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2018-05-24 10:41:39

働き方改革 #高度プロフェッショナル制度 は女性差別助長し子育て介護抱えた男性を低賃金に追いやる

テーマ:働くルールづくり

 昨夜(5月23日)、エキタス東海が名古屋駅前で「高度プロフェッショナル制度導入反対抗議行動」(写真)を実施しました。この抗議行動で発言した蓑輪明子さんから了承を得たスピーチ原稿を紹介させていただきます。



 みなさん、こんばんは。私は、名城大学経済学部で教員をしております、蓑輪明子と申します。今日は、いま国会で審議中の働き方改革の危険性についてお話ししたいと思います。

 働き方改革法案について、安倍政権は多様な働き方を作り出し、育児や介護と仕事の両立ができるように改革する、多様な人が働きやすくなれば、日本経済が発展すると言っています。

 いま国会に出ている法案は、はたして、そのような理想的な社会を作り出すでしょうか? 私はそうは思いません。

 この法案には、高度プロフェッショナル制度が盛り込まれています。コンサルタントなど、高度な職種の高所得者について、労働時間の規制を外すというものです。政府は高度プロフェッショナル制度が導入される職について、成果と時間が連動しないと言っています。これを聞けば、短い時間でも稼げる仕事かのように受け取れます。

 しかし、本当にそうでしょうか?

 若い人たちに聞くと、この政府の説明に誰一人、納得していません。結局、ブラックで、定額で好き放題働かされるだろうし、過労死だって出るに違いない。そのうち、もっと低い給料の人にも適用されるに違いないと感じています。

 私もそう思います。弱い立場に立つ、雇われた人たちは高度プロフェッショナルとはいえ、際限ない労働に駆り立てられるのです。

 私たち、研究者も裁量労働など、事実上、労働時間規制のない働きかたをしています。でも、授業、学生対応、事務、研究など、山積みの仕事の中で、8時間で仕事が終われる日など、ほとんどありません。朝から夜までは学生対応や授業。それが終われば授業準備や事務。夜中や早朝に研究をやっています。私も昨日は深夜2時まで、朝は4時から研究でした。

 私だけではありません。同世代の研究者も同じです。「過労死しないで」というのが別れる時にかけあう言葉です。

 私たちは裁量ある労働者とはいえ、次から次に大学改革、学生サービス、研究業績を求められているからです。きっと高度プロフェッショナル制度もそうなるに違いありません。

 でも政府はこう言うでしょう。断ることができるよと。そんなこと、できるわけありません。競争に負けるからです。労働時間が長くなるのを拒否して、競争に負けたら、より低い待遇の仕事が待っています。大学では今、教員の半数が非常勤です。私も40歳まで非常勤でしたが、年収は100万円ほどでした。そういう生活に再び戻りたくはありません。

 高度プロフェッショナル制度をはじめとする労働時間規制緩和は、過労死をもたらし、人の命を奪うと言われています。ほんとうにそうだと思います。ただ、私はそれだけでなく、生き残って働く人たちに差別をもたらすと思っています。

 いまの働き方改革は、高度プロフェッショナルのように、長く働けばそれなりに、短く働く人はそこそこに、という労働時間による処遇格差を正当化するものだと思います。

 長時間働くことが当たり前になっていけば、長く残業をすることができない、子育てや親の介護を抱えた人たち、特に女性は必ず低賃金労働に追いやられ、時に仕事を辞めなくてはならなくなる、そして、それが正当化されることになります。

 実際、労働時間規制が事実上ない私たち研究者の中でも、子育て中のお母さんは仕事と家庭の両立が見通せず、苦労してついた正規研究者を辞める人もいます。今年の春も同世代が一人、大学を去り、非正規になりました。でも、そういう働きかたを選んだのはその人だ、自己責任だとされるのです。

 働き方改革法案では、残業の規制を強めるためにも、残業に月45時間、特別な時には月100時間というふうに残業時間の上限を決めて、規制を強めると言っています。でも、100時間って、長すぎませんか?

 私は女性の労働が研究テーマですけれど、調査をすると、労働者のみなさんは月20時間の残業でもしんどい、つらい、家庭との両立が難しい、仕事を辞めたいとお答えになります。本当に女性が活躍する、多様性を生み出す必要があるならば、8時間働いて普通に帰れる、そういう働きかたを当たり前にする必要があるんじゃないでしょうか。

 いまの働き方改革では、女性たちは絶対に差別されます。子育てや介護する男性も同じです。

 働き方改革の強行採決は絶対に許されません。日本に過労死と働きすぎと差別をもたらすものです。この社会に生きるすべての人の未来に関係する問題です。まだ時間はあります。仮に衆議院で強行採決されても参議院での審議があります。その間に、この法案の危険なところを一人でも多くの人に伝えて、強行採決を止めていきましょう。

2018-05-23 15:53:05

#高度プロフェッショナル制度 は過労死激増に加え家族の命を奪われた遺族に深刻なダメージを与える

テーマ:働くルールづくり

 私たちの仲間、全経済産業省労働組合副委員長の飯塚盛康さんが、政府・与党が明日にも衆議院で強行採決しようとしている働き方改革法案(過労死促進となる高度プロフェッショナル制度を含む)と、過労死・過労自死に直面している家族の問題に関わって書いてくれましたので紹介します。

 政府・与党が過労死を促進する高度プロフェッショナル制度を含む働き方改革法案を衆議院で強行採決しようとするなか、過労死家族の訴えを聞いてください。

 今現在、家族や自分自身が過労死の問題に直面していない皆さんでも、高度プロフェッショナル制度ができてしまうと、過労死の危険性は確実に高まってしまいます。「KAROSHI」を国際語にしてしまった日本において、それをなくしていくどころか、安倍政権の下でさらに過労死を増やし、過労死遺族を増やそうとしているのです。

