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マチュピチュ展
六本木ヒルズ、森アーツセンターギャラリーで開催中の「マチュピチュ展」に行ってきました。
これが予想以上にとっても楽しかった―――!!
マチュピチュ展、予習なしで大丈夫です。
「マチュピチュとは何か?」くらいはあったほうがいいかもしれませんが、
展覧会を見るだけで充分楽しめます。
とりあえずMOVEの「古代文明のふしぎ」のDVDは観ましたが、
ほとんど予習ゼロでも楽しかった!!
「マチュピチュ展」という名前ですが、
マチュピチュそのものの展示内容はほとんどなくて、
当時の「古代アンデス文明」(というかモチェ文化)に関する展示がメインです。
で、この内容が子どもでもすごく伝わりやすかったんです。
わかりやすい世界観
古代文明というと、
たとえばエジプトだったら「どんな神様がいたのか」とか、
「当時の死生観はどうだったのか」とか、
「このファラオはどういうファラオだったのか」とか、
事前知識があったほうがわかりやすいって場面が多かったんですが、
大丈夫です。
古代ペルー文明、わかりやすいです。
この1枚絵の説明でだいたいわかる!
(※わかると言いながら、違った解釈をしているところがあったらすみません!)
当時の宇宙論では、3つの世界が均衡を保ちながら共存していたと考えられていて、
鳥と太陽の神がいる「天空の世界」
人間と人間以外の生物がいる「現実の世界」
ヘビと祖先がいる「地下の世界(内なる世界・死者がよみがえる世界)」
この3つの世界を階段を通って行き来できるよ☆って考えられていたそうです。(ざっくり)
わ、わかりやすい!!
正直、たくさんの神様がいるエジプトよりわかりやすいし、感覚的に理解しやすい!気がする!
だから、
夜に活動するフクロウがいれば、
「ああ、天空の世界と内なる世界を結んでいるのね」だし、
猫がいれば「現実の世界ね」だし、
地中を這うヘビのモチーフがくっついていれば、
「地下世界に繋がってるのね」なわけです。
ヘビは脱皮すると生まれ変わったような姿になるので、「蘇る」という意味合いもあるようです。
ちなみに写真右上の光ってしまっているのは「ハチドリ」です。
ナスカの地上絵にも登場する「ハチドリ」なわけですが、
この子たちって小さすぎるうえに食べ物が花の蜜なので、ずっと食べていないとエネルギー不足でしんじゃうんです。
そうすると寝ている暇がない! 寝たらしんじゃう! どうしたらいい!?
ってことで、なんと夜には仮死状態(冬眠状態)になっている鳥です。
そんなわけで夜には仮死状態で、朝になると活動を始めるハチドリは、
「死者からの神聖な使い」と古代ペルーでは思われていたそうです。
なるほど―――!!!!
「なんでハチドリ?」ってずっと思ってたんですよね。
ハチドリの生態については「天地創造デザイン部」の3巻に、
「ナスカの地上絵」についてはびじゅチューン!DVDの2巻に登場します。(余談)
「3つの世界」についてわかれば、
合体生物の展示が現れても、「要するにそれぞれの世界のつながりを表している」ってことなんだろうなってわかります。
ざっくりとした理解ですが!
子どもたちとも、
「どのあたりがヘビ?」「あ、ここネコだ!」ってじっくり観察して楽しめた!
そしてこの合体生物たちが可愛かった!
そうなると、
これはどこが何と融合してるの???
っていう難題に子どもたちとぶつかった!
超自然の力を取り入れることによって、
異なる世界を行き来できるシャーマンの顔らしいんですが、
説明を読むと、シカの耳? 鼻からヘビ? さらにジャガーも融合??
ちょっ、どの部分がどれ!!???
静かに盛り上がりました、子どもたちと。
この時点でだいぶ楽しい!
神話の英雄物語に没頭!
今回、多くの展示スペースで紹介されていたのは、
アンデス神話の英雄「アイ・アパエック」です。
この人です、アイ・アパエック。
マチュピチュ展の公式サイトを読んで、この人が登場するっていうのは事前にわかっていたので、
何かちょうどいい絵本とかないかなーなんて探したんですが、
見つからなかったんですよね……。
大丈夫です。
事前予習なしで大丈夫です。
展示が充分、絵本でした。(どういう意味)
こちらの土器に、その英雄の冒険話「水中世界の巻」が描かれているらしいんですが、
これがなんと、
展示で絵本のように紹介されてた!!!
わかりやすい―――!!
ええと。
アイ・アパエックは海の入口で、番人であるカニと戦って勝ち、
カニから「強靭で硬い脚の力」を授かった……。
なるほど!
つまりいろいろな世界に行って、いろいろな相手と戦って、
そのたびに力を得ていった英雄っていうこと!?
で、それに関する展示物がこちら。
左上は「カニの姿に変身したアイ・アパエック」
…………え。
カニと戦うだけじゃなくて、自分もカニになるの????
え?????
