大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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このブログについて

この「大学受験の世界史のフォーラム」は,大学受験世界史の学習に利用できる教材や情報を提供することで,受験生・高校生を支援するためのブログです。古代ローマにおける「フォーラム」(広場)のように,有意義な交流ができる場にできればと思っています。

管理人である東大世界史講師は,東京大学文科一類に入学して東京大学法学部を卒業し,現在,東京・神奈川の大学受験指導機関で,東大を中心とした大学入試対策の世界史を指導している者です。

このブログは,営業ではなく個人的な活動として行っています。(※指導・添削のサービスにご関心をお持ちの方は,「世界史の指導・添削サービスについての情報」をご覧ください。)

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更新情報


今回は,イランの都市・地名のうち世界史で使用されるものを,地形・地方とあわせて紹介します。


イラン 都市・地名 一覧

<イラン 都市 一覧>


総論


地方区分

現在のイラン・イスラーム共和国では,国土は31の州に区分されているが,さらにそれらの州をまとめた5つの広域の地方が設定されている。

イラン 広域地方区分

<イラン 広域地方区分>


この地図のように,基本的には東西方向に西部・中部・東部と分けられ,西部と中部についてはさらに南北方向に2つに分けられている。

この区分も参考にして,まずは東西方向に西部・中部・東部に分けて,そのうえで南北を意識して都市・地名を把握するといいだろう。


地形

イランの都市・地名や歴史を把握するには,港湾・湖・山脈などの地形を知っておきたい。

ここでは,イランの国土に含まれるか,あるいは接する地形を取り上げる。

イラン 地形

<イランとその周辺の地形>


イラン高原 ★★★

西はティグリス・ユーフラテス川,東はインダス川,北はアルボルズ山脈,南はザグロス山脈などに囲まれた高原地帯で,現在のイランの国土の大部分にあたる。


ペルシア湾 ★★★

アラビア半島とイランに挟まれた湾。

ティグリス・ユーフラテス川が注ぎ込み,ホルムズ海峡を経てアラビア海・インド洋へとつながっている。

古くから現代に至るまで重要な海上交易のルートになってきた。


カスピ海 ★★★

カフカス地方・ロシア・中央アジア・イランの間にある湖で,世界最大の湖。


アルボルズ山脈(エルブールズ山脈) ★

イラン高原の北部,カスピ海の南岸に沿って走る山脈。


ザグロス山脈 ★

イラン高原の南西端,ペルシア湾に沿って走る山脈。


説明の順序とランク

以下では,イランの都市・地名を,西から東,北から南へと,①北西部,②中西部~南西部,③中北部,④中央~中南部,⑤東部,の順番で,紹介していく。

なお,それぞれの都市・地名について,世界史の学習や受験における重要度を★の数で示した。星の数が多いほど重要ということを意味する。

★★★ 基本:高校の定期テストや大学受験の共通テストのレベル
★★ 標準:一般的な国立大学や私立大学の入試で必要なレベル
発展:難関大学の入試では必要なレベル
  参考:入試で問われることはまずないだろうレベル

北西部

イラン北西部の都市

<イラン北西部の都市>


イランの北西部で,アナトリアやカフカス地方に近い(あるいは重なる)地方。

近世以降のサファヴィー朝やカージャール朝の時代の都市が多く,またオスマン帝国やロシアとイランの外交に関係する都市・地名が多い。


チャルディラーン ★

アナトリア東部の草原地帯で,現在のイランの北西端,トルコとの国境近くに位置する。

1514年,サファヴィー朝とオスマン帝国の間でチャルディラーンの戦いが行われ,サファヴィー朝がオスマン帝国に敗れた。


タブリーズ ★★★

イラン北西部の中心都市。

13世紀にイル゠ハン国の都が置かれてから発展し,16世紀にはサファヴィー朝の首都にもなった。


トルコマンチャーイ ★

イラン北西部の都市で,タブリーズの南東に位置する。

1828年にカージャール朝とロシアの間でトルコマンチャーイ条約が締結された。


中西部・南西部

イラン中西部・南西部の都市

<イラン中西部・南西部の都市>


イランの中西部から南西部の地方で,メソポタミアに近い地域。

メディア王国やアケメネス朝ペルシアなど,古代イラン文明時代の都市・遺跡が多い。


エクバタナ(ハマダーン) ★

イラン西部の都市。現在のハマダーンにあたる。

古代イランのメディア王国の首都が置かれ,その後もアケメネス朝などでも主要都市とされた。


ベヒストゥーン ★

イラン西部,ザクロス山脈の山中に存在する村。

アケメネス朝の時代にダレイオス1世によってベヒストゥーン碑文がつくられ,この碑文が後にイギリスのローリンソンによる楔形文字の解読につながったことで有名。


スサ ★★★

イラン西部の都市。

紀元前のイランに存在したエラム人の王国の中心都市で,彼らがバビロニアから持ち去ったハンムラビ法典を刻んだ石柱がここで発見されている。

アケメネス朝の時代には行政上の首都となり,王宮が築かれ,王の道の起点となるなど繁栄した。


中北部

イラン中北部の都市

<イラン中北部の都市>


イランの中北部にあたり,カスピ海の南に位置し,アルボルズ山脈やその周辺を含む地域。

ガージャール朝(カージャール朝)の首都が置かれて以降,イランの中心的な地域となった。


テヘラン ★★★

イラン中北部の都市で現在のイランの首都。アルボルズ山脈の南のふもとに位置する。

18世紀末に成立したガージャール朝の首都が置かれてから発展し,それにつづくパフレヴィー朝,そして現在のイラン・イスラーム共和国でも首都が置かれている。


中央部・中南部

イラン中央部・中南部の都市

<イラン中央部・中南部の都市>


イスファハーン ★★★

イラン中央部の都市。

16世紀末にサファヴィー朝の全盛期を築いたアッバース1世によって都が置かれ,イマームのモスク王のモスク)などの壮麗な建築物が築かれ,世界から商人が来訪するなど繁栄し,「イスファハーンは世界の半分」と讃えられた。