 過労死の問題に今は直面していない皆さんもぜひ想像する力をはたらかせてください。

 家族が過労死・過労自死した遺族は以下のような思いをします。

(1)突然、家族が過労死・過労自死した。
(2)長時間労働をしていたが、それが原因だろうかと思う。
(3)会社を辞めてもいいと言えなかった自分を責め、うつ状態になる。
(4)うつ状態から、少し抜け出ると家族がどんな働き方をしていたかを知りたくなる。
(5)会社の人に聞くと、残業が多かった、日勤や夜勤などの不規則勤務だった、パワハラ、セクハラがあったなどと言われる。
(6)労災申請をすれば、詳細がわかるのではないかと思い、会社に労災申請を申し入れる。
(7)会社は残業も多くない、パワハラもないといい労災申請を拒否する。←多くの人がここで諦める。
(8)仕方がないので専門家の力を借りて労災申請をする。
(9)会社は「残業は多かったが、仕事はしていなかった」「裁量労働あるいは管理職だから働く時間は自分で決められたので自分で勝手に長時間働いていた」「パワハラはなかった。指導の範囲だ」と主張する。
(10)労災認定されず。←ここでも多くの人が諦める。
(11)行政裁判では会社側は「あることないこと」ではなく「ないことないこと」(例:残業時間中に3時間食事をしていた。借金や失恋など全く別の出来事を苦にして自死したのでないか。親の教育が悪いから精神的に弱かったのだ)を主張する。

 このように、家族を過労死・過労自死で奪われた遺族は大変な精神的苦痛を味わいます。

 遺族が妻と子どものケースになると、母親がこのような精神的苦痛を味わえば、当然のように子どもにも精神的な影響がさまざまな形で出ます。

 過労死・過労自死を引き起こすということは、本人だけでなく家族まで不幸の連鎖が続くということです。

 高度プロフェッショナル制度が導入されれば、このような思いをする人が「確実」に増えると同時に、今より一層深刻な事態になります。

 今現在も過労死・過労自死における労災認定は困難ですが、労働時間規制から除外される高度プロフェッショナル制度においては、そもそも企業側に労働時間の把握義務がなくなるので、過労死しても過労死の労災認定が今よりさらに困難になります。そうすると、過労死認定がされず、労災も受けられず、泣き寝入りし、路頭に迷う遺族が今よりさらに増えることになります。

 高度プロフェッショナル制度になれば、実際に過労死が必ず増えるのに、過労死しても過労死と認定されることが今より一層困難になるので、遺族にとっては地獄のような生活になります。高度プロフェッショナル制度は家族の命を奪われた遺族にとっても深刻なダメージを与えるものなのです。

 政治とは「国民を幸福にすることであり、最低限不幸にしないこと」ではないでしょうか。

 今の政治はその逆のことをしています。

 昨夜(5月22日)日比谷野外音楽堂で行われた高度プロフェッショナル制度の廃案を求める集会での「全国過労死を考える家族の会」代表世話人・寺西笑子さんの訴えと、「全国過労死を考える家族の会」のサイトに掲載されている、父親を過労自殺でなくしたマーくん(当時小学校1年生)が書いた詩「ぼくの夢」を最後に紹介します。みなさん、想像力をはたらかせてください。高度プロフェッショナル制度の廃案を求める署名にぜひご協力ください。【→★#高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制!今すぐ廃案に!

▼「全国過労死を考える家族の会」代表世話人・寺西笑子さんの訴え
 働く人が懸命の末に命まで奪われていいはずがありません。国は命を守るための法律を作るべきなのに、逆に命を奪う法律=高度プロフェッショナル制度を作ろうとしています。強行採決という暴挙は許してはなりません。明日も官邸前の座り込みを実行します。過労死のない社会をともに築くよう、皆さん応援をお願いします。(写真は集会で訴える寺西笑子さんら「全国過労死を考える家族の会」)



▼父親を過労自殺でなくしたマーくん(当時小学校1年生)が書いた詩「ぼくの夢」

2018-05-22 12:20:36

「365日24時間、死ぬまで働け」とするワタミ渡邉美樹氏の存在からわかる高プロ地獄絵図の現実性

テーマ:働くルールづくり

 前回の記事「高度プロフェッショナル制度がもたらす地獄絵図=48日間連続の休憩なし24時間労働が合法」に対して、「そんな企業は存在しない」「あり得ない空想で高プロを批判しても意味がない」との指摘をいただきました。本当にそうでしょうか?

 父親を過労自殺でなくしたマーくん(当時小学校1年生)が書いた詩「ぼくの夢」が全国過労死を考える家族の会のサイトに掲載されています。バナーもつくってみました。

 

ぼくの夢

大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシンをつくる
ぼくはタイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
まえの日に行く
そして『仕事に行ったらあかん』て
いうんや



 

 過労自死した高橋まつりさん(電通社員)の母親の幸美さんも、31歳で過労死した佐戸未和さん(NHK記者)の母親の佐戸恵美子さんも、過労死遺族は自分たちと同じ思いを二度とすることのないよう過労死を根絶して欲しいと願っています。

 しかし、現在の日本では、過労死で毎日1人以上の命が奪われているというのが厳然たる事実です。今こうしている間にも日本では労働者が過労死で命を奪われているのです。労働時間規制がきちんとあっても守らない企業が1,349企業も1年間だけで存在していることは前回の記事でも紹介しました。

 それから、象徴的な存在はワタミです。ワタミグループ創業者で自民党の渡邉美樹参院議員が、今年3月13日の参院予算委員会の公聴会で過労死遺族に暴言を述べたことは記憶に新しいですが、あらためてワタミの渡邉美樹氏の言動を思い出してみてください。

▼渡邉美樹氏の言動

 

◆365日24時間、死ぬまで働け。10年後も20年後もこの言葉が飛び交うワタミでありたい。

(※出典:「ワタミ社内文書入手 渡辺美樹会長が『365日24時間死ぬまで働け』 週刊文春 2013年6月5日号より)

 

◆よく「それは無理です」って最近の若い人達は言いますけど、たとえ無理なことだろうと、鼻血を出そうがブッ倒れようが、無理矢理にでも一週間やらせれば、それは無理じゃなくなるんです。そこでやめてしまうから「無理」になってしまうんです。全力で走らせて、それを一週間続けさせれば、それは「無理」じゃなくなるんです。

(※出典:2006年5月22日テレビ東京放送「日経スペシャル カンブリア宮殿~村上龍の経済トークライブ」および【村上龍RVR龍言飛語】vol.252 ワタミ従業員自殺に労災認定より)

 

 どうでしょうか? 「そんな企業は存在しない」「あり得ない空想で高プロを批判しても意味がない」との指摘ですが、労働時間規制がある今現在でもワタミ渡邉美樹氏のような経営者は存在しているのです。労働時間規制があっても「365日24時間、死ぬまで働け」と言うワタミ渡邉美樹氏が実際に存在しているのに、労働時間規制がなくなって「48日間連続して1日24時間働かせる」ことが合法になる高プロができた途端に「そんな企業は存在しない」となる方がじつは「あり得ない空想」だということがよくわかるのではないでしょうか?

