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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 

 国公一般・国立ハンセン病資料分会の組合員2名が不当解雇された問題にかかわり、資料館の事業部長や現職の学芸員らが組織ぐるみで組合員を日常的に監視していたことが明らかになりました。

 資料館の部長らによる監視行動は、なんと資料館に設置されていた防犯用のカメラを用いて行われていました。カメラを用いて監視した事実は細かくエクセルシートに記載され、資料館内の共有フォルダに保存されていました。国公一般はこれを「財団の不当労働行為意思を示す明白な証拠」として、都労委に提出。財団側の明確な説明が求められます。

 この件について、組合は都労委に「準備書面2」を提出しました。その内容を下記に一部引用します(個人名など一部修正)。

 

【都労委に提出した「準備書面2」より】

 

 2020年3月9日(月)、組合は第1回目の記者会見を行った。すると日本財団は、2020年3月11日(水)より、組合員3人について、「カメラチェックシート」「監視カメラチェックシート」「三人の動きについて」と題するエクセル表を事業部の共有フォルダに共有し監視カメラによる行動記録をつけ始めた。実際に監視と記録を行っていたのは●●部長、●●課長、●●課長、●●学芸員らであることは、各エクセル表のプロパティの作成者に●●部長や●●課長の名前がでていること、カメラチェックシートの「担当」欄に「●● 済」「●● 済」「●● 済」「●● 済」といった記載内容があることから分かる。しかも、「カメラチェックシート」には稲葉組合員について「地蔵」、女性組合員について「酌婦」という侮辱的なあだ名をつけて記載をしている。「カメラチェックシート」及び「監視カメラチェックシート」ファイルの最終更新日は2020年4月14日、「三人の動きについて」ファイルの最終更新日は2020年6月であることからすれば、笹川保健財団はこの組合員の行動記録の作成を日本財団から引き継いだことが分かる。
 このような、管理職ら及び彼らに迎合する学芸員による組合員3名に対する異常な監視行為は、被申立人らの組合嫌悪の不当労働行為意思を裏付けるこれ以上ない明白な証拠である。



 これらのチェックシートには、たとえば女性組合員が何時何分にトイレに行き、何時何分にシャワー室へ入ったなど細かい記載が生々しく記載されています。このような組織ぐるみの「組合員いじめ」は明白なハラスメントであり、国立ハンセン病資料館としての体質としてふさわしくないことも明白です。

 国公一般は、この問題は労使関係にとどまらない重大な問題と考え、厚労省および両財団に対する適切な対応を要求するとともに、不当に職場から排除された2人を資料館に戻すために、多くの仲間と手を取り合って奮闘します。

 

▼ネット署名にご協力ください。

国立ハンセン病資料館で発生した不当解雇の撤回をもとめています。 不当解雇を撤回し、2人の学芸員を資料館に戻してください!

 

「稲葉氏、大久保氏の主張に対する有志一同の見解の詳細」について(国公一般の見解)

 2020(令和2)年7月3日頃より、国立ハンセン病資料館(以下、資料館)の「有志一同」を称する数名の職員から関係各所に送られた「(別添)稲葉氏、大久保氏の主張に対する有志一同の見解の詳細」(以下「有志一同の文書」)に対する、国家公務員一般労働組合(以下「国公一般」)の見解は以下のとおりです。

 資料館の「有志一同」は、「元職員らを支える組合は、客観的な裏付けのない元職員による悪意と虚偽に満ちた主張を盲目的に信じて拡散させ、組合員ではない職員、元語り部への名誉棄損ならびに税金で運営されているハンセン病資料館への業務妨害を行っている」と主張しています。しかし、後述するように「有志一同の文書」こそ事実の歪曲であり、虚偽の内容でつくられているものです。国公一般は、二人の組合員に対する不当解雇の撤回と、二人を学芸員として資料館に復帰させることを求めているものであり、このような労働組合の正当な活動に対して「業務妨害」であるなどと攻撃することは、労働組合を敵視し、排除する以外の何物でもないことを指摘しておきます。
 「有志一同の文書」では、例えば稲葉さんが激高して糾弾しY事務局長を退職に追い込んだとする件についてですが、当時労働者代表だった稲葉さんが、職員たちの不満(今回の有志一同に名を連ねている者も含む)を集約して改善を申し入れただけであり、辞職を求めたものではありません。
 このように事実を都合良く歪曲してつくられた「有志一同の文書」については、その一つひとつすべてに反論することができます。しかし、国公一般は、本年5月8日に東京都労働委員会(以下、都労委)に対して、今回の不当解雇に関して不当労働行為の救済を申し立てており、目下審理中であるため、必要以上の反論は差し控えたいと思います。
 
 「有志一同の文書」の目的は、稲葉さんと大久保さんが職場を追われて当然の人間であると広く印象づけ、不当解雇撤回を求める私たちの運動とその支援者を切り崩すことが狙いです。
 ご支援をいただいている皆様におかれましては、この「有志一同の文書」に惑わされることなく、「稲葉さんと大久保さんを学芸員として国立ハンセン病資料館に戻せ」の運動への引き続きのご支援をお願いいたします。
 また、私たちの運動を支援したがために、すでに何らかの被害を受けられた方々がいらっしゃることには、心が痛むと同時に怒りを覚えます。誹謗中傷の相手をせず、ご自身を守る行動を取ってください。
 
 「有志一同の文書」は、全国のハンセン病療養所入所者自治会、署名の賛同人、ハンセン病市民学会関係者、国賠訴訟弁護団の弁護士、国会議員など、確認できただけでも約30カ所に及ぶ広範囲にわたってばらまかれています。
 資料館「有志一同」は、稲葉さんと大久保さんが多くの方々との間に長い時間をかけて培ってきた信頼関係を、虚偽の事実の流布をもって破壊しようとしています。
 資料館での学芸員の仕事は、ハンセン病患者・回復者の人生を扱います。自分の人生ではありません。きっかけは資料館での仕事だったとしても、顔や人柄がわかる人間同士として、生涯に渡ってつきあっていくものと考えます。
 稲葉さんと大久保さんは、このような考えのもと、資料館で働きハンセン病回復者との関わりを築いてきましたが、その関わりを日本財団と笹川保健財団は不当解雇によって物理的に奪いました。資料館の「有志一同」は、それに加えて、稲葉さんと大久保さんとハンセン病回復者との信頼関係までも奪おうとしているのです。

 文書の内容は在職年数等から「有志一同」の5人だけでは知り得ないものも含まれており、資料館の重要な管理職らが作成に関わっていることが推測されます。それが事実だとすれば、いざという時に法的責任を免れるために、上司の指示に逆らえない一般職員のみを実行者に仕立てて「有志一同の文書」を流布するというやり方は、卑劣なものだと言わなければなりません。
 いずれにしても、「有志一同の文書」自体が、国立ハンセン病資料館内で組織的な排除やハラスメントが行われてきたことを証明するものになっています。人権を扱う資料館において、このような人を貶める行為は決してあってはなりません。

 現在、管理運営を受託している笹川保健財団には、自らが雇用する国立ハンセン病資料館の職員らが行っているこうした誹謗中傷・名誉棄損行為をやめさせる責任があります。稲葉さんと大久保さんを「不採用」にした理由も明かさないまま、「有志一同」がまき散らす文書を好都合と考え利用しているのなら、国立ハンセン病資料館を管理運営する資格はないと言わざるを得ません。

 また、国立ハンセン病資料館を所管する厚生労働省は、受託団体のもとで行われているこのような人権侵害行為について、受託団体を強く指導することが求められます。これは人権尊重を根源とする国立ハンセン病資料館で起きた、重大な不祥事です。それにもかかわらず、これまでと同様に何も対処しない、あるいは実効性のない指導しか行わないとすれば、それは人権侵害行為に同調し、これを黙認しているのと同じであり、厚労省自身の責任も問われることになることを指摘しておきます。

2020年8月6日

国家公務員一般労働組合
同 国立ハンセン病資料館分会

 

 

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国立ハンセン病資料館で発生した不当解雇の撤回をもとめています。 不当解雇を撤回し、2人の学芸員を資料館に戻してください!

