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2017-11-06 11:50:40

イバンカ氏「アベノミクスで女性進出」のウソ→安倍政権で女性差別過去最悪=所得半分、政府管理職3%

テーマ:ワーキングプア・貧困問題

 テレビ朝日のニュースです。

イバンカさんが“称賛”「アベノミクスで女性進出」テレ朝news 11/3(金) 10:30配信



 来日中のアメリカのトランプ大統領の娘・イバンカ大統領補佐官が3日朝に日本政府主催の国際女性会議で講演し、アベノミクスが女性の社会進出の機会を増やしていると述べました。

 イバンカ大統領補佐官:「私の家族に対するご丁寧なおもてなしに感謝致します。アベノミクスはウーマノミクスです。ウーマノミクスは人口の半分を占める女性が持つ重要性を認めています。力付けられ、働き、成功し、指導的役割を果たしている女性は創造性、新鮮な視点、そして、成功を経済と世界にもたらしています」

 イバンカさんは、安倍総理大臣が進めるウーマノミクスにも言及して「進んでいる」と持ち上げました。ただ、アメリカメディアは「イバンカさんを招いたことは成功だが、日本の女性の社会進出は進んでなく、世界ランキングではむしろ後退している」と報じました。会場の半分が空席だったことも指摘しました。また、アメリカの一部には「イバンカさんは父親の力でビジネスをしているだけで、話は全く参考にならない」という冷ややかな声もあります。イバンカさんは、夜はリッチな外国人に人気のある創作フレンチレストランで安倍総理夫妻と夕食をして関係を深めます。

 基本的に、安倍昭恵氏付職員の人件費だけで1億1千万円も税金をムダづかいするなど、政治の私物化を進める安倍政権とトランプ政権は同類です。その上、トランプ氏が女性蔑視の政治家であることは、「トランプ氏の女性蔑視語録「スターなら女はやらせる」「女は35歳まで」」(AFP、2016年10月11日)、「暴露されたトランプ米大統領候補の女性蔑視発言の全訳」(BLOGOS、藤沢数希氏、2016年10月9日)などこの2つの記事を読むだけでも明らかです。そして、女性蔑視の面においてもトランプ政権と安倍政権は同類であることが、客観的なデータを見るだけで分かるので以下いくつか紹介しておきます。

 まず、上記のテレビ朝日の報道でも指摘されている「日本の女性の社会進出は進んでなく、世界ランキングではむしろ後退している」というのは、2017年版ジェンダーギャップ指数の世界順位で、以下のように安倍政権で2017年は114位と過去最低を記録しています。



 このジェンダーギャップ指数には、男女の所得格差の項目もあるのですが、今の安倍政権が発足する前の2012年は80位だったのが、2017年には100位と大幅転落しています。これは、アベノミクスによる富裕層と貧困層の格差拡大というのは、じつは男女間の格差拡大にもつながっていることを示していると思います。そして、2017年の男性の所得に対する女性の割合を主な国で見たものが以下です。



 上のグラフにあるように、日本の女性の所得は男性の半分しかありません。この原因は、富裕層と貧困層の格差拡大や、下のグラフにある女性の非正規雇用率・非正規労働者数(総務省「労働力調査」)が安倍政権で過去最高を記録していることにあります。



 それから、下のグラフは、各国の中央政府職員(ようするに国家公務員)の上級管理職と中間管理職の女性割合です。



 上のグラフにあるように、各国2015年の数字(OECDの直近データ)で、日本は3%と上位国のわずか20分の1という異常に低い数字で世界最下位です。それから、以前紹介しましたが、総雇用より公的部門雇用の女性割合が低いのは日本だけです。安倍政権は、女性管理職も世界で断トツ最下位、公的部門においても女性を世界で最も雇用していないのです。以上、見て来たように、「アベノミクスで女性進出」どころか、「アベノミクスで女性差別推進」が客観的事実です。

(井上伸)

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2017-10-30 10:49:28

〈佐川宣寿国税庁長官〉苦情殺到の矢面に立たされている国税庁職員にも謝る姿勢なし

テーマ:霞が関・公務関連情報

共同通信の報道です。

森友への値引き6億円過大国有地売却、会計検査院が疑義共同通信 2017年10月26日

 学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が、ごみの撤去費分として約8億円値引きされて売却された問題で、売却額の妥当性を調べていた会計検査院が撤去費は2億~4億円程度で済み、値引き額は最大約6億円過大だったと試算していることが25日、関係者への取材で分かった。

 官僚の「忖度」が取り沙汰された問題は、税金の無駄遣いをチェックする機関からも、ごみ撤去費の積算に疑義が突き付けられる見通しとなった。検査院は関連文書の管理にも問題があったとみており、売却に関わった財務省と国土交通省の責任が改めて厳しく問われるとともに政府に詳しい説明を求める声が強まるのは必至だ。

 さて、この森友問題で、責任が改めて厳しく問われる財務省の人間の中でも、最も責任が問われているのが、佐川宣寿前財務省理財局長(現国税庁長官)です。

 「もう税金払わない」
 「税務調査されても知らぬ存ぜぬを貫けばいいということを、佐川さんが国会で身をもって教えてくれた」
 「税務署員に記録の不備を指摘されたら、うちのもあなたのとこの財務省と同じで短期間で自動的に消去されて復元できないシステムだから許されると、あなたのトップの佐川さんが見本を示してくれてるでしょ」
 「国税庁長官が書類はどんどん捨てられるって言ってるのに、どうして私たち納税者だけ書類を保存しておかないといけないの?」
 「来年2~3月の確定申告で、私たち個人事業主は『書類は廃棄済みで、復元できません』と言えばいいんでしょ」
 「納税者には書類を出せと偉そうに言うのに、財務省、国税庁は書類出さなくて許されるどころか、佐川さんのようにいちばん偉くなるなら、納税者も種類を最後まで出さない人がいちばん偉いってことでしょ」

 などなど、いま税務署には佐川氏をめぐる苦情が殺到しています。こうした中で、国公労連加盟の全国税労働組合(国税庁職員で作る労働組合)が佐川国税庁長官と団体交渉を実施し、その内容を機関紙「全国税」が次のように報道しています。