ペルセポリス ★★★

イラン南部ファールス地方の都市・遺跡で,ザグロス山脈の東のふもとに位置する。

アケメネス朝のダレイオス1世によって建設された。

前4世紀に東方遠征でアケメネス朝を破ったアレクサンドロスによって破壊された。


シーラーズ ★

イラン南部ファールス地方の中心都市で,ザグロス山脈の東のふもとに位置する。

18世紀,サファヴィー朝滅亡後のイランで成立したザンド朝の首都が置かれた。

ペルシアの抒情詩人ハーフィズの出身地でもある。


バンダレ・アッバース ★★

イラン南部,ペルシア湾のホルムズ海峡に面する海港都市。

16世紀にポルトガルが進出して海上貿易の拠点を築いていたが,17世紀前半にサファヴィー朝のアッバース1世がポルトガルを撃退した後にバンダレ・アッバースと改称して海港都市として発展させた。


東部

イラン東部の都市

<イラン東部の都市>


イラン東部は砂漠など乾燥地帯が広がっていることもあり,歴史的に有名な都市は少ない。


ニーシャープール(ネイシャーブール) ★

イラン東北部ホラーサーン地方の都市。

3世紀にササン朝の第2代の王シャープール1世によって創建された。

11世紀にはセルジューク朝の都が置かれた。


まとめ

最後に,イランの都市・地名をまとめた地図を改めて掲示する。


イラン 都市・地名 一覧 地方別

イラン 都市・地名 一覧

<イラン 都市 一覧>



今回は,ドイツの都市・地名のうち,高校の世界史や大学受験の世界史で出てくるものを,地方・行政区分・地形などとあわせて紹介します。


ドイツ 都市 一覧

<ドイツの都市・地名 一覧>


総論



ドイツ 州 一覧

<ドイツの州>


現在のドイツの最高レベルの行政区分はとなっており,ドイツ全体が16の州に区分されている。なお,ベルリンハンブルクブレーメンは,単独の都市でありながらも同時に州レベルの自治体として扱われる特別市になっている。

これらの州のうちには,ザクセン州ノルトライン゠ヴェストファーレン州ラインラント゠プファルツ州ザールラント州バイエルン州など,世界史で出てくる有名な地名に由来する州名も多いので,多少知っていると世界史の理解に役立つことはある。また,特別市のベルリンハンブルクブレーメンはもちろん覚えるべきである。

しかし,それでもやはり16州を覚えるのは現実的ではないので,もっと大まかに地方を把握したうえで,地方ごとに世界史の学習に出てくる都市・地名をおさえるとよいだろう。


広域の地方区分

ドイツの領域は,大きく北部東部西部南部の4つに区分することができる(追加で中部を設定してもよい)。


ドイツ 地方

<ドイツの広域の地方区分>


この方角による区分は,公式の区分ではないので絶対的な基準ではないが,大まかにドイツ内の位置を把握するのに有益である。

それぞれの地方とそこに属する州をまとめると,以下のようになる。


ドイツ 地方と州

<ドイツの地方と州>


北部

  • シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州
  • ニーダーザクセン州
  • 自由ハンザ都市ブレーメン
  • 自由ハンザ都市ハンブルク
  • メクレンブルク゠フォアポンメルン州

東部

  • ベルリン
  • ブランデンブルク州
  • ザクセン自由州
  • ザクセン゠アンハルト州
  • テューリンゲン自由州

西部

  • ヘッセン州
  • ノルトライン゠ヴェストファーレン州
  • ラインラント゠プファルツ州
  • ザールラント州

南部

  • バーデン゠ヴュルテンベルク州
  • バイエルン自由州

※もし追加で中部も設定するなら,テューリンゲン自由州,ヘッセン州を中部にするとよいだろう(ザクセン゠アンハルト州も中部に含めてもよいかもしれない)。


河川

ドイツの都市・地名を把握するのにあたって,ドイツの内部や国境を流れる主な河川は知っておきたい。

ドイツの領域を流れる川としては,以下の5つの河川が重要である。

南から北へと流れる川としては西から順にライン川ヴェーザー川エルベ川オーデル川があり,西から東へと流れる川は南部にドナウ川がある。

特に,ドイツ史を学ぶうえではライン川・エルベ川を把握しておきたい。


ドイツ 地形

<ドイツの河川>


ライン川 ★★★

スイスのアルプスを水源とし,フランス・ドイツ国境からドイツ西部を流れ,オランダに入って北海に注ぐ川。

ドイツでは,ヴォルムスボンマインツケルンなどの重要都市が沿岸に存在する。

ライン川の支流であるマイン川もドイツでは有名な河川で,沿岸にはフランクフルトが存在する。


ヴェーザー川 ★

ドイツ中央部から北海にかけて流れる川。

河口近くにブレーメンが存在する。


エルベ川 ★★★

チェコのボヘミア盆地を源とし,ドイツを北西方向に流れて北海に注ぐ川。

中世頃までドイツ人とスラヴ人・マジャール人,西欧と東欧の境界となっていたが,しだいにドイツ人が東方植民などを通じてエルベ川の東方に進出していった。

沿岸には,ドレスデンヴィッテンベルクマグデブルクハンブルクなどの歴史的に重要な都市が存在する。


オーデル川 ★★

チェコのズデーテン山脈に源を発し,北西方向に流れて,ドイツ・ポーランドの国境付近を流れる川。

第二次世界大戦後,その支流ナイセ川とともにオーデル・ナイセ線としてドイツ・ポーランドの国境とされたことが有名。


ドナウ川 ★★★

ドイツのシュヴァルツヴァルトを水源とし,東方に流れて,オーストリア・ハンガリー・ルーマニアなどを経て黒海に注ぐ川。

ヨーロッパ全体レベルでは最重要レベルの河川だが,ドイツ内では沿岸に有名な都市・地名はあまり存在しない。


説明の順序・方法

以下,ドイツの①北部,②東部,③西部,④南部,の順番で,それぞれのなかの州ごとに世界史で出てくる都市・地名を取り上げて説明していく。

なお,それぞれの都市・地名について,世界史の学習や受験における重要度を★の数で示した。星の数が多いほど重要ということを意味する。

★★★ 基本:高校の定期テストや大学受験の共通テストのレベル
★★ 標準:一般的な国立大学や私立大学の入試で必要なレベル
発展:難関大学の入試では必要なレベル
  参考:入試で問われることはまずないだろうレベル