 

 

 全経済産業労働組合副委員長の飯塚盛康さんが、公務員の定年延長について書いてくれたので、以下紹介します。

 

 国家公務員定年延長に疑問符 自民・世耕氏 時事通信 2020年5月19日

 自民党の世耕弘成参院幹事長は19日の記者会見で、検察庁法改正案の今国会成立断念により先送りされることになった公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法改正案に関し、「経済が苦しくなる中、公務員の給料が下がらないまま定年延長していいのか」と述べ、疑念を呈した。


 世耕氏が疑念を呈している国家公務員の定年延長について考えてみました。

 まず、国家公務員の処遇について説明します。

 国家公務員には一般的な事務を行う行政職、国税専門官や労働基準監督官のような専門官、国立病院の医師、看護師、国立学校の教師などの種類があり、それぞれに給与表があります。

 国家公務員は労働三権のうちスト権と労働協約権が制約されているので、国家公務員の給与や待遇を決める人事院が存在します。

 人事院は「情勢適応の原則」と言って従業員50人以上の民間企業の給与や待遇を調査して、その結果に基づいて年に1度、国会と内閣に「人事院勧告」を提出します。

 人事院勧告を反映した給与法等が国会で可決されることによって現実のものとなります。

 従業員50人以下の民間企業も含んで調査すべきだという声も聴きますが、都道府県単位や大きな市単位の行政機関(ハローワークや法務局)の多くが50人以上なので、妥当性があると考えています。

 一部の政治家などが「公務員の賃金は高すぎるからもっと賃下げすべきだ」と主張していますが、人事院によると、2019年度の国家公務員採用試験で、一般職(大卒程度)の申込者が前年度比11%減の2万9893人で3年連続のマイナス。3万人を下回ったのは、現行の試験区分となった2012年度以降初めてでキャリア官僚と呼ばれる総合職の申込者も減少が続いています。また、国税専門官や労働基準監督官などの専門職試験(大卒程度)の申込者も前年度比11.1%減。下のグラフにあるように、国家公務員志望者はこの8年で一般職36%減、総合職27%減になっています。公務員賃下げを主張する政治家のみなさんには、こうした公務員志望者が激減している状況を少しは考えてもらいたいと思います。



 それから、公務員賃金にかかわってよくある批判が、国税庁の「民間給与実態統計調査」の民間労働者の平均賃金と比べて、公務員の賃金が高すぎるというもの。国税庁による民間労働者の平均賃金はパートやアルバイトなど非正規労働者の賃金も入っての平均賃金です。民間の数字は、正規労働者と非正規労働者の平均賃金なのに、公務員の数字は正規公務員だけの平均賃金と比べて「公務員の賃金は高すぎる」と言っているわけです。公務職場にも「官製ワーキングプア」の状態に置かれている非正規公務員が多数いて、厚生労働省では53%が非正規公務員です。

 国家公務員の賃金は、人事院勧告によってベースアップが決まりますが、昇給は「人事評価制度」によって基準の2倍上がる人もいますし、逆に半分以下、あるいはゼロという人もいます。

 また、係員、係長、課長補佐、課長、次長、部長、局長などの職務によって給与が異なりますが、上の職務に行くにも「人事評価制度」が使われていますので、年功序列も崩れつつあります。

 賃金は55歳になると昇給停止になり、人事院勧告によるベースアップだけになりますが、55歳以上はここ数年はほぼゼロです。実質賃金が下がり続けているので、国家公務員の賃金が60歳まで上がり続けるというのは誤解です。

 現在の国家公務員の定年後の働き方は、同じ役所で再任用するか、民間会社などに就職するか(役所があっせんする「天下り」はないことになっています)です。

 ちなみに国歌公務員は身分保障があることから、雇用保険の適用はないので、60歳でリタイアすると翌月から無収入になってしまいます。

 再任用後の多くの職員の賃金は25万円から27万円ですが、扶養手当、住居手当、寒冷地手当などは支給されません。

 また、この賃金額は週5日勤務した場合ですが、週5日勤務になると定員にカウントされるので、新規採用者が少なくなるというので、多くの職員が週4日か週3日の勤務になります。

 仕事の内容は60歳前と同じ人が多いので、仕事をこなすために長時間残業をしている人もたくさんいます。週4日勤務だと手取りで20万円を切るので、厳しいと思います。

定年延長後の給与は600万円は本当か?

 昨年度の人事院の調査では行政職の平均給与は411,123円(平均年齢43.4歳)なので、ボーナスを含む年収にすると約678万円ですが、これは高給のキャリア官僚も含めた給与なので、ほとんどの国家公務員が退職する時の本省課長補佐、管区機関の課長、課長補佐の平均給与は約40万円です。55歳で給与は増えないので、年齢を加味しても60歳で45万円、年収で740万円というところだと思います。これの7割なので518万円というのが妥当なところかと思います。

 それでは、定年後518万円が多いのかですが、仮に民間企業で60歳の時の給与が45万円、ボーナス4.5カ月とすると、民間企業では60歳以後働くと給与が60%になると高年齢雇用継続基本給付金が最高で15%もらえます。

 仮に60%まで給与を下げても給与と雇用継続基本給付金を合わせると69%になります。(高年齢雇用継続基本給付金は非課税、社会保険料もかからないので手取り額は70%以上になりますし、企業は社会保険料の負担が減るので60%まで下げる企業が多い)

 給与ベースでは国家公務員も民間もあまり変わりませんが、60歳以後のボーナスの金額で差が出る可能性があります。

 また、高年齢雇用継続基本給付金は2025年から半減されるので、民間の給与の変化もみていく必要があります。

 最後に高年齢者雇用安定法は、事業主に対して「65歳まで定年年齢を引き上げ」「希望者全員を対象とする、65歳までの継続雇用制度を導入」「定年制の廃止」のうちいずれかの措置を講じることを義務付けています。これにより、2019年度には「希望者全員が65歳以上まで働ける企業」の割合が78.8%にまで達しています。

 加えて、同一労働同一賃金の観点からいえば、今後は高年齢労働者も含め、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保が実現されていくことも見込まれています。これは国家公務員も同様です。国家公務員の定年延長に反対するのではなく、公務員も含めた働く人が、年金が受給できる65歳まで働きがいと安心感を持って働き続けることができるかを考えていくべきだと考えます。

 最後に公務員賃金と財政の問題です。冒頭に紹介した世耕氏もそうですがコロナ禍において財政出動が多くなっているので公務員賃金を削減すべきとか、「公務員は10万円給付受け取り禁止」などと橋下徹氏吉村洋文大阪府知事などが主張していますが、地方公務員の7.4%(20万3千人)は医師・看護師など医療従事者で、5%(13万5千人)は保健師など衛生行政従事者(総務省2019年データ)です。フランスでは医療従事者の残業代5割アップと手当で23万円を支給しています。

 下のグラフにあるように、そもそも日本の公務員は人数も人件費もOECDの中で最低です。コロナ禍の最前線で奮闘する医療従事者や衛生行政従事者、コロナ関連の給付金・補助金・助成金等の実務を行うのも公務員です。日本は公務員が少なすぎたためコロナ対応にさまざまな支障が出ているのです。逆に公務員の人数を増やし、公務員人件費を他国並に引き上げていくことこそ必要なのです。



(全経済産業労働組合副委員長・飯塚盛康)

 普段でも“霞が関不夜城”と呼ばれるブラックな本省庁の職場。公務員削減が続くなか、新型コロナウイルスへの諸対応も加わって、霞が関の国家公務員の「働き方」はいっそう過酷なものになっています。

 

 

 いま上記にあるように、霞が関公務員相談ダイヤルに取り組んでいますが、「コロナではないが肺炎との診断が出て休もうとしたが、上司から『コロナ対応で人手が足らず業務が回らないから肺炎だろうが仕事しろ』と言われ肺炎でも休むことができない」との悲痛な相談や、「コロナ対応業務を2交代制で行っているが、夜から朝まで働いた日に、上司から『昨夜から朝まで働いたのだから昼間は休んでいいが、自分の有給休暇を取って休んでくれ』と言われた」、「コロナ対応の非常時だからと2日連続で徹夜仕事を強制された。このままでは過労死してしまう」との声が寄せられるなど、コロナ対応という“非常事態”だから国家公務員をいくら酷使しても許されると言わんばかりのブラックな「働かせ方」が蔓延しています。



 通常時においても、霞が関で働く国家公務員の30%(1万200人)が過労死の危険を感じ、パワハラ被害は34%(1万1500人)、セクハラ被害は21%(7100人)にのぼっています。



 こうした状況が悪化し続けていますから、最近、メディアにおいても国家公務員の長時間労働を改善すべきではないかと指摘する記事が増えています。

 国家公務員、志望者が11%減 19年度試験、民間人気で(共同通信2019年5月15日)
 「人事院は15日、2019年度の国家公務員採用試験で、一般職(大卒程度)の申込者が前年度比11.0%減の2万9893人だったと発表した。3年連続のマイナス。好調な企業業績を背景に民間の人気が高く、担当者は「人材が奪われている」と語った。3万人を下回ったのは、現行の試験区分となった12年度以降で初めて。中央省庁の幹部候補で、キャリア官僚と呼ばれる総合職の申込者も減少が続いている。」

 

 転職希望の公務員が急増 外資やITへ流れる20代(日本経済新聞2020年3月14日)
 「公務員の人材流出が増えている。大手転職サイトへの公務員の登録数は最高水準にあり、国家公務員の離職者は3年連続で増加した。特に外資系やIT(情報技術)企業に転じる20代が目立つ。中央省庁では国会対応に伴う長時間労働などで、若手を中心に働く意欲が減退している。若手の「公務員離れ」が加速すれば、将来の行政機能の低下を招く恐れがある。」「慶応大大学院の岩本隆特任教授の調べによると、霞が関で働く国家公務員の残業時間は月平均100時間と民間の14.6時間の約7倍。精神疾患による休業者の比率も3倍高かった。若手を中心に国会対応で長時間拘束されることや、電話対応などの雑務に時間を割かれることが長時間労働の原因となっている。」

 