〈長官団体交渉〉職員が苦情の矢面に佐川国税庁長官 職員へ謝る姿勢なし機関紙「全国税」2017年10月25日(※PDFで読むことができます)


 全国税は10月4日、佐川長官と今年度第1回目の交渉を行いました。交渉では、職員の労働強化をやめ、人事や賃金などの労働条件改善を求めました。

 また、交渉冒頭には、佐川長官の理財局長時代の国会答弁を基とした納税者からの批判の矢面に職員が立たせられていることを指摘しましたが、職員に謝る姿勢は見られませんでした。

 全国税委員長 佐川長官の理財局長時の森友事件に関わる言動に国民から批判があり、職員は批判の矢面に立たされている。現場で苦悩する職員へ、何らかの言葉を発するべきだ。

 佐川国税庁長官 職員の皆さんが高い使命感を持って職務に精励していることに感謝申し上げる。事務の簡素化、効率化に務めながら、職員の健康にも配慮し、明るく風通しのよい職場を作りたい。

 全国税 法定外資料を提出した納税者から、「来年からは提出しない。信用できない」と言われた。消費税無申告事案の調査で、領収書がない仕入税額の否認では、「おたくのトップは認められるのに」と言われた。

 総務課長 今後とも適正な職務に努めてほしい。

 佐川国税庁長官は、就任会見も開かず、国民に一切謝る姿勢がないわけですが、佐川国税庁長官のせいで現場の国税庁職員が国民からの苦情の矢面に立たされているのにもかかわらず、職員に対しても謝る姿勢が全くないことがわかりました。言うに事欠いて「明るく風通しのよい職場を作りたい」などとよくも言えたものです。

 国民から税金を徴収する国税庁の権力は絶大なものがあるだけに、公平性が最も求められるのが国税庁であり、財務省です。その国税庁のトップが森友への値引き6億円を、「記録がない」「記録は破棄した」「電子データも復元できないシステムになっている」では、納税者である国民が納得できないのは当たり前ですし、国税庁職員の税務調査にも支障が出てくるのも当たり前です。そして、実際に国民の苦情の矢面に立たされるのは現場の国税庁職員で「自らに非のない苦情で職員は苦しんでいる」わけで、一刻も早く佐川国税庁長官はトップの座を退き、森友への値引き6億円の真相を国民に説明すべきです。

▲上記署名へのリンク

 

(井上伸)

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2017-10-25 10:14:28

衆院選の民意は安倍退陣=安倍政権の少数派支配を可能にする小選挙区制という魔法の装置

テーマ:その他(雑感等)

 今回の衆院選挙の結果について、「自民大勝」や「自民圧勝」などという見出しが全国紙を飾っていますが、相変わらず、実態は「安倍政権の少数派支配」にほかなりません。

 



 上記の右の表は、Primus Pilusさんが「全国統一区で完全比例代表制(ドント式)で465議席だったら、各党の議席数が何議席になるか調べてみた。」ものです。そうすると、自公の合計で「215議席」になりますから、3分の2どころか、過半数の233議席にも届いていないのです。なので、選挙制度さえ民主的ならば、安倍政権は退陣だったわけです。

 このことは、私が行ったインタビューの中で、中野晃一上智大学教授が次のように指摘しています。

 少数派支配を可能にする「魔法の装置」=小選挙区制

 小選挙区制の構造的な欠陥は、「多数派支配」という体裁はとっていますが、実際には「少数派支配」を可能にするシステムであるという点にあります。

 小選挙区制での選挙結果のほとんどで相対多数の票は、絶対的に見れば少数なわけです。今回の選挙でも有権者の自民党への絶対得票率でみると、比例代表制は17%、小選挙区制は24%ですから、自民党に投票した有権者は4人に1人にも達していないわけです。それを小選挙区制は議席の上では多数派に変えてしまう。そういう意味では小選挙区制は「魔法の装置」といえます。

 この「魔法の装置」による結果をもって「多数派支配」だとか、「圧勝」だと言われても、本当の意味での民意が表出されている議席ではないわけです。

 民主主義とは別物の小選挙区制

 民主主義というのは、みんなで決めようということが原点にあるわけですから、そもそも民主主義は単なる「多数派支配」とも違います。もちろん実際にはみんなですべてを合意するのは難しいから、多数決を便宜的な手段とすることに一定の合意がある場合もあります。しかし、多数決でさえなく少数決になってしまう小選挙区制の選挙結果はもう民主主義とはまったく別物であると言わざるを得ません。ここに小選挙区制がもたらす大きな問題があると思います。

 [安倍政権の少数派支配 ? 多数決さえなく少数決となる小選挙区制は民主主義とは別物|中野晃一上智大学教授]

 今回の衆院選の「自民大勝」「自民圧勝」という結果も、この「魔法の装置」である小選挙区制によって作られた「安倍政権の少数派支配」です。安倍政権は「少数派支配」にもかからず、この間、憲法違反の戦争法や共謀罪などを強行してきたわけで、この点からも安倍政権は民主主義の破壊者です。加えて指摘すると、こうした民主主義とは別物の小選挙区制度下の今回の選挙においても、上の表の左にあるように、自公は318議席から313議席へと前回より減って、改憲阻止勢力は38議席から69議席へと今回は増えているのですから、そういう意味でも今回の選挙結果の内実は「自民大勝」「自民圧勝」などではないのです。

(井上伸)

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2017-10-18 17:25:28

安倍政権5年の激増ベスト3は富裕層資産・大企業役員報酬・自民党への献金

テーマ:経済・財政・税制の問題

 自民党のホームページによると、衆院選の公示日の10月10日に、安倍首相が第一声で、5年間にわたる経済政策アベノミクスの成果を「客観的な数字を挙げながら、わが国の経済が確実に回復していることを強調」したとのことです。

 それから、自民党の「衆議院選挙公約2017」には、「全力を傾注したアベノミクスの5年間。いま、多くの指標が示す通り、わが国の経済は確実に回復しています。」として、「アベノミクスの加速で、景気回復・デフレ脱却を実現します。」とあります。