北部


シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州


シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州 都市 州別

シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州 都市 地形版

<シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州の都市・地名>


ドイツの北部,ユトランド半島の付け根に位置する州。

北海・バルト海に接することから,有名な海港都市が存在する。

この州は近代のドイツ史で出てくるシュレスヴィヒ・ホルシュタイン地方にあたり,19世紀にはドイツとデンマークとの間で領有をめぐって問題になり,デンマーク戦争の原因になったことでも知られる。


キール ★

ドイツ北部,シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州の州都で,バルト海に面する海港都市。

第一次世界大戦末期の1918年,このキールの軍港で水兵の蜂起が起こり,それが帝政を崩壊させるドイツ革命につながった。


リューベック ★★★

ドイツ北部,シュレスヴィヒ゠ホルシュタイン州の都市で,バルト海沿岸の都市。

中世にハンザ同盟の盟主となり,北海・バルト海貿易で大いに繁栄した。


ニーダーザクセン州


ニーダーザクセン州 都市 州別

ニーダーザクセン州 都市 州別

<ニーダーザクセン州の都市・地名>


ドイツ北西部の州で,北は北海,西はオランダと接している。

中世にカール大帝が征服したザクセン人が居住していたのがこのニーダーザクセン州のあたりである。


ハノーファー(ハノーヴァー) ★

ドイツ北部,ニーダーザクセン州の州都。

1714年にイギリスの王位を継承したハノーファー選帝侯の所領における中心的都市だった。


オスナブリュック ★

ドイツ北部,ニーダーザクセン州の都市。

ミュンスターとともに17世紀の三十年戦争についてのウェストファリア講和会議が開催されてウェストファリア条約が締結される舞台となった。


自由ハンザ都市ハンブルク


ハンブルク 州別

ハンブルク 地形版

<ハンブルク>


ハンブルクは特殊な行政的地位の都市で,都市そのものが単独で州レベルの扱いになっている。


ハンブルク ★★★

ドイツ北部,エルベ川の河口に位置する海港都市。

中世にハンザ同盟の主要都市の一つとして北海・バルト海貿易で繁栄した。

ウィーン会議後に結成されたドイツ連邦においても,1871年に成立したドイツ帝国においても,自由都市の地位を与えられ,現在も自由ハンザ都市として単独で州レベルの扱いの特別市となっている。


自由ハンザ都市ブレーメン


ブレーメン 州別

ブレーメン 地形版

<ブレーメン>


ブレーメンもハンブルクと同様に,都市が単独で州レベルの扱いをされている。


ブレーメン ★★

ドイツ北部,ヴェーザー川の下流,北海への河口に近い海港都市。

中世にハンザ同盟に参加し,主に北海での貿易で栄えた。

ハンブルクと同じく,ドイツ連邦やドイツ帝国で自由都市の地位を与えられ,現在も自由ハンザ都市として特別市になっている。


メクレンブルク゠フォアポンメルン州


メクレンブルク゠フォアポンメルン州

<メクレンブルク゠フォアポンメルン州>


ドイツの北東部の州で,北側でバルト海,東側でポーランドと接している。

都市としては世界史に出てくるような有名なものはないが,この州の東部にあたる「フォアポンメルン」はいわゆる西ポンメルンのことであり,三十年戦争の講和条約ウェストファリア条約でスウェーデンが獲得した地域である。


東部


ベルリン


ベルリン 州別

ベルリン 地形版

<ベルリン>


ドイツの首都であるベルリンは,過去にはブランデンブルク地方の中心都市だったが,現在ではブランデンブルクから独立して単独で州レベルとされる特別な扱いになっている。


ベルリン ★★★

ドイツ東部の都市で,ドイツの首都。

中世からブランデンブルク地方の中心都市として発達し,ブランデンブルク選帝侯国,そしてプロイセン王国の首都として発展した。

1871年にドイツが統一されるとドイツ帝国の首都となり,その後もヴァイマル共和国,ナチス・ドイツなどでも首都であり続けた。

第二次世界大戦後にはドイツが東西に分断されるなか,ベルリンも東西に分断されてベルリンの壁が築かれるなど東西冷戦を象徴する場となったが,1989年にベルリンの壁が開放されて翌年にはドイツが統一され,再びベルリンは統一ドイツの首都となった。


ブランデンブルク州


ブランデンブルク州 都市 州別

ブランデンブルク州 都市 地形版

<ブランデンブルク州の都市・地名>


ドイツ東部の州。

歴史的には,ブランデンブルク選帝侯国・プロイセン王国の領域として発展してきて,そのプロイセン王国がドイツ統一の中心になったことから,統一後のドイツの中心となった。

かつてはベルリンがこのブランデンブルクの中心都市であったが,現在ではベルリンは特別市としてブランデンブルクとは別の特別市になっている。


ポツダム ★★

ドイツ東部,ブランデンブルク州の都市で,ベルリンの郊外に位置する。

18世紀にプロイセン王国のフリードリヒ2世によって,ロココ式のサン゠スーシ宮殿が建設された。

また,第二次世界大戦末期に米・英・ソの首脳によってポツダム会談が行われ,日本に対するポツダム宣言が発表された場としても有名。


ザクセン自由州


ザクセン自由州 都市 州別

ザクセン自由州 都市 地形版

<ザクセン自由州の都市・地名>


ドイツ東部の州。東側でポーランド,南側でチェコと接している。

中世から近世に栄えたザクセン選帝侯の支配領域を中心とする地域。

ドイツの東端に位置し外国と接することもあって,七年戦争・ナポレオン戦争・第二次世界大戦などの戦争や講和に関する地名が複数存在する。


ライプツィヒ ★★

ドイツ東部,ザクセン自由州の都市で,同州最大の都市。

1813年にプロイセン・オーストリア・ロシアの連合軍とフランス軍との間でライプツィヒの戦いが行われ,ナポレオンに対する勝利が決定的になった。


フベルトゥスブルク ★

ドイツ東部,ザクセン自由州の町ヴェルムスドルフ近郊に存在する城。

オーストリア・プロイセン間の七年戦争の後,1763年にここでフベルトゥスブルク条約が締結され,プロイセンがシュレジエンを確保することが認められた。


ドレスデン ★★

ドイツ東部,ザクセン自由州の州都。

建築・美術・音楽などの芸術がさかんなことで名高い。

また,第二次世界大戦末期の1945年に,アメリカ・イギリスの空軍による激しい空襲を受けた(ドレスデン大空襲)ことでも知られる。

なお,1791年にオーストリア皇帝とプロイセン王がフランス革命に対して共同で発したピルニッツ宣言は,このドレスデン市内に存在するピルニッツ宮殿(ピルニッツ城)で発表されたものである。


