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The Posies "Frosting On The Beater"

昨日紹介したThe Minus 5の屋台骨を支えた二人 - Ken StringfellowJon Auer率いるバンドThe Posies の"Frosting On The Beater"です。現在彼ら、少年ナイフのライブ のために来日中です。


Frosting On The Beater


Paul Westerbergが彼らのことを気に入り、リプレイスメンツの最後のツアーでオープニングアクトにも起用し、「最近の愛聴盤はGoo Goo DollsThe Posiesだね」とも言わしめた、希代のメロディメーカーたち。

98年のアルバム"Success"を置き土産に一度解散していましたが、昨年"Every Kind Of Light"でめでたく復活。インディー時代の作品"Failure"から(ソロを含め)一貫して良質のメロを届けてくれていますが、なかでもこの作品は、彼らの知名度を飛躍的に高めたという意味でも重要作です。

個人的にもこの作品が一番思い入れが深いんですが、時代はまだグランジを引きずっていた93年の作品ですから、「シアトル出身のバンドがこんな音ならしてるんやなぁ」と感心した部分もありました。だいたい一曲目"Dream All Day"からして、彼らがかなり影響を受けているThe Hollies直系の愁いを帯びた60'sぽいメロディーが、すごく新鮮に響きます。この曲は彼らのベスト盤 のタイトルにもなっているくらいですから、アメリカの人達にとっても、きっと印象深かったんでしょう。

ただ、彼らのことを気に入っていたのは本国アメリカだけではなく、ヨーロッパ全土でもその知名度は草の根的な広がりを見せています。自分が偶々いたロック辺境の土地ロシアでも、このアルバムからラジオで"Flavor Of The Month"がヘビロテ状態だったんですから、推して知るべしでしょう。Ken Stringfellowの関わってきたスペインやスウェーデンのアーティストとの仕事 を見ても、それは明らかだと思います。

このアルバムがきっかけで知った人は多いとは思いますが、今でも十二分にハマルきっかけをくれるアルバムです。聴いたことのない人には、うってつけのアルバムと言えるんじゃないでしょうか。ここを起点にして、自分は"Sing Hollies In Reverse"というThe Holliesのカバーアルバムやら、Nirvanaを始めとするゲフィンレコードのアーティストによるアウトテイク集"Geffen Rarities Vol.1"等々、彼らの参加する音源 を買い漁りましたが、どれもハズレはなかったです。そこを貫いているのは、メロディーとコーラスワーク。ホンマいい仕事してます。

そして、KenとJonはThe Minus 5のメンバーにも加わり、Paul Westerbergの敬愛するBig Star再結成時のメンバーとしても召集され、KenはR.E.M.のサポートメンバーとしても仕事をすることになっていく訳です。単純にすごいな、と。

The Minus 5 "Old Liquidator"

前回紹介したR.E.M.関連ということで、ギターのPeter Buckが参加しているThe Minus 5 のアルバムです。今年の秋にはRobyn Hitchcockと共に来日する ようですので(残念ながら今のところ、東京のみ)、もしここの記事がきっかけで"いいな"と思ってくれた人がいたら、行って音を確かめるというのも一つの選択肢ではないでしょうか。



Old Liquidator



1993年に結成されてから、今年で13年になろうかという、中堅バンドのような歴史を持つこのサイドプロジェクト的バンド。メインソングライターであるYoung Fresh FellowsScott McCaugheyとPeter Buckが中心となって、アルバムごとに色を変えながら、いろいろな人間と組んでいます。

で、そんな彼らの記念すべき第一作目が、この"Old Liquidator"。このアルバムではバックをThe PosiesKen StringfellowJon Auerが務めています。

ここで紹介してきたアルバムの中でも、特に穏やかな音色のアルバムだと言えます。60年代の良質のバンドサウンドのような音を聞かせたかと思えば、実験的な音を聞かせたりと、ポップを主軸に飽きさせない作品です。と言うより、聴けば聴くほどジワジワと味わいを増していくスルメ盤、と言った方がいいかも知れません。直球でガツンとやられるより、こうゆう派手ではないけれども味のあるアルバムの方が、永く聴き続けていてもいろいろと発見があるものです。

