チェコを代表する小火器メーカー、CZの拳銃(戦前編) | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

いまではCZと言えば、アメリカに現地法人CZ USAを持ち、さらにコルトやダン・ウェッソンを傘下に収めた大手の小火器メーカーとなっていますが、もともとはチェコスロバキアの小さな小火器メーカーでした。正式名をチェスカー・ズブロヨフカというこのメーカーは最初はマウザーM1910の特許にもとづいて軍用拳銃を設計しました。これがCZ Vz 22(写真1)で、Vzはチェコ語で「モデル」、「形式」という意味で製造年を示しています。マウザーM1910とは外観がかなり異なりますが、内部機構はほぼ同じで、ロータリーバレルのショートリコイル方式を採用し、9mmショート弾(.380ACP、9X17mm)を弾倉に8発装填できるものでした。しかし、ロータリーバレルの作動にたびたび不具合が生じ、改良型のVz 24(写真2)が生まれます。銃口をスライドから少し露出させ、マガジンセーフティー機構などを追加したものですが、基本的な機構はVz 22と同じで、やはり作動不良に悩まされます。そこで、口径を.32ACP(7.65X17mm)として、シンプルブローバックに改良したVz 27(写真3)が設計されました。この改良によって作動不良はほとんど起こらないようになり、CZ製造としては最初に成功した拳銃となりました。このVz 27にはセレーション(スライドの指がかり)が斜めのものと垂直なものがあります(写真4)。また、チェコスロバキアはナチスドイツ軍に占領されたため、P27(t)として製造されました。そのひとつでしょうか、ベルギーのFNハースタルで製造されたVz 27もオークションに出ていたようです(写真5)。さらに、マイナーチェンジをしたVz 28もあります(写真6)。このVz28ではセレーションが斜めに戻されているようです。また、1938年にはこれまでの系列とまったく異なったVz 38(写真7)が作られました。写真のように独特のフォルムをしたDAO(ダブルアクションオンリー)の自動拳銃で、口径は.380ACPで、シンプルブローバック方式。弾倉に9発を装填することができました。この拳銃もナチスドイツ軍がP39(t)として使用しました。