11月3日の青い空

 

本10月の読書 

 

 

めだか、太平洋を往け (幻冬舎文庫)  めだか、太平洋を往け    重松 清


  大きな災害や病、事故。生きていると人はいくつもの困難に出合い、深い悲しみに打ちひしがれてしまいます。一番つらいのは大切な家族を失うこと。

 元小学校教師のアンミツ先生も、穏やかな退職後の生活を始めようとしたその日に息子夫婦を交通事故で失います。悲しみに押しつぶされそうな先生に前へ進む力をくれたのは、血のつながらない孫や教え子たちの存在でした。

 1冊の作品の中には、学校や教育、震災後の人々への思いがていねいに隙間なく込められていて、読む側もいっしょに考えさせられます。

 退職しても子どもの幸せについて学び考え続けるアンミツ先生の生き方がいいですね。

 

 この物語は南日本新聞に連載されていたものを、妹が切り抜いて送ってくれて読みました。でも途中からだったので、文庫本になったのを知りもう一度読み直しました。最後のページに、2012年から16社の新聞に掲載された作品とありました。希望につながるものを伝えたいという作者の温かい思いを感じます。



出会いなおし (文春文庫)  出会いなおし  森 絵都


  6話の短編集。誰かを思う気持ちがあれば、どんな時にでも、死を迎える瞬間にでも、人は希望を感じることができる。そんなやさしさが伝わってくる作品でした。

 「テールライト」がとくに好きです。こんな思いが大気のようにわたしたちを包んでいてくれるのだから、汚さないように生きていかなくてはと思います。何の関係もないのに、読み終えた後、中島みゆきの「テールライト」を口ずさんでしまいました。


フーガはユーガ (実業之日本社文庫)  フーガはユーガ   伊坂 幸太郎


  フーガとユーガは虐待されて育った双子の男の子。偶然知った双子ならではの特別な力で、悍ましい事件に関わってしまいます。

 読んでいてつらいのは、こんなことが現実にあり、現実は多分これ以上にひどいと知っているからですね。他人の体や心を傷つけて何も感じない(むしろ喜んでいそうな)人間は確かにいると、日々のニュースが教えてくれます。

 ミステリーではないのでしょうが、最後に犯人が分かったときはぞっとしました。

 そして、最後にいつも感じる伊坂氏らしい温かいエール。こんな双子のような特別な力はなくても、誰でも、あなたでも、誰かの光になれるかもしれません。



アフターダーク (講談社文庫)  アフターダーク   村上 春樹


  真夜中から夜明けまでの現実的なできごとと抽象的な世界が交互に描かれ、夜が明けて二つの世界が静かに溶け合っていきました。

 村上作品でいつもそうなるのですが、とてもおもしろいと思って読んでいたのに、最後は物語の中で迷子になってちゃんと出口にたどり着けなかったような気持ちになります。この作品でもそう。でも、会話がとても心地よくて楽しみながら読みました。



メインテーマは殺人 (創元推理文庫)  メインテーマは殺人   アンソニー・ホロヴィッツ


  舞台は2011年のイギリス。iPhoneがたびたび登場する以外は、個性的な刑事や探偵が活躍する古い時代のミステリーを読んでいるような感覚でした。

 人物描写も事件の背景にあるものも古典的な雰囲気ですが、それがとてもおもしろくて、後半は一気読みでした。一件落着と思いきや、最後の最後に起きたこと。できる刑事は怖い…。

 

 

 

 

   散歩の途中で見つけた猫。

   近所を歩くとよくこんな光景に出会います。

   温かそうで 幸せそうで ホッとします。

 

 

 

   こちらはご近所さんの庭でフードをもらっている外猫ちゃん。

   でも、高齢のその方は「うちでは飼えない」とのことなので

   寒くなる前に保護して里親さんを探すことになりました。

   幸せになろうね。
 

 

 

9月の読書

 

 

