていう
レースが おこなわれるんだ。
それに ボクも出場するんだけど
ひとつだけ 大きな問題があってね。
じつは……………
ボク 生まれてこのかた
ウマに乗って 走ったことがないんだ……。
これまでは 部下の協力もあって
父上や国民たちを あざむくことができたが
レースに出たら いよいよ ボロが出てしまう。
だけど 今回は ボクの16歳の誕生日を祝う
大切なレース。出場しないわけにもいかず
これまで ずっと アタマを悩ませてきた。
そんな時 キミが現れたのだ。
ボクと同じ背格好をしている キミがね。
キミこそ ボクの影武者に ふさわしい。

カミュ:影武者っていったって
レースに出たら ひと目でバレるだろ?
どうやって ごまかすんだ?

ファーリス:ふふ 心配ない。王族は 身の安全を
優先させるため ヨロイとカブトを身につける。
絶対に バレっこないさ。
頼む! 一生のお願いだ!
ボクの代わりに ボクのフリをして
レースに出場してくれ! 頼む!

ベロニカ:なにそれ。そんなの ズルっこじゃん。
主人公。こんな頼みを聞く必要ないわ。

ファーリス:あれ? そんなこと言ってもいいの?
虹色の枝が 欲しいんじゃなかったっけ?

ベロニカ:うわあ……。サイテー……。

ファーリス:ふふ。なんとでも 言うがいい。
手段を選んでる場合じゃ ないんだ。
さあ ボクの代わりに出場してくれるよね。

ファーリス:よかった! そう言ってくれると思ったよ。
レースが 無事に終わったら
虹色の枝の件は 父上に掛けあうと約束する!
今日は キミたちのために 宿をとったから
そこで泊まっていくといい。明日になったら
レースハウスにある 王族控え室に来てくれ。
レースハウスの入り口は 城下町の西側だ。
迷わないよう 気をつけるんだぞ。
それじゃ ボクは このへんで失礼するよ。

主人公たちは ファーリス王子の計らいで
城下町の宿屋で 一夜を過ごすことにした。
そして 夜が明けた!

 



宿屋:おはようございます。
昨夜は サーカスを見られたようですね。
さぞ お楽しみいただけたことでしょう。
さて いよいよ ファーリス杯が開催されます。
城下町も ますます にぎわってますよ。
……えっ? レースハウスの王族控え室なら
パドックの西にある建物の 立派な部屋ですよ。
では いってらっしゃいませ。
 



ファーリス:ああ よかった 主人公さんじゃないか。
来てくれなかったら どうしようかと
思っていたところだったんだ。感謝するよ。
……さて まもなく ファーリス杯が始まる。
ボクの代わりに レースに出場してくれれば
約束通り 虹色の枝の件を父上に掛けあうよ。
さあ レースに出場する準備は いいかい?

ファーリス:よし! さすがは ボクが見込んだ男だ。
では まず サマディー王族のヨロイとカブトを
身につけてもらうぞ。
なあに 心配ない。
キミの背格好なら ボクとソックリになるさ。
さあ……。

主人公は 王子から受け取った
サマディー王族のヨロイとカブトを 身につけた!


ファーリス:おお! バッチリ 似合ってるじゃないか!
これなら まさか 別人だとは
誰も 思わないだろう。
さて そろそろ ファーリス杯が始まるぞ。
パドックの北にある レース場の入り口に
ボクのウマの 世話係がいる。
彼に話しかけて ウマに乗せてもらうんだ。
レースが終わった後は 城の地下にある
レース場へと続く通路で 待ち合わせをしよう。
そこで また入れ替わるっていう流れだ。
さあ キミはもう サマディーの王子だからな。
くれぐれも レースを頼んだぞ。
王子にふさわしい走りを 期待しているからな。
 



兵士:ややっ ファーリス王子さま!
ウマの調子は バッチリ 整えてございますよ!
レースのご準備は よろしいでしょうか?

兵士:おおっ さすが 王子さまです!
それでは さっそく ウマに乗ってください!
私は ご入場の 準備をしてまいります!

アナウンス:えー……。本日は お日柄もよく……

女性観客:キャーーーッ!!
ファーリスさまが 来たわよーーー!!

男性観客:ファーリスさまーーー!!

女性観客:キャーーーッ!! かっこいいーーー!!

