モーゼル川沿いもドイツを代表するワインの産地で、19-20世紀初頭あたりは、高級ワイン産地としてボルドーやブルゴーニュワインより高値で取引されていたそうです。

最上流側はフランスやルクセンブルグになりますが、有名なのはドイツに入ってから。国境近くからコブレンツのそばまでの広い範囲の川沿いはずっとブドウ畑です。なんとなく、やや甘口のアルコール度も低いワイン(おそらく昔はそういうワインがいいワインの味だったのかも)のイメージが強いのですが近年はドライワインも多くなっているように思います。

 

難点は交通手段。車で行かない(飲むので)とすると電車+バスになるのですが、バス便がどうなっているのかよくわからない。Googlemapにも出ていませんし。

いろいろ調べた結果、Wittlichという駅から(コブレンツからトリアーに向かう快速で1時間)2時間に1本、Bernkastel-Kuesという川沿いの町にバスが出ていることがわかりました。平日はそれなりの本数が出ていますが土曜は少なく日曜はさらに少なくなります。途中Lieserという、村の観光サイトによると、モーゼル川沿いで最も美しい村を自称している村も通るのでこの2つでワイナリー、ワイナリーがこの時期の新酒(フェーダーワイサー)を出していたらタンク出しの新酒を楽しむ予定でした。

(青丸が鉄道の駅、赤丸がそこから近い川沿いの町です)

 

Dチケット利用で快速と路線バスで、交通費実質ゼロのつもりで早起き、駅に着いたら、なんと予定の電車が運休になっていました。なんてこった。帰るのも悔しいので、路線情報を見ると、Sバーンで20分、Solingenに出てそこからICEに乗ると予定を変えずに行けそうです。遅延もその時点でなかったので、いつも嘘つかれますが信じてそのルートで、ICEの予約をその場でしていきました。

 

幸い予定通りにkoblenz着、25€を無駄にせずに済みました。Koblenzからも定刻で発車した快速で。

しばらくはモーゼル川沿いに走ります。この日は冷え込んで霧が出ていました。

 

霧が晴れたらこのような風景。このあとはCochemという大きめの駅を過ぎて、山の方を通っていきます。モーゼル川は蛇行がすごいので鉄道は付き合ってもらえないようです。(モーゼル川沿いを進む鉄道もかつてはあったようですが廃線になっています)

 

さて超順調に思えた鉄道区間ですが、Wittlich直前で急停車、10分近く停車したおかげで、乗るつもりだった2時間に1本のバスに乗れませんでした。ドイツ鉄道で7分接続はほぼ失敗するのは解っていたのですが…。田舎のバスは渋滞に巻き込まれない分、正確なのと、日本のように接続待ちとかしないので…。

ただ、調べきれなかった別の路線はいくつかあるようです。トリーアに向かうことも考えたとき、トラーベン・トラ―バッハ行き表示のバスが来たので、目的地とは違うけど川沿いだし、それに飛び乗りました。ほとんどバス停もないような田舎道を走っていますが、Urzigという町でいくつかのバス停が設定されていることが車内表記がわかり、それがBernkastel-Kuesまで歩いていけなくもない距離だったのでそこで降りることにしました。

 

Urzigに向かう手前で急坂を降ります。河岸段丘のうえから下へ。村が見えてきました。

 

川沿いのバス停で下車。時刻表を見るとBernkastel-Kues(Kuesとなっているのは、もともとBernkastelとKuesという二つの町が橋で結ばれ一つの町の名前に変わったため、地名ではKuesが左岸、Bernkastelが右岸となっています)。次の11:51まで一時間ちょっと。安心して村の中を散歩することにしました。

 

このあたりの村はどこもワイン産地なわけで、この村にもざっと10軒くらいはワイナリーがありました。川から少し上がったところに通りがあってその両側に数軒ごとにワイナリーがある感じ。

 

通りの突き当りには広大なブドウ畑が。

 

その一つがここ。なにやら開店準備をしているようです。普段はワイナリーは一般客には開けていないようで、村のどこかに自動販売機があるのでそこで買ってくれみたいな張り紙がしてありました。

 

これは別のワイナリー。

 

5分ほどで通りは終わりました。ポスターがあちこちにあって、ちょうどワイン祭りをする日だったことがわかりました。なのでワイナリー庭先が店みたいにしているところがいくつかあったのか。

山の上にぽつりと家。

 

Urziger Wurzgartenは調べてみるとモーゼル中流域で最もよく知られているブドウ畑なのだそうです。事前に知らずにおりましたがラッキーだったようです。

 

