今回は,ドイツの都市・地名のうち,高校の世界史や大学受験の世界史で出てくるものを,地方・行政区分・地形などとあわせて紹介します。
<ドイツの都市・地名 一覧>
総論
州
<ドイツの州>
現在のドイツの最高レベルの行政区分は州となっており,ドイツ全体が16の州に区分されている。なお,ベルリン・ハンブルク・ブレーメンは,単独の都市でありながらも同時に州レベルの自治体として扱われる特別市になっている。
これらの州のうちには,ザクセン州・ノルトライン゠ヴェストファーレン州・ラインラント゠プファルツ州・ザールラント州・バイエルン州など,世界史で出てくる有名な地名に由来する州名も多いので,多少知っていると世界史の理解に役立つことはある。また,特別市のベルリン・ハンブルク・ブレーメンはもちろん覚えるべきである。
しかし,それでもやはり16州を覚えるのは現実的ではないので,もっと大まかに地方を把握したうえで,地方ごとに世界史の学習に出てくる都市・地名をおさえるとよいだろう。
広域の地方区分
ドイツの領域は,大きく北部・東部・西部・南部の4つに区分することができる(追加で中部を設定してもよい)。
<ドイツの広域の地方区分>
この方角による区分は,公式の区分ではないので絶対的な基準ではないが,大まかにドイツ内の位置を把握するのに有益である。
それぞれの地方とそこに属する州をまとめると,以下のようになる。
<ドイツの地方と州>
北部
- シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州
- ニーダーザクセン州
- 自由ハンザ都市ブレーメン
- 自由ハンザ都市ハンブルク
- メクレンブルク゠フォアポンメルン州
東部
- ベルリン
- ブランデンブルク州
- ザクセン自由州
- ザクセン゠アンハルト州
- テューリンゲン自由州
西部
- ヘッセン州
- ノルトライン゠ヴェストファーレン州
- ラインラント゠プファルツ州
- ザールラント州
南部
※もし追加で中部も設定するなら,テューリンゲン自由州,ヘッセン州を中部にするとよいだろう(ザクセン゠アンハルト州も中部に含めてもよいかもしれない)。
河川
ドイツの都市・地名を把握するのにあたって,ドイツの内部や国境を流れる主な河川は知っておきたい。
ドイツの領域を流れる川としては,以下の5つの河川が重要である。
南から北へと流れる川としては西から順にライン川・ヴェーザー川・エルベ川・オーデル川があり,西から東へと流れる川は南部にドナウ川がある。
特に,ドイツ史を学ぶうえではライン川・エルベ川を把握しておきたい。
<ドイツの河川>
ライン川 ★★★
スイスのアルプスを水源とし,フランス・ドイツ国境からドイツ西部を流れ,オランダに入って北海に注ぐ川。
ドイツでは,ヴォルムス・ボン・マインツ・ケルンなどの重要都市が沿岸に存在する。
ライン川の支流であるマイン川もドイツでは有名な河川で,沿岸にはフランクフルトが存在する。
ヴェーザー川 ★
ドイツ中央部から北海にかけて流れる川。
河口近くにブレーメンが存在する。
エルベ川 ★★★
チェコのボヘミア盆地を源とし,ドイツを北西方向に流れて北海に注ぐ川。
中世頃までドイツ人とスラヴ人・マジャール人,西欧と東欧の境界となっていたが,しだいにドイツ人が東方植民などを通じてエルベ川の東方に進出していった。
沿岸には,ドレスデン・ヴィッテンベルク・マグデブルク・ハンブルクなどの歴史的に重要な都市が存在する。
オーデル川 ★★
チェコのズデーテン山脈に源を発し,北西方向に流れて,ドイツ・ポーランドの国境付近を流れる川。
第二次世界大戦後,その支流ナイセ川とともにオーデル・ナイセ線としてドイツ・ポーランドの国境とされたことが有名。
ドナウ川 ★★★
ドイツのシュヴァルツヴァルトを水源とし,東方に流れて,オーストリア・ハンガリー・ルーマニアなどを経て黒海に注ぐ川。
ヨーロッパ全体レベルでは最重要レベルの河川だが,ドイツ内では沿岸に有名な都市・地名はあまり存在しない。
説明の順序・方法
以下,ドイツの①北部,②東部,③西部,④南部,の順番で,それぞれのなかの州ごとに世界史で出てくる都市・地名を取り上げて説明していく。
なお,それぞれの都市・地名について,世界史の学習や受験における重要度を★の数で示した。星の数が多いほど重要ということを意味する。
★★★ | 基本:高校の定期テストや大学受験の共通テストのレベル |