ザクセン゠アンハルト州


ザクセン゠アンハルト州 都市 州別

ザクセン゠アンハルト州 都市 地形版

<ザクセン゠アンハルト州の都市・地名>


ドイツ東部の州。

東方のスラヴ人への布教の拠点となったマグデブルク,宗教改革が開始された場所であるヴィッテンベルクなど,宗教関係で重要な都市が多い。


マグデブルク ★

ドイツ東部,ザクセン゠アンハルト州の州都で,エルベ川沿岸の都市。

10世紀にオットー1世によって大司教座が置かれてスラヴ人への布教の主な拠点となった。


ヴィッテンベルク(ルターシュタット・ヴィッテンベルク) ★★

ドイツ東部,ザクセン゠アンハルト州の都市で,エルベ川沿岸に位置する。

ヴィッテンベルク大学の教授ルターが1517年に九十五カ条の論題を発表して,宗教改革のはじまりの場となった。


テューリンゲン自由州


テューリンゲン自由州 都市 州別

テューリンゲン自由州 都市 地形版

<テューリンゲン自由州の都市・地名>


ドイツの中央やや東寄りに位置する州。

ザクセン゠アンハルト州と近いこともあって宗教改革に関連する都市があるほか,ヴァイマル共和国やヴァイマル憲法で有名なヴァイマルが存在する。


ヴァイマル(ワイマール) ★★★

ドイツのテューリンゲン州の都市。

第一次世界大戦後にここでヴァイマル国民議会が開催され,ヴァイマル憲法が制定されてヴァイマル共和国が成立した。

そのほか,音楽家バッハや作家ゲーテなどの著名な芸術家が活躍し,また建築・デザインの学校バウハウスが設立されるなど,芸術面でも名高い。


イエナ(イエーナ) ★

ドイツのテューリンゲン州の都市。

ナポレオン戦争中にプロイセンとフランスが戦ったイエナの戦い(イエナ・アウエルシュタットの戦い)の舞台として知られる。

また,イエナ大学は歴史ある大学として有名で,19世紀前半にドイツの自由と統一を求めたブルシェンシャフトの中心にもなった。


ヴァルトブルク ★★

ドイツのテューリンゲン州の都市。

ヴァルトブルク城は,ルターがザクセン選帝侯フリードリヒに匿われて新約聖書のドイツ語訳を行った場として有名。

また,1817年には,ブルシェンシャフトが宗教改革300周年を記念してヴァルトブルク祭という祭典を実施している。


シュマルカルデン ★

ドイツのテューリンゲン州の都市。

1530年にルター派諸侯が神聖ローマ皇帝やカトリックに対抗するためにシュマルカルデン同盟を結成した地。


西部


ヘッセン州


ヘッセン州 都市 州別

ヘッセン州 都市 地形版

<ヘッセン州の都市・地名>


ドイツの中央やや西寄りに位置する州。

州の南部の,ライン川とマイン川の周辺に,フランクフルトなどの主要都市が存在する。


フランクフルト(フランクフルト・アム・マイン) ★★★

ドイツのヘッセン州の都市で,ライン川の支流マイン川の沿岸の都市。

中世から神聖ローマ皇帝選挙のための諸侯会議が開催される場所となり,また近代にもドイツ連邦議会やフランクフルト国民議会が開催されるなど,ドイツ全体のことを討議する議会・会議の開催場所として歴史的に重要な役割を果たした。


ノルトライン゠ヴェストファーレン州


ノルトライン゠ヴェストファーレン州 都市 州別

ノルトライン゠ヴェストファーレン州 都市 地形版

<ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市・地名>


ドイツ西部の州で,西方でオランダ・ベルギーに接し,西部にはライン川が流れている。

この州の東部・北部のあたりがウェストファリア地方(ヴェストファーレン地方)で,三十年戦争の講和条約であるウェストファリア条約が締結された地方として有名。

州の中央やや西寄りの地域はルール地方と呼ばれ,第一次世界大戦後にフランスなどによってルール占領が行われた地域である。

また,州の西部のライン川の周辺は,現在のラインラント゠プファルツ州の領域とともにラインラントと呼ばれる。

都市については,特にライン川の周辺に,重要な歴史的都市が多く存在する。


ミュンスター ★

ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市。

オスナブリュックとともに,17世紀の三十年戦争後にウェストファリア講和会議ウェストファリア条約の場となった。


ネアンデルタール ★★

ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州に存在する谷。

19世紀に,ネアンデルタール人の化石人骨が発見されたことで有名。


ケルン ★★★

ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市で,ライン川沿岸に位置する。

中世にキリスト教の大司教座が置かれて発展し,ケルン大司教は金印勅書による七選帝侯の一人にもなった。

また,ケルン大聖堂はゴシック建築の代表として有名である。


ボン ★★★

ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市で,ライン川沿岸に位置する。

第二次世界大戦後の東西分断期には,ドイツ連邦共和国(西ドイツ)の首都が置かれた。

なお,音楽家ベートーヴェンの出身地で,音楽や演劇などの芸術もさかんなことで知られる。


アーヘン ★★★

ドイツ西部,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の都市で,オランダ・ベルギーとの国境近くに位置する。

