リボルバーでは早くから使われていたマグナム弾ですが、オートマチックピストルでは1970年に発売されたオートマグ(Auto Mag)が最初ですね。専用の.44AMP(オートマグナムピストル)弾を使う自動拳銃で、独特のボルトロック機構により、強力な.44マグナム弾を使えるように設計されていました。弾倉には7発の.44AMP弾を装填することができました。メーカーはAMでしたが、排莢不良などの故障が相次ぎ、結局会社は倒産することになりました。それを受け継いだのがTDE(Trade Deed Estates)で、ここではTDE製のオートマグを掲載します。オートマグの特長は銃身上にコルト・パイソンのようなベンチレーテッド・リブを装備していたことです。.44AMPを使用する最初のモデルはモデル180(写真1)でした。モデル160は.357マグナム(写真2)、この2種が代表的なモデルでした。そのほか、モデル280もありましたが、.44AMP弾使用ですが、ベンチレーテッド・リブを装備していない機種も作られたようです(写真3)。このモデル280は別の意味で有名で、「ダーティー・ハリー4」でクリント・イーストウッドがオートマグを使ったので、それを記念してモデル280にCLINT-1の名称を付けて、イーストウッドに贈呈されました。なお、CLINT-1はベンチレーテッド・リブ付きでした。オートマグは最終的にはAMT(Arcadia Machine & Tool)社に受け継がれましたが、同社は設計を根本からやり直して、コルトM1911A1をベースにしたマグナムオートに変身させました。これがオートマグ(Automag)で、最初はウインチェスター・マグナム・リムファイア.22口径用として作られました(写真4)。これがモデルIIで、モデルIIIはなんとM1カービン用の30-30弾を使用するようになっていました(写真5)。モデルIVは.45ウインチェスターマグナム弾使用で、当時としては最高威力のマグナムオートでした(写真6)。なお、オートマグIIIとIVはAMT製ではなく、それを引き継いだIAI(Irwindale Arms Incorporated)の製品です。このオートマグシリーズに対抗するように同時代に作られたのがウィルディで、ウインチェスター.45マグナム弾を7発装填できるようになっていました。スタイルはオートマグとM1911A1を足して2で割ったような外観で、オートマグと同じようにベンチレーテッド・リブが装備されています(写真7)。ガス圧利用式ロータリーボルトで、オートマグのような排莢不良はほとんどなく、好評を持って迎えられました。最終的には.475ウィルディ・マグナム弾を使用するモデルまで作られ、その時点では世界最強のマグナムオートでした(写真8)。このウィルディ.475マグナムはチャールズ・ブロンソン主演の「狼よさらば(Death Wishシリーズ)3」で使われました。イーストウッドの「ダーティー・ハリー」に対抗する意味があったのでしょう。1979年になると、イスラエルのIMI(Israeli Military Industries)とMagnum Researchがデザート・イーグルを共同開発します。リボルバー用の.357マグナム弾を使ったものですが、排莢不良が起きるなど立ち上がりは芳しくありませんでした。しかし、.44マグナム弾を開発し、採用することで排莢不良は減りました(写真9)。そして、独自のリムレス.50口径弾である.50AE(アクション・エクスプレス)弾を採用することで世界最強のマグナムオートを完成することができたのでした(写真10)。このデザート・イーグルはエディー・マーフィー主演の「ビバリーヒルズ・コップ2」で、殺し屋のブリジット・ニールセンが所有しているシーンがあります。さすがに撃ったシーンはありませんでしたね。リボルバー用マグナム実包をオートピストルに採用した例としては、ほかにクーナン.357があります(写真11)。M1911A1をベースにしたボディーに.357マグナム弾を7発装填することができました。クーナン社はいったん倒産しますが、後に復活しています。大口径ハンドガンが好きなアメリカ人にはマグナムオートはこれからも作られるかも知れませんね。































