★★ | 標準:一般的な国立大学や私立大学の入試で必要なレベル |
★ | 発展:難関大学の入試では必要なレベル |
| 参考:入試で問われることはまずないだろうレベル |
北部
シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州
<シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州の都市・地名>
ドイツの北部,ユトランド半島の付け根に位置する州。
北海・バルト海に接することから,有名な海港都市が存在する。
この州は近代のドイツ史で出てくるシュレスヴィヒ・ホルシュタイン地方にあたり,19世紀にはドイツとデンマークとの間で領有をめぐって問題になり,デンマーク戦争の原因になったことでも知られる。
キール ★
ドイツ北部,シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州の州都で,バルト海に面する海港都市。
第一次世界大戦末期の1918年,このキールの軍港で水兵の蜂起が起こり,それが帝政を崩壊させるドイツ革命につながった。
リューベック ★★★
ドイツ北部,シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州の都市で,バルト海沿岸の都市。
中世にハンザ同盟の盟主となり,北海・バルト海貿易で大いに繁栄した。
ニーダーザクセン州
<ニーダーザクセン州の都市・地名>
ドイツ北西部の州で,北は北海,西はオランダと接している。
中世にカール大帝が征服したザクセン人が居住していたのがこのニーダーザクセン州のあたりである。
ハノーファー(ハノーヴァー) ★
ドイツ北部,ニーダーザクセン州の州都。
1714年にイギリスの王位を継承したハノーファー選帝侯の所領における中心的都市だった。
オスナブリュック ★
ドイツ北部,ニーダーザクセン州の都市。
ミュンスターとともに17世紀の三十年戦争についてのウェストファリア講和会議が開催されてウェストファリア条約が締結される舞台となった。
自由ハンザ都市ハンブルク
<ハンブルク>
ハンブルクは特殊な行政的地位の都市で,都市そのものが単独で州レベルの扱いになっている。
ハンブルク ★★★
ドイツ北部,エルベ川の河口に位置する海港都市。
中世にハンザ同盟の主要都市の一つとして北海・バルト海貿易で繁栄した。
ウィーン会議後に結成されたドイツ連邦においても,1871年に成立したドイツ帝国においても,自由都市の地位を与えられ,現在も自由ハンザ都市として単独で州レベルの扱いの特別市となっている。
自由ハンザ都市ブレーメン
<ブレーメン>
ブレーメンもハンブルクと同様に,都市が単独で州レベルの扱いをされている。
ブレーメン ★★
ドイツ北部,ヴェーザー川の下流,北海への河口に近い海港都市。
中世にハンザ同盟に参加し,主に北海での貿易で栄えた。
ハンブルクと同じく,ドイツ連邦やドイツ帝国で自由都市の地位を与えられ,現在も自由ハンザ都市として特別市になっている。
メクレンブルク゠フォアポンメルン州
<メクレンブルク゠フォアポンメルン州>
ドイツの北東部の州で,北側でバルト海,東側でポーランドと接している。
都市としては世界史に出てくるような有名なものはないが,この州の東部にあたる「フォアポンメルン」はいわゆる西ポンメルンのことであり,三十年戦争の講和条約ウェストファリア条約でスウェーデンが獲得した地域である。
東部
ベルリン
<ベルリン>
ドイツの首都であるベルリンは,過去にはブランデンブルク地方の中心都市だったが,現在ではブランデンブルクから独立して単独で州レベルとされる特別な扱いになっている。
ベルリン ★★★
ドイツ東部の都市で,ドイツの首都。
中世からブランデンブルク地方の中心都市として発達し,ブランデンブルク選帝侯国,そしてプロイセン王国の首都として発展した。
1871年にドイツが統一されるとドイツ帝国の首都となり,その後もヴァイマル共和国,ナチス・ドイツなどでも首都であり続けた。
第二次世界大戦後にはドイツが東西に分断されるなか,ベルリンも東西に分断されてベルリンの壁が築かれるなど東西冷戦を象徴する場となったが,1989年にベルリンの壁が開放されて翌年にはドイツが統一され,再びベルリンは統一ドイツの首都となった。
ブランデンブルク州
<ブランデンブルク州の都市・地名>
