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【第19話『友達ごっこ』】

板野さんのところへ行って、私とゆきりんが怒り、


板野さんが謝ってこの件は終了





コレが理想だった


まぁ、現実はそう甘くはないですよ。って話




私はともかく、ゆきりんの威圧的な目を前にしても、

彼女は余裕な表情を崩さなかった


両隣に宮崎さんと仲川さんを従え、薄ら笑いさえ浮かべてる



「話ってそれ?」



板野さんが鼻で笑うと、両隣の2人がつられて笑った



「北原はともかく、なんで柏木さんが来たの?」


「友達がいじめられてるんだから、当たり前でしょ!」


「友達の為?美しき友情ってやつだ」



なにがそんなに面白いのか、3人は手を叩いて大笑い


チラッと横を見れば、ゆきりんの顔がほんのりと赤く染まる



「なんでこんな事するの?」



怒鳴るのを我慢しているのか、声が少し震えていた



「理由なんてないよ。ただの暇つぶし」



その言葉に、ゆきりんは目を大きく見開いた


「そんな理由で・・・」


今にも飛び掛りそうなゆきりんの袖を握り、私は1歩前に出る



「もう止めてくれるかな?」


「止めてもいいけどさ、じゃあ、友たちはどうするの?暇つぶしなくなるじゃん」



話し合いで解決できると思ってたのに、会話すら成り立たない


この噛み合わなさはなんだろう


幼稚園児と話してるんじゃないんだから・・・



「そんなの私達には関係ない!」


ゆきりんも1歩前へ出て、私と並ぶ



自然と、板野さんたちとの距離が近くなる



「なんでそこまでするかな~」


酷く退屈そうに、板野さんは頭を掻いた



「大体、北原にはもう何もしてないじゃん」



確かに、もうされてない


けど、それにしたって一言謝ってくれても・・・




ん?なにかおかしい



”には”?


その言葉が引っかかる



「それってどういう意味?ひじきには、まだ、、してるって事?」



「あれ?知らなかったの?友達なのに?」



嘲り笑うように言葉を吐く彼女



なんで気がつかなかったんだろう?


誰よりも1番近くに居たはずなのに、どうして・・・



ひじきが隠してた?


違う。それでも気付けたはずだ



本当の”友達”なら・・・




板野さんの言葉が痛いほど刺さった



「そんなんでも友達だって言えるんだね。


馬鹿みたい。


お前らのやってる事なんて、所詮友達ごっこなんだよ。」



そう言い残し、3人は背を向けて歩き出す




私たちは立ち尽くしたまま、動けなかった





ただ、友達と言う言葉が、頭の中でグルグルと回っていた

決戦は金曜日

タイトルは全く関係ありません(・∀・)ノ




明日からGW


予定もないので、とりあえず文章書きに専念します(・∀・)ノ



この文章、河西さんの小ネタ入れての全25話設定だったのが、


最終的には全29話まで膨れたww



小ネタが前・後編展開だから23話まで減るはずなのに・・・




予定は未定とはこのことだね←



なにが増えたのかも分かってないもんね





次の19話書ければ、残りは大まかな軸が決まってるから書き易い




まぁ、19話に3日もかけて1文字も書けてないってのが問題なんだけどねww


タイトルすら決まらないし(´・ω・`)




元々、普通の記事のタイトルすらまともにつけらんないのに





あー



コメディでもシリアスでもない、繋ぎの文章とか1番苦手


そこが割りと重要なのにさww

【第18話『ご挨拶は丁寧に』】

ひじきと関わってから、私の朝は憂鬱で始まるのが決まりらしい


ひじきが休みの日だって、こんな事になるのだから・・・



珍しく怒った表情のゆきりんと、

それに怯えて俯く指原さん



そんな2人に挟まれた私


当事者のはずなのに、1番気まずいのは何でだろう・・・




「で、脅してたのは誰?」



ゆきりんの威圧的な言葉に、指原さんの肩が勢いよく跳ねた




私は他人事のように、「指原さん可哀想だなぁ」なんて思った


きっと、ゆきりんみたいな態度を取るべきなんだろうけどね



「それは・・・、あの、えっと・・・」


ゆきりんの目がどんどん鋭くなっていき、それに伴って指原さんの声は小さくなっていく



「大丈夫だから。ね?誰だか教えてくれる?」



このまま放っておくと泣くんじゃないかと心配になり、助け舟を出す



出来るだけ優しい声を出したはずなのに、

顔を上げた彼女は益々眉を下げた



「板野さんですぅ」



半分泣いてんじゃないかってくらい震えた声で、彼女は弱々しく答えた



これじゃ、どっちがいじめてて、どっちがいじめらてたかなんて分かりゃしない




―板野さんか―


彼女の事を思い出そうとすれば、すぐに見つかる記憶があった



朝、私の目に留まったあの派手なグループ


その中で一際目立った存在


アヒル口が特徴的な、ギャルをそのまま象ったような少女



私とは真逆な彼女こそが、板野友美16歳




私が板野さんに思考を巡らせば、教室に沈黙が停滞する




腕を組みながら考え事をしていたゆきりんが、何かを思いついたように顔を上げた



出来ればその考えは聞きたくない


絶対悪い方向に行くに決まってる




だってホラ!