シルビア:すごい歓声じゃない。
さすがは 騎士の国の王子さまね。
アタシ シルビアっていうの。
騎士のひとりが ケガしちゃって
代わりに 参加することになったのよ~。
王子さまだからって 手加減しないわ。
正々堂々 勝負しましょうね。
 



ファーリス:すごいぞ! 主人公さん!
まさか 優勝するとは思わなかったよ!
キミには 馬術の才能があるな!
さあ! 代わってくれ!
これから みんなの前に出ないといけない!
今度は ボクが ウマに乗る番だ!

ファーリス:キミのおかげで 助かったよ。
虹色の枝の件は ボクが なんとかしよう。
それじゃ また後で。

こうして 勇敢な走りを見せた ファーリス王子は
表彰され サマディー王国中の人々から
声援を 受けることとなった。


ファーリス:ふぅ……。ここまで来れば 大丈夫だろう。
ありがとう 主人公さん。
キミのおかげで 面目を保てたよ。
さっそく 虹色の枝のことだが……

シルビア:騎士の国の おぼっちゃん!
さっきの走り やるじゃない~!
アタシ 感動しちゃったわ~!

シルビア:なによぉ……。ガッカリだわ。
せっかく いいレースができたと思ってたのに
入れ替わって ズルしてたのね。

ファーリス:な……なんだよ。あなたに 何がわかるんだ?
王子が ウマに乗れないなんて バレたら
国民たちの期待を 裏切ることになるんだぞ。
全員が イヤな気持ちにならないために
こうしてるだけだ。これで すべてが
丸く おさまるんだから 問題ないだろ?

シルビア:ふ~ん。そうかしら?
勝てない勝負でも 正々堂々と戦うのが
騎士道ってものではなくて?

ファーリス:だまれ! ボクは この国の王子だぞ!
流れの旅芸人が 王子である
ボクに 騎士道を語るんじゃない!

兵士:王子さま 失礼します。

ファーリス:入れ。

兵士:国王さまが お呼びでございます。
ファーリスさまの 勇敢な走りに
たいへん 心を打たれた ご様子です。

ファーリス:ああ わかった。すぐに行くよ。

ファーリス:主人公さん。キミには世話になった。
虹色の枝の件は ボクが なんとかするから
後で 玉座の間に来てくれ。

シルビア:アナタ 主人公ちゃんっていうのね。
アナタの走り とってもシビれたわ。
また どこかで会ったら よろしくね。
 



ファーリス:……ありがたき お言葉。
今後も このファーリス
騎士として 精進いたします。

ファーリス:来たか……。
父上。じつは お願いがあります。
あちらの旅の方の頼みを
聞いてはくださいませんか?

サマディー王:ほう 人助けとは さすがは我が息子。
騎士道を よく心得ているな。
なんだ 言ってみろ。

ファーリス:はい。その お願いというのは
あちらの旅の方に 虹色の……

兵士:王さま 大変です!
サソリの化け物です! バクラバ砂丘に
また あのサソリが現れました!
巡回中の兵士が ケガをした模様です!

サマディー王:ええい! あの砂漠の殺し屋か!
毎年 この時期になあると決まって 現れるな!
自国の平和を守るのは 騎士の務め!
二度と現れぬよう よりすぐりの騎士を派遣し
今度こそ 生きの根を止めてくれるわ!
……うん? 待てよ。
そうだ! 我が息子に 魔物を捕らえさせよう!
騎士として成長した お前ならば
今回の任務も きっと こなせるであろう!

ファーリス:れ…歴戦の騎士を 次々と亡き者にしてきた
あの魔物を 私がですか……?
わわわ 私では かないませんよお……。

サマディー王:わはは! 実力者ほど ケンソンするものだ!
それに 戦いを前にして 武者震いも
止まらぬとみた! 頼もしい限りだな!
よし ファーリスよ 行けい!
砂漠の殺し屋を 見事 捕らえてまいれ!

ファーリス:は……はい。承知しました。
準備のため 一度 自室に戻ります。
それでは……。

ファーリス:すまない……虹色の枝の話は後だ。
話があるから 後で ボクの部屋に来てくれ。



ファーリス:頼む! 一生のお願いだ!
魔物を捕まえるのに 協力してくれ!

