東大世界史2013年第2問⑶⒝ 問題・解答・解説 | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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東大世界史の2013年第2問⑶⒝の問題解答解説です。


- 情報・注意 -

東大世界史・体系別過去問についての説明は「東大世界史・体系別過去問について」,論述問題の一覧は「東大世界史・体系別過去問 論述問題 リスト」をご覧ください。


解答が先に目に入らないよう,問題と解答の間に空白を大きくとってあります。自分で解いた後に解答と解説を確認してください。


問題

メロヴィング朝フランク王国の急速な勢力拡大の背景には,その基礎を築いた王の改宗があったと考えられている。

この王は,どのような宗教に改宗したのか,この王の名前とともに,2行(60字)以内で説明しなさい。












解答

東大世界史過去問解説 東大世界史2013年第2問⑶⒝

解答例


クローヴィスは,正統とされローマ系住民に支持されていた,神とイエスの同質性を唱えるキリスト教アタナシウス派に改宗した。」

解答のポイント


改宗を行った王の名としてクローヴィスの名を示す。


宗教としてキリスト教のアタナシウス派を明示する。


アタナシウス派が正統とされ,そのためローマ系住民(特に教会や貴族層)に支持されていたということは,フランク王国の勢力拡大の背景という本問の本質と関わるので必ず指摘しておきたい。


字数の余裕を見つつ,教義面の説明として,神とイエスの同質性を主張したことや,三位一体説として確立されたことなどを書くのもよいだろう。


解説

アタナシウス派キリスト教


アタナシウス派は,アレクサンドリアの司教アタナシウスの主張を基礎として成立したキリスト教の宗派で,神とイエスの同質性を主張した。


このアタナシウス派は,ニケーア公会議などの公会議を通じて正統教義として認められていき,後には父なる神・子なるイエス・聖霊が不可分であるとする三位一体説として確立された。


キリスト教の正統派と異端派

<キリスト教の正統派と異端派>


クローヴィスの改宗


フランク人を統一してフランク王国を確立したクローヴィスは,496年,家臣とともに,従来の異教の信仰からアタナシウス派キリスト教に改宗した。


ローマにおいて正統とされていたアタナシウス派に改宗したことによって,ローマ系の教会や貴族の支持を獲得するとともに,異教や異端派を信仰する他の国家との戦いを正当化し,これがフランク王国の勢力拡大を支えることになった。