マツコ、公務員の長時間労働に危機感 「人様のことやる前に、まずあんたたちのこと見直したら?」(キャリコネニュース2020年03月17日)
 「霞が関なんて、けっこう近く通るけどさ、まあ、ずっと電気ついてるよ」「昔はさ、第一種のエリートと呼ばれる人なんてさ、ほとんど東大法学部みたいな人が固めてたわけよ。でもいまそれだけだと来ないんだって。だから、大変なお仕事なわけよ」「若い人たちは本っ当に大変な仕事をしてるわけなのよ、みんな。だからもうちょっとケアしてあげないと。最初の希望する人が増えるように労働環境を改善しないと」「『働き方改革』の旗振り役の省庁において過重労働が蔓延しているという恐ろしい事態になっている」

 

 

「東大生のキャリア職離れ」国家公務員試験戦線に異常あり!(Wedge REPORT2020年2月6日)
 「中央官庁のキャリア職を目指す国家公務員総合職試験の志願者数が減少傾向の中で、これまで国家公務員志向の強かった東京大学卒業生の合格者数が激減、大学別では首位を維持してはいるものの、東大生の「キャリア職離れ」が浮き彫りになっている。」「人事院が明らかにしたところによると、2019年度試験の東大生(大学院生も含む)の合格者数は、全体の1798人中で307人で、東大の比率は17.0%と過去最低のレベルだ。」


 上記の志望者が減少しているという共同通信の指摘ですが、数字を拾ってグラフを作ってみました。



 グラフにあるように、国家公務員の志望者はこの8年で一般職は36%減(1万6557人減)、総合職は27%減(7359人減)。現行試験制度になって一般職が3万人を下回るのは初めてで、最低の志望者数になってしまっています。

 この上に、いま新型コロナウイルスへの諸対応が加わって、以下のような声が寄せられています。

 コロナ対応で“非常事態”だからと大臣やキャリア官僚がテンパって“エリートパニック”のような状況になっている。大臣レクを休日に設定して多くの職員を休日出勤させるなど「働き方改革」に大臣自らが逆行していて、現場の職員は疲弊している。

 「一斉休校」など官邸トップダウンがひどい。各現場の事務方に一切相談なく突如として官邸トップダウンの政策が降ってわいてくるので、上意下達のパワハラ職場に拍車がかかっている。キャリア官僚の一部にパワハラで有名だった佐川宣寿氏のように、もともと“クラッシャー上司”は存在していたが、コロナ対応という“非常事態にかこつけて”というのと、“政治主導”という名の官邸トップダウンと内閣人事局による人事権も使っての有無を言わせぬパワハラの横行が、最も弱い立場に置かれている現場の若手職員のメンタルを痛めつけている。

 「帰国者対応」や「クルーズ船対応」など新型コロナウイルス対応に専門的な訓練や備えがない職員も非常時だからと業務にあたっている。通常時もギリギリの人員だったのでパンク寸前だ。公務員を減らし過ぎだと痛感している。



 通常の国会対応でも深夜残業だったが新型コロナウイルス対応が加わり職場は野戦病院のようだ。このままでは多くの職員が倒れてしまう。



 新型コロナウイルス対応の業務で職場に泊まり込むことがさらに多くなった。政治家からカップ麺の差し入れがあったが、カップ麺より職員を増やしてもらいたい。



 「カップ麺より職員を増やしてもらいたい」――霞が関で働く国家公務員の悲痛な叫びです。最後にいくつかデータを紹介しておきます。

 日本の公務員数を国際比較すると、OECD加盟国の中で最低です。ノルウェーのわずか5分の1、OECD平均の3分の1しか公務員がいません。北欧の福祉国家は多くの公務員に支えられているのです。日本は福祉国家と対極にあるOECDで最悪の「自己責任国家」です。

 

 人件費で見ても日本の公務員はOECDで最低で、逆に財政赤字は最高です。よく政治家が「公務員人件費が高いから財政赤字が拡大する」などと言いますが、デンマークやノルウェーなど公務員人件費が最も高い国の方が財政赤字が最も低いことを見てもデタラメな主張であることがわかります。

 

 国・地方の財政支出に対する公務員人件費の割合を見ても、日本はOECDで最低で、アメリカの半分しかありません。

 

 現時点で、国家公務員の常勤職員・非常勤職員にはコロナにかかわっての特別休暇(有給)が私たち労働組合の要求によってできましたが、コロナにかかわらなければ、非常勤職員には病休(有給)は存在しません。コロナ対応、労働安全衛生の所管である厚生労働省の職員の53%が「病気で休むと無給になる非常勤職員」という異常な事態にあります。

 

 国家公務員の中で最も過酷な「働き方」になっているのが、コロナ対応の所管であり「働き方改革」を担う厚生労働省。過労死の危険を感じたことがある割合が62%、残業代の不払いがある割合が78%。「働き方改革」が最も必要なのが厚生労働省の職場になってしまっているのです。

 

 

(井上伸)

 全経済産業省労働組合副委員長の飯塚盛康さんが、森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん事件に関連し、2018年3月7日に自ら命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの遺書手記を読んでの思いを書いてくれたので、以下紹介します。

 中央省庁には地方を所管する地方局があり、例えば経済産業省は〇〇経済産業局、国土交通省には〇〇地方整備局、厚生労働省には〇〇厚生局があり、財務省にも〇〇財務局があり、赤木俊夫さんが勤務していた近畿財務局もそのうちの1つです。

 基本的に本省は政策立案、地方局はその政策を実行するという役割になっているので、地方局の職員は補助金の交付決定から補助金額を確定して事業者に支払うなどの実務を担っています。赤木さんがいた近畿財務局も国有地払い下げの「実務」を担っていたはずです。

 私たち国家公務員は補助金や契約など、お金にからむ案件は会計検査院の受検が一番怖いので、きちんとした書類を揃えるというのは常識です。

 赤木さんが文書を改ざんさせられている最中の2017年の4月と6月に会計検査院の受検が行われていますが、書類は出すな、文書は保存していないと説明しろと言われたと手記に書いています。

 そんな中、7月に自分以外の人が異動してしまい、関係資料もないと分かった時、自分だけに責任を負わせようとする財務省に対する絶望感と改ざんしたという罪悪感によって精神を病んだのだろうと思います。

 ちなみに翌8月には安倍昭恵夫人の秘書だった経産省のノンキャリの谷査恵子氏はイタリア大使館に一等書記官として赴任しています(怒)。

 地方局では総合職いわゆるキャリアが新規採用されることはなく、全員ノンキャリですが、幹部といわれる局長や部長は本省からキャリアが送り込まれてきます。

 本省からみれば地方局は格下と見られていて、地方局は本省の言うことを聞いておけばいいんだと、本省から送り込まれた幹部のキャリアも思っているので、赤木さんが改ざんに抵抗しても押し切られていく姿は身につまされます。

 佐川宣寿局長が、なぜ文書記録は存在しないと国会で答弁したのか、決裁文書を改ざんしたのか? 安倍首相が国会で「妻と自分が関係していたら総理大臣だけでなく、国会議員も辞めますよ」と言ったことが発端だということは、絶対に忘れてはならないことです。

 『週刊文春』2020年3月26日号に掲載された赤木さんの遺書と手記を読んでから、ずっと心が沈んでいます。私自身、関東経済産業局という赤木さんが働いていた近畿財務局と同じ「管区機関」で働き、ノンキャリの課長補佐という同じ役職だったので、他人事とは思えないからです。

 赤木さんがなぜ改ざんを断ることができなかったのか? それは、赤木さんが旧国鉄から採用されたことにあるのではないかと私は思います。

 高校卒業後、当時の国鉄に就職した赤木さんは、国鉄の分割民営化によって1987年に中国財務局に採用されました。

 当時、10万人近い職員が余剰人員とされ、希望者は民間会社や民間鉄道会社や公務員などにあっせんされて就職しましたが、不採用になった人は国鉄清算事業団に行かされました。

 財務局に採用された赤木さんは国鉄清算事業団に行かなくて良かったと喜んだと思います。そして、赤木さんは財務局に恩義を感じたのではないでしょうか。それは畑違いの仕事をしながら、もっと勉強して役に立ちたいと思って、立命館大学法学部の夜間コースに通ったことでも推察されます。

 もしかしたら国鉄清算事業団に行ったかもしれない自分を救ってくれた財務局に恩返しをしようと仕事をしていたに違いありません。関東経済産業局にも国鉄や林野庁の就職のあっせんを受けて来た人がいて、同じような思いで仕事をしていた人を私は多く知っています。ですので、赤木さんも同様だったのではないかと思うのです。

 そんな、恩義のある組織から改ざんを頼まれて涙を流して抵抗した赤木さんの無念を想像すると、胸が張り裂ける思いです。

 財務省は赤木さんを見捨てたのか? 2017年2月から決裁文書を改竄させられた赤木さんは7月には異動できると思っていたのに、関係した人は異動したのに自分は異動できないだけでなく関係書類まで無くなったことで、精神を病んでしまいます。