今更言うまでもない事かも知れませんがシアトルはグランジだけではなく、前述のThe PosiesやSunny Day Real EstateThe Presidents Of U.S.A.なんかのユニークなバンドも多く生み出しています。ちょっと毛色は違いますがJimi HendrixQueensrycheもそうですし、最近ではSubPopからのリリースながらもクラウトロックぽいKinski や、末恐ろしいローティーンバンドSmoosh もいます。

そう考えると、このシアトルスーパースターズのようなバンドも、音楽的土壌の豊かさが生み出した必然だったのかも、と思えてきます。2003年の作品"Down With Wilco"ではWilcoとも協力していますし、Scottの書いた曲を消化するような形で、Peter(はSeattle在住)やKen・Jonが助力したのがそもそものバンドの始まりというのも、このあたりのネットワークの太さを感じさせてくれます。Scottの"Let The Bad Times Roll"ビジョンを具現化するために・・・と彼らのバイオ には書かれていますが、Paul Westerbergの曲にも"Let The Bad Times Roll"があるのも何かの縁でしょうか?って、無理やりか。まぁそれはこじつけにしても、このアルバムのジャケットの表裏には、Minneapolisの文字がはっきりと書かれています。裏面の方には、The Minus 5のマネージメントの所在地としてミネアポリスのここ が書かれてるんですけど、本当にあったんでしょうか?電話番号まで書かれてるし(さすがに電話はしないけど)。ちょと、謎だ。

そういう訳で、R.E.M.ともThe PosiesともWilcoとも、そしてMinneapolisとも(ひいてはThe Replacementsとも?)関係の深い、このアルバム。一度、聴いてみてください。

R.E.M. "Life's Rich Pageant"

昨日書いたSonichromeのクリスが好きなアルバムとして挙げていたので、改めてR.E.M. の"Life's Rich Pageant"をここで紹介したいと思います。


Life\u0027s Rich Pageant


クリスが好きなアルバムに挙げずとも、この作品が当時衝撃をもって受け入れられたのは、想像に難くないと思われます。CMJ による"1986年・最もかかったアルバム(Most Played Album)20枚のうちの一つ"にも挙げられています。

結成してから四半世紀以上が経って、もうすっかりメジャーバンドの内の一つにはなってますが、このアルバムこそが彼らのその後を決定付けたと言っても過言ではない、屈指の名作。と言ってしまうと、何か大げさですが、Michael Stipeのボーカルが自信に満ちたものになって、歌詞にもメッセージ色が濃くなったことは疑いようの無い事実です。ジャケにも、どアップのメンバーの写真(Bill Berry、残念ながら今は脱退してしまいましたけど)と、バッファロー(アメリカバイソン)が載っているのも決意表明のようなものを感じさせます。

アルバムは、力強い"Begin The Begin"で始まります。ボーカルはもちろん、ギターもベースもドラムも混沌としていながら、一つの塊のようです。当然ながらメタル的な激しさは皆無ですが、このアルバムの持つエネルギーを良く表していて、これを聴くといつも引き込まれます。3曲目"Fall On Me"は名作"Automatic For The People"に入っていてもおかしくない名曲のうちの一つですし、4曲目"Cuyahoga"はリプレイスメンツ後期の味にも通じます。5・8・10曲目の軽快なRock'n'Rollの作風は、現在のR.E.M.の作品にはあまり見られなくなってしまいましたが、今聴いても高揚させられますし、次作"Document"の名曲"It's The End Of The World・・・"へと結実していく流れだと思います。ラテン風"Underneath The Bunker"やノスタルジックな"Swan Swan H."も、彼らの幅広い作風を表してますし、今作のアクセントにもなっています。最後は何故かゴジラ襲来のアナウンスが流れ、ユーモラスなカバー曲"Superman"でアルバムは幕を引きます。

ヒット作連発のこの後のR.E.M.も良いですが、出来ることならこのころのR.E.M.のライブを生で体験したかった。ホント、そう思わされる名作です。ちなみに初メジャー作"Green"発表後のツアーフィルム では、この作品から4曲が見れます。必見です。

