G7共同声明、中国に懸念「われわれの労働者、産業、経済的強靱性を損なう」 過剰生産めぐり財務相・中銀総裁(24年5月26日 産経新聞オンライン無料版)

 

写真 25日、イタリア・ストレーザで開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議後に記者会見するイタリアのジョルジェッティ経済財務相(ロイター=共同)

 

記事【パリ=板東和正】

 

(1)要点「中国で過剰生産の製品が海外に安価で輸出されている」

イタリア北部ストレーザで開催されていた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は25日、共同声明を採択し、閉幕した。

声明では、過剰生産された中国製品が海外に安価で輸出される問題を巡り「われわれは過剰生産能力の潜在的な悪影響を引き続き監視する」と表明。外国為替市場の過度な変動が経済の安定に悪影響を与えるとした過去の合意を再確認した。

 

(2)「中国の市場ルールにそぐわない政策や貿易慣行は公平な競争条件にそぐわない」

声明は、過剰生産問題について中国を名指しし市場ルールにそぐわない政策や貿易慣行は「われわれの労働者、産業、経済的強靱性(きょうじんせい)を損なう」と懸念を表明。

世界貿易機関(WTO)の原則に沿って、公平な競争条件を確保するための措置を講じることを検討するとした。

鈴木俊一財務相は会議後の記者会見で、G7が「世界的に公平な競争条件を確保することは重要だとの認識で一致した」と述べた。

 

(3)声明ではウクライナ侵略への制裁で凍結したロシア資産が生む収益をウクライナ支援に活用する方法について協議を進める方針も示した。6月の首脳会議に向け「(凍結資産から得られる)特別な利益をウクライナのために解放する潜在的な方策について議論を前進させている」とした。

(イエレン米財務長官) 25日、米国が主張する凍結した露資産の利子を担保に融資をする案について、G7首脳が首脳会議で検討する「主要な選択肢だ」と指摘。

同案の実現にはEUが承認するなど「かなりの作業が必要だ」と述べた。米国は同案実施で500億ドル(約7兆8千億円)の調達を見込んでいる。

 

(4)(財務省の神田真人財務官)

24日の会議後、外国為替市場での円安進行を受け、「投機的な動きによる過度の変動に引き続き注意が必要だ」と強調。

為替介入については「過度な変動が経済に悪影響を与える場合には適切な措置を取る必要があるし、それは許されている」と述べた。