【第14話『1人きりじゃないんだよ(後編)』】
私の不安をよそに、振り返った亜樹ちゃんは笑っていた
良かった
怒らせた訳ではなさそうだ
じゃあ、なんで此処に連れて来られたのだろう?
その事を亜樹ちゃんに尋ねようとした時、
背後のドアが勢い良く開かれた
「ひじき!ゆきりんだけ先に連れて行っても意味ないでしょうが!」
息を切らせたまま、亜樹ちゃんを怒鳴る里英ちゃん
ふと、その手元に目が行く
―あぁ、そういう事か―
里英ちゃんが持っている箱を見て、
私は思わず微笑んだ
7月15日
平凡な1日
平凡な、私の誕生日
「『ゆきりん、誕生日おめでとう』」
「ありがとう・・・」
「えっ、なんで泣いてるの?もしかして誕生日昨日だった!?」
微笑んでいたはずの私
でも、安堵からなのか、無意識に涙が零れていた
「ううん、今日で合ってるよ」
「じゃあ、なんで?」
「嬉しくて。今まで、親以外に祝ってもらった事なかったから」
『そうなんだ。でも、今年からは毎年、亜樹達がお祝いするから♪ね?』
「うん。こんな2人で申し訳ないけどさ」
そう言って笑い合う2人
「これ以上ない2人だよ」って否定したかったけど、涙ばかりが出てきた
『あっ、見て。ひこうき雲!』
「ひじき、感動ムード台無しにすんなよ・・・」
亜樹ちゃんにつられて、私達は空を見上げた
久しぶりに見上げた空は、
少しだけ日の沈みかかった、
優しい色をしていた
あぁ、誰かと見る空って、
こんなにも綺麗に見えるんだ
きっとこの2人がいなかったら、
これからもそんな事に気付かなかったんだろうな
俯いて、地面ばかり見ていたから
無機質な色に、慣れてしまっていたから
こんなにも綺麗な色を、知らずに過ごしていたんだろうな
ねぇ、去年までの私
1人ぼっちだからって、
学校に行くのも嫌がっていたよね
登校しても、隅で本ばっかり読んでた
でも、大丈夫だよ
16歳の私には、
2人だけど、
こうして誕生日を祝ってくれる友達が出来たから
嬉し涙ってね、
本当に在るんだよ
ねぇ、去年までの私
一人ぼっちは不安で、寂しいけど、
我慢してね
だって
16歳になる貴方は
1人きりじゃないんだよ
「そういえば、里英ちゃんの誕生日っていつ?」
「・・・、6月24日だけど」
「もう終わっちゃったんだ」
「まぁね・・・」
「じゃあ、来年!来年は一緒に祝おうよ」
『亜樹が飛びっきりのサプライズしてあげる♪』
「ひじき・・・、サプライズは宣言しちゃダメでしょ」
ほら 見回せば
いつだって笑顔の
彼女達がそばにいる
※参考『涙サプライズ』(AKB48)