 それでは、5年間にわたるアベノミクスの成果を客観的な数字を用いて一つのグラフで表現してみましょう。

 



 上のグラフにあるように、5年間にわたるアベノミクスの成果のベスト3は、2倍増となった富裕層上位40人の金融資産、1.8倍増となった大企業の役員報酬額、1.7倍となった自民党への企業・団体献金です。

 アベノミクスの成果は、富裕層と大企業役員と自民党の所得倍増計画の成功ということです。富裕層と大企業役員の所得倍増計画をやってくれる自民党に献金が集まるという、ものすごくわかりやすい構図ですね。

 そして、労働者・国民には、貯蓄ゼロ世帯増、過労自殺・精神疾患の労災件数増、非正規雇用増、ワーキングプア増、文教予算減、実質賃金減、家計消費減、労働分配率減が押しつけられています。

 このアベノミクスを、自民党の公約通りに「加速」させると、上のグラフのそれぞれがさらに伸びることになるわけですから、富裕層・大企業役員・自民党にもっと富は集中して、労働者・国民には賃下げ・貧困・過労死がもっと押しつけられることになります。

 今回の衆院選は、労働者・国民の命と暮らしがかかっているのです。自民党を支持して得するのは、富裕層と大企業役員と自民党だけです。

 【※上のグラフは安倍政権の5年間で増減が著しい統計データの推移を見たものです。今の安倍政権は2012年12月26日に発足していますので、2012年の数字を100とした場合の直近データの指数で示しました。出典等は下の表を参照ください】

 

(井上伸)

2017-10-13 20:27:22

前川喜平さんインタビュー「衆院選は加計森友隠しの安倍政権に審判下すチャンス」

テーマ:公務員バッシングを考える

 安倍晋三首相と昭恵氏の「お友達」なら、国有地が特別に値引きされ、獣医学部の新設も特別扱いされる国は法治国家とは言えません。加計学園疑惑を告発した前川喜平さんにインタビューしました。(収録日=10月4日。3時間に渡ったインタビューの中から衆院選に関わる一部を紹介します。インタビューの全体は月刊誌『KOKKO』12月号に掲載します。聞き手=国公労連教宣担当部長・井上伸。「国公労新聞」2017年10月10・25日合併号より)

 



 加計・森友のロンダリング

 ――安倍首相が「国難突破解散」として衆院選となりました。これをどう見ていますか?

 何を国民に問うための選挙なのか、今なぜ解散なのか、安倍首相の説明は理解できません。私は加計・森友学園など安倍政権が抱えている権力私物化の問題をロンダリングするための解散だと見ています。もし今回の選挙で自公与党が過半数を確保すればこの問題をオールクリアできると安倍首相は思っているのではないでしょうか。

 一方、国民の側から見れば、加計・森友問題はもちろん、この5年弱に渡った安倍政権に対する審判を下す大きなチャンスが与えられたということでもあると思います。

 憲法に違反し国会召集せず

 マスコミも「加計・森友隠し解散」と指摘していますが、解散の前段から「加計・森友隠し」は行われていました。憲法53条には衆院ないし参院の4分の1の議員が国会召集を求めたら内閣は国会を召集しなければならないと明記しています。

 立法府が行政府をチェックするための国会召集を、安倍政権は3カ月も放置しただけでなく、臨時国会の冒頭で何の審議も行わずに解散したのです。この明確な憲法違反についても国民は審判を下す必要があります。

 ――安倍首相は、消費税増税を教育の無償化などに使うための解散・総選挙とも言っています。

 無理矢理こじつけたとしか思えません。安倍首相は改憲ともこじつけていますが、そもそも教育の無償化のために憲法改正は必要ありません。

 イージス・アショア1基で奨学金10万人分

 それと国民に耳障りのいい選挙公約はないかということで思いつきで教育の無償化を言っているだけでしょう。イージス・アショアは1基で700~800億円です。たとえば、来年度から本格実施される「給付型奨学金」は2万人が受け取ることになっていますが、イージス・アショアひとつで10万人ぐらいの奨学金がカバーできるのです。でも「イージス・アショアのために」と言うより、「教育の無償化のために」と言った方が国民受けが良いという思いつきに過ぎないと思います。

 それから、消費税増税や教育の無償化の前にやるべきことがたくさんあると思っています。

 消費税は低所得層ほど負担が重い逆進性がありますから、私は税制全体を改善する必要があると思っています。自分達の税金をどう使い、税金を誰からどのように取るのかは民主主義の基本的な問題です。ところが選挙で税制を全体として考えるということがほとんどないわけです。消費税をどうしますかということがあっても税制全体をどうするかということがない。法人税が引き下げられていますが、内部留保を何百兆円も抱えている大企業をそのままにしていていいのでしょうか。所得税や相続税についても国民全体で議論すべきです。

 日本の「国難」は格差拡大

 私が学生の頃の昭和50年代は高い累進税制で、所得税の最高税率が75%、住民税も累進制があって最高税率18%、合わせて93%でした。お金を儲ける人は社会に貢献してくださいという考え方で、人間生きていく上でそんなにお金は必要ないでしょう、そのかわり、福祉や教育に使いましょうということだった。これがこの40年の間で変わってしまって、金融所得の多いお金持ちほど税率が低くなってしまった。本当に格差を是正するためには税制全体の累進性を高める必要があります。

 富裕層から普通に税金を集めるべき

 それから、教育に関するところでも富裕層優遇をまずやめるべきです。たとえば、教育資金一括贈与非課税制度です。この制度は教育費に充てるなら、子や孫への贈与は1,500万円まで非課税というものです。孫が4人いるとしたら6千万円の相続税などの節税ができるわけです。すでに1兆円以上が贈与されていて富裕層はこの制度をフル活用して合法的に税逃れをしています。

 このように教育費負担軽減と言いながら、富裕層の教育費を軽減している制度があるので、それをまず見直すべきです。富裕層から普通に税金をもらって、その分を低所得層の教育費負担の軽減に充てる。教育費の中で所得再分配政策をまずやるべきなのです。