Sonichrome "Breathe The Daylight"

今日は昨日のSemisonicに続いて"Sonic"つながりで、一部のリプレイスメンツファンには知られている?バンド、Sonichromeの"Breathe The Daylight"を。


Breathe The Daylight



このアルバムを出したきりで、解散の憂き目に会ってしまった悲しき短命バンドです。日本盤はとっくの昔に廃盤になってるし。ただ、それだけだとあんましイメージ良くないですが、本国アマゾンのカスタマーレビュー では軒並み5つ星評価で、パワーポップファンには人気は高かったようです。

Vo.Chris Karn(以下、クリス)が他のバンドで音楽活動を始めたのは、奇しくも昨日のSemisonicの前身バンドが始まった時と同じく1986年。そして、このアルバムが世に出たのはSemisonicがブレイクした1998年。残念ながら商業的な意味では、対照的な道を辿った両者ですけど、どちらも良質のメロディを持ったバンドサウンドという意味では共通してます。

で、何で一部のMatsファンに知られているかと言えば、某雑誌でも比較の対象としてリプレイスメンツの名前が挙がってたことと、Vo.クリスの影響源に他ならぬThe ReplacementsPaul Westerberg)が挙げられていたこと。彼のフェイバリットアルバムにも、ちゃんとMatsの"Tim "が入ってました(他にはR.E.M. "Life's Rich Pageant "etc)。先ほどリンクしたアマゾンのレビューにもEverclearGoo Goo Dollsに混じって"The Replacements"との比較がされてたので、まぁ妥当なとこでしょう(蛇足ながら、某巨大掲示板でもMatsのスレに名前が挙がってた)。

単に若手バンドがMatsのことを尊敬してる、ってだけなら他にもゴマンといる訳ですが、特にクリスがヒーローとしていたのがThe SmithsJohnny Marrだと言うのは、他のバンドとの大きな違いかも知れません。アメリカンインディーだけではなくヨーロッパからの影響が、音作りにも微妙に表れてるかも。実際、ギターのリフや音色にMatsらしい影を感じることもあるものの、ボーカルスタイルやリズムセクションに関してはあまり"リプレイスメンツや!"という感じは受けません。ただ1曲目の"Over Confident"や10曲目"Saloman"・13曲目"Cellular"(邦盤のみ)あたりは、疾走感もある上に、Matsとその他の影響を上手くブレンドしていて好きな曲です。全くMatsぽさが無ければ無いでMatsファンからの注目もなかったでしょうけど、良くも悪くも売れなかったことで、その後ファンの目を気にして駄作を作るようなこともなかった。そういう意味では自分のやりたいままに作ったこのアルバム一枚だけで終わったのも、却って良かったのかも知れません。

デビューして一年の間には"Never Been Kissed "(尊敬するR.E.M.やThe Smiths、そしてSemisonicらと)、"Blast From The Past "(同じくR.E.M.やEverclear等)といったサントラにも参加しているので、当時のシーンからもそれなりの注目はされていたようです。そう思うとちょっと残念な気はします。

しかしながら現在、クリスは2004年から始まったDecca Treeと言うバンドでインディーズでの活動をしています(MySpaceのバンドのページ )。影響を受けたアーティスト名には、The Replacementsの名前は見当たりませんが、自分で封印した・・・?会ってみたいミュージシャンにMorrisseyPeter BuckともちろんJohnny MarrとPaul Westerbergを挙げていたクリスでしたが、実際に会えたんでしょうか。彼に一度訊いてみたいもんです。

Semisonic "Feeling Strangely Fine"

今日の一枚は、The Replacementsと同郷ミネアポリス出身のSemisonic "Feeling Strangely Fine"で。


Feeling Strangely Fine

このアルバムからのシングルカット"Closing Time"が大ヒットしたこともあって、おそらく知ってる人も多いとは思います。が、このアルバムがヒットするまでは結構紆余曲折あったみたいで、前身バンドTrip Shakespeare の結成が86年ですから、ヒットした98年まで足掛け12年かかって桧舞台に立った格好になってます。

