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【第15話『寄せて引いて』】

今日は珍しく、ひじきが学校を休んでいる


どうやら風邪を引いたらしい




「馬鹿は風邪引かないんじゃないのかよ」なんて、

下らない迷信を考えながら、私は辺りを見渡す



教室の中はいつもと変わらず、

いくつかのグループが出来て騒がしさを織り成していた



それはいつもの光景なはずなのに、

私にはなぜか新鮮に見え、


騒がしいはずなのに、

その声は私の耳に届かなかった



ひじきがいないだけの空間は、

私に違和感を覚えさせ、


自嘲気味た笑みがこぼれる




―あいつはいつも五月蝿いからな―



そのせいで、いつもより静かに感じるだけだろう



そう決め付け、自分を納得させる




これが安らぎなんだよ


私が望んだ、静かな朝が帰ってきた



だから、私は寂しさなんて感じちゃいない



あの騒がしさに慣れてしまったから、

急に来た静けさに戸惑っているだけ


これが本来在るべき姿なんだよ



辺りを彷徨っていた私の目線が、あるグループに留まる



校則違反の化粧、着崩した制服


見るからに派手なグループ



あの輪に、私が混ざっているところを想像する



―絶対に、浮くだろうなぁ―



校則違反なんて怖くて出来ないし、

制服を着崩すなんてもっと無理だ


地味な私は、あのグループには似合わない



じゃあ、ひじきとは?


似合って・・・・、いるのだろうか?



「はぁ」



タメ息を一つ零して、視線を机に落とした



周りを見れば、またひじきの事を考えてしまうから




ゆきりんは自分の席で読書をしている


彼女も、ひじきがいないと静かなんだな・・・



―あぁ、まただ―



気がつけば、ひじきの事ばかり考える自分


彼女の事を、友達だと思っているからなのか・・・






ん?



ふと、背中に誰かの視線を感じた




視線を感じる方向に顔を向ければ、慌てて目を逸らすクラスメイト




ハの字に下がった眉が特徴的な、


私に少しだけ似た、地味な少女






えっと・・・、名前は何だっけな?

言い訳の時間だよ

時期がズレ過ぎ(・∀・)ノ



っていう苦情は今のところ受け付けておりませんww





個人的に涙サプライズの「1人きりじゃないんだよ」


ってとこが好きなんすよ




本来は明るい曲なんだろうけど、

そこだけ聞くと切なさを感じたもんで



まぁ、単純に言えば書きたかったんだよねww




あとあと、作者のあとがきに憧れを抱いているので、

一つだけあとがき的なヤツを(・∀・)ノ



12話の『Time is ...』は元々、

『双子説よ、再び』っていうタイトルで考えてました



ひじきが小学生用の謎々を出すんだけど、

急にレベルの違う謎々を出す



実際に書いたのと軸は変わってないんだけど、


この後はタイトルどおり、

里英ちゃんがひじきの双子説を再び疑うっていう、

コメディ一色の予定でした



参考も元々RADWIMPSの『謎謎』って曲だったしね



大人っぽさだったら『ARMS』の方が上かなぁ。なんて考えたのが間違いだったのかね?


大まかに軌道変更しちゃったww



変更の流れとしては、



参考RADで『双子説よ、再び』

参考『ARMS』で『双子説よ、再び』

時間についての謎々だから、

双子説から「Time is money」を間違えてボケるに変更

ひじきが時間について語る、『双子説よ、再び』に戻す

いっその事、真面目な展開にしちゃえww



こんな感じ(・∀・)ノ



急に真面目な展開に飛ばせた、自分の脳にビックリだよ←




書いてみたらホントにシリアスな展開になって、


おかげで元々予定してた、

河西さんの小ネタが書けなくなる始末(´・ω・`)



まぁ、11話として書くつもりだったのを後回しにした時点で、

こうなる事は薄々気付いてはいたけどね






うん、あとがき長ぇww




他の話にも、書くはずじゃなかった文章がチラホラ入ってます



思いついたら書きたくなるんだよね




そのせいで、

小ネタ減らしたはずなのに全体の話数は増えてるという事実



学校の課題とかで忙しくなるし、書ききれんのかな?←




とりあえず、

どれ位の人の目に晒されてるのかは分かんないけど、

自己満で終わらないように気をつけます


じゃないと、グチグチ言う人に若干名心当たりあるんでww




っていう、真面目な締め(・∀・)ノ

【第14話『1人きりじゃないんだよ(後編)』】

私の不安をよそに、振り返った亜樹ちゃんは笑っていた



良かった


怒らせた訳ではなさそうだ



じゃあ、なんで此処に連れて来られたのだろう?