 私は日本の「国難」は格差の拡大だと思っています。格差を是正する政策でなければ信用してはいけないと考えています。富裕層優遇の仕組みをあらためないままの教育無償化というのは、結果的にさらに格差を拡大することになりかねないと危惧しています。

 ――「人づくり革命」も持ち出されています。

 「人づくり」という言葉は、人間が生産要素の1つの手段にされてしまうように感じます。一人ひとりが命を持った人間として幸せになれるかどうかが大事なのに、「人づくり」というのは人を客体化していますよね。

 教育の目標は一人ひとりが幸せになることなのですが、そのためにはそれぞれが居場所を得なければいけない。自分にぴったりくる仕事をして、そこで自分の能力や個性を発揮できて、あまり「面従腹背」もせずに(笑い)楽しく仕事ができればいいわけです。

 国家戦略特区の非常に乱暴な議論

 社会の分業の中でどの仕事につくかはそれぞれの適性を伸ばしていく中で調和していけるようにするというのが大事です。社会として一定のプランを立てる必要があるのです。そのためには獣医師はどのぐらい必要かを考える必要もあります。

 加計学園に関わって国家戦略特区のワーキンググループの人間が何を言っているかというと、とにかく獣医学部はいくらでも作って獣医学部同士、獣医師同士で競争すればいい。それで良い獣医師が残って悪い獣医師は負けていけばいい、獣医学部もつぶれればいいという話です。

 加計学園は若者と社会にマイナス

 そんなふうに資格を持った人をムダづかいしていいのかという問題です。ただでさえ日本は少子化でどんどん若者は減っている。その若者を大切に育てなければいけないのにムダな育て方をしてしまう。余るのがわかっていて獣医師を育てるというのは、本人達にとって不幸せなことだし、社会全体にとってもマイナスです。将来の人間の職業がどうなるか、産業構造がどう変化するか、ということを考えながら高等教育のあり方も考えなければいけないわけです。

 そもそも獣医学部のニーズがあるかどうかも問題だし、それがなぜ加計学園なのかということも不明です。加計学園側は「世界に冠たる獣医学部」を作ると言うのですが、実際はそうはならず、最低ラインを何とかクリアする程度でしょう。

 安倍政権は加計学園問題に対する国民の記憶が薄れるのを望んでいる。他のさまざまな問題を並べて国民の気をそらして、時間を稼いでいます。

 安倍政権による国家公務員の「下僕化」

 安倍政権による行政の私物化、国家権力の私物化の疑いはきわめて濃厚で、そのために仕事をさせられた国家公務員は「下僕」になってしまったと思っています。

 憲法15条に「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とあるように、国家公務員は全体の奉仕者としての「公僕」でなければいけないのに、加計・森友学園の問題では「一部の奉仕者」にさせられているということです。

 一部の権力を握っている人とそのお友達のために仕事をさせられている状態というのは、「下僕化」と言わざるを得ません。加計学園新設の仕事というのはそういう仕事だったわけです。国家戦略特区の仕組みの中でも説明がつかない。国家戦略特区の制度がいいかどうかはともかくこの制度の目的は、「国際競争力の強化」「国際経済拠点の形成」なのです。この目的に相応しいかどうかが大前提として検証されなければいけません。

 まず加計学園の獣医学部が「国際競争力の強化」「国際経済拠点の形成」を担うものになるのかがまず問われなければいけないのです。さらにそれを具体化したのが、2015年6月に政府が閣議決定した4条件(①既存の獣医師養成でない構想②ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野で具体的な需要③既存の大学・学部では対応困難④獣医師の需要動向も考慮)で高いハードルを設けたわけです。

 この4条件が検討された形跡はまったくありません。加計学園の獣医学部でやろうとしていることは他の大学でもやっていることで4条件を満たしていない。まともな審査をしていないのです。加えて京産大をはじくために今年1月の時点で来年4月から大学を開学しなければならないという新たなハードルも設けた。わすか1年後に開学できるところなど出てくるはずがないのに加計学園は手を挙げた。1万メートル競走を加計学園だけ5千メートルからスタートしたようなものです。

 この来年4月からの開学は、官邸の最高レベルが言っていることだ、総理のご意向だと聞いていると当時の内閣府の藤原豊審議官が文科省の課長に言った。ものすごく恣意的なやり方で最初から決まっていたわけです。

 安倍首相の特定のお友達に利益誘導した。これは規制緩和でなく特権の付与です。規制緩和というのは全体で獣医学部の規制を緩和してどこで作ってもいいとするのが規制緩和になりますが、加計学園だけ獣医学部を作っていいというわけですから、これは特権の付与です。

 そして、特権だからこそ学生も確保できるわけです。これは薬学部と比べてみればよくわかります。獣医学部も薬学部も6年制で6年間の期間が必要というのは、公的なお金もかかるし、私的なお金もかかる。加計学園だと年間億単位の私学助成もすることになるわけです。学生1人6年間で1,500万円ぐらいの授業料は納めなければならない。公的な投資と、私的な負担が毎年注ぎ込まれることになるわけです。

 加計学園の千葉科学大学に薬学部があるのですが学生募集に四苦八苦しています。なぜ学生が来ないかというと、薬学部がたくさんあるからです。薬学部には新設の規制がかかっていないので、薬学部同士の過当競争が起こっているわけです。それで、千葉科学大学の薬学部の方は定員割れで困っている。それはそもそも規制がないからなのです。

 安倍首相のお友達に特権与えた

一方で、獣医学部の方は規制は残して加計学園にだけ特権を与えるから、薬学部のようなことが起こらないわけです。獣医学部は現在16大学しかなく、獣医学部の入試の競争率は極めて高い。そうすると、加計学園の獣医学部でどんなに学生募集が遅れたとしてもとにかく来年の4月に開学できれば、必ず定員はいっぱいになる。どこでもいいから獣医学部に入りたいという学生がいるからです。だから加計学園の側から言えば、食いっぱぐれがないのです。定員割れで四苦八苦しなくていい。それは規制があるからなんです。そういう特権を安倍首相はお友達に与えたということです。濃厚な状況証拠があることは事実です。

 自民党の二階俊博幹事長が、今回の解散を「加計・森友疑惑隠し」と野党が批判していることについて、「我々はそんな小さな問題を隠したりなどは考えていない」と記者会見で語っていましたが、これは安倍政権と自民党の本音ではないかと思いました。同時に、安倍政権が加計・森友問題を小さな問題と思っているということは、同じような行政私物化、国家公務員の「下僕化」は、今は表面化していないだけで各省庁のあちこちにあるのではないかと危惧しています。

 ――国家公務員の「下僕化」の原因は内閣人事局の存在にあるということでしょうか?