 「365日24時間、死ぬまで働け」とするワタミが労働時間規制があっても存在するのに、労働時間規制がなくなる高プロで合法になる「48日間連続して24時間、死ぬまで働け」を実行しない企業があらわれないわけがないというのが結論です。高度プロフェッショナル制度の廃案を求める署名にぜひご協力ください。【→★#高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制!今すぐ廃案に!

(井上伸)

2018-05-19 18:24:39

高度プロフェッショナル制度がもたらす地獄絵図=48日間連続の休憩なし24時間労働が合法

テーマ:働くルールづくり

 安倍政権が来週にも衆議院厚生労働委員会で強行採決を狙っている「働き方改革一括法案」。なかでも高度プロフェッショナル制度は労働基準法が定める1日8時間、週40時間などの労働時間規制を適用除外にするもので「 #高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制」です。

 高プロは「健康確保措置」として義務化する年104日(祝日除く週平均2日)と有給休暇5日付与の休日以外は、休憩なしの24時間労働が合法になります。

 しかも、この「健康確保措置」をきちんとやっているかどうかは、企業が高プロ導入の半年後、労働基準監督署にたった1回だけ報告する義務があるだけです。ブラック企業をなくすためにある労働基準監督署高プロの長時間労働を取り締まることはできません。高プロは「過労死合法化」であり、「ブラック企業合法化」でもあるのです。

 企業が労働基準法を違反してでも「残業代ゼロ」で「働かせ放題」にすることは、労働基準監督署が毎年発表している「監督指導による賃金不払残業の是正結果」を見れば明らかです。直近の2016年度で、労働基準法違反による賃金不払残業の是正企業数は1,349企業、支払われた割増賃金合計額127億2,327万円にも上るのです。労働基準監督署に取り締まられてやっと労働基準法を渋々守る企業が、高プロ導入の半年後に1回だけ報告する「健康確保措置」をきちんと守る企業ばかりだと考える方がどうかしているでしょう。

 こんな高プロがもたらすものは地獄絵図ですが、いくつか簡単なバナーをつくってみました。

 まず、高プロで企業ができようになることです。

 高プロの「健康確保措置」として法案で「1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えること」としているのですが、これでは4週間の最初にまとめて4日の休日を与えれば、残りの24日間は休日も休憩も与えずに1日24時間働かせることが可能です。さらに続く4週間について最後にまとめて4日の休日を与えれば48日間連続して1日24時間働かせることが可能になり、連続1,152時間の労働を強制することも合法になります。

 




 高プロは、年104日の休日(祝日除く週平均2日)と有給休暇5日付与すれば、あとは休憩なしの24時間労働が合法になります。365日-104日-5日=256日。256日×24時間=年6,144時間が合法になり、これは現在のフルタイム労働者の年2,025時間の3倍以上です。(※厚生労働省「毎月勤労統計調査」の一般労働者の2017年の年間実労働時間)

 



 高プロには、労働者の裁量性は一切ありません。労働者は企業の指揮命令に完全に服することになります。休日も始業時間も終業時間も所定労働時間も残業も企業が何の規制もなく自由に一方的に決めることができます。

 



 それから、高プロは「実は年収357万円くらいの労働者にも、やりようによっては適用できちゃう」ことを佐々木亮弁護士がYahoo!ニュース「高プロ制度は地獄の入り口 ~ High-pro systm is the gate to hell~」で指摘しています。

 



 それでは次に、こうした高プロでどうなるでしょうか? これについてもいくつかのバナーをつくってみました。

 高プロは現在のフルタイム労働者の3倍以上の年6,144時間が合法になりますから、ただでさえ長時間労働が増えている日本でさらに長時間労働が激増することになります。

 



 そして、史上最高を更新中の過労死・過労自殺で命と健康を奪われる労働者がさらに激増することになります。とりわけ、高プロは労働者に裁量性が一切なく他律性のなか企業の指揮命令に完全に服することから過労による精神障害、過労自殺はさらに激増することになります。


 

 今でも日本の男性の労働時間はフランスの2倍以上で、男性の家事労働時間は世界一短いのですが、高プロの長時間労働激増によって、家事労働時間はさらに短くなります。家事労働時間を確保できないということは家族責任を果たすことができないということですから必然的に子育ても困難になり少子化を招くことになります。安倍首相は少子化を「国難」と言っていますが、その「国難」をさらに深刻化させようとしているのは安倍政権です。

 



 「第1の8時間は仕事のために、第2の8時間は休息のために、そして残りの8時間は俺たちの好きなことのために」を目標にメーデーは行われてきたのですが、長時間労働が蔓延している日本では8時間の睡眠を確保できず、OECD平均の睡眠時間8時間25分より1時間以上も少ない7時間22分です。今よりさらに長時間労働を激増させる高プロが導入されると今でも世界でいちばん短い睡眠時間がさらに短くなってしまいます。

 



 日本は睡眠時間も確保できないので当然ですが余暇時間も確保できていません。そもそも消費する時間も確保できないのです。他律的な長時間労働でクリエイティブな仕事ができないことも自明で日本の産業競争力もさらに低下することになりますが、一方で消費者でもある労働者に睡眠時間も家事労働時間も消費する時間もないとなるとGDPの6割を占める個人消費が落ち込み、日本経済がさらに疲弊することになります。

 



 安倍首相が言う少子化という「国難」をさらに深刻化させ、日本経済を一層疲弊させることになる高度プロフェッショナル制度は今すぐ廃案にする必要があります高度プロフェッショナル制度の廃案を求める署名にぜひご協力ください。【→★#高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制!今すぐ廃案に!