その事を亜樹ちゃんに尋ねようとした時、

背後のドアが勢い良く開かれた



「ひじき!ゆきりんだけ先に連れて行っても意味ないでしょうが!」



息を切らせたまま、亜樹ちゃんを怒鳴る里英ちゃん



ふと、その手元に目が行く




―あぁ、そういう事か―



里英ちゃんが持っている箱を見て、

私は思わず微笑んだ




7月15日


平凡な1日




平凡な、私の誕生日




「『ゆきりん、誕生日おめでとう』」


「ありがとう・・・」



「えっ、なんで泣いてるの?もしかして誕生日昨日だった!?」



微笑んでいたはずの私


でも、安堵からなのか、無意識に涙が零れていた



「ううん、今日で合ってるよ」


「じゃあ、なんで?」



「嬉しくて。今まで、親以外に祝ってもらった事なかったから」



『そうなんだ。でも、今年からは毎年、亜樹達がお祝いするから♪ね?』


「うん。こんな2人で申し訳ないけどさ」



そう言って笑い合う2人



「これ以上ない2人だよ」って否定したかったけど、涙ばかりが出てきた






『あっ、見て。ひこうき雲!』


「ひじき、感動ムード台無しにすんなよ・・・」



亜樹ちゃんにつられて、私達は空を見上げた




久しぶりに見上げた空は、

少しだけ日の沈みかかった、


優しい色をしていた




あぁ、誰かと見る空って、

こんなにも綺麗に見えるんだ



きっとこの2人がいなかったら、

これからもそんな事に気付かなかったんだろうな



俯いて、地面ばかり見ていたから


無機質な色に、慣れてしまっていたから



こんなにも綺麗な色を、知らずに過ごしていたんだろうな








ねぇ、去年までの私



1人ぼっちだからって、

学校に行くのも嫌がっていたよね


登校しても、隅で本ばっかり読んでた



でも、大丈夫だよ



16歳の私には、

2人だけど、


こうして誕生日を祝ってくれる友達が出来たから



嬉し涙ってね、

本当に在るんだよ





ねぇ、去年までの私



一人ぼっちは不安で、寂しいけど、

我慢してね




だって





16歳になる貴方は




1人きりじゃないんだよ












「そういえば、里英ちゃんの誕生日っていつ?」


「・・・、6月24日だけど」


「もう終わっちゃったんだ」


「まぁね・・・」


「じゃあ、来年!来年は一緒に祝おうよ」


『亜樹が飛びっきりのサプライズしてあげる♪』



「ひじき・・・、サプライズは宣言しちゃダメでしょ」






ほら 見回せば


いつだって笑顔の



彼女達がそばにいる







※参考『涙サプライズ』(AKB48)

【第13話『1人きりじゃないんだよ(前編)』】

今回は私、柏木由紀のお話


舞台は7月15日、テスト間近の平凡な1日

の、はずだった・・・



本日最後の授業の終了を知らせるベルが鳴るのと同時に、

亜樹ちゃんが私の腕を掴んだ

吃驚する私をよそに、

私の腕を引っ張って教室の外に出る

「亜樹ちゃん、帰りのHR出ないの?急ぎの用事なの?」

そう尋ねても、亜樹ちゃんは此方を振り返ろうとしなかった

その様子に、私は不安になる

私からでは、亜樹ちゃんの表情が見えない




もしかして、怒ってる?

昼休みまでは普段通りだった筈だ


じゃあ、そのあと――――

私は自分の行動を思い返す

しかし、いくら考えても、亜樹ちゃんを怒らせた原因が分からない

無意識の言動が、なにか気に障ったのかもしれない

嫌われた?