 複合的な要因があると思いますが、そのうちの1つが内閣人事局による幹部人事の掌握だと思います。実質的な権限は官房長官が持っています。私の経験では幹部人事だけでなく、課長の人事に官邸が介入してきたという事実もありました。

 森友学園を巡る問題に関し、国会で「当時の交渉記録は破棄した」などと答弁した財務省理財局長だった佐川宣寿さんが国税庁長官になったり、安倍昭恵氏付職員だった谷査恵子さんがイタリア日本大使館1等書記官になったりで、安倍政権による国家公務員の「下僕化」は極まっています。

 佐川さんは論功行賞で、谷さんは論功行賞であると同時に、国外に置いての「口封じ」という側面も強いと思います。

 いずれにせよ、国家公務員は、「全体の奉仕者」にもとることをさせられているときにどうするかが問われています。現在の無権利状態に置かれている大変不十分な状況の中でも匿名でリークすることはできます。加計学園の問題では匿名で文部科学省の職員がリークしています。その中には私の知らない職員も頑張っているわけです。厳しい現状の中でも何らかの工夫で「全体の奉仕者」としての役割を発揮してもらいたいと思っています。

 ――今回の選挙では、自民党と希望の党、日本維新の会が公約として憲法改正を掲げています。

 私は憲法改正に反対です。とりわけ憲法9条は改正すべきでないと考えています。集団的自衛権を憲法9条のもとで認められるとするのは暴挙です。立憲主義に反しています。

 立憲主義というのは国民がつくる規範があって、その国民がつくる規範で政府や権力を縛る必要があり、その規範が憲法だということです。縛られている側の権力が、縛っている憲法を解いてはいけない。縛られている側がいくらでも解いていいなら縛っている意味がなくなってしまいます。

 憲法が憲法でなくなってしまいナチスの全権委任法のような状態に陥り、どこまでも際限がなくなってしまう。立憲主義を守るというのは権力の暴走を防ぐ最低限の条件だと思います。

 2年前に安保法制が強行成立させられて立憲主義が崩れたわけですが、このままだと際限なく崩れていく危険性があります。

 憲法9条は人類史の成果

 私は安保法制は憲法違反だと思っているし、それを追認するような憲法改正はすべきではないと考えています。憲法9条が国外に行って戦争をしないということの歯止めになっていると思うので、憲法9条を守るべきだと思っています。

 改憲を主張する人は、今の憲法は自主憲法でないとか、日本民族の憲法じゃないなどと言いますが、民族性ではなくて人類史の多年にわたる努力と成果の中で形づくられたものが今の憲法と見るべきです。

 たとえば、憲法9条は1928年のパリ不戦条約にある戦争の違法化など人類の知恵の積み重ねの中で生まれたもので、人類史の中で燦然と輝いているわけです。

 こうした人類の憲法と言える9条をいかに大事にしていくかが問われています。第2次世界大戦後に世界でいちばん戦争している国はアメリカですよ。世界でいちばん戦争をしているアメリカと一緒に海外で戦争をする法案は絶対に作るべきではありません。今のままの9条改憲は集団的自衛権を認めることになるわけで、絶対に許してはいけないと考えています。

 私は現役の文科省職員だった2年前、安保法制反対の国会正門前デモに参加してシールズと一緒にラップコールも行いました。安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合のみなさんと同じ思いを持っています。

 他の国では平気で消防士がストライキを打ってたたかっていますが、日本の公務員は労働基本権が厳しく制限されています。そして、日本ほど国家公務員の基本的人権が過度に制限されている国はありません。表現の自由、つまり政治的行為が強く制限されていて、とても民主的な先進国とは言えないぐらい制限がきつい。そして労働基準法が適用されないのも酷い。政府は「働き方改革」と言うなら国家公務員の働き方をきちんと改善して欲しい。どんどん定員削減はされるし、仕事は増えるし、政治家はいくらでも公務員バッシングしてもいいと思っている。でも、少なくとも団結権と部分的には団体交渉権があるわけですから、国家公務員の労働条件を改善するとともに、国民本位の行財政・司法のために労働組合には頑張って欲しいと思っています。

 

前川喜平(まえかわ きへい) 1955年奈良県生まれ。東京大学法学部卒。1979年文部省(現文部科学省)に入省し、初等中等教育局長、文部科学審議官、文部科学事務次官などを歴任し、2017年1月退任。加計学園問題で今年5月に記者会見し「行政がゆがめられた」と告発。7月には国会で参考人としても告発した。

▼前川喜平さんのインタビューの一部を視聴できます。

 

 

2017-09-27 14:31:28

安倍政権が招いた「国難」=1人当たりGDP20%減、過去最低の世界35位と激しく落ち込む日本経済

テーマ:経済・財政・税制の問題

 安倍首相が9月25日に行った解散表明の記者会見が首相官邸サイトにテキストでアップされています。その冒頭です。 

 5年前、国民の皆様のお力を得て政権を奪還しました。当時、私たちが公約に掲げた大胆な金融政策には大変な批判がありました。しかし、総選挙で勝利したからこそ実行に移すことができた。アベノミクス三本の矢を放つことで日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。今、日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長。内需主導の力強い経済成長が実現しています。(2017年9月25日 安倍内閣総理大臣記者会見

