SKY HIGH | walkin' on

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アナログレコードのレビューを中心に音楽に関するトピックスを綴っていきます
 歌詞の和訳や、時にはギターの機材についても投稿します

レコード番号:CPLP-1001(Splash Records) 1975年(UK盤)

 

 

 『スカイ・ハイ』といえば

はいそうです、かの『仮面貴族』ミル・マスカラス

 

おしまい

 

 

 …ではさすがに内容が薄すぎるのですが、実はこのアルバム”SKY HIGH”、タイトルトラックしか知られておらず、後述しますが調べてみてもアルバムやジグソー(JIGSAW)というバンドについて全くといいぐらい情報が無いので、ボクも途方にくれているというのが本音なのです。

 

 このブログのハッシュタグも、いつもの「ロック」や「ジャズ」ではなく「プロレス」にしたほうがいいような気さえしています。それぐらい、調べても何も出てきません。こういうケースはホントに珍しいのです。

 

 とはいえ、アナログレコードがこうしてボクの手元に来たのも何かの縁ですし、いつものようなレビュー&ディスクガイドとしてお読みいただき、少しでもお役に立てるようちょっと無理して(;^ω^)がんばってみます。

 

 

*

 

 このLPは埼玉の郊外のハー〇オフで見つけました。以前にマイルズ・デイヴィスの”GET UP WITH IT”とピーター・ゲイブリエルの”SO”を入手したお店で、あの時のような高額品はちょっときついけど、何か面白いものはないかな?ぐらいの軽い気持ちで棚を探っていたところ、税別300というこのレコードを見つけたというわけです。

ジャケット表の隅にはレコードレーベルのロゴ。

ジャケット裏。実は中央の集合写真、やや滲んでいます。60年代ならともかくこのアルバムのリリースは1975年、もっときれいなカットを採用できなかったのでしょうか(T△T)

ここでもレーベルのロゴ。どれだけアピんねん(^_^;)

タイトルトラックをDon Agnessに捧ぐ、とありますが、Agnessさんってどなたなのでしょうか(・・?

 

 それと、これは画像でご覧いただくの難しいのですが、ジャケットの紙がとても薄く、ペラッペラです。ジャケット表ののほほんとした空の絵と相まって、中学生の美術の夏休みの課題作を連想してしまいます。

 

 

*

 

 

 帰宅後にジグソーについて調べてみましたが、1968年にデビューしたこと、80年代後半までは音源のリリースがあったことまでは分かりましたが、それ以上のことは…

 というより、「ジグソー」で検索すると高確率で

この顔に出くわすので、いい加減うんざりしてきました(;´Д`)

 

 仕方なく(?)盤をプレイヤーで再生してみます。

 オープニングのタイトルトラック”Sky High”はさんざん聴いてきたのでもはや新鮮味はありませんが、他の11曲は全て未聴なのでやや身構えながら耳をすませます。

 予想どおりだったのが、バンドサウンドにストリングス(ヴァイオリン等の摩弦楽器)とホーンセクション(管楽器隊)を加えるという、70年代後半以降のディスコチューンを意識したアレンジが採られていること。もちろんその路線の最大のヒットとなったのが映画のサウンドトラック”SATURDAY NIGHT FEVER”なのですが、このアルバムではストリングス及びホーンにバンドのほうが気を使ってスペースを譲っているような、ロックバンドのダイナミズムが削り落とされているようなアレンジに終始しています。

 

 時代は70年代、ストリングスやホーンをシンセサイザーで代用するという、現在では当たり前の手法が使えなかった時代です。当然ながら弦&管とも「生」つまりセッションプレイヤーによる演奏を録音して加えていたわけで、アルバム制作にかかるコストは決して低いものではなかったはず。そりゃ、バンドやプロデューサーはヒットを求められるはずです。

 

  一方で予想外だったのが、ピアノやオルガンなどの鍵盤楽器とギターのプレイに光るものがあること。

 特にギターのトニー・キャンベルはバッキングのリズミカルなコードカッティングから、ロングトーンによるスペイシーなフレージングまでかなり器用にこなしています。ドラムのデス・デイヤーがリードヴォーカルを兼ねていることもあり、複雑なプレイを求められなかったこともあったのか、ともすれば平板で躍動感に乏しくなるところをキャンベルのギターがそれとなくフォローしています。

 

 それと、アルバムクレジットを見て気づいたのですが、エクゼクティブ・プロデューサーにChas Peateの名があるものの、プロデュースはクライヴ・スコット(オルガン/ピアノ)とデイヤーの連名となっており、実質的にはセルフプロデュースのようです。

 もしかしたら、スコット&デイヤーがまとめたバンドサウンドにPeateが弦&管を重ねるだけ、のような一体感の無い手法に終始したのかもしれませんが、少なくともバンドのまとまりは決して悪いわけではなく、むしろ商品としてどのようなカラーをつけたらヒットするか、その判断とパッケージングとしてのアレンジを任されたPeateが、時代の潮流と要求(^_^;)にあわせたと判断すべきなのかもしれません。

 

 

 *

 

 

 …とまあ、ここまで書いてきて思ったのですが、

アルバム持っている人どれだけおんねん(;´Д`)

 シングルカットされたタイトルトラックは、繰り返しになりますが

の入場曲として定着したこともあり、常に一定の知名度はあるものと思います。

 ですが、アルバムをとおして聴いたことがある人、さらにそのアルバムを現在も所有している人となると、はたしてどれだけいらっしゃるのか、やや不安になってきました。

 ボクの周囲で

の入場曲の題名は”Sky High”であることを知っている人はいても、その曲をリリースしたバンドがジグソーという名であることを知っている人はいませんでした。

 

 ただ、調べるかぎりでは1998年、2006年、2017年にはいずれもCDで国内盤が再発されているようなので、その気になればア〇ゾンや楽〇で入手できるようですから、完全に入手不可能!聴きたければ近所のリサイクルショップや中古レコード屋を片っ端から探さんかい(`_´)という事態は避けられるようです…って、誰もそんな、必死になることはないでしょうけど(;^ω^)

 

 

 

 

 今回の”SKY HIGH”はタイトルトラックだけが突出して有名で、アルバムを含む他があまりにも知られていない、そのギャップの大きさが面白かったのでご紹介しましたが、こうやって昔のレコードを聴きながらあれこれ調べているときのタイムカプセル感、発見の楽しさが少しでもお伝えできればうれしく思います。

 

 

 

 

 最後に、ミル・マスカラス選手に敬意を表して。おかげさまで何とか記事をまとめることができました<(_ _)>

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