そう考えてしまう私は、バカなのだろうか?


小さい頃から人見知りの激しかった私は、

小・中学生時代は本が友達だったと言える



今目の前にいる亜樹ちゃんこそが、人生で初めて出来た友達なのだ


だから、この行動がなにを示すのか、

友達付き合いの乏しい私には分からなかった

もし、亜樹ちゃんに嫌われたら――――

考えただけで泣きそうになる私は、弱い人間なんだろう


ぎゅっと強く、下唇を噛んで涙を堪える




怒らせて、そのくせ泣いて


そんな人間、きっと嫌いになるに決まってる




高校でも、本だけを読んでいたらよかったのかな


友達付き合いなんて、私に不釣合いな事に試みなければ良かった



そうすれば、嫌われる悲しみも知らずに済んだのに・・・





ネガティブな考えに陥っているうちに、

私は屋上まで連れてこられていた

【第12話『Time is ...』】

はぁ・・・


コイツと関わってから、

私の朝はタメ息と共に始まる



『切っても切れないものってな~んだ』


「・・・、水」



先ほどからこんな調子


朝、私の元へと駆け寄ると、

『おはよう』の挨拶も無しに謎々を出し始めた



なんでも、昨日本棚から小学生用の謎々の本を見つけたらしいのだが・・・



見つけたからって、

わざわざ人に、しかも高校生に出すなよ。って話だ





『違うよ。それはね、友情だよ』





しかも、答が違うからもっと性質が悪い



哀れむ様な目で返しても、

ひじきは腰に手を当てて『どうよ?』とでも言いたげな表情を崩さない



そんなドヤ顔されても、

私の口からは賞賛の声はおろか、タメ息しか出てこないのに・・・



『じゃあ、次。使う前には切れるけど、全然細かくならないものってな~んだ』


「んー、トランプかな?配る前に切るしね」



『えー。定期じゃない?切れるし、細かくならないじゃん』



「いやいや、使う前に切れたら困るでしょ。ってか、それ以前に小学生は定期持ってません!」




もう・・・、いい加減にして欲しい


私の静かな朝を返してくれ



「ひじき、謎々はもういいから、そろそろ席に戻ったら?高橋先生来るよ?」


『じゃあ、最後にもう1問だけ』



そう言うと、ひじきはメモ帳を開き始めた



わざわざ謎々をメモって来るなんて・・・


その熱心さを歴史の授業とかに活かせば、高橋先生はきっと喜ぶのになぁ



『では問題です。


訪れる姿は羊の如く、すれ違う姿は鷹の如く、去ってのちは石の如く。


これってなに?』



えっ?


なに、急にレベル上がってない?


こんなの、小学生の問題じゃないでしょ・・・



色々と思考を巡らせて見るが、一向に答が分からない



「わかんないや。答え、何?」



『それはね、時間だよ。


ゆっくりとだけど着実に訪れ、一瞬で過ぎ去り、その後は2度と手が加えられない。


だから、時間。』



さっきまでとは打って変わって、

穏やかな表情を見せるひじきに、私は呆気に取られてしまう



『里英ちゃん?時間はね、過ぎたらもう取り戻せないんだよ。だから、今を大切にしなきゃダメなんだ』



私の頭を撫でながら、

まるで子供を諭すかの様に語るひじき



いつもなら、私はその手をすぐにでも振り払うのだが、

今はそれが出来なかった





ひじきの顔が、どこか寂しそうに見えてしまって



そうして席へと戻る彼女の背中から、私は眼が離せずにいた









思えば、この頃からひじきはどこかおかしかったのかも知れない



いつも通りに見える笑顔も、はしゃぎ回る姿も、

私に気付かれまいと必死に作っていたのだろう




それでも、ちゃんとした友達なら気付けたはずだったのだ



いつも通りに見えるそれも、どこかぎこちなさがあったり、

不自然にボーっとする時間が増えたりと





そうして時折垣間見えるサインに気付かず笑っていた私は、




愚かなほどに、子供だったのだ








※参考出典『ARMS』(皆川亮二)