 

(井上伸)

2018-05-11 15:10:44

柳瀬元首相秘書官の大ウソ=安倍首相に報告しない・首相から指示ない・メモ取らない・名刺交換しない

テーマ:霞が関・公務関連情報

 加計学園問題で、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が昨日(5月10日)、国会の参考人招致に応じ、加計学園関係者と首相官邸で計3回会ったことを明らかにしました。柳瀬氏は、加計孝太郎氏と安倍首相が親友との認識はあったと認める一方、加計学園関係者との面会を安倍首相に報告したり、指示を受けたりしたことはなかったとし、安倍首相の関与を重ねて否定しました。この参考人招致について全経済産業省労働組合副委員長の飯塚盛康さんが感想を書いてくれたので以下紹介します。

 私は柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)と一面識もありませんし、この方について良い評価も悪い評価も含めて聞いたこともありません。しかし、昨日の国会での答弁は元経済産業省の職員として見てひどいと思いました。

 柳瀬氏は、「人と会うときは全員と名刺交換はしない」と言っていますが、少なくとも経済産業省の職員でそんな失礼なことをする人を私は見たことも聞いたこともありません。

 時事通信の報道によると、愛媛県知事が柳瀬氏の名刺を公表しました。愛媛県側に柳瀬氏の名刺があるので、柳瀬氏は愛媛県側に自分の名刺を面会時に手渡したのだが愛媛県側の名刺は出して来たが受け取らなかったことになります。これだとさらに失礼な人になってしまい首相秘書官、経済産業省審議官どころか一般の社会人として通用しないことになります。

 また、柳瀬氏は、面会しても「メモを取らない」と言っています。首相官邸で面会したとき、柳瀬氏が一番上の職責なので柳瀬氏本人が「メモを取らない」ことはあり得ると思いますが、面会に同席していた部下が必ずメモを取っています。面会後、そのメモは柳瀬氏本人に手渡されて内容を必ず確認しますので、柳瀬氏本人が「メモを取らない」ことはあり得ますが、面会の「メモはある」ので誠実な答弁ではありません。

 柳瀬氏は、「総理から指示もされないし報告もしない」と言い、「私は総理秘書官時代、物理的に日本にいないとか、物理的に時間がないということはあったかもしれませんが、私が動いている限りはアポイントの申し入れをお断りしたことはございません」とも言っています。

 首相秘書官が、安倍首相に無断で勝手に安倍首相の友人からのアポを受けて勝手に首相官邸で会うということは、民間企業に置き換えれば、社長秘書が、社長に無断で勝手に社長の友人からのアポを受けて勝手に社長室で会った上に、会ったことも社長に一切報告しないことになります。こんな非常識な社長秘書は存在しないでしょう。

 国家公務員の世界で言ってもこんなことはあり得ません。首相秘書官とはいえ、組織の人間なので、こんなことをする人は、人事評価で最低ランクになるでしょう。

 谷査恵子さんが籠池氏から依頼された内容を財務省に問い合わせてFAXで結果を報告したことも、柳瀬氏が加計学園や愛媛県や今治市と面会したことも、すべて「上司の指示もなく、報告もしないで、個人が勝手にやったこと。そして本人が書いた書類もメモも記憶さえもない」ということになっているのです。

 経済産業省はそういう職員ばかりなのかと批判されても仕方ないですよ。

 私は経済産業省の職員は仕事に対して前向きで(方向性が間違っていることも多々ありますが)、人あたりも良く、優秀な人が多いと思っています。

 昨日の柳瀬審議官の国会での発言は、経済産業省の職員のプライドを傷つけるものです。

 これは、彼個人を責めるのではなく、こういうことをやらせる安倍内閣そのものが責められるべきものだと思います。

 この間の虚偽答弁・公文書改ざん・法案に直接関わるデータねつ造・セクハラでも安倍内閣はしぶとく粘っています。

 昨日の柳瀬氏の国会答弁を聞いていて安倍内閣が倒れては困るのは、経済産業省のキャリア官僚ではないかと思いました。

 第2次安倍内閣になって経済産業省は官邸を牛耳り、官邸主導による産業競争力会議や規制改革会議などを通じて自分たちのやりたい施策(社会保障費の削減、年金積立金を使っての株価操作、労働者保護の破壊、国家戦略特区による規制緩和等)を進めてきました。

 前から経済産業省は他省庁の縄張りにまで口を出すので霞が関の嫌われ者でしたが、官邸を牛耳ることによって大手を振って他省庁の庭先に入り込むことができました。

 その結果、今は経済産業省に対する他省庁の恨みつらみは頂点に達しているのではないかと思います。

 もし、安倍内閣が倒れたら、経済産業省に対するさまざまな攻撃が始まるのではないかと戦々恐々の日々を過ごしていて、そのため、恥も外聞もなく安倍首相を支えるのに必死なのではないでしょうか。

 しかし、柳瀬氏は明らかにウソを言っています。首相秘書官であった人間に国会でウソを言わせた以上、内閣総辞職以外の結論はあり得ないと思います。

 首相秘書官であった人間が国会で平気でウソをついていいということになると、日本という国はウソが平気でまかり通る国、フェイク国家になるわけで、立憲主義や民主主義以前の独裁国家になってしまって日本はいいのかという次元の問題になってしまっていると思います。(全経済産業省労働組合副委員長・飯塚盛康)

2018-05-09 13:41:10

霞が関不夜城で1万人が過労死の危険感じ働く、モリカケ問題等で残業・心の病・転職者が急増

テーマ:霞が関・公務関連情報

 きょう(5月9日)午後7時から午後11時まで「霞が関公務員相談ダイヤル」を実施します。



 私たちが実施した「霞が関2017年残業実態アンケート結果」によると、過労死の危険ラインとされる残業月80時間以上が6.5%(2,210人)、とりわけ過労死の危険が高い残業月100時間以上が3.1%(1,054人)となっています。そして、3割(約1万人)が過労死の危険を感じたことがあると回答しています。