 安倍首相の話だけを聞いていると日本経済はアベノミクスで順調に成長しているように思ってしまうかもしれませんが、すでに日本経済新聞でさえアベノミクスの失敗を嘆いていることは、「アベノミクス、史上最低の経済政策確定=日本の1人当たりGDPが過去最低のOECD20位、民主党政権時から2割以上落ち込む」というエントリーで紹介していますす。

 そして直近のデータを見てみましょう。

 下のグラフは、IMFデータの「1人当たり名目GDP」と、厚生労働省の出生数です。

 



 上のグラフにあるように、民主党政権の最後の年である2012年のGDPと比べて、直近2016年は20%の減少、2015年は30%も減少し、出生数は2012年と比べて直近2016年は6万人も減少しています。「我が国が直面する最大の課題は、少子高齢化であります。」と安倍首相は昨日の会見で述べていますが、過去最悪の女性差別貧困の拡大等で日本経済を落ち込ませて「少子高齢化という、最大の壁」「国難」を生み出したのが安倍政権なのです。

 アベノミクスが史上最悪の経済政策であることは、国際比較をすれば一目瞭然です。

 下のグラフは、IMFデータの「1人当たり名目GDP」の国際比較です。

 



 上のグラフにあるように、安倍政権になって激しく落ち込んでします。

 下記は国連統計IMF統計の「1人当たり名目GDP」の国際ランキングです。

 



 上記にあるように、国連統計213カ国中の日本の順位は、民主党政権の最後の年である2012年の19位から2014年は35位と過去最低となっています。また、IMF統計190カ国中の日本の順位は、2012年の15位から2014年は27位と過去最低を記録しているのです。

 ほかにもIMF統計の「実質GDP成長率」の国際順位を見ると、民主党政権の最後の年である2012年の135位から2014年は171位、2015年143位、2016年155位と激しく落ち込んでいます。また、安倍首相は「内需主導の力強い経済成長が実現しています」などと会見で言いましたが、国連統計の「実質GDP民間最終消費支出成長率」の国際順位は、民主党政権の最後の年である2012年の128位から2014年は191位と過去最低(直近データの2015年は173位で2014年に続き2年連続でマイナスを記録)となっています。この点については、すでに「史上最悪の消費不況もたらした安倍政権=リーマンショック超えた家計消費支出15カ月連続減、35年間で最低の消費支出となった2016年」で指摘しているように、安倍首相の話はまったく逆だというのが事実です。

 また、安倍首相は今回の会見で、「今、日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長」と言っていますが、それは下のグラフになります。(内閣府「GDP実質季節調整系列(前期比)」データ

 



 上のグラフにあるように、確かに直近の6四半期は連続でプラス成長です。しかし、民主党政権時の四半期平均0.407%成長に比べて、安倍政権は0.344%成長です。安倍首相が持ち出す統計データで見ても、「力強い経済成長が実現」どころか民主党政権時と比べても低い経済成長になっているのです。

 ウソとデタラメを並び立てるアベノミクスのデータ偽装を、安倍首相はただちにやめるべきです。

(井上伸)

2017-09-25 12:38:54

安倍政権の4年間で労働者の賃金は54万円消えた――過去最低の実質賃金を4年間続けたアベノミクス

テーマ:大企業・内部留保の社会的還元を

 厚生労働省のサイトにアップされている「毎月勤労統計調査」の中にある実質賃金は1990年までさかのぼることができます。直近の2016年までの実質賃金のグラフをつくってみました。

 



 グラフにあるように、今の安倍政権の2013年から2016年の4年間の実質賃金は、いずれも過去最低を記録しています。ようするにアベノミクスは史上最悪の賃下げ経済政策を4年間続けたわけです。

 そして、安倍政権が始まる直前の2012年の実質賃金に、国税庁「民間給与実態統計調査」の2012年の平均給与408万円をあてはめて起点として計算すると、グラフにあるように、2013年は404万円、2014年は393万円、2015年は389万円、2016年は392万円となります。

 賃金のマイナス幅は、2012年と比べて2013年はマイナス4万円、2014年はマイナス15万円、2015年はマイナス19万円、2016年はマイナス16万円となります。安倍政権以前の2012年を起点にすると、安倍政権の4年間の累積合計で賃金は54万円も消えてしまったことになるのです。

 一方、財務省の2016年度の「法人企業統計」によると、企業の内部留保は前年度より約28兆円多い406兆2,348億円と、過去最高を更新し、経常利益も前年度より9.9%増の74兆9,872億円で過去最高です。

 アベノミクスの4年間で、労働者の賃金は過去最低になり、企業の内部留保と経常利益は過去最高になっているのに、安倍首相はさらに残業代ゼロ、裁量労働制拡大の「定額¥働かせ放題」「過労死促進」法案の強行や、消費税増税の実施などを目指しています。臨時国会冒頭での解散総選挙の流れが強まっていますが、今度の総選挙では安倍政権を退場させて、労働者の命と暮らしを守る政治の流れをつくっていく必要があります。

(井上伸)

2017-09-21 16:32:47

日本の消費税収は福祉国家デンマークより多い、所得が低いほど収奪する消費税増税は生活を破壊するだけ

テーマ:経済・財政・税制の問題

 財務省が消費税を国際比較するときのグラフが以下です。

 



 上のように、消費税率だけを国際比較すると日本の税率8%より低いOECD加盟国は、アメリカとカナダだけになります。これをもって財務省は消費税率を上げる必要があるといつも言っているわけですが、本当でしょうか?