ドイツ東部の州。
歴史的には,ブランデンブルク選帝侯国・プロイセン王国の領域として発展してきて,そのプロイセン王国がドイツ統一の中心になったことから,統一後のドイツの中心となった。
かつてはベルリンがこのブランデンブルクの中心都市であったが,現在ではベルリンは特別市としてブランデンブルクとは別の特別市になっている。
ポツダム ★★
ドイツ東部,ブランデンブルク州の都市で,ベルリンの郊外に位置する。
18世紀にプロイセン王国のフリードリヒ2世によって,ロココ式のサン゠スーシ宮殿が建設された。
また,第二次世界大戦末期に米・英・ソの首脳によってポツダム会談が行われ,日本に対するポツダム宣言が発表された場としても有名。
ザクセン自由州
<ザクセン自由州の都市・地名>
ドイツ東部の州。東側でポーランド,南側でチェコと接している。
中世から近世に栄えたザクセン選帝侯の支配領域を中心とする地域。
ドイツの東端に位置し外国と接することもあって,七年戦争・ナポレオン戦争・第二次世界大戦などの戦争や講和に関する地名が複数存在する。
ライプツィヒ ★★
ドイツ東部,ザクセン自由州の都市で,同州最大の都市。
1813年にプロイセン・オーストリア・ロシアの連合軍とフランス軍との間でライプツィヒの戦いが行われ,ナポレオンに対する勝利が決定的になった。
フベルトゥスブルク ★
ドイツ東部,ザクセン自由州の町ヴェルムスドルフ近郊に存在する城。
オーストリア・プロイセン間の七年戦争の後,1763年にここでフベルトゥスブルク条約が締結され,プロイセンがシュレジエンを確保することが認められた。
ドレスデン ★★
ドイツ東部,ザクセン自由州の州都。
建築・美術・音楽などの芸術がさかんなことで名高い。
また,第二次世界大戦末期の1945年に,アメリカ・イギリスの空軍による激しい空襲を受けた(ドレスデン大空襲)ことでも知られる。
なお,1791年にオーストリア皇帝とプロイセン王がフランス革命に対して共同で発したピルニッツ宣言は,このドレスデン市内に存在するピルニッツ宮殿(ピルニッツ城)で発表されたものである。
ザクセン゠アンハルト州
<ザクセン゠アンハルト州の都市・地名>
ドイツ東部の州。
東方のスラヴ人への布教の拠点となったマグデブルク,宗教改革が開始された場所であるヴィッテンベルクなど,宗教関係で重要な都市が多い。
マグデブルク ★
ドイツ東部,ザクセン゠アンハルト州の州都で,エルベ川沿岸の都市。
10世紀にオットー1世によって大司教座が置かれてスラヴ人への布教の主な拠点となった。
ヴィッテンベルク(ルターシュタット・ヴィッテンベルク) ★★
ドイツ東部,ザクセン゠アンハルト州の都市で,エルベ川沿岸に位置する。
ヴィッテンベルク大学の教授ルターが1517年に九十五カ条の論題を発表して,宗教改革のはじまりの場となった。
テューリンゲン自由州
<テューリンゲン自由州の都市・地名>
ドイツの中央やや東寄りに位置する州。
ザクセン゠アンハルト州と近いこともあって宗教改革に関連する都市があるほか,ヴァイマル共和国やヴァイマル憲法で有名なヴァイマルが存在する。
ヴァイマル(ワイマール) ★★★
ドイツのテューリンゲン州の都市。
第一次世界大戦後にここでヴァイマル国民議会が開催され,ヴァイマル憲法が制定されてヴァイマル共和国が成立した。
そのほか,音楽家バッハや作家ゲーテなどの著名な芸術家が活躍し,また建築・デザインの学校バウハウスが設立されるなど,芸術面でも名高い。
イエナ(イエーナ) ★
ドイツのテューリンゲン州の都市。
ナポレオン戦争中にプロイセンとフランスが戦ったイエナの戦い(イエナ・アウエルシュタットの戦い)の舞台として知られる。
また,イエナ大学は歴史ある大学として有名で,19世紀前半にドイツの自由と統一を求めたブルシェンシャフトの中心にもなった。
ヴァルトブルク ★★
ドイツのテューリンゲン州の都市。
ヴァルトブルク城は,ルターがザクセン選帝侯フリードリヒに匿われて新約聖書のドイツ語訳を行った場として有名。
また,1817年には,ブルシェンシャフトが宗教改革300周年を記念してヴァルトブルク祭という祭典を実施している。
シュマルカルデン ★
ドイツのテューリンゲン州の都市。
1530年にルター派諸侯が神聖ローマ皇帝やカトリックに対抗するためにシュマルカルデン同盟を結成した地。
西部
ヘッセン州
<ヘッセン州の都市・地名>
ドイツの中央やや西寄りに位置する州。