 残業の要因としては、「業務量が多いため」が57.0%(前年59.5%)と依然として最も高く、次いで「国会対応のため」30.3%(前年29.4%)、「人員配置が不適切なため」27.1%(前年29.1%)、「不合理な仕事の進め方のため」18.3%(前年18.5%)が続いています。業務量に見合う職員が十分に配置されていないことが、霞が関の長時間労働の最も大きな要因であることは明らかです。

 このような過酷な超過勤務に対して、手当の支給実態をみると「全額支給されている」との回答は49.7%(前年49.3%)となっています。これを支給割合別にみると「20%未満」が2.7%、「40%未満」が4.6%、「60%未満」が10.1%となっており、「不払いがある」者は、全体の41.2%(前年42.4%)となっています。

 下記は霞が関の残業でまかなっている人員を計算したもので、年間約8千人分の仕事を残業でこなしていることになります。霞が関の国家公務員数(管理職を除く一般職)は3万4千人ですが、残業をなくすには約8千人の職員増が必要になるということです。

 きょうは「霞が関公務員相談ダイヤル」のほか、各政党要請行動や、「霞が関不夜城ウォッチング」を取り組みます。下の表は2015年6月に実施した「霞が関不夜城ウォッチング」です。午前1時半で厚生労働省は6割が点灯していましたが、さて「働き方改革一括法案」を現在進めている厚労省のきょうの実態はどうでしょうか?

 それから、きょうの取り組みにあわせて、昨日「霞が関で働く国家公務員座談会」を行いましたので以下紹介します。

〈霞が関で働く国家公務員座談会〉
霞が関不夜城で1万人が過労死の危険感じ働く
モリカケ問題等で一層の長時間残業、メンタル疾患、転職者が急増
(A省Aさん、B省Bさん、C省Cさん)


 A もともと霞が関の長時間労働はひどかったのですが、モリカケ問題が起こってからさらに拍車がかかっていますね。

 B そうですね。国会対応でいちばん大変な部署では月300時間の残業があり、ほとんど家に帰れない状況が続いています。

 C 国会対応に加えて、森友公文書改ざんの余波で、対処療法的な文書管理に関する会議や実務がやたらと増えてそれでも忙殺されています。もちろん文書管理はきちんと行われるべきですが、場当たり的に現場にだけしわ寄せが来る典型のような実態もありますね。

 A 森友問題にかかわって、きょう(8日)麻生財務大臣が公文書改ざん問題について「どの組織だってありうる。個人の問題だ。個人の資質によるところが大きかった。組織全体でやっている感じはない」と述べたのはとんでもないですね。

 B 自殺した財務省の近畿財務局職員Aさんは安倍政権・財務省による森友公文書改ざんと自分への責任転嫁に絶望したわけですが、死人に口なしのような扱いであまりにひどい発言だと思います。

 C 近畿財務局職員Aさんはノンキャリ職員です。ノンキャリ職員が「個人」で勝手に公文書改ざんをするわけがありません。

 A 麻生財務大臣のノンキャリ職員にだけ責任を押し付けるやる方は、国家公務員全体のメンタルにダメージがあると思います。

 B 「もうやってられない!」という感じが霞が関の現場で広がっていますね。

 C やっぱり、内閣人事局ができて幹部職員の人事を首相官邸が握ってから、キャリア官僚が自分の省庁の上よりも首相官邸を向いて仕事をするようになりましたね。それで、無理難題を押し付けられたキャリア官僚が、首相官邸のウケをよくするためにそれを自分の部下になかばパワハラ的なやり方で、強制的にあれをやれ、これもやれ、と押し付けて、結果、各省庁の大事な仕事より首相官邸のウケがいい仕事の方が増えていっています。

 A 昔からクラッシャー上司のキャリア官僚が点在していて、それで部下はつぶされて若手キャリア官僚も辞めていくことは多かったのですが、最近は、クラッシャー上司のキャリア官僚が内閣人事局によって首相官邸に向けた仕事をするようになって、従来よりもさらに首相官邸の強権を持ったクラッシャー上司のキャリア官僚が幅をきかせている感じです。まさに「首相案件」という権力をバックにしてクラッシャー上司も一層危険な存在になっていますね。

 B その首相官邸のウケがいい仕事をやらされてそれでなんらか報われるのならまだいいのですが、逆に近畿財務局職員Aさんのように、組織的にやらないとできないはずの公文書改ざんの責任を「個人」の責任にされるのではたまったものではありません。

 C 首相官邸のために組織的にやってきた仕事なのに、現場のノンキャリ職員の「個人」に責任を押し付けるし、佐川前国税庁長官のようにキャリア官僚のトップでさえ切り捨てられているので、ノンキャリ職員も、キャリア官僚も転職がやたらと増えていますね。

 A そうですね。とりわけ若手を中心に、地方自治体や民間企業に転職するケースが増えています。

 B モリカケ問題等の国会対応でどんどん仕事量が増えているのもそうなのですが、森友のように公文書改ざんまではいかないのだけど、少しでも首相官邸にウケがいいようにいろいろな調整をして国会答弁等をつくる仕事が増えていて、それに消耗してますますメンタル疾患が増えているように思います。

 C 首相官邸のウケがいいかどうかがキャリア官僚の評価基準のようになっているので、基本的にうまく立ち回る人間が出世することになり、結果として政策能力などが劣化していっているようにも思いますね。

 A 首相官邸のウケ狙いになると他律性がさらに増してしまっているのと、その仕事の結果の尻ぬぐいでさらに仕事量が増えることになる悪循環に陥っているので相当メンタル疾患が増えています。

 B その上、例年の定員削減で職場の余裕がなくなっているので、メンタル不調になった職員をたとえば少しは余裕がある部署で働いてもらうということもできなくなっています。