村の通りも少しずつ人通りが出てきて、そのうちの一つはお客さんが飲み始めていました。

 

ワインリスト。1-5はドライ、7-9はオフドライ、10-12は甘口で、13-14が泡。

値段も様々ですが、5番のGGを頼みました。GGって何?という話ですが、ドイツワインの品質や味の表記はかなりややこしくて、以下のリンクがわかりやすいと思います。

とまあ、GGはグラン・クリュに相当して辛口のワイン。グラスで飲めるのはこういう時だけかもしれません。GGといっても、フランスの単一畑もののように目玉が飛び出る価格ではないことが多いのですが。

 

下のメニュー、GGといったVDPの表記と、伝統的なドイツワインの品質表記が混じっていてさらにややこしいです。

 

 

 

カウンターにあったチーズとブドウの串もお願いして、ほぼ空っぽのパレット積み上げの手作り感満載のテーブルでいただきました。さすが!凄くおいしかったです。

 

午後も遅くなってくると蔵の中でも酔っ払い天国になるのですね。この地域、樽じゃなくてステンレスタンクが多い印象です。

 

もう一軒店をやられていました。ここのカードを見ると、アウスレーゼ・トロッケンが飲めるみたいで。

遅摘みの糖度の高いブドウで辛口なので、アウスレーゼ・トロッケン。当然アルコール度も高めです。香りもすごくよいワインでした。

 

そろそろバスの時間、バス停に戻ります。

バス停の先にモーゼル川。両岸を橋が繋いていますが、段丘の高さがわかります。

 

Kues行のバスは定刻でやってきました。10キロ弱の距離ですが、歩くと大変でした。

見渡す限りのブドウ畑の中を走っていきます。ブドウは実もたわわで、来週はもう収穫後になるのかもしれません。

運休にめげずに来て良かった。

 

Kuesは大きな町で対岸のBernkastelは通過した時に気が付きましたが、前の年ドライブ旅行した際、お昼を取った町でした。

駅もあってと書いてあるのはBahnhofという表示が当時は廃線の駅が残っていることを知らなかったためでした。ちなみに1960年代に廃線になった駅舎はそのままレストランになっているようです(行けば良かったかも)。

 

Kuesは30分乗り継ぎでLieserを通るバスがあったので、バス待ちでワインを作っている修道院(バスターミナル前にあった)をちょこっと見ただけで通過。Lieserでワイン祭りをやっていると思っていたのでそこで飲みながらお昼にして、3時前のバスで駅に向かうつもりでした。

バスで5分ほどでLieserに到着。川沿いのバス停の向かいは船着き場になっていて、観光船がちょうど着くところでした。天気もいいし川からの村々の眺めもいいでしょうね。

 

Lieser村ですが、モーゼル川沿いで一番美しい村を自称していましたが。さてどうでしょう。

村の入口のブドウの木のアーチ。

 

モーゼル川は暴れ川のようで、頻繁に洪水になっているようです。2000年以降は治水が進んだのか記録をやめたのか。

 

 

 

高台の教会に行ってみます。

 

展望台としては低い気がしましたが、村を一望できました。

 

教会の中、ガラス扉が閉まっていましたが、大きな教会でした。

 

お祭りは勘違いだったみたいで、村の中では食べれるところもなさそうです。坂を頑張って登るとワイナリーがいくつかあったので、そこで食事はできたかも知れませんが、2時間に一本のバスの次が1時間後くらいになっていたので、断念。川沿いに2軒ほどレストランがあり、その先にワイナリーがありました。店先にワインラウンジが。

おつまみしかありませんでしたが、それで食事にすることにしました。ワインは一杯200㏄を。おつまみなのでワインが進み、2杯飲んじゃいましたが、ボトル半分以上で、さすがに酔いを感じて終盤はちょっときつかったです。

ここでも値段は高かったけど、遅摘み&ドライを選ぶと香りがなんとも良かったです。帰りに一本購入。

 

もう少し丁寧にバス情報やワイン祭り情報を調べていればもっとピンポイントで時間有効活用できたかもですが、

行き当たりばったり感の日帰り旅、誰に迷惑をかけるでなく、一人TVの旅番組気分が楽しめました。

天気も景色もワインも最高でいい週末になりました。

 

帰りはやはりというかドイツ鉄道遅れまくっていて、25分遅れのICEが13.40€で乗れたのでコブレンツに着く前に急遽予約。それに乗って帰りました。途中遅れが広がって50分遅れだったか。快速乗り継いだらいつ帰れるか分からなかったです。