州の南部の,ライン川とマイン川の周辺に,フランクフルトなどの主要都市が存在する。
フランクフルト(フランクフルト・アム・マイン) ★★★
ドイツのヘッセン州の都市で,ライン川の支流マイン川の沿岸の都市。
中世から神聖ローマ皇帝選挙のための諸侯会議が開催される場所となり,また近代にもドイツ連邦議会やフランクフルト国民議会が開催されるなど,ドイツ全体のことを討議する議会・会議の開催場所として歴史的に重要な役割を果たした。
ノルトライン゠ヴェストファーレン州
<ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市・地名>
ドイツ西部の州で,西方でオランダ・ベルギーに接し,西部にはライン川が流れている。
この州の東部・北部のあたりがウェストファリア地方(ヴェストファーレン地方)で,三十年戦争の講和条約であるウェストファリア条約が締結された地方として有名。
州の中央やや西寄りの地域はルール地方と呼ばれ,第一次世界大戦後にフランスなどによってルール占領が行われた地域である。
また,州の西部のライン川の周辺は,現在のラインラント゠プファルツ州の領域とともにラインラントと呼ばれる。
都市については,特にライン川の周辺に,重要な歴史的都市が多く存在する。
ミュンスター ★
ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市。
オスナブリュックとともに,17世紀の三十年戦争後にウェストファリア講和会議やウェストファリア条約の場となった。
ネアンデルタール ★★
ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州に存在する谷。
19世紀に,ネアンデルタール人の化石人骨が発見されたことで有名。
ケルン ★★★
ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市で,ライン川沿岸に位置する。
中世にキリスト教の大司教座が置かれて発展し,ケルン大司教は金印勅書による七選帝侯の一人にもなった。
また,ケルン大聖堂はゴシック建築の代表として有名である。
ボン ★★★
ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市で,ライン川沿岸に位置する。
第二次世界大戦後の東西分断期には,ドイツ連邦共和国(西ドイツ)の首都が置かれた。
なお,音楽家ベートーヴェンの出身地で,音楽や演劇などの芸術もさかんなことで知られる。
アーヘン ★★★
ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市で,オランダ・ベルギーとの国境近くに位置する。
8世紀にフランク王国の宮廷が置かれ,カール大帝の時代に帝国の中心都市として栄えた。
また,10世紀から16世紀まで,神聖ローマ皇帝の戴冠式(※厳密には当時は王としての戴冠)が行われたことでも知られる。
ラインラント゠プファルツ州
<ラインラント゠プファルツ州の都市・地名>
ドイツ西部の州で,名前の通りライン川が州内を通過している。
この州の地域は,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の西部とともにラインラントと呼ばれ,第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約で非武装化が決定されたが,ヒトラーがラインラント進駐を決行した地域である。
また,この州の南部のあたりはプファルツ(ファルツ)と呼ばれ,中世から近世のドイツ史で出てくるファルツ選帝侯やファルツ継承戦争のファルツとはこの地域のことを指している。
都市については,ライン川またはその支流に重要な都市が集中している。
エムス(バート・エムス) ★
ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市。
温泉などが多く存在する保養地で,1870年にプロイセン王ヴィルヘルム1世がここに滞在している際に起こったエムス電報事件は普仏戦争の契機になったことで知られる
マインツ ★★
ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市で,ライン川とその支流マイン川の合流点に位置する。