 なぜ、そんなことができたのか? それは、赤木さんが正式な公務員試験を通った人ではない、いわゆる「外様」だったからではないかと思います。もっとひどい言い方をすれば、国鉄をクビになるところを拾ってやったヤツに全部責任を負わせてしまえと考えたのではないか。財務省、近畿財務局は赤木さんを見捨てたのです。

 赤木さんは国民のために仕事ができる財務省が好きだったと思いますが、その財務省の官僚は簡単に赤木さんを見捨てて、命まで奪いました。

 そして、手記が出た今でも麻生太郎財務大臣は見捨て続けています。

 安倍首相は「改ざんは二度と起きてはいけないこと」と言っていますが、改ざんは一度たりともやってはいけないことです。そしてその一回をやったのも、安倍首相が国会で「森友学園の国有地の払い下げに妻か自分が関係していたら総理大臣だけでなく国会議員も辞める」と言ったからです。あの時、安倍首相が辞めていれば、赤木さんが自ら命を絶つこともなかったのです。人の命を奪ってまで首相の座にしがみつくことを許し続けている国は、およそまともな民主主義国とは言えません。

 今からでも遅くないので、安倍首相は、首相も国会議員も辞めて、昭恵夫人と一緒に赤木さんの墓前で謝ってもらいたい。

 佐川理財局長が命令し、美並近畿財務局長が承諾し、黒川次官が不起訴にした。佐川氏は国税庁長官、美並氏は東京国税長、黒川氏は検事長。そして赤木さんは命を奪われた。赤木さんの命を奪っておいて、安倍首相も昭恵夫人も佐川氏も黒川氏らものうのうと暮らしています。昭恵夫人は赤木さんが命を奪われた日に銀座でパーティーに参加していました。この夫婦に人の血は流れているのでしょうか?

 安倍政権が続く限り、まじめに働く多くのノンキャリは、いつ第2の赤木さんになってもおかしくありません。

 国家公務員は赤木さんの言う「私の契約相手は国民だ」という言葉を胸に刻んで仕事をしてください。

 各省庁にある労働組合は、赤木さんのような人の駆け込み寺になって、職員に違法、不当な仕事をさせないと宣言してください。

全経済産業省労働組合副委員長・飯塚盛康

 11月27日(水)午後6時から10時まで「霞が関公務員相談ダイヤル」を実施します。



 この「霞が関公務員相談ダイヤル」と並行して、「霞が関不夜城ウオッチング」に取り組み、各省庁の実態をツイッターで発信します。

 こうした取り組みに先立ち、霞が関で働く国家公務員のみなさんに集まっていただいて座談会を開催しました。

 出席:A省Yさん(男性)、B省Nさん(女性)、C省Sさん(男性)、D省Wさん(男性)、E省Mさん(男性)、司会:国公労連・井上伸

霞が関の「働き方改革」は?

 井上 今年4月から霞が関の国家公務員にも「働き方改革」が導入されて、一般の職員には超過勤務の上限規制を月45時間以下・年360時間以下、「他律的な業務の比重の高い部署」に勤務する職員には月100時間未満・2~6カ月平均で80時間以下・年720時間以下になりました。4月以降、みなさんの「働き方」は改善されているでしょうか?

  そもそも国会対応が多い霞が関の職場は「他律的な業務の比重の高い部署」とされています。その上、月80時間、100時間という過労死ラインを超えている上限規制についても罰則規定があるわけではないので、いま行われている臨時国会の中でも残業が減ったという実感はありませんね。

  「働き方改革」が実際された4月以降もタイムカードも何もなく、出退時間が把握されていません。そういう中で、「働き方改革」の掛け声で「残業減らせ」ということだけが一人歩きして、表向きの残業申請と実際の残業時間が大きく乖離していっているように思います。実際の残業時間は減っていないのに、見かけの残業時間が減ってしまうのが「働き方改革」の正体ではないでしょうか。



  能力・実績主義の人事管理が強まっていることも大きいと思います。「残業をする職員は能力がない」などと評価されることが「働き方改革」で強まっていて、職員は自分の能力がないから仕事がこなせず長時間残業になるというような「残業は自己責任」と思い込まされている問題もあって、早朝仕事は残業じゃないなどと始発電車で早朝仕事をする職員や酷い部署は非常勤職員にも早朝仕事のタダ働きをさせています。そして、上司も「部下に残業させる上司は能力がない」とされるので残業時間を少なく改ざんしてしまうことも横行しています。





  相変わらず国会の審議日程が直前に決められて質問通告も直前なので、残業は減りようがないですね。根本的な国会運営の改善が必要だと思います。日本以外の国はそもそも国会の審議日程が最初からきちんと決められているから野党の質問通告もきちんと余裕を持って事前に出されています。
 例えば、質問通告の期限は、フランスが2週間前、ドイツが1週間前、一番短いイギリスでも3日前と諸外国では厳守されています。ようするに国会の審議日程がきちんと先々まで決まっていて、日本のように与野党での日程闘争も起きず、質問通告する側にも準備期間が余裕を持って確保されているので事前の質問通告期限も厳守できることになり、必然的に国家公務員が深夜残業をする必要がないというのが日本以外の主要国の常識になっています。
 霞が関の「働き方改革」と言っても、これまでと同じように審議の日程闘争と直前の質問通告では、台風が来ていてもどう考えたって国会対応する職員は家に帰れないということです。

世耕弘成経産大臣の下でも徹夜残業が横行

  世耕弘成さんが「質問通告が話題ですが、答弁作成については役所側にも改善できる点があります。想定問は未明に完成、大臣が早朝登庁し勉強会というのが一般的で、職員は徹夜ということにもなるのですが、私は経産大臣時代、職員に徹夜をさせないとの強い決意で、工程を抜本的に見直しました」と10月20日にツイートしています。しかし、これは現場の職員から言わせてもらえば、世耕さんのパフォーマンスに過ぎません。世耕さんが経産大臣のときの実態は、答弁完成の締切が22時30分となりました。世耕さんが始めたルール以前は、その日やらなくてはならない「急ぎ案件」と午後や夜に急に飛び込んできた「国会答弁づくり」を、両方進めて結果的に両方終わるのが25~26時でした。世耕さんのルール以後は、「国会答弁づくり」を22時30分に終わらせて、それからその日やらなくてはならない「急ぎ案件」に取りかかり、結局帰るのが25~26時で結果何も変わりませんでした。
 もちろん、「急ぎ案件」でも翌日に延ばせるものであれば家に帰って翌日取り組むので、徹夜を抑制する効果は多少あったとは思いますが、根本的にこのルールがあったから深夜残業や徹夜がなくなったと言い切るのは無理があります。
 そもそもの業務量削減、もしくは業務量に見合った職員数の増員、そして深夜残業が生じない国会運営と質問通告ルールを整備しないと、霞が関の国家公務員の長時間残業はなくならないと思います。
 それから、世耕さんがツイートで「質問通告の遅い議員については、直近の資料要求や過去の質問、発言などから質問を予測し、事前に準備を進めておくようにした」と書いていますが、この事前準備の作業量がハンパなかったです。今も忘れない、2016年11~12月に、翌年の通常国会で厳しい質問が予定されていたので、当時経産大臣だった世耕さんから「シビアな想定問答を用意するように」との勅命が下り、200問、300~400ページに及ぶ想定問答集を作成しました。
 12月下旬に目を通した世耕さんから「これでは次の国会で耐えられない。正月休みの間に俺はみっちり勉強してくるから、もっと厳しい質問にきっちり応えていける材料を年末までに準備して!」と言われ、仕事納めの12月28日24時では終わらず、翌日の朝方まで大臣宿題に徹夜で仕事をしていた職員が数名いました。
 結局、「国会対応は22時30分までに終わらせていた」のかも知れませんが、単に別の仕事にしわ寄せされて現場の職員は深夜残業、徹夜残業をさせられていたのです。

  地方自治体から出向している職員や、地方出先職場から霞が関に異動になった職員に対して、人員削減が激しく人手がないために、仕事を引き継ぐ人員、仕事を教える人員が手当てされないことも増えています。右も左も分からないまま月100時間の残業になり残業代も払われず、その上に仕事が上手く進まない職員に対して、クラッシャー上司がパワハラを行うなども横行しています。



2日前の質問通告で徹夜残業はなくなる

  国会の審議日程をきちんと前々から決めて、少なくともイギリスの3日前の質問通告ルールを厳守すべきだと思います。私たちの要求はそれよりも更に妥協して2日前ルールを厳守してほしいということですが、2日前の質問通告を守ってくれれば深夜残業や徹夜残業はなくなると思います。
 9月27日に各党の国会対策委員長に、2日前の質問通告ルール厳守と業務に見合った職員増を要請しました。自民党、立憲民主党、共産党も基本的には受け止めてくれて、自民党の森山裕国対委員長も霞が関の国家公務員の残業をなくすことは「一丁目一番地」だと言ってくれたので、この流れを大事にして改善する方向に持っていきたいですね。


残業代が出ないことが「働き方改革」?

  4月以降は上限規制で残業時間が減るというよりも、「これからは上限規制を超えて残業しても残業代は出ないからね」と上司に言われました。国会対応はこれまでと一緒で業務量は減らず、職員は減らされているので、結局、4月以降の変化というのは、残業代が出ないということが明確になったということだけです。これのいったいどこが「働き方改革」なのでしょうか?

