イタリア映画「人生、ここにあり」 | 声のこと歌のこと【音楽療法×リトミック、ときどき歌】

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こんにちは!はるこ@おんがく屋です!


イタリア映画「人生、ここにあり」の鑑賞メモです。



はじめに

イタリアでは、1978年に精神科医フランコ・バザリアの提唱により、

精神病院が廃止され、98年には全廃になります。

一般の入院患者たちは、病院から出され、町や家族の元へと帰されます。


この『人生、ここにあり!』は、法律により精神病院の撤廃が進められていた

1980年代のイタリア・ミラノを舞台に、実話を映画化。

精神病院から社会連帯協同組合へと変身を遂げたある施設の夢のような実話を基に作られ、

イタリア国内では2008年から大ヒットし1年以上に及ぶロングランを記録したそうです。

日本では2011に劇場公開されました。



障害者の仕事の現状

日本でも、障害者の就労というと、単純な軽作業が多い。

この映画の舞台はイタリア。

そこでも、元患者たちの仕事といえば、、、、


「切手貼り」


それは、市から「施し」としての与えられた仕事。

うまく貼れても貼れなくても、賃金がもらえます。



弱みを強みへ ~ネッロの心の動き~ 

そんな協同組合を変えていったのは、主人公のネッロです。


ネッロは革新的な考え方をもち、労働組合から疎まれ、

精神病院から追い出された元患者たちの協同組合に左遷されます。

精神病の知識などないネッロだったが、元患者たちに対し、

人間として向き合い、あらたな事業を立ち上げるために奮闘します。


元患者たちは、病院を出て自由な社会生活を送るどころか、毎日無気力に過ごします。


ネッロは革新的な考えを発揮せずにいられず、「自らお金を稼ぐこと」を持ち掛けます。


その結果、寄せ木(床板張り)の仕事をすることになります。


なかなか「精神障害者」が仕事をするということもあり、仕事が取れず、

ネッロの自宅の床を練習台にして、技術を身に付けます。


ネッロの営業のおかげで仕事を獲得するも、なかなか「自立」に程遠い。

そんなある日、材料の板が足りなくなり、困り果てた元患者たちは、

悩みに悩み、廃材を利用して床板貼りを仕上げます。


これが大評判となります。



これこそ、「弱みを強みへ」


ここから、元患者たちの躍進が始まります。


患者たちは、様々な過去、そして精神障害を持っています。

この映画では、社会の枠にとらわれない個性の持ち主が集います。


その個性の引き出し方もネッロはうまい。


ネッロは辛抱強く一人ひとりの個性を見抜き、信頼関係を築き、仕事を割り当てていきます。


その一方で、


精神障害者の薬漬けの現実

精神病患者への社会の偏見

納期を守らないと違約金が発生する社会の掟

精神障害者たちの心の脆さ

革新的な考えを推し進める中で起こった悲劇


という現実も考えさせられる映画です。



そして、精神障害者と呼ばれる人たちは、真面目な人が多い。


揃えなければいけないことに恐怖を感じる人もいるのではないだろうか?


それぞれの個性を安心して活かせる世の中が必要なのではないだろうか?


それは、健常者と呼ばれる人にも共通することなのだと私は思っています。

「出る杭は打たれる」という言葉もあるけど、「出る杭は大切に」したいと思う映画でした。


基本データ

原題:Si Puo Fare

2008年製作/111分/G/イタリア

配給:エスパース・サロウ

2011年日本劇場公開。


【スタッフ・キャスト】

監督 ジュリオ・マンフレドニア

製作 アンジェロ・リッツォーリ

原案 ファビオ・ボニファッチ

脚本 ファビオ・ボニファッチ ジュリオ・マンフレドニア

撮影 ロベルト・フォルツァ

音楽 ピビオ・デ・スカルツィ アルド・デ・スカルツィ

編集 チェチリア・ザヌーゾ


クラウディオ・ビジオ

アニータ・カプリオーリ

ジュゼッペ・バッティストン

アンドレア・ボスカアンドレア・ボスカ

ジョバンニ・カルカーニョ

ミケーレ・デ・ビルジリオ

カルロ・ジュセッペ・ガバルディーニ