 C 昔はメンタル疾患の職員が出ると、「あいつが休むせいでまた忙しくなる」みたいな殺伐とした職場の雰囲気と悪循環があった感じだったのですが、最近は自分自身もいっぱいいっぱいなので、自分もいつどうなるかわからないという不安感が職場全体に広がる受け止めの方が多くなっている感じでどんどん悪い方にいっているようにも思います。

 A 霞が関に民間企業や地方自治体から出向して来る人がいるのですが、多くが1年足らずでメンタル疾患になっています。それで、霞が関から民間企業や地方自治体に次の人を出してくれと要望すると、そんな職場に人を出せませんよと民間企業に国が断られるようなケースも増えています。「働き方改革」をすすめる政府自体がこんな「ブラック」な働き方になっているわけですからひどいものです。

 B 派遣労働者も霞が関で働いているのですが、その部署にはクラッシャー上司がいて2週間で派遣労働者が職場に出て来れなくなりました。そんな職場にうちの派遣会社から人を出せませんと派遣会社からも人を派遣することを断られるような霞が関の職場にもなっています。

 C 「働き方改革」と言えば、政府や維新などは「高プロで残業代ゼロにすると残業代が払われないから残業そのものがなくなる」などと言っていますが、霞が関はすでに「残業代ゼロ」が横行しています。「残業代ゼロ」が横行しているのに「霞が関不夜城」で過労死の危険を感じたことがあるのが3割(約1万人)という実態を見れば、政府や維新などが言っている「高プロで残業がなくなる」は大ウソであることがわかりますね。

 A それと、「働き方改革」でテレワークの導入なども言われていますけど、結局、緊急の国会対応などで何日ぶりかでやっと帰れた家でも仕事をすることになってしまっているケースも増えていますね。

 B それから実態ですが、家に帰れないのが当たり前のような雰囲気になっていて、国会対応が翌日に必要でもう時間がないので職場に泊まって、朝着替えてに帰って戻って来るとか、ひどいときだと、月曜に来て週に2回しか家に帰れないとか、仮眠室があるわけじゃないので、自分の机の上で仮眠を取らざるを得ない職員が増えています。

 C 毎月150時間の残業をしていて、残業代は3万円しか出ないので、時給にすると200円という職員も多くいます。東京の最低賃金は958円ですから約5分の1という「ブラック企業」も真っ青な実態が霞が関にあるということです。

 A 毎月1~2件、自殺と自殺未遂の報告が流れてくるのですが、月100時間を超える残業の上に残業代は4割程度しか支給されていませんから、抜本的に職員を増やす必要があると思います。

 B 政府は「ゆう活」とか「プレミアムフライデー」とか、長時間労働を何ら改善することのない適当な目新しいかけ声をかけて「働き方改革」をやってる感を出したいようですが、政府のお膝元の霞が関では今も3割(約1万人)が過労死の危険を感じて懸命に働いている問題に対して、政府にはきちんと実効ある長時間労働規制と抜本的な職員増を行って欲しいと思います。

 

(井上伸)

2018-05-05 18:42:37

子どもの数も割合も過去最少、教育と暮らしの貧困で「結婚・子育て」そのものが困難な日本

テーマ:ワーキングプア・貧困問題

 きょうはこどもの日。毎年、総務省が子どもの数を発表していますが、2018年4月1日現在の15歳未満の子どもの数は、前年より17万人少ない1,553万人で、1982年から37年連続の減少となり、比較可能な1950年以降の統計で過去最少を更新。人口に占める子どもの割合も44年連続の減少で過去最少を更新しています。(※下の2つのグラフは総務省サイトからです)

 



 この総務省発表データの中には国際比較もあります。それをグラフにしてみたものが以下です。日本は子どもの割合が主要国最低であることがわかります。

 



 この少子化を最大の課題として昨年「国難突破解散」を行った安倍首相。なんと言っていたのか「こどもの日」に振り返っておきましょう。

 

 少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢、正に国難とも呼ぶべき事態に強いリーダーシップを発揮する。自らが先頭に立って国難に立ち向かっていく。これがトップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命であります。苦しい選挙戦になろうとも、国民の皆様と共にこの国難を乗り越えるため、どうしても今、国民の声を聞かなければならない。そう判断いたしました。

 この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります。

2017年9月25日 安倍内閣総理大臣記者会見

 さて、安倍首相は少子化という「国難突破」へ「強いリーダーシップ」を発揮して「全身全霊を傾け」責任を果たしているのでしょうか?

 

 下のグラフは内閣府の2017年版「少子化社会対策白書」に掲載されているグラフです。

 

 



 上のグラフを見てわかるように、「理想の子供数を持たない理由」で断トツに多いのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」です。そうすると、安倍首相には当然この「国難突破」のために「強いリーダーシップを発揮」して「子育てや教育にお金がかかりすぎる」現状を変えてもらわなければなりません。ところが、下のグラフにあるように、教育予算を削減してきたのが安倍政権です。そして、日本の教育への公的支出はOECD34カ国で最低です。

 

 



 さらに、安倍政権は教育予算を削減するだけでなく、下のグラフにあるように、貯蓄ゼロの子育て世帯を増加させたり、子育て世帯の可処分所得を減少させるなど、少子化という「国難」を「突破」するどころか、一層少子化を加速させています。

 

 



 上のグラフは後藤道夫都留文科大学名誉教授と一緒に作ったものですが、「安倍首相「子どもの貧困を改善した」は本当?→結婚・子育てが階層ステイタス化、子育て世帯の実質可処分所得は大幅減で貧困深刻化」と指摘しているように、今の日本社会は「結婚・子育て」そのものが普通のことではなく困難なことになっているので、少子化が加速するのは当然の結果と言わざるを得ないと思います。

(井上伸)

2018-05-03 20:29:22

敗戦直前の日本は国の財政の85%を軍事費に投入=憲法9条改悪は私たちの暮らしを掘り崩すということ

テーマ:憲法9条・平和の問題

 

 憲法施行71周年のきょう(5月3日)、東京では「9条改憲NO!平和といのちと人権を!5・3憲法集会」が有明防災公園で開催され6万人が参加しました。メインスピーカーの竹信三恵子さん(ジャーナリスト、和光大学教授)の発言要旨を紹介します。(※文責=井上伸

 どうしてこんなにひどい安倍政権に3割もの支持がいまだにあるのでしょうか?

