ねじ穴への最大実体公差方式(MMR)の適用(失敗)
ねじ穴への最大実体公差方式(MMR)の適用
※注 この記事はコメントも読んでください
昨日「ものづくりのための寸法公差方式と幾何公差方式」という本を読んでいて失敗を思い出したので書いておきます。
失敗ってどんな失敗?
私がやってた失敗は、ねじ穴(母材に直接タップのシリーズがきってある)に最大実体公差方式(記号
)を書いてしまってたことです。
考えてみれば当然なんですが、はめあいの要求があるところ(ねじ穴だと6Hとか)での最大実体公差方式(組み付けばOK)は定義上矛盾してしまいます。この場合、意図していることはだいたい組み付く相手のところでの最大実体公差方式なので、突出公差域(記号
)を使うのが設計意図にあうと思います。
「ものづくりのための寸法公差方式と幾何公差方式」では、はめあいの部分の事例解説で
「はめあいの要求があるから、最大実体公差方式(記号
)を使用することはできない」
と書いてあります。また続けて、
「ねじ穴の位置を規制する場合には、検証方法を考えると、突出公差域(記号
)を指示するのがよい」と解説されています。
ところで、この本では
「図6.12の
は、その背後の
があるものとして解釈する」
(図6.12は貫通穴シリーズに突出公差域つき位置度公差が指定してあります(縮尺がおかしいですがどうなんでしょう…本を読まれた方ご意見お聞かせください))
となっているんですが、JIS B0029ではそこまで書いてません。本の中で引用してあるASME Y14.5M(14.5-2009も同じです)のように、
と
を併記したほうが安心です。
著者の桑田浩志さんはB0029も最大実体公差方式のB0023も作成委員に入ってますので、この方がおっしゃるなら間違いないのでしょうけれど、やっぱり書いてないと困りそうでいやです。
ほかにもこの本の中でASMEから引用してある、突出高さの表記方法も、JISにも入れてほしかったです。
(参考:Solidworksでは、図面のDimXpertではどの表記も問題なくできますが、部品のDimXpertではASME式の突出高さ表記を入れないとエラーになります…入れても特に支障はないので問題はないですが。)
ISO・JIS準拠 ものづくりのための寸法公差方式と幾何公差方式/桑田 浩志

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昨日「ものづくりのための寸法公差方式と幾何公差方式」という本を読んでいて失敗を思い出したので書いておきます。
失敗ってどんな失敗?
私がやってた失敗は、ねじ穴(母材に直接タップのシリーズがきってある)に最大実体公差方式(記号

考えてみれば当然なんですが、はめあいの要求があるところ(ねじ穴だと6Hとか)での最大実体公差方式(組み付けばOK)は定義上矛盾してしまいます。この場合、意図していることはだいたい組み付く相手のところでの最大実体公差方式なので、突出公差域(記号

「ものづくりのための寸法公差方式と幾何公差方式」では、はめあいの部分の事例解説で
「はめあいの要求があるから、最大実体公差方式(記号

と書いてあります。また続けて、
「ねじ穴の位置を規制する場合には、検証方法を考えると、突出公差域(記号

ところで、この本では
「図6.12の


(図6.12は貫通穴シリーズに突出公差域つき位置度公差が指定してあります(縮尺がおかしいですがどうなんでしょう…本を読まれた方ご意見お聞かせください))
となっているんですが、JIS B0029ではそこまで書いてません。本の中で引用してあるASME Y14.5M(14.5-2009も同じです)のように、


著者の桑田浩志さんはB0029も最大実体公差方式のB0023も作成委員に入ってますので、この方がおっしゃるなら間違いないのでしょうけれど、やっぱり書いてないと困りそうでいやです。
ほかにもこの本の中でASMEから引用してある、突出高さの表記方法も、JISにも入れてほしかったです。
(参考:Solidworksでは、図面のDimXpertではどの表記も問題なくできますが、部品のDimXpertではASME式の突出高さ表記を入れないとエラーになります…入れても特に支障はないので問題はないですが。)
ISO・JIS準拠 ものづくりのための寸法公差方式と幾何公差方式/桑田 浩志