8世紀にフランク王国の宮廷が置かれ,カール大帝の時代に帝国の中心都市として栄えた。

また,10世紀から16世紀まで,神聖ローマ皇帝の戴冠式(※厳密には当時は王としての戴冠)が行われたことでも知られる。


ラインラント゠プファルツ州


ラインラント゠プファルツ州 都市 州別

ラインラント゠プファルツ州 都市 地形版

<ラインラント゠プファルツ州の都市・地名>


ドイツ西部の州で,名前の通りライン川が州内を通過している。

この州の地域は,ノルトライン゠ヴェストファーレン州の西部とともにラインラントと呼ばれ,第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約で非武装化が決定されたが,ヒトラーラインラント進駐を決行した地域である。

また,この州の南部のあたりはプファルツファルツ)と呼ばれ,中世から近世のドイツ史で出てくるファルツ選帝侯やファルツ継承戦争のファルツとはこの地域のことを指している。

都市については,ライン川またはその支流に重要な都市が集中している。


エムス(バート・エムス) ★

ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市。

温泉などが多く存在する保養地で,1870年にプロイセン王ヴィルヘルム1世がここに滞在している際に起こったエムス電報事件普仏戦争の契機になったことで知られる


マインツ ★★

ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市で,ライン川とその支流マイン川の合流点に位置する。

キリスト教の司教座が置かれて発展し,マインツ大司教は神聖ローマ帝国において金印勅書による七選帝侯の一人になった。


トリーア(トリール) ★★

ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市で,フランスとの国境に近い。

古くから司教座が置かれて発展し,トリーア大司教は神聖ローマ帝国において金印勅書による七選帝侯の一人になった。


ヴォルムス ★★★

ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市で,ライン川の沿岸に位置する。

1122年に神聖ローマ皇帝とローマ教皇の間でヴォルムス協約が締結された。

また,ルターによる宗教改革の開始を受けて,神聖ローマ皇帝カール5世ヴォルムス帝国議会を開催した。

なお,ヴォルムス大聖堂は,ロマネスク建築の代表として知られる。


シュパイヤー ★

ドイツ西部,ラインラント゠プファルツ州の都市で,ライン川の沿岸に位置する。

神聖ローマ皇帝カール5世が,カトリックとルター派の対立を受けてシュパイヤー帝国議会を開催したことで知られる。


ザールラント州


ザールラント州

<ザールラント>


ドイツ西南部の州。

都市については世界史で出てくるような有名なものは存在しないが,地方としてはザール地方として有名で,第一次世界大戦後にヴェルサイユ条約によって国際連盟の管理下に置かれた後,1935年に住民投票の結果として再びドイツに帰属することになった。


南部


バーデン゠ヴュルテンベルク州


バーデン゠ヴュルテンベルク州 都市 州別

バーデン゠ヴュルテンベルク州 都市 地形版

<バーデン゠ヴュルテンベルク州の都市・地名>


ドイツ南西部の州。西側でフランス,南側でスイスと接している。

ドイツの南西の端に位置し,外国と接していることもあり,国際的な会議や条約の関係する地名が複数存在する。

経済や文化も発展しており,世界史では普通出てこないために取り上げなかったが,シュトゥットガルトマンハイムフライブルクなどの有名都市もこの州に存在する。


ハイデルベルク ★

ドイツ南部,バーデン゠ヴュルテンベルク州の都市。

この都市の近郊から,化石人類のハイデルベルク人が発見された。


ラシュタット ★

ドイツ南部,バーデン゠ヴュルテンベルク州の都市で,ライン川の近くに位置する。

スペイン継承戦争後,1714年にこの地でハプスブルク家とフランスの間でラシュタット条約が締結された。


コンスタンツ ★★

ドイツ南部,バーデン゠ヴュルテンベルク州の都市で,ライン川の沿岸に位置する。

1414年,カトリック教会の混乱の収拾をはかるためのコンスタンツ公会議が開催された場所として知られる。


バイエルン自由州


バイエルン自由州 都市 州別

バイエルン自由州 都市 地形版

<バイエルン自由州の都市・地名>


ドイツ南東部の州で,南側でスイス・オーストリア,東側でチェコと接している。

都市としては,アウクスブルクやミュンヘンなど,ドイツ南部の代表的都市がこの州に集まっている。

また,シーメンスやBMWなどのドイツが誇る大企業の本拠地があり,経済的にも発展している。


ニュルンベルク ★★

ドイツ南部バイエルン州の都市。

中世から商工業がさかんで都市が発展した。

ナチス政権の時代にはナチスの党大会の開催場所とされ,その関係で第二次世界大戦後にナチスなどの戦犯に対するニュルンベルク裁判が行われることになった。


アウクスブルク ★★★

ドイツ南部バイエルン州の都市。

古代ローマのアウグストゥス帝の時代に築かれたローマ軍の拠点が起源で,そこからアウクスブルクという名称が生まれることになった。

中世には交易や鉱山によって都市が発展し,15~16世紀にはこの都市を本拠地とする大富豪フッガー家が金融業によってヨーロッパで大きな勢力を振るった。

1555年にカトリックとルター派の間でアウクスブルクの宗教和議が成立した場所でもある。

なお,オットー1世がマジャール人を撃退したレヒフェルトの戦いも,このアウクスブルクの近郊で行われたものである。


ミュンヘン ★★★

ドイツ南部バイエルン州の州都。

ナチスの本拠地として有名で,ヒトラーによるミュンヘン一揆や,ドイツ・イタリア・イギリス・フランスの首脳によるミュンヘン会談の場となった。

シーメンスやBMWといった大企業の本社が存在するなど,経済も高度に発展している。


まとめ

最後に,ドイツの都市・地名の一覧の,地方・州ごとに表示したバージョンと,河川などの地形とともに表示したバージョンの両方を掲示しておく。


ドイツ 都市・地名 一覧 州別

ドイツ 都市 一覧 地形版

<ドイツの都市・地名 一覧>



今回は,フランスの都市のうち,高校の世界史や大学受験の世界史で出てくるものを,フランスの地方・行政区分・地形などとあわせて紹介します。


フランス 都市 一覧

<フランスの都市 一覧>


総論


今回扱う領域

フランスは,ヨーロッパの大陸部の領土のほかに,地中海のコルシカ島,そして世界各地に海外領土があるが,ここではヨーロッパの大陸上に存在する本土のみに限定する。


地域圏

ヨーロッパの大陸上に存在するフランス本土は,下の地図のように,12の地域圏という大きな枠組みに分けられており,それらの各地域圏の下に県などの行政単位が置かれている。