 いろいろな問題がたくさんあると思います。その中で憲法9条の問題について、私たちはもっと幅広く言葉を獲得しなければいけないという課題があると思うのです。

 憲法9条にあまり関心がない人の頭の中には、憲法9条と言えば戦争のことだけしかインプットされていません。でも憲法9条というのは、本当はものすごく幅広い裾野を持っているのです。

 それは戦争をしていたときの日本社会をきちんと見ればよくわかります。過去、日本は戦争をするたびにものすごい軍事費を使いまくっていました。統計を調べてきました。日清戦争のときに日本は国の財政の69.4%を軍事費に使いました。それから日露戦争のときは81.9%、さらに日中戦争後は7割代を軍事費に使って、敗戦直前の1944年は85.3%でした。戦争する日本は、国の財政の85.4%を戦争のために使っていたのです。

 これに歯止めをかけられないで、どうやって国のお金を私たちの暮らしや社会保障や生活の安定、貧困解決に使えるのでしょうか?

 戦争が終わったときの憲法9条には、これを大転換させるという意味があったはずです。だから70年も9条を変えなかったわけです。その転換に賛同してきたからです。憲法9条は軍事費増大への歯止めであり、天井であり、キャップをはめているわけです。

 この憲法9条の軍事費増大への歯止めの上に、生存権を守る憲法25条や、女性の家庭内の平等を保つ憲法24条があり、また私たちには働く権利があるのだから国はそれを保障せよとする勤労権保障の憲法27条、そしてそれを使って労働組合をつくって私たちの働く条件を良くするために労働三権を使うという憲法28条があります。私たちのいろいろな権利を守るためには、戦争をしてはいけないということです。

 もし、なんらかの方法で9条の枠をはずしたとします。いま盛んにそれをやろうと安倍政権は言っています。もし憲法9条の枠をはずして野放図に軍事費が増えていってしまったら社会保障をきちんとできますか? 軍事費の増大に歯止めをかけていた9条の枠がはずれるということは、そういう状況になるということです。このことを改憲問題を論じるときや、とくに改憲は問題ないと言っている人たちはどれくらいそのことを意識しているでしょうか?

 「いま介護や保育を充実させることの方がずっと大事なのに、憲法9条とか戦争とかそんな話をしている場合じゃないでしょ」とか、「憲法9条が変わっても私は関係ないです」と言う人もたまにいます。しかし、そう言う人にも関係があるのです。私たちがまともな育児支援やまともな介護支援、貧困対策、そして非正規労働者が4割近くまで増えてしまっている状況で、まともな生活を保障する国の義務ということを守るならば、軍事費にお金を使っちゃいけないんだという憲法9条のキャップを守らなければできないのです。そのことを関係ないと思っている人たちにも私たちはもっとわかってもらわなければいけません。

 いまのようなモリカケ問題を起こす政府において、憲法9条の歯止めをはずしたら、また7割、8割が軍事費に使われる時代が来ないとも限らないということをもう一度思い出す必要があると思います。

 「平和ボケ」と揶揄する言葉があります。私たちはそこそこのお金を民生に使うんだと規定した憲法に守られていて、もうその有難味がわからなくなっています。よくこうした憲法集会などに高齢者の人ばかりが来ていると言われますがそれは当たり前です。高齢者は単に戦争がダメだということだけではなくて、戦争が行われたいた時代、戦争が行われる社会では社会保障はほとんどかえりみられなかったし、女性は社会保障がない分を必死になって家族につくせと言われていたわけです。そのことを高齢者は体感しているのです。だから憲法9条というと言葉にしないけれど無意識のうちに自分たちが体験した暮らし、かつての困った状態、怖い状態が連想されていくわけですね。だからこうした憲法集会に高齢者は来るのです。

 若い人はそれに関心がないではありません。戦争についてのそうした実相が断ち切られてしまっていて、戦争する国になったら奨学金やいろいろなものが全部ダメになる社会になってしまうということが若者に理解されていないだけなのです。だから、私たちはそういう論理構成を持って、そういう言葉も獲得して、じつは戦争しない国というのは、奨学金もきちんとある、学費も安い、まともに教育が受けられる、若者の貧困がない、こういうことのために税金を使える国になるということなんだ。女性について言えば、子育て支援にきちんとお金が回ってくる、いまみたいに待機児童ばかりで大変な社会じゃないことができる国になる。そういうふうに発言していく必要があるということをみなさんとぜひ共有できればと思います。

 こういうことがこれまできちんと共有されて来なかったと思います。私たちは2つの岐路に立っています。国威発揚で誰か一部の人がいい気分になるための国に転換させるのか? それとも原則として国民のためにお金を使うきちんとした社会状況を守るのか? その岐路に立っているわけです。

 ですから今のまま憲法9条を守り切ることができれば、私たちはこれまで憲法9条の枠をはずそうとする人たちにじわじわと掘り崩されてきたいろいろな私たちの権利を、もう一回確認し取り戻すことができるのではないでしょうか?

 もっと実態にあった改憲をしたいという人がいますが、いまそんなことを言っている場合ではありません。いまの争点は、国威発揚のための改憲で国民が貧困に陥り格差が広がるか? それとも国民の生活を守る道か? それがいまの改憲の争点だということをもう一度ここでみなさんと共有したいと思います。頑張りましょう。

2018-05-01 06:00:00

フランスの2倍以上働く日本の男性労働者、 #メーデー 130年来の8時間労働制をも葬り去る高プロ

テーマ:働くルールづくり

 きょう5月1日は労働者の日“メーデー”です。メーデーは労働時間を8時間に短縮するとともに賃金を据え置く、つまり労働時間短縮による実質的な賃上げを求める運動を毎年5月1日に全米で行うことを1884年に決めたのが始まりです。1日12時間から14時間労働が当たり前だった当時、「第1の8時間は仕事のために、第2の8時間は休息のために、そして残りの8時間は俺たちの好きなことのために」を目標にメーデーは行われたのです。