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1-6. 関係式④ 基準山形モデルの改良
今日は 1-6. 関係式 関係式を使ってトップダウン設計を発展させる方法の4回目です。
(関係式バックナンバーはこちら ①変数を使う ②数式を使う ③箱モデルの改良 )
今回は②数式を使う
で作った基準山形モデルを改良して、
- 設計テーブルを使って設計の変更を簡単にし、
- 好きなおねじモデルをすぐに作れる
ようにします。
まず、②ではグローバル変数として関係式内に直接書いたD(径)とP(ピッチ)を、設計テーブルで扱えるようにスケッチに変えます。
いつものようにControlParamsのスケッチを作りました。

(注:縦向きの寸法50と3は、バーを作るためだけの寸法でねじに関係ありません)
そしてこのスケッチの寸法を参照するよう関係式を書き換えます。
続いて設計テーブルにこのスケッチ寸法二つと、押し出しの長さを入れます。

直線パターンのインスタンス数をLに合わせて変えるよう関係式を追加し、
(参考:設計テーブルで直線パターンを変化させる)
これで、設計テーブルを書き換えるだけですきなねじが作れるようになりました。

M42.195のピッチ3.14のネジだってつくれます!!
まあそんなネジは使うことないですが、コネクタとかでは特殊なピッチのねじもあるので、使えるときもあるんじゃないでしょうか。
私はエクセルも好きなので、もう少し手をかけて変更がわかりやすいようにしてみました。

今回作ったSolidworksファイルはこちら
(関係式バックナンバーはこちら ①変数を使う ②数式を使う ③箱モデルの改良 )
今回は②数式を使う
で作った基準山形モデルを改良して、
- 設計テーブルを使って設計の変更を簡単にし、
- 好きなおねじモデルをすぐに作れる
ようにします。
まず、②ではグローバル変数として関係式内に直接書いたD(径)とP(ピッチ)を、設計テーブルで扱えるようにスケッチに変えます。
いつものようにControlParamsのスケッチを作りました。

(注:縦向きの寸法50と3は、バーを作るためだけの寸法でねじに関係ありません)
そしてこのスケッチの寸法を参照するよう関係式を書き換えます。
続いて設計テーブルにこのスケッチ寸法二つと、押し出しの長さを入れます。

直線パターンのインスタンス数をLに合わせて変えるよう関係式を追加し、
(参考:設計テーブルで直線パターンを変化させる)
これで、設計テーブルを書き換えるだけですきなねじが作れるようになりました。

M42.195のピッチ3.14のネジだってつくれます!!
まあそんなネジは使うことないですが、コネクタとかでは特殊なピッチのねじもあるので、使えるときもあるんじゃないでしょうか。
私はエクセルも好きなので、もう少し手をかけて変更がわかりやすいようにしてみました。

今回作ったSolidworksファイルはこちら
1-6. 関係式③ 箱モデルの改良
今日は 1-6. 関係式 関係式を使ってトップダウン設計を発展させる方法の3回目です。
(関係式バックナンバーはこちら ①変数を使う ②数式を使う )
1-5. までに作ったファイルを、関係式を使って改造してみます。
(1-5で作った設計テーブルは目的が重複するので消しておきます)
ふたと同様に下側も作りました。
アセンブリファイルと、幾何拘束を使って関連付けしています。
(参考:1-4. アセンブリとパートの関連付け)
今回は関係式を使って、たばこの太さから箱の大きさを計算したいと思います。

(たばこの本数は20本)
管理する寸法
(あとから設計テーブルで編集できるようControlParamsスケッチに入れておきます)
(スケッチの描き方参考: 1-2. アセンブリスケッチ)
size@ControlParams: たばこの太さ
length@ControlParams: たばこの長さ
数式に使う寸法
NomWidth@Outline3DSketch: 箱の幅
NomHeight@Outline3DSketch: 箱の高さ
NomDepth@Outline3DSketch: 箱の奥行き
t@ControlParams: 箱の厚み
"NomWidth@Outline3DSketch"="size@ControlParams"*7+2*"t@ControlParams"+5
"NomHeight@Outline3DSketch"="size@ControlParams"*3+2*"t@ControlParams"+2
"NomDepth@Outline3DSketch"="length@ControlParams"+2*"t@ControlParams"+2
(最後に足してあるのはマージン)
この数式3つをアセンブリファイルの関係式として入力します。