  4月から何か変わったかと聞かれれば、とにかく「残業を減らせ」とか、「プレミアムフライデーを積極的に取得しよう」などと上司が言うようになったということぐらいですね。でも、残業を減らせるように業務量を減らすとか抜本的に人を増やすということは何もやっていないので、掛け声だけが発せられているという感じですね。

自腹の扇風機で暑さしのぐ

  長時間残業の問題以外だと、早く改善してもらいたいのは、真夏のときの冷房ですね。私が働いている庁舎は西日がガンガン差します。冷房の設定温度が28度と決められているのですが暑くて仕事の能率も落ちる。それでどうなっているかと言うと、見かねた上司らが自腹を切って扇風機を寄贈し暑さをしのいでいるのです。真夏に残業していても夜になると冷房を止められるので、真夏の夜の霞が関不夜城は地獄ですね。長時間残業で過労死の危険がありますけど、熱中症で命を落とす危険も感じています。自治体の職場で冷房の設定温度を28度から26度に下げたら仕事の効率が上がったとマスコミ報道されていましがら、霞が関もそれを見習う必要があると思います。現場では熱中症対策で、水を入れたバケツに足を突っ込んで仕事しているとか悲惨なことになっていますから。

職場に1週間泊まり続ける職員、残業じゃないと早朝仕事が横行

  地方から霞が関に出向している職員で、宿舎が八王子や小金井だったりすると、深夜11時くらいまでの常態的な仕事になっているから、その時間から家に帰れば往復で3時間は削られるから、もう普通に寝る時間も確保できなくなって過労死してしまう。そうすると、職場に1週間泊まり続けている職員もいます。
 それから、ある部署では上司が「働き方改革だから残業はせず朝仕事しよう」などと言って、定時前の早朝から突然仕事が始まっているところがあります。私たちは「朝練」と言っているんですが、これはそもそも労働時間にカウントされていませんね。もう2カ月くらいずっと「朝練」が行われていて、結局は朝早く来て労働時間が増えているわけですね。

「働き方改革」という名の「時短ハラスメント」=「ジタハラ」

 それから、これも4月以降の変化の一つですが、「働き方改革」には必要だとして残業時間の多い職員が実名で公表されるようになっていて、残業が多い職員はとにかく問題なんだという感じになっています。労働組合で職場アンケートを取ったのですが、職員はこの実名公表をペナルティーと感じていて、現場は業務量が減らず人員が減らされたり、酷い場合はメンタル疾患である日突然人員が減ったのに全くそれは手当てされないからどんどん残業時間が増えているのにそこは考慮されず、ただただ残業時間の多い職員個人は問題だと実名が公表されるので酷いという意見が多かったのです。結局これは長時間残業の問題を職員個人の責任だけにする「働き方改革」という名の「時短ハラスメント」=「ジタハラ」で問題だと思っています。

「ジタハラ」で増える「隠れ残業」「休日出勤」
大臣レクが休日夜8時、午前5時40分


 この「ジタハラ」で何が職場で起こっているかと言うと、「隠れ残業」です。毎日残業していても本人は申告しないし、休日出勤が増えています。業務量が減らず職員が増えない中で「ジタハラ」が起こると、見かけの上では残業が減るという「隠れ残業」「休日出勤」が増えているのが現状です。
 それから、つい先日あったことですが、大臣レクが休日の夜8時に設定されました。これにいったいどこが「働き方改革」なのかという話だと思います。

  私のところでは、大臣レクが午前5時40分に設定されたことがありました。

 井上 午前5時40分にどうやって出勤したのですか?

  私は職場に泊まっていました。上司は帰宅した後に決まったことだったこともあり、電車もないのでタクシーで出勤しました。

小さな子ども残し過労死した同僚

  先日、国会対応の仕事で残業が多かった同僚が過労死しました。その同僚はたばこも吸わないしお酒もそんなに飲まない人なのですが、脳出血で亡くなりました。子どももまだ小さくてやりきれない思いでした。

  私の職場では今年3月と5月に職員の過労死が起きています。

メンタル疾患のドミノ倒しで増える残業

  私の部署はドミノ倒しのようにメンタル疾患での休職者が出ていて、「働き方改革」どころか日増しに残業が増えています。

 井上 その原因はやはり国会対応ですか?

  そうですね。きょうも国会待機がかけられてこの座談会の時間にも遅れて参加することになりました。不確実な状況の中で待たされるのは辛いものがありますね。

  パワハラ常習犯のクラッシャー上司が部下の若手のキャリア職員をメンタル疾患に追い込むケースも多くて、ある日突然、職場に出て来なくなって、そこでもドミノ倒しが起こってノンキャリ職員も休日出勤を強制されたり、病休に追い込まれてしまっています。




目立つ女性職員の徹夜残業、妊娠していても深夜残業、恒常的なマタハラ

  最近、女性職員の深夜残業や徹夜残業も目立っています。数年前まではあまり見ることがなかったので、この点でも「働き方改革」になっていないと思います。

  経産省は「ダイバーシティ、女性活躍に優れた上場企業を『なでしこ銘柄』に選定」することを行っているのですが、経産省の職場では妊娠している女性職員に深夜残業を強制している実態があります。母性保護もないがしろにしている経産省が「女性活躍」とか「ダイバーシティ」などと銘柄を選定しているなんて、ただのブラックジョークでしかないと思います。

  私たちが取り組んだ霞が関で働く国家公務員の実態アンケートでは、「過労死の危険を感じている」は30%(1万200人)、「パワハラ被害を受けた」は34%(1万1500人)、「セクハラ被害を受けた」は21%(7100人)にものぼっています。妊娠している女性を午前3時まで残業させている部署があるなど、「つわりぐらいで深夜残業できないなら霞が関から去れ」と言わんばかりの物理的なマタハラが恒常的に行われている酷い実態もあります。



官邸私物化の人事横行で現場の仕事が増える

 井上 先日、国公労連でシンポジウムを開催したときに、前川喜平さんが「今の霞が関の人事はめちゃくちゃで、文科省の事務次官がとんでもない人になって衆目が一致する人が事務次官にならなかった。官邸べったりの人が事務次官になってトップがそうだから後の人事も酷いものだ」と言っていました。みなさんの職場でもこうした問題は起こっていますか?

  私の省庁でも同じですね。官邸べったりの人事になっているから、官邸に気に入られるための仕事をしていて、それで現場の仕事が増えていますね。
 「政治主導」などでもともと現場に口出しして来ることが多くなっていて、それに対応するために余分な仕事が増えて残業も増えるという構造が前からあったのだけど、官邸べったり人事が横行することでそれに拍車がかかっています。
 若手のキャリア官僚がとにかく官邸の意向をはかりながら仕事をしないといけないからストレスが溜まっているみたいで、徹夜残業とかしていると結構官邸に対する愚痴が出て来ることが最近多くなっていますね。

  「政治主導」「官邸主導」でとにかく何かやっている感を出すというムダな仕事も増えているように思います。千葉の台風被害で現地にとにかく行けと言われ、官用車に乗せられ自治体に連れて行かれたけど停電のため何もできず、やっとつながる携帯電話で状況を報告したのだけど、そのほかにはなんの指示もなく数日、役場の床で寝て、とにかく霞が関の職員も被災地に行きましたというアリバイ作りのためのムダな仕事もさせられています。

  あからさまな官邸人事がやはり増えていますね。本来ならその行政分野の専門性を持った人や国民目線で政策を考え仕事ができる人が出世すべきなのに、それとは真逆の何の専門性も国民目線もなく、ただただ官邸の覚えのいいことをやればその見返りに出世するようになっています。逆に、現場の職員がこの人となら一緒にいい仕事がしたいと思える人が排除されてしまう。なぜあんな人と一緒に仕事しなくちゃいけないのかと現場には不信感だけがつのっていくので現場の指揮は下がる一方です。

  結局、人事も酷いことになり、仕事のやり甲斐も失われて、長時間残業は続くということですが、若手職員が集まると、とにかくもうこの仕事は辞めたいという話になっていますし、実際、周りの若手職員は転職を決めているケースが目立って増えています。
 霞が関の長時間労働をなくすには、こうしたムダな仕事をなくすために人事の官邸私物化をやめさせることや国会対応を改善することはもちろん、根本的には、国家公務員数が異常に少ない現状を変えていく必要があると思います。

 

 

 

 私たちの仲間である霞が関国家公務員労働組合共闘会議(霞国公)が「中央府省等に働く国家公務員の第27回残業実態アンケート(2018年1月~12月の1年間)の結果」を発表しました。

 すでに、「旧労働省系職員の残業、3割近くが「過労死ライン」超え」(朝日新聞)「厚労省「残業代未払い」が7割超、残業時間もワースト1位 組合の残業実態調査で判明」(弁護士ドットコムニュース)などで報道されています。

 ここでは、アンケート結果のポイントとプレスリリースを紹介します。(※アンケート結果の全体はPDFで読むことができます→アンケート結果全文)