カミュ:……お前 騎士の国の王子だろ?
すこしは 自分のチカラで なんとかしろよ。

ファーリス:うう……。それが ダメなんだ……。
今まで 訓練のクの字も やったことがなく
実践は 全部 部下にまかせていたんだよ。
……ひとり息子のボクは 幼いころから
過保護に育てられ 父上と母上から
どんな小さなことでも ほめられてきたんだ。
ボクは 両親や民衆の期待を裏切らぬよう
できないことでも さも
できるかのように やり過ごしてきた。
そうこうしているうちに ボクの評価は
実力に見合わぬほど 高くなってね……。
いつの間にか 後戻りできなくなっていたんだ。
でも 今回ばかりは とても ごまかせない!
あのサソリを捕らえるなんて ボクにはムリだ!
だから チカラを貸してくれ! 頼む!

ファーリス:ありがとう! キミたちは この国の救世主だ!
魔物を捕まえることができたら 今度こそ
虹色の枝の件は 父上に掛けあうと約束しよう!
それじゃ 城門の前で待ってるからな!
準備ができたら キミたちも来てくれよ!

ベロニカ:ホント 情けない王子ね。
この国の将来が 心配だわ……。

セーニャ:お姉さま あまり悪く言うのも いけませんわ。
きっと 王子としての重圧が
あの方を 苦しめているのでしょう……。
 



兵士:なぜ 魔物を捕らえると言ってしまったんです!
戦うのは 私たちでしょう!?
今回ばかりは いくらなんでも ムリですよ!

ファーリス:待て待て。心配しないでくれ お前たち。
とびきりの助っ人を用意したんだ。
うん……?

ファーリス:よし 来たな。紹介しよう。
主人公さんと その仲間たちだ。
彼らに 砂漠の殺し屋を捕まえてもらう。
砂漠の殺し屋がいる 魔蟲のすみかは
バクラバ砂丘という場所の いちばん奥にある。
まずは西の関所を抜け バクラバ砂丘に行こう。
よし! 行くぞ お前たち!

シルビア:ねえ サソリちゃんを捕まえにいくんでしょ?
楽しそうじゃな~い。アタシも交ぜて~。

カミュ:サソリちゃんなんて 楽しいもんじゃないぜ。
だいたい あんた 旅芸人だろ?
サーカスのほうは いいのか?

シルビア:ふふ~ん。サーカスよりも
あの おぼっちゃんのことが気になってね~。
ね? アタシも ついていっていいでしょ?
 



ファーリス:ふう……。ようやく 休めそうな場所に出たな。
とりあえず ここで休んでいくとしよう。
サソリを捕まえるのは また明日ってことで。

ファーリス:……なんだ? あなたも来てくれたのか。
見ての通りだ。明日に そなえて
ここで キャンプを張ることにしたからな。

シルビア:ええ ここらで休むのは 賛成だわ。
サソリちゃんは 手強いとウワサだものね。
主人公ちゃん。
アタシたちも 戦いにそなえて 休みましょう。
 



シルビア:アナタたち 男ふたり 女ふたりの
4人旅なんて ロマンチックじゃない?
どうして 旅なんかしてるの?

セーニャ:今は まだ すべてが
明らかになったワケでは ありませんが……。
勇者にまつわる伝説……
その すべての謎を解き明かすために
命の大樹を目指す旅を しているのです。
もしかしたら 世界に災厄をもたらしたという
邪悪の神と戦う日が
近い将来 訪れるのかもしれません……。

ベロニカ:ダメよ セーニャ!
見ず知らずの旅芸人に
そんなことまで 話しちゃ!

シルビア:へー! みんなの笑顔を奪おうとする
邪悪の神ちゃんって 悪いヤツが
これから 復活するかもしれなくって……
アナタたちは それを倒すために
旅してるっていうの!?
なにそれ 面白そうじゃな~い!

カミュ:……こんな話を うのみにするなんて
あんた 変わってんな。

ベロニカ:そういうシルビアは どうなのよ?
なんで 旅をしているの?

シルビア:ふふっ。 アタシのことは いいわよ。
……さっ 明日は サソリちゃんと決戦よ。
おしゃべりは これくらいにして 寝ましょ。

カミュ:なんだよ もったいぶりやがって。
ったく 変なヤツだぜ。

 

 

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