ギケイキ2: 奈落への飛翔 (河出文庫 ま 17-4)   ギケイキ2: 奈落への飛翔    町田 康


  「やっと会える。やっと兄に会える。」ギケイキ①はそこで終わっていました。その兄頼朝に疎まれ、義経は追討の身となってしまいます。

55年前の大河ドラマに登場した悲劇の美少年は、町田氏によって抱腹絶倒娯楽小説の主人公として帰ってきました。

 よくぞここまでと褒めたくなるような、呆れてしまうような表現の中に、何だかとても納得させられる人の思いや真理があり、現代を生きるわたしたちと同じ、いきいきとした中世の人々がいました。後半は少し話が長すぎてくどいかなと思いましたが。

 待ち受けている奈落を想像すると③を読むのはちょっと怖い…。


わたしたちに手を出すな (文春文庫 ホ 11-1)   わたしたちに手を出すな   ウィリアム・ボイル 


  マフィアの抗争、拳銃、車、お金、男女の生々しい関わり合い、映画。ぶっそうなアメリカがびっしり詰まった物語でした。

 途中までは何でこう慌ただしいのか、もう少し穏やかに話せないのかと半分呆れて読んでいたのですが、女たちが力を合わせて荒っぽい男たちと闘う場面からは、ハラハラしながら一気に惹きこまれていきました。何と言っても元ポルノ女優の女性の考え方、語る言葉が魅力的です。前向きでやさしくて、とても賢い。この考え方、明るさもいかにもアメリカらしくていいですね、女たちの強さと純粋な友情に乾杯です。  



ゆっくりおやすみ、樹の下で (朝日文庫)   ゆっくりおやすみ、樹の下で   高橋 源一郎


  高橋源一郎氏が初めて書いた児童文学と紹介されていました。       タイトルのかもし出すやさしさが、そのまま物語全体を包み込んでいます。 鎌倉、ぬいぐるみ、老犬、夏休み。メルヘンティックな設定ですが、子どもによせる温かいまなざし、命が受け継がれ大切に育てられてきたのだというメッセージが、不思議な体験を通してていねいに描かれています。

 勝手な思い込みですが、「夏休み」には自然が必要ですね。海、山、川、田んぼや畑、セミの声…。そして、悲しい戦争に思いをはせる静かな時間も。


生まれ変わり (ケン・リュウ短篇傑作集5)   生まれ変わり (ケン・リュウ短編集)  ケン・ リュウ


  12の短編集。世界中でずっと続いてきた差別や暴力、これから深刻化するであろう温暖化による地球の破壊。人々がかかえる痛みとわずかな希望が、SFの形をとって描かれています。

 これまでの作品と同様、アジアからの移民としての複雑な立場や悲しみが全体をおおっています。おもしろい発想や手法だと感心し考えさせられる作品ですが、難しくてほとんど理解できない部分もありました。なので、半分はつらい読書でした。

 ケン・リュウの作品6冊目。読むたびにはじめの頃のわたしの好きな世界から離れて行くような気がします。


うちのねこ   うちのねこ  高橋 和枝


  猫はかわいくて、すぐに仲良くなれる? いえいえ、いろんな人がいるように、いろんな猫がいます。まして、言葉が通じないのですからわかり合うのは大変。

 この本の猫も外で生きていたときにつらい経験をしたのでしょう。なかなかなつかず、そばに行くと引っかいたり噛みついたり。でも、そんなとき怒るのではなく、恐がらせてごめんねと思ってくれる飼い主さんで本当によかった。

 猫の気持ちを考えてゆっくりゆっくり心を通わせていく様子に、こちらまで幸せな気持ちになりました。

 柔らかい毛ざわり、とぼけたお顔。筆使いもやさしくてほんわかします。

作者が猫にふれるときの温かい思いと、ふれられた猫の安心感が絵からも伝わってきて、わたしも手を添えてしまいました。
 

 何匹も猫を飼いましたが、今は1匹だけになってしまいました。ふうちゃん。この猫は外で鳴いていたのを無理やり?保護してもう2年になります。でも、2年間一度も抱っこさせてくれません。膝にも乗ってくれません。そばに行くと逃げます。それでも、この猫が脱走せずこの家にいてくれるだけでいいと思っています。生きていてくれるだけでいいからと。いつか、安心できる関係になってそばに来てくれるのをゆっくりゆっくり待ちます。 