フランス 地域圏 一覧

<フランス 地域圏 一覧>


しかし,世界史の学習において12もの地域圏を覚えるのはあまり実用的ではなく,より少なくて単純な区分の方が使いやすいだろう。


より広域の地方区分

フランス本土の領域を見てみると,ちょうど五角形のような形をしていて,だいたい東西と南北によって4つに区分できる。

そして,パリの存在するイル゠ド゠フランスは北のちょうど中央にあって北東とも北西とも言いにくく,また首都圏ということもあり,ここだけは単独で扱うと便利である。


フランス 地域圏 一覧 色分けバージョン

<フランス 地域圏 一覧 色分けバージョン>


そこで,まず南北方向と東西方向によって,北東部・北西部・南西部・南東部の4つに分けて把握して,北の中央に位置するパリとその周辺だけは首都圏として別にとらえるとよい。


フランス 大きな地方区分

<フランス 大きな地方区分>


つまり,フランス本土は,①首都圏,②北東部,③北西部,④南西部,⑤南東部の5つに区分するとよい。

これらの地方のうち,特に首都圏と北東部は,イギリスやドイツと近いこともあって,これらの国と関係する重要な都市・地名が多いので,ここを特に重視するとよいだろう。

地域圏に分けた上で都市の一覧を表示したバージョンの地図も掲載しておく。


フランス 都市の一覧 地域圏別

<フランスの都市一覧 地域圏別>


河川

フランス 主な河川

<フランスの主な河川>


フランスの都市・地点を把握するにあたって,主な河川については把握しておきたい。

ここでは,世界史の学習で有益な,フランスの上位4つの河川を挙げる。

セーヌ川は特に有名だが,ロワール川も知っておくと有益である。


セーヌ川 ★★★

フランス北東部を源として北西方向に流れ,イギリス海峡に注ぐ川。

パリなどを通ることで有名だが,他にもトロワ・ルーアンなども沿岸に位置している。


ロワール川 ★★

フランスの中央部から西部を流れて大西洋に注ぐ河川で,フランス最長の河川。

沿岸に,オルレアン,トゥール,ナントなどの都市が存在する。


ガロンヌ川 ★

フランス南西部の河川で,ピレネー山脈を水源として,おおむね北西方向に向かって大西洋へと注ぐ。

沿岸の都市としてはボルドーが有名。


ローヌ川 ★

フランス南東部の河川で,スイスを水源とし,地中海へと注いでいる。

リヨン,アヴィニョンなどが沿岸に存在する。


順序とランク

以下,世界史で使用されるフランスの都市・地名を,地方ごとに紹介する。

順番は,首都圏を最初に取り上げて,あとは北東部から反時計回りに取り上げ,すなわち,①首都圏,②北東部,③北西部,④南西部,⑤南東部の順番で紹介していく。

この5つの地方の内部では,いちおう地域圏の名称も挙げて,地域圏ごとに都市を挙げる。


なお,それぞれの都市・地名について,世界史の学習や受験における重要度を★の数で示した。星の数が多いほど重要ということを意味する。

★★★ 基本:高校の定期テストや大学受験の共通テストのレベル
★★ 標準:一般的な国立大学や私立大学の入試で必要なレベル
発展:難関大学の入試では必要なレベル
  参考:入試で問われることはまずないだろうレベル


首都圏


イル゠ド゠フランス地域圏


イル゠ド゠フランス地域圏 地形と都市

<イル゠ド゠フランス地域圏の都市>


フランス北部に位置する地域で,首都であるパリとその周辺の地域を指す。

パリとその近郊のヴェルサイユが圧倒的に重要である。

なお,第一次世界大戦後のパリ講和会議で講和条約が結ばれた,サン゠ジェルマン,ヌイイ,トリアノン宮殿,セーヴルは,いずれもこのイル゠ド゠フランス地域圏のパリ近郊に存在する。