ミネアポリスの先輩バンドHusker Duやリプレイスメンツの影響はあまり受けていないようで、Elvis CostelloTodd Rundgren等を好んで聴いていたようです。まぁ、Paul Westerbergの尊敬するAlex ChiltonもToddのカバーをするなど英国勢からの影響大の人のようなので、彼にも間接的影響はあるとは思いますが・・・(PaulはFaces好きですし)。1stアルバムの"Great Devide"もXTCの"Oranges & Lemons"をプロデュースしたPaul Foxを迎えて制作してます。2作目のこの作品を聴いた後に聴き比べると、1stは幾分内省的な音に聞こえます。

批評家の受けは良かったものの、あまり売れなかった前作の反省もあってか、故郷ミネアポリスで制作された2作目は、リラックスした雰囲気と風通しのいいメロディーが印象に残ります。元々の素養がそうさせたのか「あぁやっぱりアメリカのバンドやなぁ」と思わせる雰囲気が随所にあって、そこが聴いてて自然とThe Matsと通じるものを感じさせてくれます。

メロディアスな部分と大陸的な大らかさ、がそう思わせるのかも知れません。あまりブ厚過ぎないプロダクションや6・7・10・12曲目とアコギを活かした曲も多いので、"Closing Time"しか知らない人にこそ聴いて欲しいです。

3rdの"All About Chemistry"では、ギターバンド然としたスタイルから、少しポップサイドに踏み込みすぎているきらいがある気がするので、The Matsのファンに薦められるとすれば、このアルバムが一番じゃないかと。

Original Sound Track "Bandwagon"

2ヶ月半ぶりの更新です。放ったらかし過ぎました。

USものを紹介してきたので、この流れでアメリカの音楽映画のサントラを紹介したいと思います。1997年の映画"BANDWAGON "のOSTです。


Bandwagon


映画自体もUSインディーバンドのバンド事情と言うか、バンドやってた人なら「あー、こうゆう事あるよな」とひざを打ってしまうような内容です。が、そうでない人にも、音楽も含めて何とも胸の奥をくすぐられる青春モノな出来ですので、一度見てみて欲しい映画です。この映画を見たことのある人は、結構、刺激受けた人多いんちゃうかな~。残念ながらDVDもCDも、国内では入手し難い状況のようですが、レンタルなら手にする機会もあるかと思います。

サントラは、主演している架空のバンド"Circus Monkey"を中心に、映画に出てくるバンドのコンピレーションのような作品になってます。

で、肝心の曲の方は、何といってもそのCircus Monkeyの曲が白眉の出来。Greg Kendallという人が監督のJohn Schultzと組んで、プロデューサーをしてます。主演のCircus Monkeyの曲も、このGregのペンに拠るもの。この映画のテーマ曲ともいえる"It Couldn't Be Ann"は、映画抜きにしても、ホロリとさせられる名曲やと思います。

過去にはLifeboatTackle BoxThe Brothers Kendall というバンド(いずれも弟のBobもメンバー)を歴任していました。各バンドの詳細はよく分かりませんが、今後機会があれば紹介して行きます(あんまり、深追いする必要もないか・・・)。ちなみに、ここに 2004年にライブに出演した時の、GregとBobの姿があります。

Schultz監督との出会いは、映画出演者の内の一人で、寡黙な伝説の人物・Linus役をしているDoug McMillan(実在のバンドThe Connels のVo.)が、監督がTackle Boxの音を気に入っているのを知っていて紹介したことのようです。監督は、Dougのバンドで短期間ドラマーをしていたようで、その縁の模様。Schultz監督とGregは、この後"Drive Me Crazy (邦題:ニコルに夢中)"という映画でもタッグを組んでますが、発売されたサントラ には残念ながらGregの作品は収められてません。ちなみにこの映画に関しては、自分は未見です。

で、このサントラを紹介したかったのは、USインディーの世界を描いたから、だけではなくて・・・Circus Monkeyの曲にリプレイスメンツと同質のものを感じたからです。まぁインディーっぽいと言えば、それまでなんですが、"Rest Of The World"や"Ann It Goes"の2曲は、特に熱い演奏と切ないメロ・ほろ苦い味のボーカルと、どことなく中期のThe Matsのイメージと重なります。