 

 

 

これは本ではありません。5年連用の日記帳です。

1997年からつけ始めて今5冊目。

今日、来年からの6冊目を買ってきました。

 

仕事をしていた頃は、仕事のことや成長期の子どものことが中心でした。

退職してからは両親の介護、娘の結婚、そして猫や読書のことが多くなり

孫が生まれてからはその成長の様子と外猫の保護活動、草花や本のことなど。

うれしかったことと悲しかったこと、しみじみとした思いとため息と。

 

書きながら去年や一昨年の欄を読み返すことがありますが、けっこう似たようなことをして、似たようなことを考えていて、進歩がないなと苦笑いすることもあります。老いを実感させられて寂しくなることもあります。

 

孫のかわいかった頃がなつかしくて、さすがに日記帳は見せられないけど

話したことなどをノートにまとめてあげようかな。

 

新しい日記帳には何が書かれていくのか…。まずは5年、元気で書き続けられることが目標ですね。

 

 

 

 

 

鏡のなかのアジア (集英社文庫)  鏡のなかのアジア     谷崎 由依


 アジアの五つの地域に5つの物語。

 「…そして、また文字を記していると」墨で書かれた文字が意味を持ち、命をもっているかのように動き、世界を造っています。その幻想的な情景と描写の美しいこと。ケン・リュウの作品でも感じた、言葉や文字の力に通じるアジアです。

 最後の「天蓋歩行」。東南アジアの熱帯雨林が醸し出す濃い熱気と湿気に『間昼間は逢魔が時』となり、森なのか人なのか、人以外の何かなのか区別のつかない世界に入り込んでしまいます。

 台湾の村の物語も独特の雰囲気で好きです。なぜか京都を舞台にした物語には入っていけませんでした。



宝島(上) (講談社文庫)  宝島(上)    真藤 順丈


 戦後間もなくの沖縄。今以上に海は美しく、空も澄んでいたはず。でも、この物語から立ち上ってくるのは血と汗と涙の匂いばかりでした。フィクションですが、戦争で島民を殺された悲しみとアメリカ統治下での米兵の横暴なふるまいへの怒りは、いく度か目にした報道と同じでした。日本政府からも見捨てられたような沖縄で、故郷を守るために戦い、生き抜いた幼馴染3人。その3人の心と体に襲い掛かる暴力のすざましさに息が止まるような思いでした。
 

 感想から離れますが、わたしの故郷は鹿児島です。高校時代、体育の先生が沖縄返還の洋上デモに参加した話をしてくれました。海の上の国境線まで行って返還を要求したと。あの頃、沖縄との往来にはパスポートが必要だったのです。戦争は終わっていたのに、沖縄は27年間もアメリカの統治下にありました。 

 


宝島(下) (講談社文庫)  宝島(下)    真藤 順丈


 1972年、沖縄はアメリカの統治下から離れ、本土復帰を果たしました。でもそれは沖縄の人々が望んだ「核と基地のない沖縄」ではありませんでした。復帰に至るまでの激しい闘争に関わった幼馴染3人の苦悩。(上)と同じで彼らに襲い掛かる暴力のすざましさに、フィクションでもこれは多分事実だと思いました。これ以上だったかもしれません。

 苦悩の果てに3人が知った、彼らの英雄が守り抜いたもの。物語のタイトルが意味するものは、その英雄の心なのか、英雄が守り抜いたものなのか…。わたしにとっては、沖縄の歴史や自然、沖縄の全部です。

 

 

 

 

8月はなかなか読書の時間がとれませんでした。

まあ、理由は先月書いたことと同じですが。

 

7月に保護した子猫たちがみな里親さんのお宅へいきました。

最後の猫は2カ月もいっしょにいて、とても仲良くなっっていたので

今、寂しくて仕方ありません。

 

猫たちがいた部屋を掃除しながら、最後の子は家族にしたかったなと

自分の覚悟の遅さを後悔しています。

子猫を飼って最期までいっしょにいられるか自信がなかったのです。

つい、自分の年齢を考えてしまいました。

 