 こうした労働者のたたかいによって、たとえばドイツでは、1日10時間を超えて働くことは法律で禁止されています。また6カ月間の平均で1日8時間を超えて働くことが法律で禁止されています。年間30日の有給休暇を100%消化し、祝日と土日を加えると、1年の4割、約150日は大半の労働者が休んでいます。その上、ドイツの経済は好調で、労働者1人当たりの労働生産性は日本を5割近く上回っているのです。

 ところが、日本では平均の有給休暇支給日数20日に対して消化日数は10日で、消化率は50%と世界最下位です。そして、日本は▼下のグラフにあるように労働時間が増えています。

 



 国際比較すると、▼下のグラフにあるように、週49時間以上の長時間労働者の割合が日本は突出して多くなっています。

 



 ▼下のグラフはOECDデータによる、年間で休日を含む1日平均の男性の労働時間の国際比較です。日本の男性の労働時間はフランスの2倍以上になっています。(※日本は男女トータルの平均労働時間で世界一長くなっています)

 


 ▼下のグラフは同OECDデータによる男性の家事労働時間です。日本の男性の家事労働時間は世界一短く、フランスの7分の1、OECD28カ国平均の5分の1です。

 



 ▼下のグラフは同OECDデータによる労働者の睡眠時間です。日本はOECD28カ国平均より1時間以上も睡眠時間が短くなっています。

 



 労働時間が最も長く、睡眠時間は最も短いので必然と言えるでしょうが、▼下のグラフにあるように、日本では過労死が増え続けています。安倍政権は8時間労働を葬り去り残業代ゼロ・過労死促進となる高プロを含む「働き方改革一括法案」の審議を強行しましたが、これ以上、過労死を増やす「働き方改革一括法案」を強行することは許されません。(※参照→佐々木亮弁護士・ブラック企業被害対策弁護団代表「高プロ制度は地獄の入り口 ~ High-pro systm is the gate to hell~」

 



 次に賃金を見てみましょう。

 ▼下のグラフにあるように、安倍政権で賃金は16万円も減っています。一方、大企業の内部留保は過去最高を更新し続けています。

 



 ▼下のグラフにあるように、大企業の役員報酬額は1.8倍も増加しています。

 



 ところが、▼下のグラフにあるように、大企業の労働者の賃金も労働分配率も低下しているのです。

 



 そして、▼下のグラフにあるように、安倍政権下で非正規労働者数・率とも過去最高となり、ワーキングプアは史上最多となっています。

 



 ▼実質賃金も▼家計消費も安倍政権下で最低になっています。

 

 



 また、安倍政権下で▼日本のジェンダーギャップ指数は過去最低となり、▼日本の女性の所得は男性の半分しかありません。

 



 上記で紹介した数字が積み重なった結果、▼安倍政権の5年間で、貯蓄ゼロ世帯数は401.2万世帯も増加し(割合のポイントは7.4ポイントも増加)、逆に富裕層上位40人の資産は2倍と倍増しています。そして、日本において富裕層上位40人の資産が半分の世帯(2,607万世帯)の資産と同じになってしまっているのです。


 そして、▼下のグラフにあるように、安倍政権5年の激増ベスト3は富裕層資産・大企業役員報酬・自民党への献金、労働者には非正規化・賃下げ・貧困・過労死、自民党が選挙に勝って得するのは富裕層と大企業役員だけです。

 



(井上伸)
 

2018-04-20 14:03:29

麻生財務相「5年前より悪いのは運ない」→賃金も消費も最低、富裕層40人が全世帯の資産の半分を独占

テーマ:経済・財政・税制の問題

 麻生太郎財務大臣が「5年前より今の方が悪いという人は、よほど運がなかった」、「ほとんどの(経済統計の)数字は上がってますから」と発言(4月17日、吉田博美参院幹事長のパーティーのあいさつで発言)しています。本当でしょうか? 政府統計等で検証してみましょう。

 厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の実質賃金の直近データでグラフを作ると以下になります。

 



 上記を見れば一目瞭然、厚労省データでさかのぼれる実質賃金で過去最低です。(※関連→「安倍政権の4年間で労働者の賃金は54万円消えた――過去最低の実質賃金と過去最高の内部留保を生んだアベノミクス」)

 総務省の「家計調査」の家計消費指数の直近データでグラフを作ると以下になります。



 実質賃金が過去最低になっているので当たり前ですが、家計消費も上記にあるようにデータでさかのぼれる36年間で最低にしたのが安倍政権です。(※関連→「史上最悪の消費不況もたらした安倍政権=リーマンショック超えた家計消費支出15カ月連続減、35年間で最低の消費支出となった2016年」)

 それから、「フォーブス」誌のデータ金融広報中央委員会厚労省データから作ったグラフが以下です。

 



 安倍政権の5年間で、貯蓄ゼロ世帯数は401.2万世帯も増加し(割合のポイントは7.4ポイントも増加)、逆に富裕層上位40人の資産は2倍と倍増しています。そして、日本において富裕層上位40人の資産が半分の世帯(2,607万世帯)の資産と同じになってしまっているのです。

 下のグラフにあるように、安倍政権5年の激増ベスト3は富裕層資産・大企業役員報酬・自民党への献金、労働者には非正規化・賃下げ・貧困・過労死、自民党が選挙に勝って得するのは富裕層と大企業役員だけです。(※このグラフは私が作成したものですが、2017年10月時点の直近データによるものなので一部のデータはすでに古くなっています。今度、時間が取れたときに更新作業をしたいと思っています)

 



 統計データがこんなありさまですから、はるさんが指摘されているように、世論調査からは景気の回復を実感していない層が圧倒的多数であることが以前から明らかです。

 麻生太郎財務大臣の「5年前より今の方が悪いという人は、よほど運がなかった」、「ほとんどの(経済統計の)数字は上がってますから」は大ウソで、「5年前より今の方が良いという人は、自民党が選挙に勝って得した富裕層と大企業役員だけ」というのが「ほとんどの(経済統計の)数字が示す事実ですから」。

(井上伸)

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