 まず、府省別ワースト3です。なんと、厚労省(労働)が「月平均残業時間」「80時間以上残業者割合」「過労死の危険を現在感じている」「過労死の危険を感じたことがある」「残業手当に不払いがある」「退庁時間23時以降」「定時退庁日に定時退庁できない」の11部門中7部門でワースト1位となっています。

 



 ※以下プレスリリースです。

霞国公2019年残業実態アンケート結果について
 2019年7月31日 霞が関国家公務員労働組合共闘会議(霞国公)


 霞国公は、霞が関に所在する立法、行政、司法で働く中央府省の17の労働組合(組織人員:約1万人)を対象に、本年3月、2018年1月~12月における1年間の勤務状況を対象に「残業実態アンケート」を実施しました。このアンケートは1985年(昭和60年)から実施しており、今回で27回目になります。

 今回のアンケート結果での特徴は以下のとおりですが、ここで浮き彫りになった問題点は、国の機関で働く職員の長時間過密の労働実態です。この実態に起因する過労死・過労自殺を出さぬよう警鐘を鳴らすことにつなげる意味で、本日ここに公表致します。

■今回の結果と特徴■

 霞国公組織17組合中、アンケートに参加したのは9組合、回答者は2,169人です。回収率は組合員(約1万人)比で21.7%となり、霞が関で働く一般職員全体(約34,000人)の6.4%に相当します。

1.月平均残業時間は36.9時間、残業代の「不払いがある」との回答は41.6%

 月平均残業時間については、昨年と比べて3.9時間増の36.9時間となりました。

 また、休日出勤については「休日出勤あり」が57.8%で、前年より0.4ポイント減少しました。休日出勤したにも関わらず手当も代休もなかった人の割合は24.0%でした。

 超過勤務手当の支給についてアンケートでは、「不払いがある」と回答した人が、41.6%おり、不払い残業が解消されておらず、早急な解決が必要です。

 

 

 

 




※残業や休日出勤に対する手当の全額支給は当然のことであり、国家公務員給与法第25条では、「この法律の規定に違反して給与を支払い、若しくはその支払を拒み、又はこれらの行為を故意に容認した者は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する」とあります。このような違法状態は直ちに改められなければなりません。


2.霞が関の残業時間「過労死ライン」に3,332人(9.8%)
 「過労死を現在感じている」1,292人(3.8%)。「過労死の危険感じたことがある」30%


 霞が関における残業の実態は依然として深刻です。過労死の危険ラインとされる月80時間以上残業した人は、前年より3.6ポイント上昇し、9.8%も存在することが明らかになりました。これは霞が関全体の職員のうち、3,332人(34,000人の9.8%)が過労死危険ラインで働いていることになります。

 実際に「現在過労死の危険を感じている」の回答は3.8%で「過去に過労死の危険を感じたことがある」26.2%と合わせると、職員の30.0%が現在または過去に過労死の危険を感じたことがあると回答しています。

 

 

 

 




3.「疲労や精神的ストレスを感じている」が過半数超え、
 「からだの具合が悪くて休みたかったが、休めなかった」44.6%


 現在の健康状態については、「不調である」「薬等を服用している」「通院治療中である」と、健康に不安を抱えていると回答した人たちが全体で32.4%に上っています。

 また、「疲労や精神的ストレスを感じている」と回答した人は53.0%であり、その主な原因は「職場の人間関係(29.0%)」「仕事の量が多すぎる(27.8%)」「超過勤務・休日出勤などの長時間労働(17.8%)」「通勤ラッシュ・長時間通勤(17.8%)」となっています。

 さらに、毎日の退庁時間が11時以降の人は14.4%で、「からだの具合が悪くて休みたかったが、休めなかった」と回答した人が44.6%と半数近くの人が訴えています。

 こうした実態は健康破壊寸前の状態と言わざるを得ず、解消にむけた早急な対策が求められます。




4.残業の最大要因は「業務量が多いため」、次いで「国会対応」

 残業の最も大きな要因は、「業務量が多いため(59.4%)」「人員配置が不適切なため(29.6%)」「国会対応(29.1%)」が上位となっており、業務量に見合う職員が十分に配置されていないことと、深夜に及ぶ国会対応が長時間労働の要因であることが浮き彫りになりました。

 国会対応の改善のためには、「質問の早期通告」(48.8%)が高い割合を占めています。

 回答者の声としては、「国会議員がきちんとした認識を持って、早期通告してほしい」など議員からの質問が出ないと各府省の職員が帰れない実態が表れています。国会対応業務の効率化と、こうした実態に認識を持って対応していただくことを望む声が強まっています。

 こうした国会対応残業を改善するため、本来、既に確認されている与野党国対委員長会議申し合わせ事項となっている「質疑者は原則として前々日の正午までに質問の趣旨等について通告する」とした質問通告ルールの原則を徹底することを再度求めていきます。

 

 


 

 5月29日(水)午後6時から10時まで「霞が関公務員相談ダイヤル」を実施します。

 



 この「霞が関公務員相談ダイヤル」と並行して、「霞が関不夜城ウオッチング」に取り組み、各省庁の実態をツイッターで発信します。

 こうした取り組みに先立ち、霞が関で働く国家公務員のみなさんに集まっていただいて座談会を開催しました。(司会=井上伸

 井上 みなさん、お忙しいなかお集まりいただき、ありがとうございます。これまで何度か座談会を開催していますが、今回の大きな違いは、この4月1日から霞が関でも「働き方改革」が実施されていることです。すでに1カ月以上経過していますが、霞が関の「働き方」は改善されているでしょうか?

  私の職場では、「働き方改革」を推進するための担当官なるものが生まれました。その担当官が職員みんなに「早く帰ろうね」と声かけしたり、残業時間が多い順番に職員の個人名でワーストランキングを発表したりして、組織全体としての問題というより職員個人の自己責任のような形で「長時間残業する職員が悪い」とばかりに職員個人の問題に矮小化して追及するようになっています。そうやって個人の問題のすり替えて、形だけ平日の残業をなくそうとすると、私はみんな休日出勤して仕事するようになるのでは?と思っていました。そして実際、本当にほぼ全員が休日出勤しています。土日や祝日の休日だと平日よりはるかに電話がかかってこないし静かに集中して仕事ができるということもあり、みんな出勤しています。休日も職場の風景が全く変わらないのです。それで、休日出勤で仕事をしても職員は申請しませんから単なるただ働きです。うちの職場では、「働き方改革」によって平日の残業をなくせと言われて休日のただ働きが横行しているというのが実際です。

  私の職場では夜に残業をするといろいろ注意されるので、始発電車で早朝に仕事をする職員が増えています。早朝に仕事をしている職員は、自分の能力がないから定時で仕事がこなせないと思い込んでいて早朝仕事分を残業時間として申請していません。なかには早朝は早く来てるから「残業」じゃないなどと、非常勤職員も一緒に早朝仕事のただ働きをさせている部署もあります。

 井上 ひどいですね。「働き方改革」によって霞が関でも4月1日から、①一般の職員は1カ月の残業が45時間以下(1年360時間以下)、②「他律的な業務の比重の高い部署」で仕事する職員は1カ月の残業が100時間未満(2~6カ月平均で80時間以下、1年720時間以下)、③1カ月で100時間以上の残業を行った職員は医師による指導を行うこと(健康確保措置)、④管理職も含む残業時間の適切な把握、などが人事院規則として規定されいるのに、実効性が全くないような状況ですね。

  その「働き方改革」が実施された4月1日以降も私の職場はタイムカードも何もなくて、出勤時間も残業時間も全く把握されていません。表向きはきょうは午後9時まで残業を申請したとなるのだけど、だいたいは申請した時間を大幅にオーバーする。しかし、そもそも残業時間が把握されていないから何の「働き方改革」にもなっていないという職場実態です。

  私の職場では連続して職員の自殺者が出たことがあって、労働組合としてこの問題を改善するために当局を様々な形で追及してきました。その結果、在庁時間管理は厳しくやるようになりました。エクセルシートで登庁時間と退庁時間で管理しているのと、各職員のパソコンのログイン時間とログオフ時間でも管理しています。残業時間と言わずに在庁時間としているのは問題がありますが、課ごとの平均の在庁時間を月一回ランキングにして発表しています。私の課は平均の退庁時間がこの4月で21時でした。退庁時間が20時を超えると改善計画というのを出す必要があるのですが、その残業改善計画をつくるのも職員が残業してつくるという本末転倒の実態も起こっています。

  法改正に携わっていた若い職員が過労死しました。職場で寝泊まりしていて、その法改正の仕事が終わった後に気持ちが切れたことも一つの要因になってしまったようです。そもそも、国会対応で「他律的な業務の比重の高い部署」に、全職員の97%がされていて、1カ月の残業が100時間まで最初から認められているのだから、「働き方」は全く改善されないし、過労死や過労自殺もなくなりようがありません。