抱っこしていたときの温もり

里親さんに預けたときのおびえた表情

 

歳を重ねて得たものもあるけど

失ったもの、去っていったものもたくさんあります。

 

寂しい秋を迎えました。

 

2か月いっしょにいたナナ

暑中お見舞い申し上げます

 

 

     本 7月の読書


あんなに あんなに  あんなに あんなに   ヨシタケ シンスケ

 幼い子はかわいくて日々の成長もとても楽しみ。でも、大きくなったらあの頃のかわいさはもう取り戻せません。あんなにかわいかったのに、あんなに心配したのに、あんなにあんなに…。

 ヨシタケさんの本を初めて読んだのは「りんごかもしれない」。孫の6歳の誕生日プレゼントでした。何度も繰り返して楽しみました。

 その孫ももう中学生。あんなに愛おしかったのにもうこんな、と思うこともしばしばです。でも、幸せな時間をたくさんもらったのだから、そのことは忘れないようにしなくては。娘と孫にも読んでもらおうと思います。


きのうの影踏み (角川文庫)  きのうの影踏み   辻村 深月


  今まで読んだ辻村さんの作品とは少し雰囲気が違う、ゾクッとす る短編13話。若い人や子どもが中心にいて、彼らの不思議な経験や感覚が『かがみ』の向こう側と繋がっているかのようです。残酷過ぎてゾッとする話、この終わり方はどんな意味があるかとよくわからない話もありました。                                   最後の話は本当に切なくて、幽霊でもいいから会いたい、会わせてあげてと願いました。子どもしか入っていけないような世界と、その子供のそばにい る母親のとまどい。


コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店― (新潮文庫nex)   コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―  

                           町田 そのこ
 テンダネス…やさしさ、柔らかさ。そんな名前のコンビニにいる店長と取り巻く人々の、やさしさと柔らかさにあふれた物語です。おまけに、コーヒーがとてもおいしいときている。こんなコンビニなら、わたしも足しげく通いそうです。あぶない店長のそばには行かないけど。

 ややでき過ぎの展開ですが、少しだけ視野を広げて、少しだけ口角を上げて、少しだけ思いやりの気持ちを持てば、誰かの力になれるのだと温かい気持ちになれます。

 門司港のあたりがとてもすてきに描かれていて、行ってみたくなりました。


泣き虫チエ子さん 愛情編 (集英社文庫)  泣き虫チエ子さん 愛情編   益田 ミリ

 

  友人が貸してくれました。
 あれこれ考えて一人で笑ったり泣いたりのチエ子さんと、おっとりマイペースのサクちゃん夫婦のほんわかほのぼのとした毎日。何気ない会話や行動に、こちらまでほんわか癒されます。

 コミックで絵の方が多いのに、何日かかけて読みました。言葉が軽そうで重いからでしょうか。

 登録するために検索してびっくり。このシリーズ、たくさんあるのですね。それだけファンが多いのですね。


大きなさよなら どくだみちゃんとふしばな5 (幻冬舎文庫)  大きなさよなら どくだみちゃんとふしばな5  吉本ばなな


  「そうだよなあ」なんて簡単に言ってはいけないのかもしれないけど、やっぱり「そうなんだよな」と、自分の中で言葉にできずにいた考えや思いに気づかされるエッセイでした。とくに、亡くなった友人や犬への思い、動物を大切にしない友人との別れなど、命について書かれていることには共感することばかり。

 もう一つ。「歳を重ねることの良さ」にあった、父隆明氏の言葉も心に残っています。御巣鷹山に登るご遺族のことを「人はそれでもどうしても、どうしてもその場所に行きたくなってしまうんだよ。」と話してくれたこと。言葉は心と繋がっています。


 

7月は5冊しか読めませんでした。

 

三毛猫

保護した3匹の子猫の世話

嚙まれた指の治療のための通院

そして2回のワクチン接種

強い副反応は出ませんでしたが

腕が痛くて上がらなくなり、体全体がだるくて

ぼんやりと過ごしていました。

 

恒例?の孫の夏休みも始まり

連日お昼作りに通っています。

 

ボクは里親さんのおうちに行きました

 

ボクたちも早くゲージから出たい!