次にフグと戦って、
フグがかぶっていたフクロウの冠から、「暗闇で物を見る能力と深海を見通す力」を授かるわけですが、
なってるなって、フグに。(写真左)
アイ・アパエック、しっかりフグになっちゃってるなって。
そもそも「なんでフグ!?」とツッコミを入れたい気持ちもある!
もうこの時点で、だいぶこの神話が楽しいんですが!?(笑)
続いて深海に潜ったアイ・アパエックは、
「自然の永遠の循環」を意味する巨大な巻貝と戦いますが、
もちろんちゃんと(?)「貝に入ったアイ・アパエック」もあります。
ちなみにアイ・アパエックの仲間は犬とトカゲです。
桃太郎なら猿だけど、今回はトカゲ。
異世界を行き来するっていう超能力があるトカゲらしいです。
で、持っているのはきびだんごじゃなくて、魔法のライマメ。
このトカゲの造形物、
「砂漠と太陽を表す金」と「空と水を表すターコイズ」でできているんですが、
このマチュピチュ展の一番最初に、
まさにコンゴウインコの羽根でできた装飾布があって、
これが「砂漠と太陽を表す金」と「空と水を表す青」だったんですよね。
つながってる―――!!!
そんな感じで順調に水中世界を進んでいくアイ・アパエックですが、
海の最も深い場所で、サメ・エイ・アシカが合体した処刑人と対峙して、
ついに首をはねられてしまった―――!
ああああ……疲れ切ってシワシワに……。
フクロウの冠は失ってしまったけれど、
耳にはまだヘビの耳飾りがあるので、「地下世界(祖先たちがいる世界)」には行けるってことなのかな。
カツオドリとハゲワシに支えられて、祖先の地へ。
祖先の世界で力を復活させたアイ・アパエックは、
旅のしめくくりとして、仲間の犬・トカゲとともに山へ巡礼に出かけ、
「生命の液体を司る神」にホラガイをささげて(そういえば貝とも戦ってた)、
引き換えに毎年の恵みの雨を得たという。
めでたし、めでたし。
そんなアイ・アパエックの顔をした、こちらは埋葬用の仮面です。
死者は「埋葬用の仮面の姿に変わる」と考えられていたので、
「3つの世界を旅した英雄」の顔をした仮面が使われたんだろうなと。
今回は「水中世界」の旅でしたが、全部で3つの世界を旅したようなので、つまりあと2つの世界を旅した神話もある?
これ、展覧会のグッズとしてぜひ絵本化してほしかった―――!!
あったら絶対買ったのに!
それにしても、
アイ・アパエックが超人過ぎるんですよね。
一番右は「唐辛子の姿をしたアイ・アパエック」で、
真ん中は「トウモロコシの姿をしたアイ・アパエック」です。
トウモロコシ????
超自然との融合が過ぎる。
カービィもびっくり。
まさかの生贄!
アイ・アパエックの英雄物語でだいぶお腹いっぱいですが、
続いて当時の戦闘の話。
「戦争もあったの!?」って思ったんですが、どうやらそうではなく、
どちらかというと儀礼的パフォーマンスだったようです。
戦闘に参加できたのは支配階級の優れた戦士だけ。
一方の戦士が、相手の兜を奪うか、髪を掴んだら戦いは終了。
で、敗者は神殿に連れていかれ、神の生贄になるという。
…………え?
え、え、え???
ただこれ、現代の価値観だと恐ろしい話ですが、
「ひとつの世界から次の世界へ移行し、神々に捧げる聖なる血の守護者になる」
という名誉のある話だったようです。
実際のところ、当時、生贄になった人たちがどう思っていたかはわかりませんが、
少なくとも生贄について、肯定的な価値観のある文明だったんだなと。
そして最後にキンキラキン!
死後の世界で神となるべき者にふさわしく、
指導者たちは金の装飾を身にまとったようです。
ちなみに金は「天空の世界」「男性」を表していたのに対し、
銀は「女性」を象徴し、「月の涙」とも言われていたらしいです。
なんてロマンチックな表現!
最後に見たインカの「キープ」。
これ、以前に「地球ドラマチック」にも登場した「記録装置」です。
ただの紐に見えますが、この結び目とかに意味があったようで、
この解読を研究している研究者もいるんだとか。
長男が覚えていて反応してくれたおかげで、私も思いだしました。
わ、忘れてた―――!!!
空いていて見やすかった!
そんなわけでマチュピチュ展、楽しかったです!
ただ「マチュピチュ展」と言いながらも、
マチュピチュの話はほとんどないので、
「古代ペルー展」転じて、
「とってもすごいペルーパビリオン」くらいの気持ちでいくとちょうどいいかなと!
12月25日の平日に行ったので、休日の状態はわかりませんが、
過去に行った「ラムセス展」とか「ツタンカーメン展」よりも空いていました。
おかげでゆっくり展示物を見ることができました。
ありがたや――!!
マチュピチュ展は3月1日までの開催です。
機会がありましたらぜひ!
マチュピチュ展と比べると激混みでしたが(特に大絶滅展)
こちらもオススメ!







