Paul Westerberg自身は、あんまり似すぎている人達に対しては寛大ではないようですけど(笑)、曲そのものがクリソツって訳ではないです。前述のTackle Boxも2曲提供してますけど、他のバンドも含めて素直に良い曲達として紹介をしたかったので、今日の一枚として・・・。

Joan Jett "The Hit List"

今日はリプレイスメンツのこと書いてて、急に思い出したアルバムです。


The Hit List


Joan Jett
Paul Westerbergの関係は、二人が共作した"Backlash"(アルバム"Notorious"収録)、Paulの"Someone I Once Knew"("14 Songs"収録)とサントラ"Tank Girl"の"Let's Do It"での共演に形として表れてます。Joan Jett曰く「ずっとリプレイスメンツの、特にポールの書く詞の大ファンだったの」("14 Songs"日本盤ライナーノーツより)とのことで、彼女の後輩に対する尊敬の具合が読み取れて、ええ感じです。

このアルバムが出た当時はまだロックも聴きかじり始めた頃で、Joan Jettが何者やとかRunnawaysがどうとかいうことは一切知らんかったので、純粋にロックとしてストレートな味にやられたちゅう感じやったでしょうか。彼女の歌が女性らしさのかけらもなくて、ハスキーな声が選曲にハマリまくってたのも良かったんちゃうかな、と。

全編カバーのこのアルバム。元歌知ってたのは、"Have You Seen The Rain ?"くらいやったかな。その後趣味も広がって、各オリジナルアーティストのこともちょこちょこ知るようになって、改めてそのスルメみたいな旨みを堪能できてます。考えたら、このアルバムは一つの登竜門的なもんやったかも。


Joan Jettて"I Love Rock'n'Roll"くらいやろ?て思てる人にも、The Replacementsのファンにも、USのロックファンにも聴いて欲しいアルバム。


"The Hit List"の曲リストとオリジナルのアーティスト(Link先はOfficialもしくはArtist Directのデータ)

01. Dirty Deeds - AC/DC
02. Love Hurts - Nazareth
03. Pretty Vacant - Sex Pistols
04. Celluloid Heroes - The Kinks
05. Tush - ZZ Top
06. Time Has Come Today - The Chambers Brothers
07. Up From The Skies - Jimi Hendrix
08. Have You Ever Seen The Rain ? - C.C.R.
09. Love Me Two Times - The Doors
10. Roadrunner USA (1990 Version) - The Modern Lovers


<追記>
最近ではGuitar Wolfのセイジ氏が一ファンとして名乗りを上げてますが、そんなセイジ&Joanの選曲によるベスト盤"Jett Rock"(タイトルがいかにも、で笑)から入るのも、ええかもです。前述の"Backlash"も入ってるしね。


The Replacements "Don't Tell A Soul"


Don't Tell A Soul


こないだは、全然レビューになってへんような文章を堂々と載せてもうたので、今回はちょっとそれらしいこと書かせてもらおかな、て。


こっち (あちこちで書いてますねん)で、The Replacementsてバンドの曲をBlog名にしたちゅうようなことを書いたんですけど、ここもそのリプレイスメンツの曲名から名前を取ってます。
"Back To Back"て、文字通り"背中合わせに"てことなんですけど、まるで背中合わせになったかのような二人の関係のもどかしさを歌った切ない内容の曲です。その曲の入ってるのが、彼らのアルバムの中で初めて国内盤としてリリースされることになった"Don't Tell A Soul"です。今んとこ邦盤は廃盤になってもうてますけど、ベスト盤に合わせた再結成もあったことやし、全部リマスターで国内盤出えへんでしょうか?"Don't Tell A Soul"て"誰にも言うなよ"て意味みたいやけど、ここは意に反して一つおおっぴろげに紹介したい思てます。


初めて聞いた"Within Your Reach"は衝撃でしたけど、その後買うたこのアルバムは最初こそ地味な印象やったものの、結局ずうぅーっと聴き続けることになる作品になってしまいました。
黒をバックに、Vo.のPaul Westerbergの物憂げな表情が浮かんでるモノクロのジャケもええ感じです。