 OECD.Statのサイトにあるデータベースから、国・地方の総税収に占める消費税収(付加価値税収)の割合がわかります。現時点で各国2015年のデータが最新ですが、日本は数字が入っていません。調べてみると総務省のサイトにある以下の「国税・地方税の税収内訳」(2015年度決算)から消費税収がわかりました。



 以上のデータから主要国の消費税収の割合をグラフにしてみたものが以下です。

 



 上のグラフにあるように、すでに日本の消費税収の割合22.6%は、福祉国家デンマークの20.3%より多いのです。日本の消費税収の割合より低いデンマークが以下の政策を実現しているのです。

▼駐日デンマーク大使館のツイートその1

▼駐日デンマーク大使館のツイートその2

▼駐日デンマーク大使館のツイートその3

▼駐日デンマーク大使館のツイートその4

 日本の消費税率をもし8%から10%に引き上げてしまうと、フランスとイギリスも抜き、福祉国家スウェーデンとほぼ同じレベルの消費税収になってしまいます。北欧の福祉国家と肩を並べる消費税収がすでにあるのにどうして日本においては生活破壊が先行するのかについては、先のエントリー「生活保障で税金を「払えるようにする」福祉国家スウェーデン、消費税増税で生活を破壊する日本」や、「日本の税金は富裕層と大企業ほど低負担の逆進税で富の再分配が極めて弱いことが最大の問題」などで指摘していますので参考ください。

 それから、日本の消費税の逆進性が生活破壊税となって強く現れる直接の理由としては、下記にある他国のように、手厚い教育・社会保障と同時に食料品など生活必需品にはあまり消費税をかけない他国との大きな違いがあると思います。

(※以下、「世界の消費税 インデックス」のサイトより転載)
 

◆ドイツの税率は一律ではなく、食料品などの生活必需品、本、家畜飼料、50キロ以内の旅客近距離輸送などは7%の軽減税率です。1968年10%でスタートし、税率は19%まで引き上げられました。

◆福祉国家スウェーデンの標準消費税は25%、食料品の消費税は12%。重税ですが、福祉や教育への還元が厚いので、国民は概ね納得しているとのことです。18歳まで医療費が無料。小学校から大学院まで教育費は国が負担。大学の奨学金は月約10万円、内3割は返済義務がありません

◆イギリスの消費税の標準税率は17.5%。1973年10%からスタートし、2011年からは20%になります。増税にも大きな反発はないようです。ただし、食料品、居住用建物、家庭用上下水道、交通費、新聞、書籍、新聞などは0%です。医療や社会福祉、教育、郵便、映画演劇などは非課税になっています。低所得者ほど重い負担を課せられるという消費税の特徴(逆進性)を緩和するためのはっきりした措置ですね。

◆フランスの消費税は付加価値税(TVA)といって最高19.6%の税率です。生活必需品や住宅関係、出版、交通、鑑賞などは5.5%に下げられます。新聞雑誌、映画演劇は2.1%。医療、健康保険適用の医薬品も2.1%。フランスの社会保障の良いところは、学費が幼稚園から大学までほぼ無料であること、雇用に対する支援制度が整っていること、休暇・出産・子育てに対する支援制度が整っていることなどが挙げられます。(「世界の消費税 インデックス」より転載)

 

 他国のように生活必需品などを考慮しない日本の消費税は以下(※日本経済新聞のサイトに掲載されているグラフです)にあるように低所得層ほど負担が重いという最悪の逆進税となって直接生活破壊を進行させるのです。


 上の日本経済新聞のグラフにあるように、現状の消費税率8%の負担割合は、年収200万年未満7.2%で年収1,500万円以上は1.6%と4.5倍も低所得層の方が負担が重いのです。この最悪の逆進税の消費税を増税して安倍首相は教育や社会保障を充実するとしていますが、そもそも高所得層より低所得層から4.5倍も収奪する消費税の増税を先行させてしまうと富の再分配が逆方向になり生活破壊が進むだけです。

(井上伸)

2017-09-20 10:09:19

高校授業料無償化は安倍政権前の軍事費に戻すだけで今すぐ実現できる

テーマ:経済・財政・税制の問題

 福島みずほさんのFacebook投稿です。

 

 公立私立の高校授業料を無償化をするのにいくらかかるか文科省に資料をもらいました。これならできるではないか。(福島みずほさんの9月16日のFacebook投稿より)

 

 上記を見ると、高校授業料無償化に必要な予算は3,297億円であることがわかります。

 そして、下のグラフは、軍事費の推移です。

 



 上のグラフにあるように、第2次安倍政権発足後の2013年度から6年連続で前年度を上回り、2015年度から4年連続で過去最大を更新し続けています。第2次安倍政権が発足する前の2012年度の軍事費に戻すだけで、5,413億円の財源が生まれ、高校授業料無償化は今すぐに実現することができるのです。

 先のエントリー「安倍首相『社会保障は高齢者偏重』のウソ→公的年金の低さが高齢世帯4分の1の貧困、独居女性2人に1人の貧困をもたらしている」の中で紹介した日本経済新聞のインタビューの中で、安倍首相は高齢者偏重の社会保障を削減すれば教育無償化へと予算を回すことが可能になるようなことも言っています。高齢者の社会保障を削減することは更に貧困を拡大する国民生活破壊の政策であることは先のエントリーで指摘しておきました。安倍首相が教育無償化が必要と本当に考えているなら、軍事費を安倍政権前に戻すだけで高校授業無償化ができるのですから、ただちに実現すべきなのです。

 

(井上伸)

2017-09-19 09:31:52

生活保障で税金を「払えるようにする」福祉国家スウェーデン、消費税増税で生活を破壊する日本

テーマ:経済・財政・税制の問題

 天池洋介さん(日本福祉大学非常勤講師)がこのブログ用に寄稿してくださいました。転載させていただきます。(※消費税増税で社会保障を拡充せよとする井手英策慶応大学教授が前原誠司民進党代表のブレーンということで、井手教授の議論をどう考えればいいのか、あれこれFacebook上で書き連ねていたところ、天池さんから寄稿いただいたという経緯です。天池さんの結論である「消費税ではなく所得税や法人税の増税、あるいは1970年代の水準に戻すことで最低限の社会保障サービスの原資を確保し、最低限の生活を保障し税金を「払えるようにする」ことができるようになった後で、更なる社会保障水準の向上をめざして消費税を引き上げていくのが妥当ではないでしょうか。それはスウェーデンの福祉国家がたどってきた道と、同じ道でもあります。」に同感です)