パリ ★★★

フランス北部,イル゠ド゠フランス地域圏に位置し,セーヌ川に面する都市で,現在のフランスの首都。

古代ローマの時代にルテティアという名称で都市が築かれ,中世にフランス王国が成立してから現在まで首都になっている。


ヴェルサイユ ★★★

フランス北部,イル゠ド゠フランス地域圏の地で,パリの南西の近郊に位置する。

ルイ14世の時代にヴェルサイユ宮殿が建設され,絶対王政やバロック建築を代表する建築物となった。

その後も,フランス革命時のヴェルサイユ行進普仏戦争の際のドイツ帝国の戴冠式,第一次世界大戦の際のヴェルサイユ条約の締結など,大きな政治的事件の舞台にもなった。


北東部


オー゠ド゠フランス地域圏

オー゠ド゠フランス地域圏 地域圏と都市

オー゠ド゠フランス地域圏 地形と都市

<オー゠ド゠フランス地域圏の都市>

フランスの一番北部にあたり,北では海峡をはさんでイギリス,東ではドイツと接しているため,イギリス・ドイツとの戦争や外交に関する都市・地名が多い。


ダンケルク ★

フランス北東部,オー゠ド゠フランス地域圏ノール県の都市で,ドーヴァー海峡に面する海港都市。

第二次世界大戦の際に,イギリス・フランス軍がドイツ軍に包囲されるなか,ここからイギリスへの撤退作戦を実施したことが有名。


カトー゠カンブレジ ★

フランス北東部,オー゠ド゠フランス地域圏ノール県の都市。

フランスとハプスブルク家の間で展開されたイタリア戦争の講和条約である,カトー゠カンブレジ条約が締結された地として知られる。


カレー ★★★

フランス北東部,オー゠ド゠フランス地域圏パ゠ド゠カレー県の都市で,ドーヴァー海峡に面する海港都市。

英仏間の百年戦争において,大陸側で最後に残ったイギリス領土として知られるが,16世紀にはこのカレーもフランスが獲得した。


クレシー ★

フランス北東部,オー゠ド゠フランス地域圏ソンム県の自治体。現在はクレシー゠アン゠ポンティユーと呼ばれる。

百年戦争の序盤に,イギリス軍が長弓隊を利用してフランス軍を破ったクレシーの戦いの舞台。


アミアン ★★

フランス北東部,オー゠ド゠フランス地域圏ソンム県の都市。

ナポレオン戦争の際,イギリスとの間でアミアンの和約を結んだ場所である。

また,アミアン大聖堂(アミアンのノートルダム大聖堂)はゴシック様式の代表的建築である。


コンピエーニュ ★

フランス北東部,オー゠ド゠フランス地域圏オワーズ県の自治体。

第一次世界大戦の最後に,フランスを含む連合国側とドイツとの間で休戦条約が結ばれた。

その後,第二次世界大戦の際には,その意趣返しとしてフランスのドイツに対する降伏文書が調印された。


グラン・テスト地域圏

グラン・テスト地域圏 地域圏と都市

グラン・テスト地域圏 地形と都市

<グラン・テスト地域圏の都市>


フランスの最も東側に位置し,ドイツと接する地域。名称は「大きい東部」といった意味。

そのため,ドイツとの戦争・紛争に関する地名が多い。

都市名とは別に,この地域圏に含まれるシャンパーニュ地方アルザスロレーヌという地方名も覚えておきたい。


スダン(セダン) ★★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏アルデンヌ県の都市。

1870年に起こったプロイセン・フランス戦争普仏戦争ドイツ・フランス戦争)で,当時のフランス皇帝ナポレオン3世がプロイセン軍の捕虜となった地として知られる。


ランス ★★★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏マルヌ県の都市。

ランス大聖堂(ランスのノートルダム大聖堂)はゴシック建築として有名。この大聖堂で歴代のフランス王の戴冠式が行われた。


ヴァルミー ★★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏マルヌ県の地。

フランス革命戦争において,義勇兵を中心としたフランス軍が初めて勝利したヴァルミーの戦いの舞台となった。


カタラウヌム ★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏マルヌ県の地。

西ローマ帝国・ゲルマン人の連合とアッティラ率いるフン人との決戦であるカタラウヌムの戦いが行われた地として知られる。


トロワ ★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏オーブ県の,セーヌ川に面する都市。

シャンパーニュ地方の中心的都市で,中世にシャンパーニュの定期市が開催されたことで名高い。


ヴァレンヌ ★★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏ムーズ県の自治体。現在はヴァレンヌ゠アン゠アルゴンヌと呼ばれる。

フランス革命中に国王たちが国外への逃亡をはかるヴァレンヌ逃亡事件が起こったが,この地で捕まった。


ヴェルダン ★★★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏ムーズ県の都市。

843年にフランク王国を3分することを決めるヴェルダン条約が締結された地である。

また,第一次世界大戦中にフランスとドイツとの激戦であるヴェルダンの戦いヴェルダン攻防戦)が行われたことでも知られる。


リュネヴィル ★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏ムルト゠エ゠モゼル県の自治体。

ナポレオン戦争の際に,ナポレオンがオーストリアとの間でリュネヴィルの和約と呼ばれる講和を結んだ場所として知られる。


ストラスブール ★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏バ゠ラン県の都市で,アルザス地方の中心都市。

フランス・ドイツの両国の係争地で,普仏戦争・第一次世界大戦・第二次世界大戦など多くの抗争で焦点となった。


プロンビエール(プロンビエール・レ・バン) ★

フランス北東部,グラン・テスト地域圏ヴォージュ県の地。

1858年に,フランスの皇帝ナポレオン3世とサルデーニャの首相カヴールがひそかに会談を行い,サルデーニャがフランスにサヴォイア・ニースを割譲する代償として,フランスがサルデーニャの対オーストリア戦争を支援するというプロンビエールの密約を結んだ場所。


北西部


ノルマンディー地域圏

ノルマンディー地域圏 地域圏と都市

ノルマンディー地域圏 地形と都市

<ノルマンディー地域圏の都市>


フランス北西部の地域。名前は,ノルマン人がこの地域に建国したノルマンディー公国に由来する。

都市名としては有名なものがほとんどないが,地方名であるノルマンディー地方は,ノルマンディー公国の建国にくわえて,第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦の舞台にもなるなど重要なので覚えておきたい。


ルーアン ★

フランス北西部,ノルマンディー地域圏セーヌ゠マリティーム県の都市。

ノルマン人のロロによって建国されたノルマンディー公国の首都となった。


サントル゠ヴァル・ド・ロワール地域圏

サントル゠ヴァル・ド・ロワール地域圏 地域圏と都市

サントル゠ヴァル・ド・ロワール地域圏 地形と都市

<サントル゠ヴァル・ド・ロワール地域圏の都市>


フランス北西部の地域圏。「ロワール川の渓谷の中央部」といった意味。

フランスのほぼ中央に位置し,またフランス最大の河川ロワール川の周辺でもあって,フランスの支配のうえで重要で,有名な戦いが行われた地名が複数ある。


シャルトル ★★

フランス北西部,サントル゠ヴァル・ド・ロワール地域圏ウール゠エ゠ロワール県の都市。

シャルトル大聖堂(シャルトルのノートルダム大聖堂)は,ゴシック建築の代表の一つで,特にステンドグラスが名高い。


オルレアン ★★★

フランス北西部,サントル゠ヴァル・ド・ロワール地域圏ロワレ県にあり,ロワール川に面する都市。

英仏百年戦争の後期,この都市がイギリス軍に包囲されていたが,ジャンヌ゠ダルクの救援によってその奪回に成功し,これが戦争の転換点となったことは有名。


トゥール ★★

フランス北西部,サントル゠ヴァル・ド・ロワール地域圏アンドル゠エ゠ロワール県にあり,ロワール川に面する都市。

このトゥールとその南方のポワティエの中間あたりの地で,フランク王国軍とイスラーム軍の間のトゥール・ポワティエ間の戦いが行われたことは有名。


ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏

ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏 地域圏と都市

ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏 地形と都市

<ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏の都市>


ナント ★★★

フランス北西部,ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏ロワール゠アトランティック県の都市。

アンリ4世によって,ユグノー戦争の終結を導いたナントの王令が発された場として有名。

また,17・18世紀に大西洋三角貿易などの奴隷貿易を展開したことでも知られる。


南西部


ヌーヴェル゠アキテーヌ地域圏

ヌーヴェル゠アキテーヌ地域圏 地域圏と都市

ヴェル゠アキテーヌ地域圏 地形と都市

<ヌーヴェル゠アキテーヌ地域圏の都市>



フランス南西部の地域。ヌーヴェル・アキテーヌは「新しいアキテーヌ」という意味。

古くからアキテーヌ地方と呼ばれてきたが,ギュイエンヌ地方とも呼ばれ(厳密には微妙な違いもあるがかなり重なっている),特に中世にイギリスとフランスが争った地域として有名である。

