東大世界史・体系別過去問シリーズについて | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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今年度から,このブログ上で,東大世界史の過去問を題材として問題を体系別に編集してその解答・解説を掲載する「東大世界史・体系別過去問」のシリーズを始めようと思います。


これは,東大過去問の小論述短答問題語句問題)を,時代・地域・分野などにもとづいて体系的に整理・編集したうえで一問ごとに取り上げ,範囲別に一つずつ学習できるようにするものです。

体系別・範囲別にしてあるため,学校や塾で全ての範囲の学習が終わっていなくても,知っている部分だけ取り組むこともできます。


以下では,題材・体系・問題文などについての詳しい説明を掲載しておきますが,必ずしもこの説明を全て読む必要はありません。問題の取り上げ方や順番などが気になった人は,そのときにでも適宜ご覧ください。


今月から,順次,問題とその解答・解説をアップしていこうと思います。よろしくお願いします。

題材

題材とする過去問は,東大世界史の入試問題のうち,1985年から現在までの,小論述問題と短答記述問題(語句記述問題)で,現在でも学習する意義があるものです。


まず,年度については,1985年以降を扱い,1984年以前は対象から外しています。

このような区切りにする理由は,東大世界史は1985年を境として形式が大幅に変化しており,それより前の年度は現在の対策には使用しにくくなっているからです。ただし,それより前の問題でも有用なものもあり,それらは今後取り入れる可能性もあります。


次に,問題形式は,小論述と短答記述(語句記述)を主な対象として,その二つをそれぞれ分けてまとめる予定です。

大論述はどの問題も複数の時代・地域・分野を含んでいるので,体系別の整理には不向きのため,今のところは考えていません。

また,東大では記号問題もわずかにありますが,数が非常に少なく,また独立した知識・テーマを学ぶために使用しにくいため,対象としていません。


なお,東大入試でいちおう出題されていても,さまざまな理由によって必要ではないと考えられる語句・テーマは除いています。

東大入試で出題された語句のなかには,形式上は問われているものの,実際にはリード文やその他のヒントから導くようになっていて,知っておく必要のないものもしばしばあります。そのような語句は取り上げません。

また,かつては正しく必要な語句・テーマであったのが,現在では不正確または不要とされているものもあります。そのようなものは,対象から外すか,あるいは注をつけようと思います。

整理・体系

時代・地域・分野の3点を主な基準とし,また高校世界史の一般的な体系・整理法に配慮しつつ,体系的にまとめるようにしました。


まず,時代によって大きく分けて,古代中世近世前近代地域史近代現代前半(世界大戦の時代),現代後半(戦後から現在),というように7つに分けています。

なお,中央アジア・東南アジア・アフリカ・ラテンアメリカなどの地域史は,古代・中世・近世という区分の方法が適さないので,これらの地域の近代より前の歴史は基本的に「前近代の地域史」としてまとめようと思います。


次に,地域については,基本的にはヨーロッパアジアアメリカアフリカというように大陸を基本的な基準として分けています。

ただし,歴史学や高校世界史の慣習の関係で,純粋な空間的な区分よりも文明圏などによる区分の方が適していることもあるので,そのような分け方をとっていることもあります。例えば,「オリエント」や「イスラーム世界」などがそのような例に該当します。


なお,厳密に言うと,ある問題・語句が,時代・地域・分野の境界に位置することや,複数にあてはまることもあり,特定の範囲に分類するのが難しいものもあります。このようなケースでは,高校世界史の内容と体系に配慮して,受験生・高校生にとって理解しやすいと思われるかたちで分類しようと思います

具体的には,複数の地域・分野が絡む場合,特に関わりが大きい方,大きく扱われる範囲の方に分類しようと思います。例えば,「トゥール・ポワティエ間の戦い」はイスラームとヨーロッパの両方に関わりますが,一般的にヨーロッパのフランク王国の話で大きく扱われることが大きいので,ヨーロッパの方で扱います。

また,複数の時代が関係する場合は,どちらの時代も知っている必要があるため,基本的に後の時代の方で扱うことにしますが,前の方の時代の関わりが圧倒的に大きい場合は前の方に分類することもあります。

問題の形式・文章

問題文は,東大で問われている本質的な知識やテーマが学べるように意識していますが,入試問題をそのまま掲載するのではなく,改題や変更をしています

掲載している問題は,入試問題そのものではなく,入試問題を題材とした知識・テーマを学ぶための問題だと考えてもらうとよいかもしれません。できるだけ自分で過去問集などを用意しておいて先に問題を解いて,そのうえで解答や解説を見てもらえるとよいです。


まず,この体系別過去問では,東大で問われている知識・テーマを学習することを目的としており,文章・データの読解・読み取りは対象としていないため,リード文や図・グラフなどの付加的情報は基本的には掲載しないことにします。

なお,地図などの画像を添付することもありますが,それらは入試問題をコピーしたものではなく,自分で独自に用意したものになります。


問題文自体も,解答を出すのと知識・テーマを学ぶのに必要な範囲で抽出して,それ以外の部分はあまり不必要に引用しないようにします

また,必要に応じて,もとの問題文に修正や補足を入れることもあります。もとの問題のなかには,問題文の情報の不足・不備などのために解答を出すことが不可能なものもありますし(実はこのようなケースは全く珍しいことではなく,東大を含めてどの大学でも頻繁にあります。),また当時は正しいとされていたものの現在では正しいと言えなくなっている記述もあります。そのような場合には,問題の趣旨を損なわない範囲で,修正や補足を入れます。

そのほか,目的とする知識・テーマを学ぶ上での必要性から,積極的に問題を変えることもありますが,大きく変更した場合にはなるべく元の問題がどのようなものであったのかも説明しようと思います。