 

そうそうオリンピックも始まりましたね。

もっぱら結果を見るだけですが。

 

埼玉県に何回目かの緊急事態宣言が出されました。

今月も外出を控えて、「猫と孫とスーパーの日々」です。

 


 

 

 


極小農園日記 (毎日文庫)   極小農園日記     荻原 浩


 野菜作りや旅の、ほとんどは笑えて楽しい話の合間に、作者の人生観や創作への思いが織り込まれたエッセイ集。世代の近いわたしにとっては、わかるわかると共感しまくりでした。

 ユーモラスな内容の小説でも『ころぶなよ、流されるなよ』と自分なりのメッセージを込めて書いているとありましたが、「そのメッセージ、届いてますよ。」と返事していました。

 これからの作品も楽しみ。お気に入りの作品を読み返すのも楽しみ。

ストーンサークルの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)  ストーンサークルの殺人   M W クレイヴン


 ミステリーは先が気になってつい急ぎがちになるのですが、はやる気持ちを抑えながらていねいに読みました。人物名を確かめながら。彼らの人となりや関係をイメージしながら。

 主人公ポーの不正やいじめに対する導火線の短さと激しさにハラハラする場面もありましたが、だからこそ心から信じあえる友だちができるのでしょう。問題が解決する手前で社会の闇という悍ましい壁に道をふさがれますが、今回はかなり慎重に導火線を使いました。納得の着地。

 シリーズ第一弾とあったので、第二弾を楽しみに待ちます。ティリーも必ず登場すると信じて。


木曜日にはココアを (宝島社文庫)  木曜日にはココアを   青山 美智子


 タイトルとカバーから想像していたとおり、温かくやさしい物語でした。一話目を読んだとき、きっとまたこのお店の、この二人に戻ってくるだろうなと思ったのですが、想像以上のすてきな一周でした。

 人を思いやり、ていねいに生きるとこんな出会いがありますね。長く生きていて、それは実感。



刑事マルティン・ベック 煙に消えた男 (角川文庫)  刑事マルティン・ベック 煙に消えた男  

        マイ・シューヴァル,ペール・ヴァールー 


 この作品が世に出たのは1966年。前回の東京五輪の2年後です。もちろん、携帯電話もパソコンもありません。防犯カメラも。

 ヨーロッパが鉄のカーテンで分断され、カーテンの向こう側でどんな悍ましいことが行われているのか、想像するだけで心拍数が上がりそうでした。

 晴れた日、という描写があってもなぜか明るさは感じられないのですが、カーテンの向こうにいた警察官がいい人で、それが一番の救いでした。地道に情報を集め、大事なことを見落とさない。事件が解決しても背景のやりきれなさが残る…。人がいる限り犯罪もなくならないようです。



きっとあの人は眠っているんだよ: 穂村弘の読書日記 (河出文庫)  きっとあの人は眠っているんだよ:   穂村弘


 穂村弘の読書日記。数えきれないほどのたくさんの本について書かれています。作品に寄せる穂村氏の素直でユニークな視点に、こんな本の読み方があるんだなと、読書の楽しみがまた増えました。

 『みんなが面白いと云っている本、話題の本(略)向上できる本、読んでおいた方がいいだろうなと思う本、その全てを読みたくない日がある。(略)そんな時は昔の漫画を読むことにする。』

 その漫画に寄せる思いも熱くて、本が本当に好きなのだなと、そんな穂村氏がますます好きになりました。あいまに登場する古本屋、喫茶店、氏の日常も楽しめます。



おばちゃんたちのいるところ-Where The Wild Ladies Are (中公文庫)  おばちゃんたちのいるところ-Where The Wild Ladies Are 

