9月の読書
「やっと会える。やっと兄に会える。」ギケイキ①はそこで終わっていました。その兄頼朝に疎まれ、義経は追討の身となってしまいます。
55年前の大河ドラマに登場した悲劇の美少年は、町田氏によって抱腹絶倒娯楽小説の主人公として帰ってきました。
よくぞここまでと褒めたくなるような、呆れてしまうような表現の中に、何だかとても納得させられる人の思いや真理があり、現代を生きるわたしたちと同じ、いきいきとした中世の人々がいました。後半は少し話が長すぎてくどいかなと思いましたが。
待ち受けている奈落を想像すると③を読むのはちょっと怖い…。
わたしたちに手を出すな ウィリアム・ボイル
マフィアの抗争、拳銃、車、お金、男女の生々しい関わり合い、映画。ぶっそうなアメリカがびっしり詰まった物語でした。
途中までは何でこう慌ただしいのか、もう少し穏やかに話せないのかと半分呆れて読んでいたのですが、女たちが力を合わせて荒っぽい男たちと闘う場面からは、ハラハラしながら一気に惹きこまれていきました。何と言っても元ポルノ女優の女性の考え方、語る言葉が魅力的です。前向きでやさしくて、とても賢い。この考え方、明るさもいかにもアメリカらしくていいですね、女たちの強さと純粋な友情に乾杯です。
高橋源一郎氏が初めて書いた児童文学と紹介されていました。 タイトルのかもし出すやさしさが、そのまま物語全体を包み込んでいます。 鎌倉、ぬいぐるみ、老犬、夏休み。メルヘンティックな設定ですが、子どもによせる温かいまなざし、命が受け継がれ大切に育てられてきたのだというメッセージが、不思議な体験を通してていねいに描かれています。
勝手な思い込みですが、「夏休み」には自然が必要ですね。海、山、川、田んぼや畑、セミの声…。そして、悲しい戦争に思いをはせる静かな時間も。
生まれ変わり (ケン・リュウ短編集) ケン・ リュウ
12の短編集。世界中でずっと続いてきた差別や暴力、これから深刻化するであろう温暖化による地球の破壊。人々がかかえる痛みとわずかな希望が、SFの形をとって描かれています。
これまでの作品と同様、アジアからの移民としての複雑な立場や悲しみが全体をおおっています。おもしろい発想や手法だと感心し考えさせられる作品ですが、難しくてほとんど理解できない部分もありました。なので、半分はつらい読書でした。
ケン・リュウの作品6冊目。読むたびにはじめの頃のわたしの好きな世界から離れて行くような気がします。
うちのねこ 高橋 和枝
猫はかわいくて、すぐに仲良くなれる? いえいえ、いろんな人がいるように、いろんな猫がいます。まして、言葉が通じないのですからわかり合うのは大変。
この本の猫も外で生きていたときにつらい経験をしたのでしょう。なかなかなつかず、そばに行くと引っかいたり噛みついたり。でも、そんなとき怒るのではなく、恐がらせてごめんねと思ってくれる飼い主さんで本当によかった。
猫の気持ちを考えてゆっくりゆっくり心を通わせていく様子に、こちらまで幸せな気持ちになりました。
柔らかい毛ざわり、とぼけたお顔。筆使いもやさしくてほんわかします。
作者が猫にふれるときの温かい思いと、ふれられた猫の安心感が絵からも伝わってきて、わたしも手を添えてしまいました。
何匹も猫を飼いましたが、今は1匹だけになってしまいました。ふうちゃん。この猫は外で鳴いていたのを無理やり?保護してもう2年になります。でも、2年間一度も抱っこさせてくれません。膝にも乗ってくれません。そばに行くと逃げます。それでも、この猫が脱走せずこの家にいてくれるだけでいいと思っています。生きていてくれるだけでいいからと。いつか、安心できる関係になってそばに来てくれるのをゆっくりゆっくり待ちます。
これは本ではありません。5年連用の日記帳です。
1997年からつけ始めて今5冊目。
今日、来年からの6冊目を買ってきました。
仕事をしていた頃は、仕事のことや成長期の子どものことが中心でした。
退職してからは両親の介護、娘の結婚、そして猫や読書のことが多くなり
孫が生まれてからはその成長の様子と外猫の保護活動、草花や本のことなど。
うれしかったことと悲しかったこと、しみじみとした思いとため息と。
書きながら去年や一昨年の欄を読み返すことがありますが、けっこう似たようなことをして、似たようなことを考えていて、進歩がないなと苦笑いすることもあります。老いを実感させられて寂しくなることもあります。
孫のかわいかった頃がなつかしくて、さすがに日記帳は見せられないけど
話したことなどをノートにまとめてあげようかな。
新しい日記帳には何が書かれていくのか…。まずは5年、元気で書き続けられることが目標ですね。