ワインの生産で有名なボルドーがこの地方の中心都市である。

また,先史時代の遺跡として有名なラスコークロマニョンもこの地域圏に存在する。


ポワティエ ★★

ヌーヴェル゠アキテーヌ地域圏ヴィエンヌ県の都市。

フランク王国とイスラーム勢力とのトゥール・ポワティエ間の戦いがトゥールとの間の地で行われたことが有名だが,百年戦争の序盤にイギリスとフランスが戦ったポワティエの戦いが行われたのもこの場所である。


ラスコー ★★★

ヌーヴェル゠アキテーヌ地域圏ドルドーニュ県の地。

先史時代の洞穴壁画が発見されたことで有名。


クロマニョン ★★★

ヌーヴェル゠アキテーヌ地域圏ドルドーニュ県の地。

化石人類のうち新人段階のクロマニョン人が発見された場所として有名。


ボルドー ★★★

ヌーヴェル゠アキテーヌ地域圏ジロンド県の都市で,ガロンヌ川の河口近くに位置する海港都市。

古くから現在までワインの世界的な名産地として有名。

百年戦争の際にはイギリスとフランスの争奪戦の対象となったが,最後にフランスが奪還して戦争が終わった。


オクシタニー地域圏

オクシタニー地域圏 地域圏と都市

オクシタニー地域圏 地形と都市

<オクシタニー地域圏の都市>


フランス南西部の地域。

世界史では,キリスト教の異端派とされたカタリ派アルビジョワ派)が広まった地域として出てくる。


アルビ ★

フランス南西部,オクシタニー地域圏タルヌ県の都市。

キリスト教の異端派とされたカタリ派が広まり,その異名であるアルビジョワ派の名称の由来にもなった。


トゥールーズ ★

フランス南西部,オクシタニー地域圏オート゠ガロンヌ県の都市。

カタリ派の中心地となり,アルビジョワ十字軍に攻撃されてフランス王に併合された。


ガール ★

フランス南西部,オクシタニー地域圏ガール県の地。

ローマ時代に建設されたガール水道橋ポン・デュ・ガール)が有名。


南東部


オーヴェルニュ゠ローヌ゠アルプ地域圏

オーヴェルニュ゠ローヌ゠アルプ地域圏 地域圏と都市

オーヴェルニュ゠ローヌ゠アルプ地域圏 地形と都市

<オーヴェルニュ゠ローヌ゠アルプ地域圏の都市>


フランス南東部の地域。

名前にも含まれているが,ローヌ川やアルプス山脈の近くの地域で,特にローヌ川沿岸に重要な都市が存在する。

また,都市ではないが,フランスがイタリアから獲得したサヴォイアも,この地域圏に含まれる地域である。


ヴィシー ★★★

フランス南東部,オーヴェルニュ゠ローヌ゠アルプ地域圏アリエ県の都市。

第二次世界大戦でフランスがドイツに降伏した後に成立した,親ドイツ的なヴィシー政権の中心となった地。


リヨン

フランス南東部,オーヴェルニュ゠ローヌ゠アルプ地域圏の首都で,ローヌ川の沿岸に位置する。

古代ローマ時代から商業で栄え,その後も商工業によって繁栄した。


エヴィアン ★

フランス南東部,オーヴェルニュ゠ローヌ゠アルプ地域圏オート゠サヴォワ県の都市。スイスとの国境付近にあり,レマン湖に面している。

アルジェリアのフランスからの独立を認めるエヴィアン協定が結ばれた地。

また,ミネラルウォーターの産地としても知られている。


プロヴァンス゠アルプ゠コート・ダジュール地域圏

プロヴァンス゠アルプ゠コート・ダジュール地域圏 地域圏と都市

プロヴァンス゠アルプ゠コート・ダジュール地域圏 地形と都市

<プロヴァンス゠アルプ゠コート・ダジュール地域圏の都市>


フランス南東部の地域。

地中海やイタリアに近く,貿易港が存在するほか,イタリアや教皇と関係する地名がある。


アヴィニョン ★★★

フランス南西部,プロヴァンス゠アルプ゠コート・ダジュール地域圏ヴォクリューズ県の都市。

14世紀に,いわゆる教皇のバビロン捕囚アヴィニョン捕囚)が行われ,フランス王の保護を受けた教皇がローマを離れてこの地を拠点としたことで有名。


マルセイユ ★★★

フランス南西部,プロヴァンス゠アルプ゠コート・ダジュール地域圏ブーシュ゠デュ゠ローヌ県の都市で,地中海に面する海港都市。

ギリシア人が植民市マッサリアとして建設して海上交易で発達し,中世以降もフランス最大の貿易港として繁栄した。


ニース ★★★

フランス南西部,プロヴァンス゠アルプ゠コート・ダジュール地域圏アルプ゠マリティーム県の都市で,地中海に面する海港都市。

19世紀後半のサルデーニャ王国によるイタリア統一運動の過程で,フランスがサルデーニャによる中部イタリアの併合を認めるかわりに獲得した。


まとめ

最後に,フランスの都市の一覧の,都市圏ごとに表示したバージョンと,河川などの地形とともに表示したバージョンの両方を掲示しておく。


フランス 都市の一覧 地域圏別

<フランスの都市一覧 地域圏別>


フランス 都市 一覧

<フランスの都市一覧 地形ベース>