             松田 青子

 おもしろそうなタイトルと「海外メディア絶賛!」の帯につられて手に取った本。

 どんなおばちゃんたちか、ざっくり言うと幽霊です。おどろおどろした幽霊ではなく、ちょっとすっとぼけていて、ちょっと笑えて、ちょっとお節介。あの世とこの世の境界をこんなふうに越えられるのは、死が無ではないと思いたいみんなの願いなのかもしれません。

 幽霊も幽霊が見える人も働きやすい社会。いいですね。全17話。主に落語がモチーフになっています。


ハルコロ (1) (岩波現代文庫, 文芸338)  ハルコロ (1)   石坂 啓, 本多 勝一


 表紙に〔漫画〕石坂啓〔原作〕本田勝一〔監修〕萱野茂とあり、かなり詳しく調べられた作品だということがうかがえます。

 アイヌの歴史を思うと、どうしても和人からの迫害や同化政策の苦しみ悲しみが浮かんできますが、帯には『滅びゆくとか虐げられたとかいったラベル話貼られていない作品』とありました。壮大な北の大地。家族や少女たちの暮らしや成長の様子が、今のわたしたちのそれと同じようにいきいきと描かれています。違うのは、彼らが恵みをもたらす自然に常に感謝し、謙虚な気持ちで暮らしていること。

 その自然の描写がとても丁寧で、「神々の大地」という形容がぴったり当てはまります。星野道夫さんの本を読んだとき、北海道から千島列島、そしてアラスカへと渡っていった人々がいると想像してしみじみとした気持ちになったことを思い出しました。 

ハルコロ (2) (岩波現代文庫 文芸 339)  ハルコロ (2)   石坂 啓,本多 勝一

 

 ハルコロ(たくさんの食べ物)という名の少女が、結婚して母になり、おばあさんになるまで物語が続きます。恋心も母としての思いもわたしたちと同じ。ただそこには先祖から口承で伝えられてきた神々の話やしきたりを持つ、ていねいで独特の暮らしがあります。

 やがてシサム(和人)によって徐々に脅かされていく悲劇が近づいてくる…というところで物語は終わります。差別につながるからと、アイヌという呼称を使うことが憚られた時代もあったと解説にありました。忘れてはいけない、無かったことにしてはいけない。むしろ大切なこの国の歴史です。


夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)  夜空に泳ぐチョコレートグラミー   町田 そのこ


 息苦しくてこの街では生きていけない人と、息苦しさを感じながらもここで生きていくしかない人の、寂しけど、やさしい物語たち5話。5話のつながりが、人はみなそんな寂しさを抱えて生きているのだと教えてくれます。 

 親と子、男と女、心と体。その関係がとても自由で、自由な分だけ息苦しいのかもしれません。それでも、そばに手をさしのべ、よりそってくれる人がいれば、幸せに向かって歩き出せます。

 最後の場面で「頑張れ」の祈りが通じたことに安堵し、自分も誰かに手をさしのべられる人でありたいと思いました。



乗客ナンバー23の消失 (文春文庫 フ 34-1)  乗客ナンバー23の消失   セバスチャン・フィツェック


 クルーズ船から乗客が消える…。怖い、おぞましい。そんな場面が次から次へと現れて、ホッとできる場面がありません。1つ解決して余韻を味わえると思ったら、また予想だにしていなかったつらい事実が待っています。

 事件も悲惨ですが、おとり捜査の実態も凄すぎて、こんな社会で生きていくのは怖すぎます。平凡に見える生活に潜む闇。

 事実は小説より…だとしたら、クルーズ船には乗れなくなりそうです。それも作者の力量ゆえでしょうか。

 

 

三毛猫黒猫オッドアイ猫

 

6月はミステリー2冊漫画2冊を読んだので

途中でやめられなくなり10冊になってしまいました。

目がかすんで、満月はダブって見えるし

街の看板も見えにくくなりました。

 

高校3年生のとき、左右1.5の視力で

勉強していないことがバレバレだったのですが

今は左右0.6。運転時の眼鏡が義務づけられそうです。

目も口の中も手足の節々もがたがた。

老いが体中で暗躍しています。

 

 

 


種から育てたバジルと矢車草