  国公労連が昨年の6月に実施した「セクハラ・パワハラ実態調査」だと、霞が関職場でのパワハラ被害は34%(1万1,500人)、セクハラ被害は21%(7,100人)にのぼっていて、いま国会では実効性がほとんどないハラスメント法案が審議されていますが、霞が関職場のパワハラも相変わらずです。パワハラの常習犯になっているいわゆるクラッシャー上司、クラッシャーキャリア官僚が、部下のキャリア職員をパワハラで病休に追い込んだと思ったら今度はノンキャリ職員も次々とパワハラで病休に追い込みました。それで人手が足りなくなったと言って、今度は残った職員に休日出勤も強制するという地獄のようなブラックな実態も広がっています。人事院は一刻も早く実効あるハラスメント対策を具体化すべきです。

  私は地方自治体から霞が関に出向してきたのですが、私が着任してからその部署に関連する大きな事件が起こって毎日終電の日々が続きました。日中は、地方自治体からの問い合わせや国民からの問い合わせへの対応で大変になってしまったので、定時を過ぎてからが本来業務をするほかなく毎日終電で、極度のストレスで白血球が異常値になってしまいました。今までやったこともない国会対応や、これまで霞が関からいろいろな文書を受ける側だったのに突然文書を出す側になってこれもやったこともないの突然やれと言われて、しかもそのやり方を教えてもらえない。前任者が異動してすでにいないというのと、ほかの職員も自分の仕事だけで忙しいので教える余裕がないのとそもそもその仕事を誰も知らないというので、自分で前任者が残した資料等を調べるしかなくて本当に大変です。

  地方自治体や地方出先から霞が関に出向してくる職員は優秀な人が多いのに、きちんとした前任者からの引き継ぎもなく今までやったこともない国会対応などの仕事を、そのやり方をどうすればいいのかも教えられず突然やるしかない状況に置かれています。とてもストレスフルなので地方から出向した職員は霞が関で1年間仕事すると2割ほどがメンタル疾患での病休に追い込まれて、さらに2割が仕事を辞めていっています。

  地方から出向してきた職員が土日もなくほとんど家に帰れないような仕事が続いていたのですが、職員本人はタフらしく今のところその仕事を続けているのですが、一緒に上京した奥さんがメンタル疾患になってしまいました。突然上京して官舎に住むことになった奥さんは全く知人もいないところで夫も家に帰って来ないということで話し相手もおらずメンタル疾患になってしまったとのことです。NHKで、「厚労省で妊婦が深夜3時まで残業!」という報道がありましたが、霞が関で働く女性職員についても育児休業を強制的に切り上げさせられたり、霞が関職場では「働き方改革」などどこ吹く風という感じです。それと、森友問題と加計問題が起こってから、公文書管理にあたって電子決済を流す前に紙で流してOKになると電子決済に回すという二度手間の仕事の流れにもなっていて余計な仕事が増えています。二度手間の公文書管理で残業が増えるなどという不合理な仕事のやり方は今すぐやめるべきです。

  公文書管理にあたって私の職場ではそういう二度手間にはなっていませんが、森友・加計問題以降、基本的に文書やメモを長い期間は残さないというような流れになってしまっています。職員個人のメールについても長い期間は基本的に残さないようなことになっていて、何か問題が起こって問い合わせがあった場合にも「すでに破棄してありません」と答えるような状況です。しかし現場の職員は自分の仕事を進めるために必要な文書やメールは残しているわけで全くおかしなことになっています。

  私の職場もメールは表向きはどんどん破棄していることになっています。7日で廃棄と対外的には言い切っていて、何か聞かれたら破棄しましたと言え、とにかく文書は残すな、となっています。

  そうした公文書管理もひどいですが、首相官邸と霞が関とのバランスが崩れてしまっています。官邸からのトップダウンの仕事ばかりが増えていて、国民からの行政ニーズを反映していくというボトムアップの仕事になっていません。内閣人事局が2014年5月30日に発足してキャリア官僚の人事を首相官邸が握ってから各省庁は他省庁と調整して仕事を進めるのではなく、官邸と直接やりとりしてとにかく官邸のおぼえをよくすることしかやっていない感じです。そして官邸のおぼえがよくなった省庁のキャリア官僚は出世できることになっています。しかし、今の安倍政権が未来永劫続くわけもないわけで、常軌を逸しているような安倍政権べったりの省庁はいったい何を考えているのかとも思います。

  先日、20代の若手キャリア官僚の人たちに会って話したのですが、何人かは、「官邸が霞が関の職員を下僕のように扱うようでは日本はダメになる。こんな仕事を30代半ばまでやらされて海外留学して40歳ちょっとになるようなキャリアを積むのはイヤなので国家公務員はやめたいと思っている」と言っていました。キャリア官僚は仕事で海外留学した後に民間企業に転職するとその留学費は自己負担になるのだけど、最近は民間企業が留学費も払ってキャリア官僚に転職をうながすケースも増えていて、優秀なキャリア官僚の民間企業への流出も止まらないようです。

  内閣人事局ができて首相官邸が人事を握ってキャリア官僚を下僕扱いしていることも大きな問題ですが、同時に「政治主導」の名で政治任用ポストの政務官など政治家が霞が関の現場の仕事にもやたらからんできて、その政務官への対応で職員の仕事が増えています。たとえば、何かの施策にからんで突然、思いつきのように税務官が現場に視察に行くとなったりして、わかがままな政務官の場合だと視察で宿泊するホテルに自分の好みのものを揃えないと不機嫌になったりしてやたら仕事を進めづらくなるわけです。それこそ問題になった日本ボクシング連盟の山根会長のような事態で、現場の職員はいい迷惑です。そんな政治家のわがままに振り回されて長時間労働になってしまうというのは、そもそも国家公務員は「国民全体の奉仕者」なのに、現実は「一部のわがままな政治家の下僕」にさせられてしまっているわけで、客観的にも国家的な損失になっている事態だと思います。

  若手職員はそうした不合理な働き方に対して敏感だし見切りが早いので辞めていっていますね。

 井上 グラフにあるように、そもそもキャリア官僚をめざす学生もノンキャリめざす学生も安倍政権下で3割も減少しています。NHKが報道していましたが、東大生の官僚離れ、官僚の不人気が広がっていて、試験でトップ合格だったのに官僚を辞退した東大生(2018年度卒)は「政治家の判断で仕事する文化に染まりたくない」と言っていて、安倍政権の下僕にされて、統計改ざんや公文書改ざんなどやりたくないと東大生が思うのは当たり前だと思います。

 

 

 

 井上 それから、あわせて指摘しておくと、統計不正の大きな背景には「官邸による国家公務員の下僕化」とともに、この15年間で国の統計職員を7割も削減したことがあるし、国際比較でもフランスの6分の1と統計職員数が以上に少ないという問題があります。

 

 



  国会対応で霞が関の職員はずっと大変な長時間労働を強いられているわけですが、今回この座談会にあたって若干整理して考えてみました。まず国会対応の答弁書ができるまでの概要は以下に整理できます。

 



  国会対応でなぜ長時間過密労働が生まれるかと言うと、以下にあるように、質問通告から答弁までに行う作業量は物理的に同じなわけで、この仕事にかわる職員数が同じなら質問通告から答弁までの時間が短くなればなるほど職員は家に帰る時間や寝る時間を削ってそこにあてなければ間に合わないということです。なので、質問通告時間をきちんと守るシステムにして作業時間を確保するか、職員数を大幅に増やすかしかありません。たまに、「質問通告時間をきちんと守らない野党が悪い」などと言う人がいますが、これは国会運営全体、委員会運営全体の歪みの中で生まれているわけですから「野党だけが悪い」という問題ではありません。

 



  国会対応には質問主意書への対応もあります。以下にあるように、質問主意書も国会質問への対応と同様で、時間と職員数の問題になります。基本的に質問主意書に対して一週間で答弁書を作成しなければならないことになっているわけですが、この答弁書作成で多くの職員が徹夜したりする長時間労働に現実問題としてなっているわけですから、職員数を増やすか、答弁書作成時間をたとえば二週間にのばすなど時間の確保が必要です。

 

 

 きょうは90回目となるメーデーです。メーデーの起源は、1886年5月1日、8時間労働制実現を要求してシカゴを中心に全米で35万人の労働者が参加したゼネストです。日本の第1回メーデーは1920年5月2日。東京の上野公園に1万人が集まりました。そして1935年の第16回メーデーまで毎年開催されていましたが、戦時体制下で労働組合運動も弾圧され、その後メーデー開催は10年間禁止され敗戦翌年1946年5月1日に復活しました。ですので、もし戦時体制下の弾圧がなくメーデーが開催されていれば、きょうのメーデーは第100回目、メーデー100周年となっていました。こうした歴史からも労働組合運動にとって平和が大切であることがわかります。

 今年のメーデーで最も大事な要求は、「8時間働けば普通に暮らせる賃金、働くルールづくり」です。下のグラフにあるように、日本の男性は週13時間もデンマークやノルウェーより長く働いています。デンマークの1年間の労働時間は、日本の男性のペースで1月から働いたとすると10月頭に到達してしまうので、10~12月の約3カ月間は休暇となる計算になります。いかに日本の男性が長時間労働かが分かるでしょう。

 



 こうした長時間労働なので、必然的に日本の男性の睡眠時間は下のグラフにあるように短くなります。

 