初期の頃の彼らはと言えばパンクバンドやったので、そこから入ってたら全然ちゃうイメージになってもうてたとは思いますが、アルバムの出た1989年の時点でのリプレイスメンツはええ意味でルーツ寄りになってました(一昨年にPaulがGranpa Boy名義で出した"Dead Man Shake "は、ルーツ寄りっちゅうよりルーツそのものて感じになってるんで、興味ある人はそっち聴いてもええと思います)。この頃の彼らと言えば、Musician誌が表紙にして"80年代最後で最高のバンド"て紹介した後で、ツアーに出てもどこもソールドアウト状態で、もっとも露出の高かったころ。


アルバムを掻い摘んで紹介すると、"We'll Inherit The Earth"・"Anything Is Better Than Here"の荒々しい部分を多少匂わせてる部分も、"Achin' To Be"とか"Rock'n'Roll Ghost"なんかの物悲しい感じも、"Talent Show"の皮肉っぽいとこも、"Asking Me Lies"のすっとぼけた味も、"I Won't"のルードなかっこよさも、トータルで何回聴いてもええと思わせてくれる未完成の良さがある。これ、かっちり作りこまれてたりしたら、多分そんなに好きになれへんかった気ぃします。


そんな中でも、彼らの唯一のヒットシングルて言うてもええ"I'll Be You"が入ってんのもポイント高いんです。行ったことはないけど、これライブでやったら格好のアンセムになってたんちゃうかな。ずーっとCMJ の常連やったバンドが、ようやっと日の目を見たっちゅうのか・・・。て、ほとんど曲名挙げてもうてるがな。


そういう意味でも昔っからファンやった人らにとっては賛否両論あるアルバムみたいやけど、自分はいつもこのアルバムを一番に挙げてます。ちょっとでも気になる人おったら、是非聴いてみてください。


ちなみに"Back To Back"には、"次から次に"とか"連続して"っちゅう意味もあるので、「ここから、何かしらつながって行けたらええなぁ」という思いも、このタイトルにはあります。

今後ともよろしゅうに。

いよいよ明日やね


今日、外は雨。明日も雨かな。

Kurt Cobainが頭を打ち抜いた4月5日。明日。

上映中の”Last Days”。映画館、混みそうやから家で大人しうしときます。敢えて、気の滅入る映画見たない感じ。あんまり喪に服するとかいうのも性分や無いので、自分的Nirvanaとの出会いをここ に書きました。
人それぞれの出会い方ってあるとは思うんやけども、作家のよしもとばなな さんがNirvanaを知ったときの例をここに。
(前略)
 さて、先日私は突如恋に落ちてしまいました。
 恋人が昼間家を出てから、夜帰ってくるまでの間だから、すごい早わざです。
 私は夕方、ひとりで何となくTVを見ていました。
 たまたま友達に録画してあげるために、普段見ない「ピュアロック」というハードロックの番組を見ていたのです。
 しかし、そこに突然、私の理想の王子さまが映ったのです。びっくらこきましたね。
 声、顔、知性、体型、演奏、音楽共に、彼は私の「一目ぼれ条件の全て」をまるで男が道でいい女にただただ口笛を吹くように満たしていました。すばらしい!
(後略)

音楽性から入った人は多かれど、まずビジュアルから入った人も珍しい。"びっくらこきました"って表現もどうかとは思いますが。フフ。

よしもとさんが書きたかったのは、その時の恋人の意識とのシンクロ度の不思議さやったりしますが、それはエッセイ集"夢について"で確認してもらいましょ。

でも、グランジがあれだけ広まったのも、Nirvanaがあれだけ支持されたのも、Kurtのビジュアル失くしては語れへんとこあるのも事実。結果、なりたくも無かったロックスター役を引き受けてしもたのは皮肉でしかないけども・・・。

"It's better to burn out than to fade away "
(色褪せ行くより燃え尽きる方がいい)


色褪せはせえへんかったけど、それでよかったん?かなぁ?


それはともかく、これってミュージックレビューちゃうな・・・。