キリスト教の司教座が置かれて発展し,マインツ大司教は神聖ローマ帝国において金印勅書による七選帝侯の一人になった。
トリーア(トリール) ★★
ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市で,フランスとの国境に近い。
古くから司教座が置かれて発展し,トリーア大司教は神聖ローマ帝国において金印勅書による七選帝侯の一人になった。
ヴォルムス ★★★
ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市で,ライン川の沿岸に位置する。
1122年に神聖ローマ皇帝とローマ教皇の間でヴォルムス協約が締結された。
また,ルターによる宗教改革の開始を受けて,神聖ローマ皇帝カール5世がヴォルムス帝国議会を開催した。
なお,ヴォルムス大聖堂は,ロマネスク建築の代表として知られる。
シュパイヤー ★
ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市で,ライン川の沿岸に位置する。
神聖ローマ皇帝カール5世が,カトリックとルター派の対立を受けてシュパイヤー帝国議会を開催したことで知られる。
ザールラント州
<ザールラント>
ドイツ西南部の州。
都市については世界史で出てくるような有名なものは存在しないが,地方としてはザール地方として有名で,第一次世界大戦後にヴェルサイユ条約によって国際連盟の管理下に置かれた後,1935年に住民投票の結果として再びドイツに帰属することになった。
南部
バーデン゠ヴュルテンベルク州
<バーデン゠ヴュルテンベルク州の都市・地名>
ドイツ南西部の州。西側でフランス,南側でスイスと接している。
ドイツの南西の端に位置し,外国と接していることもあり,国際的な会議や条約の関係する地名が複数存在する。
経済や文化も発展しており,世界史では普通出てこないために取り上げなかったが,シュトゥットガルト・マンハイム・フライブルクなどの有名都市もこの州に存在する。
ハイデルベルク ★
ドイツ南部,バーデン゠ヴュルテンベルク州の都市。
この都市の近郊から,化石人類のハイデルベルク人が発見された。
ラシュタット ★
ドイツ南部,バーデン゠ヴュルテンベルク州の都市で,ライン川の近くに位置する。
スペイン継承戦争後,1714年にこの地でハプスブルク家とフランスの間でラシュタット条約が締結された。
コンスタンツ ★★
ドイツ南部,バーデン゠ヴュルテンベルク州の都市で,ライン川の沿岸に位置する。
1414年,カトリック教会の混乱の収拾をはかるためのコンスタンツ公会議が開催された場所として知られる。
バイエルン自由州
<バイエルン自由州の都市・地名>
ドイツ南東部の州で,南側でスイス・オーストリア,東側でチェコと接している。
都市としては,アウクスブルクやミュンヘンなど,ドイツ南部の代表的都市がこの州に集まっている。
また,シーメンスやBMWなどのドイツが誇る大企業の本拠地があり,経済的にも発展している。
ニュルンベルク ★★
ドイツ南部バイエルン州の都市。
中世から商工業がさかんで都市が発展した。
ナチス政権の時代にはナチスの党大会の開催場所とされ,その関係で第二次世界大戦後にナチスなどの戦犯に対するニュルンベルク裁判が行われることになった。
アウクスブルク ★★★
ドイツ南部バイエルン州の都市。
古代ローマのアウグストゥス帝の時代に築かれたローマ軍の拠点が起源で,そこからアウクスブルクという名称が生まれることになった。
中世には交易や鉱山によって都市が発展し,15~16世紀にはこの都市を本拠地とする大富豪フッガー家が金融業によってヨーロッパで大きな勢力を振るった。
1555年にカトリックとルター派の間でアウクスブルクの宗教和議が成立した場所でもある。
なお,オットー1世がマジャール人を撃退したレヒフェルトの戦いも,このアウクスブルクの近郊で行われたものである。
ミュンヘン ★★★
ドイツ南部バイエルン州の州都。
ナチスの本拠地として有名で,ヒトラーによるミュンヘン一揆や,ドイツ・イタリア・イギリス・フランスの首脳によるミュンヘン会談の場となった。
シーメンスやBMWといった大企業の本社が存在するなど,経済も高度に発展している。
まとめ
最後に,ドイツの都市・地名の一覧の,地方・州ごとに表示したバージョンと,河川などの地形とともに表示したバージョンの両方を掲示しておく。
<ドイツの都市・地名 一覧>