できました。
あとはいろんなサイズ・長さが管理しやすいように、もう一度設計テーブルを作っておきます。
(設計テーブル参考:1-5. 設計テーブル)

これでたばこにあわせてバリエーションを簡単につけられるようになりました。
今回作ったSolidworksファイルはこちら
(関係式④へつづく)
(関係式バックナンバーはこちら ①変数を使う ②数式を使う )
1-5. までに作ったファイルを、関係式を使って改造してみます。
(1-5で作った設計テーブルは目的が重複するので消しておきます)
ふたと同様に下側も作りました。
アセンブリファイルと、幾何拘束を使って関連付けしています。
(参考:1-4. アセンブリとパートの関連付け)
今回は関係式を使って、たばこの太さから箱の大きさを計算したいと思います。

(たばこの本数は20本)
管理する寸法
(あとから設計テーブルで編集できるようControlParamsスケッチに入れておきます)
(スケッチの描き方参考: 1-2. アセンブリスケッチ)
size@ControlParams: たばこの太さ
length@ControlParams: たばこの長さ
数式に使う寸法
NomWidth@Outline3DSketch: 箱の幅
NomHeight@Outline3DSketch: 箱の高さ
NomDepth@Outline3DSketch: 箱の奥行き
t@ControlParams: 箱の厚み
"NomWidth@Outline3DSketch"="size@ControlParams"*7+2*"t@ControlParams"+5
"NomHeight@Outline3DSketch"="size@ControlParams"*3+2*"t@ControlParams"+2
"NomDepth@Outline3DSketch"="length@ControlParams"+2*"t@ControlParams"+2
(最後に足してあるのはマージン)
この数式3つをアセンブリファイルの関係式として入力します。

できました。
あとはいろんなサイズ・長さが管理しやすいように、もう一度設計テーブルを作っておきます。
(設計テーブル参考:1-5. 設計テーブル)

これでたばこにあわせてバリエーションを簡単につけられるようになりました。
今回作ったSolidworksファイルはこちら
(関係式④へつづく)
1-6. 関係式② 数式を使う
今日は 1-6. 関係式 関係式を使ってトップダウン設計を発展させる方法の2回目です。
(関係式バックナンバーはこちら ①変数を使う )
今回は数式を入れてみます。
サンプルとして、私はたまに使う「基準山形」を作ってみたいと思います。


これがJIS B0205の基準山形です。
ねじの呼び径(D)とピッチ(P)を設定すれば、後は自動的に計算できます。
図とHの式から、D1とD2の計算式は
D1=D-(5/8)H=D-0.541P
D2=D-(3/8)H=D-0.325P
これを関係式で設定して、前回同様各寸法へリンク値で割り当てていきます。
(山一個分の基準山形のスケッチを書いたところから動画にしています)
直線パターンのピッチもPにリンクして、基準山形ができました
(らせんにはなってないですが)
これで、呼び径DとピッチPのグローバル変数さえ書き換えれば、
いろんな径の山形がすぐに作成できるようになりました。
今回作ったSolidworksファイルはこちら
(関係式③へつづく)
(関係式バックナンバーはこちら ①変数を使う )
今回は数式を入れてみます。
サンプルとして、私はたまに使う「基準山形」を作ってみたいと思います。


これがJIS B0205の基準山形です。
ねじの呼び径(D)とピッチ(P)を設定すれば、後は自動的に計算できます。
図とHの式から、D1とD2の計算式は
D1=D-(5/8)H=D-0.541P
D2=D-(3/8)H=D-0.325P
これを関係式で設定して、前回同様各寸法へリンク値で割り当てていきます。
(山一個分の基準山形のスケッチを書いたところから動画にしています)
直線パターンのピッチもPにリンクして、基準山形ができました
(らせんにはなってないですが)
これで、呼び径DとピッチPのグローバル変数さえ書き換えれば、
いろんな径の山形がすぐに作成できるようになりました。
今回作ったSolidworksファイルはこちら
(関係式③へつづく)