 そして、睡眠時間も十分に確保できない上に、「ジェンダー差別」「性別役割分担」がいまだ根強い日本では下のグラフ群にあるように、家事労働が女性に押しつけられ、日本の女性も睡眠時間が短くなっています。

 



 労働者の5人に1人が長時間労働の日本では、下のグラフ群にあるように、過労死・過労自殺等の件数が過去最悪になっています。

 

 

 



 賃金を見ると、下のグラフ群にあるように、大企業の労働者の賃金も額面ベースで下がっていますし、各国通貨の額面での比較でもOECD加盟国36カ国で賃金が下がっているのは日本だけで、賃下げに連動してGDPも低迷しています。また、実質賃金で見ても日本だけが下がっています。

 

 

 

 

 



 日本は賃金が下がっているだけでなく、下のグラフ群にあるように、税・社会保険料が応能負担(負担能力がある個人や大企業が負担すること)になっていないため、所得再分配が弱く、可処分所得が大幅にマイナスになり貧困と格差が拡大しています。

 

 

 

 



 

 

 


 そして、下のグラフにあるように、今現在でもすべての年齢階層に貧困が広がっています。よく高齢者が得をして若い世代が損をしているかのような「世代間格差」「世代間分断」をあおる言説がありますが、事実は高齢層も若年層も貧困であり、「世代間格差」が問題ではないことがこのグラフでわかります。



 消費税率を3%から5%、5%から8%に上げた結果、下のグラフにあるように家計消費は大幅にマイナスになっています。この上にさらに、低所得者ほど負担の重い消費税増税を今年10月に強行することは許されません。

 

 

 



 下のグラフにあるように、社会保障の財源などは、消費税増税でなく史上最高の利益をあげている大企業や富裕層が応能負担すべきです。

 

 



 税・社会保障の再分配機能を大幅に改善することと、日本の低い最低賃金を全国一律で大幅に引き上げることは急務です。2018年3月期決算での役員報酬額のトップはソニーの平井一夫氏で、27億1300万円でした。これを管理職の年間労働時間(総務省「労働力調査」の2116.7時間)で時給換算すると、時給128.2万円になります。最低賃金761円の1684倍です。

 

 



 今年のメーデーは「令和」なるものの最初の日となりました。マスコミは「平成から令和へ」と何か新しい時代が自動的に始まるかのような大騒ぎをしていますが、最後に「平成」なるものの「失われた30年」を概括するグラフを紹介しておきます。

 

 

 

 上のグラフを見てわかるように、「平成」の30年は、労働者・国民には貧困と過労死が襲い、その裏返しとして大企業と富裕層には富が極端に集中した「失われた30年」でした(※子どもの自殺率については舞田敏彦さんの論考「日本の子どもの自殺率が2010年以降、急上昇している」を参照ください)。「令和」などに浮かれている場合ではなく、「失われた30年」からの脱却、貧困と格差の解消のためには、すでに指摘したように、最低賃金の全国一律での大幅引き上げと、税・社会保障による所得再分配機能の大幅な改善をはかる必要があるのです。(井上伸)

 統計の専門家、弁護士等の外部有識者で構成される「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」が昨日(1月22日)、「毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書」を公表しました。この調査報告書を読んだ全経済産業省労働組合副委員長の飯塚盛康さんが感想を書いてくれましたので以下紹介します。

 組織的隠蔽はなかった?

 報告書によると、(1)2004年に始まった東京都の抽出調査は、2003年に企画担当係長名で東京都の一部産業を抽出調査にする旨の事務連絡を発出後、統計情報部長名で同様の内容の「事務取扱要領」を発出した。(2)2008年、2011年には厚生労働大臣から総務大臣に毎月勤労統計調査の変更を申請しているが、これは大臣官房統計調査部長の専決決裁で行われた。この変更申請は他対象事業所の変更で、抽出調査への変更ではなく全数調査をしていることになっていた。(3)2015年統計委員会で毎年3分の1ずつ替えていくローテーション・サンプリングの議論でも500人以上の事業所は全数調査と説明し、政策統括官が専決決裁をした調査変更申請書にも全数調査の記載があった。(4)「法令順守意識が欠如している」が「意図的な隠蔽とまでは言えない」として組織的隠蔽はなかった、と結論づけています。

 役所が文書を発出する場合、必ず文書番号をとって決裁した上で発出されますが、各役所には「専決規程」というものがあって、大臣名、部長名で発出するものは、どこまでの決裁を取ればいいか決まっていますので、大臣名と大臣印が押してあるからといって、全部大臣が見ているわけではありませんが、上記(1)(2)(3)はそれぞれ統計調査部長名、大臣名で発出されているので「必ず」決裁を回しています。

 もし、専決規程に則った決裁文書を組織的な関与がなかったというのであれば、役所の文書はすべて組織的な関与がなかったということになります。

 最初は東京都から調査件数が多いので何とかならないのかと言われたことがきっかけで抽出調査にしたとしても、「事務取扱要領」を発出した段階で組織としてやったことになるのです。

 2004年に統計委員会に抽出調査に変更することの承認を取っていれば、当然、抽出調査結果の復元方法についても併せて承認を取るので、抽出調査しても信頼できるデータになったはずです。しかし、それをしなかったという判断を一担当者ができるはずもなく、少なくとも担当課長、担当部長の指示があったはずですが、これも組織的な関与がなかったというのであれば、「組織的な関与」という定義があまりに狭すぎるのではないでしょうか。

 加えて、国家公務員は仕事のあり方を変更するとき、「個々人の関与」だけで判断せず「組織的な関与」で判断します。ですから、東京都だけ抽出に変更したり、2018年1月の意図的な復元をしたりする変更を「個々人の関与」だけでせず「組織的な関与」で変更することが基本です。普段は「組織的」に仕事をする国家公務員がどうしてこのときだけ「組織的」でなくなったのかがこの報告書は明らかにしていないと思います。

 また、2018年12月13日に2018年1月の調査から段差が生じているため、統計委員会委員長と総務省との打ち合わせで雇用・賃金福祉統計室長が東京都で抽出調査をしており、その前は復元処理をしていないこと、抽出調査の対府県(神奈川、愛知、大阪)を拡大することを説明した際に、統計委員会委員長はテレビ報道の中で統計室長が「悪びれることなく堂々と説明していた」と言っていましたが、この統計室長は個人の判断でやっていることではなく「組織としてやっていることの何が悪いんだ」と思っているから統計委員会委員長の前で堂々と説明したのだと思います。

 それから、報告書の以下の点です。

 

政策統括官(当時)Hは、在任中に当時の担当室長Fから「東京都の規模500人以上の事業所については全数調査を行っていない」旨の説明を受けた(説明を受けた時期は平成29(2017)年度の冬頃であったと述べている。)。その際Hが、公表資料と齟齬があるのであれば手続き的に問題であり、「然るべき手続きを踏んで修正すべき」旨指示したと述べているが、統計技術的な問題となる復元は当然行われていると思い込んでいたと述べており、その後の処理はFに委ね、放置した。Hが復元処理の有無を含めた調査設計・実施方法について自ら的確に把握し、部下であるFへの適切な業務指示及びその後のフォローアップ等を行っていれば、今般の事案に対する早期対応が可能となったと考えられることから、適切な対応を行わなかったと認められる。また、後任者であるJに対し、東京都の規模500人以上の事業所については全数調査を行っていない旨を引き継いでおらず、適切な対応を行う機会を逸した。(報告書24ページ)

 上記にある、政策統括官(当時)Hの「統計技術的な問題となる復元は当然行われていると思い込んでいた」「後任者であるJに対し、東京都の規模500人以上の事業所については全数調査を行っていない旨を引き継いでおらず」という点は、組織的隠蔽を政策統括官(当時)Hの「不適切」な対応だけに矮小化するもので、これをもって組織的隠蔽の意図がなかったと断言できないと思います。

なぜこんなことが起こったのか?
――異常に軽んじられている統計


 報告書では組織としてのガバナンスが欠如しているとの指摘がありますが、それも要因の一つであることは間違いないところです。しかし報告書には政策統括官付参事官が調査対象事業所数が少なくなっていることについて、「良くないと考え、予算を増やせないか相談したが、予算の作業が大変になるのでやめてくれと言われた」という記載があります。

 これは厚生労働省が「統計調査」というものを軽んじている証拠であり、実際、厚生労働省の統計職員も2006年の331人から2016年には237人と激減しています。

 全省庁の統計職員も、2006年の5,581人から2016年の1,886人とこの10年間で66%(3,695人)も削減され激減しており、統計調査の民営化まで考えている省庁もあります。

 報告書は総括で「国民生活に直結する各種政策立案や学術研究、経営判断の礎として常に正確性が求められ、国民生活に大きな影響を及ぼす公的統計」と書いていますが、政府はこのことを頭に入れて必要な人員は確保しないと、同様のことが起きてしまいます。

 最後に、厚生労働省は毎月勤労統計が雇用保険、労災保険などの給付額の上限に影響することは、わかっていたはずです。この金額が不正な調査によって低くなれば給付は減ることもわかっていたはずです。それでも、続けていたのは厚生労働省の特別会計である雇用保険、労災保険などの支出が減るので見逃していた面があるのではないかと思っています。