ゆきりんの口角が上がって、妖しい笑いが完成してるし



ひじきが居ない今、私だけが巻き込まれるっていう状況だけは避けたい




避けたい・・・、のだが



「じゃあ、行こう」



ホラね。


ナポレオンも吃驚



私の辞書には拒否権と言うものがないらしい




「ど、どこにでしょう?」



出来るだけ穏便に済ませたい



先生に報告しに行く。とかで済ませて欲しい




「板野さんのところ」



あぁ、ですよねぇ。



軽く「コンビニ行って来る」みたいなテンションで言われてもさ


いじめの首謀者のとこに直接行くってどんな神経してんだよ




私の必死な訴え(ているような目つき)を理解をしたのか、

ゆきりんは私の肩を叩いて言った



「大丈夫。私もついて行くから」



あっ、ダメだ


この人全然理解してねぇ



ってか、大丈夫って何だよ?


「ついて行く」とか、もしかして大丈夫そうなら私1人で行かす気だったの?




「お世話になったんだから、ご挨拶はしとかなきゃね」




よくポケモンとかで「目の前が真っ白になる」って言うけど、アレ確実に間違いだ





だって、現に私の目の前は、黒く染まってる

【第17話『ヘタる彼女の事情(後編)』】

「で、事情って?」



北原さんに導かれるまま、指原達は空き教室に入った



そこは普段使われていないせいか、少しだけ埃っぽくて、

まるで私のようだ。なんて変な事を思う



「実は・・・」



意を決して、指原の今までしてきた罪を話し始めた



「実は、北原さんの靴を隠してたの指原なんです」



その言葉が予想外だったのか、

北原さんの目は大きな円を描いた



「えっ、嘘・・・」


「その・・・、脅されて、怖くて。でも、やったのは事実なんです。本当にごめんなさい!」



指原の告白に、ただ呆然と立ち尽くす北原さん


無理もないよ


ワンピースの話出来ると思ったら、まさかだもんね



「あのさ、もしかして、ひじきの靴を隠してたのも指原さん?」


「・・・、はい」



北原さんだけでなく、友達の靴も隠した張本人が目の前にいるんだ



―怒られる―



そう思った指原は、目をギュッと強く瞑った




「はぁ」



しかし、怯えた指原の耳に届いたのは、

怒鳴り声でも、非難する声でもなく、深いタメ息だった



「指原さんだったんだ。気の使えるくせに、手抜きないじめっ子って」



なぜだろう?


北原さんは指原が予想したリアクションの、どれにも当てはまらない反応を示した



「怒って・・・、ないんですか?」


「怒ってないよ。むしろ、落ち込んでる。もっと意地汚そうなヤツを想像してたから」



「想像と違いすぎ」と言って、彼女は苦笑した



「あぁ、そういえば」


思い出したように、言葉を続ける



「脅されたって言ってたけど、それって誰に?」



確信を衝く言葉に、指原は身を強張らせた



―言わなきゃ―



それを言う為に、指原はここまで話したんだ




「それは・・・」



口を開いた指原を遮る様に、後ろのドアが開く




顔を覘かせたのは、北原さんの友達の柏木さんだった





「それ、私も聞きたい」





彼女は射抜くような目で、指原を睨んだ

【第16話『ヘタる彼女の事情(前編)』】

※『寄せて引いて』の同日、別視点




どうも、指原です


今日は、指原のくせに語らせていただきます




指原は今、とある少女の背中を見つめています


と言っても、

別にストーカーちっくな事をしている訳ではありませんよ、悪しからず




実は、入学時から彼女のことが気になっていたのです


あっ、いや、

この物語には百合的要素は含まれませんのでご安心を




そんなことを考えている内に、

指原の視線に気付いたのか彼女が急に振り返る



吃驚して慌てて目を逸らす



―バレなかったかな?―



恐る恐る目を上げれば、そこに広がる最悪の事態







彼女が、指原の目の前に立っていた




「何か、用?」


不思議そうに首を傾げる彼女



あぁ、可愛いな


指原がこんな仕草しても、きっとウザいだけで終わる・・・



「あ、、、あのですね、私、あの、えっと・・・」


「焦りすぎだって。落ち着いて、ね?」


「あ、、はい」



しかも優しい


どもる指原を、笑って待ってくれるなんて・・・



「実は指原、北原さんの事が入学した時から気になっていて」


「へ?」



指原の言葉に吃驚したのか、北原さんの声は裏返っていた



「いや、そんな。すっ、、好きとか、そういう意味じゃなくてですね。あの、なんていうか・・・」


「分かってるよ。ただ、急に言われたから驚いただけだって」



良かった


変に勘違いされたら、明日から学校に来れなかったところだよ



「でも、何で私?」


「それはですね。北原さんの、携帯のストラップを見まして・・・」



恐る恐る告げる指原の言葉に反応するように、

「あぁ、コレ」と言ってポケットから携帯を出す北原さん


淡い青色の携帯に一つだけぶら下がった、人型のストラップ



「それ、ワンピースのサンジですよね?」


「そうだよ」


「北原さんも、ワンピース好きなんですか?」


「”も”って事は、指原さんも?」


「はい!指原はトラファルガー・ローが好きなんです」



勢い良く喋る指原に圧倒されたのか、

少しだけ身を引いた北原さん


それでも、目は離さずにいてくれた



「そっか・・・。でも、それならもっと早くに話しかけてくれたらよかったのに」


「いや、それにはちょっとした事情がありまして・・・」


「事情?」


「ここではちょっと話せないんですけど・・・」



声を落とした指原の気持ちを悟ったのか、

北原さんは眉を少し下げ、考える素振りを見せた



「分かった。じゃあ、場所変えよう」


「あっ、でも、授業は?」


「大丈夫。後で「保健室行ってました」とか言っとけば平気だって。行こう?」



呆気に取られる指原をよそに、楽しげな表情をする北原さん






指原の手を引く彼女は、

「実は、授業サボるのに憧れてたんだ♪」なんて子供のように笑う




この後に話す事を考え、指原は罪悪感を感じずにはいられなかった