 税金を「払えるようにする」福祉国家スウェーデン
 天池洋介 日本福祉大学 非常勤講師


 消費税の税率が議論される際に必ず引き合いに出されるのが、北欧の福祉国家・スウェーデンです。スウェーデンでは消費税(付加価値税)は25%と高率ですが、国民全てが一生安心して暮らせる社会保障制度を築き上げています。それに習っての日本での「消費税を福祉目的税にするから増税に賛成してほしい」、という呼びかけについてどう考えたらいいのでしょうか。スウェーデンの税金と社会保障サービス(福祉)のあり方を参考に、日本の消費税の税率について、今までとは違った視点から見てみましょう。

 消費税10%で生活破綻する日本、
 消費税25%でも破綻しないスウェーデン


 スウェーデンの税制、特に消費税を考える場合に、税額、税率と合わせて、「なぜ高率の税率なのにスウェーデン国民は払えるのか?」、逆に「なぜ日本では10%の税率にすると大変なことになってしまうと予想されているのか?」を考える必要があります。日本では消費税を10%、あるいはそれ以上にすると国民の生活が破綻する人が多数出てしまうこと、逆にスウェーデンでは25%でも国民の生活が破綻しないようになっていることを、多くの人が見過ごしたままスウェーデンの高率の税金を引き合いに出して議論が進んでいます。

 消費税が25%でもスウェーデン国民の生活が破綻しない背景には、国民の生活が行き詰まらないように税と社会保障サービスがデザインされていることがあります。特に日本ではあまり注目をされていない、ミニマムコストとマキシマムコストという制度が果たす役割はとても大きなものがあります(*1)。消費税増税で特に打撃を受けるのが年金や社会保障サービスの受給者ですが、スウェーデンでは特に適切な水準の生活を保障するものとして、最低限手元に残さなければいけない生活費が定められていて、所持金ゼロになったり、生活費が不足しないようになっています。

 25%の消費税を払う前提として生活費が確保される

 まずミニマムコストについてですが、これは日本にはない考え方なのでなかなか理解しにくいのですが、これ以上取り上げてはいけない生活費(約6万円)として設定されている金額です。単純に言うと、必ず毎月6万円は生活費として手元に残さないといけないことになっています。その仕組みですが、経費としてまず税金と住居費を支払い、その上でミニマムコストの6万円をまず確保します。経費とミニマムコストを収入(主に年金)から差し引いて、残った金額が多ければ社会保障サービスの負担額に充てられ、残った金額が少なければ社会保障サービスの負担額が減額されます。収入が少ない場合には住宅手当が上乗せ・追加されます。もちろん、この6万円は誰もが25%の消費税を払う前提、あるいは払えるようにする前提で算定された額です。

 社会保障をいくら利用してもこれ以上払わなくてもいい
 という上限がある


 次に社会保障サービスの負担額ですが、日本では所得に応じて一律に負担額が決定され、支払うことができなければサービスの利用ができません。しかしスウェーデンではマキシマムコスト(*2)という、利用料の上限が定められています。上限なので、収入から経費とミニマムコストを引いた残りの額に応じて利用料は柔軟に変動します。このマキシマムコストが日本の「上限額」と違うのは、日本はこれ以上サービスを利用させてもらえない上限であるのに対して、スウェーデンではいくら利用してもこれ以上払わなくてもいいという上限、ということです。日本では保育園の保育料が似たような運用をしています(*3)。

 税金は国民の生活を支えるために徴収するものであって
 国民の生活を破壊するものではないのに
 日本の消費税は「払えるようにする」制度が欠落している


 このようにスウェーデンでは多額の税金を払っても、生活が破綻しないように社会保障制度がデザインされており、税金を「払えるようにする」制度設計がなされています(*4)。翻って日本のように、消費税を「払えるようにする」制度が欠落している状態で、消費税を増税してしまったら、国民の生活を破綻に導く可能性は決して低くありません。福祉国家においては税金は国民の生活を支えるために徴収するものであって、国民の生活を破壊するものではないという基本が、日本社会では共有されていないので、いつも誰が痛みを受けるのか、誰が犠牲を負うかという変な話になってしまいます。「生活はどうなろうとも税金はむしり取られるもの」という考えから、「生活を支えるために税金を払うこと、生活が苦しくて税金が払えないなら、払えるようにするのが政府の仕事」と発想の転換をすることが、日本において福祉国家を展望する上で今、求められていることなのではないかと思います。

 そのためにはまず、消費税ではなく所得税や法人税の増税、あるいは1970年代の水準に戻すことで最低限の社会保障サービスの原資を確保し、最低限の生活を保障し税金を「払えるようにする」ことができるようになった後で、更なる社会保障水準の向上をめざして消費税を引き上げていくのが妥当ではないでしょうか。それはスウェーデンの福祉国家がたどってきた道と、同じ道でもあります。

*1:藤原瑠美 (2009) 『ニルスの国の高齢者ケア エーデル改革から15年後のスウェーデン』 ドメス出版.(pp104-107) 参照
*2:正確にはマックスターケット(maxtarket)=最大の上限という意味。介護料金、家賃、食費について定められている。
*3:ただしスウェーデンのマキシマムコストは所得比例ではなくて、全員一律の料金設定になっています。
*4:もちろん、年金受給者を主な対象としたミニマムコストとマキシマムコストだけではなく、様々な社会保障サービスの全体を考慮する必要があります。例えば学生については学費が無料の上、月々の生活費が支給されたり、失業者についても従前所得の80%を保障する失業手当(最低基準額あり)があるなど、どんな状況にあっても生活水準が保障され、税金を「払えるようにする」仕組みになっています。



 以上が天池さんの論稿です。これを読ませていただいて、やはり「消費税増税で社会保障拡充」という井手英策教授の主張は、スウェーデンの現実から見ても間違っていると思いました。誰もが生活保障される社会保障が前提にあって、スウェーデンの消費税25%があるわけですから、井手教授の議論は逆立ちしていると言えるのではないでしょうか。実際にこれまでも日本において消費税増税が先行してきましたが、下記のように逆に社会保障が改悪されてきたことや、消費税増税によって再分配が更に効かなくなり、子どもの貧困も、若者の貧困も、高齢者の貧困も深刻化している事実を見れば、「消費税増税で社会保障拡充」というのはすでに破綻した政策と言えるのではないでしょうか。

 

(井上伸)

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