ジロ第18ステージは前日のゴール地点の対岸からスタートしました。
この日ルガノ湖があるスイスに別れを告げ、再びイタリアへ戻ります。
ロンバルディア北部の美しい湖水地帯を抜け、マッジョーレ湖畔のべルバニアを目指す総距離170kmが今回のステージです。
後半120km過ぎのマッジョーレ湖畔までは平坦が続きますが、それもここまでこの日の本題はそこから始まる60kmに凝縮されていたのです。
湖畔にそびえるモンテ・オローニョ、全てはこの山の中で起こり、そしてレースがここで完結することが予想されていました。
湖畔の小さな集落カンネーロ・リヴィエラからの急斜面に刻まれた九十九折の登り坂はオローニョの山上まで10.4kmもあり、 平均勾配は9%を越えたのです。
そしてまさにこの日、コンタドールの復讐戦がはじまるのでありました。
その出来事は、メイン集団内で多数の選手を巻き込んだ落車が発生したことがきっかけとなりました。
その事故では、まずチームスカイの5人が使える自転車が無くチームカー待ちのため足止めを喰らい、次にレースの行方を左右するアスタナチームも3人が巻き込まれてしまったのです。
そしてなんとその中には、ツアー総合2位のミケル・ランダも含まれていたのです!(彼こそは16ステージでコンタドールのパンクをいいことに猛ダッシュを開始した男なのだ)。
そこで今回は、落車騒ぎの中で、ティンコフチームがうなりをあげ始めた。
そしてついに、1級峠の山道に入った直後、ロマン・クロイツィゲルのリードアウトでコンタドールミサイルが発射されました。
前々回の第16ステージでは、自身のパンクでライバルたちから置き去りにされたコンタドールがモルティローロの前半5kmほどを猛然と独走し、憤怒の挽回を果たした。
この日のコンタドールは、自らの彼のみぞ知る意思(誰もが反撃開始の狼煙だと判断しただろうけど)で、全長10kmのモンテ・オローニョを突き進んだのでありました(第16ステージへの復讐からかは本人のみぞ知ることだが)。
なお、今回の北イタリア湖水巡りの最後であるマッジョーレ湖にはいくつかの島があるのが特徴で、ストレーザ近くの3つの島が観光の拠点として有名だそうです。
その3つの島とは、イゾラ・ベッラ(Isora Bella),イゾラ・ペスカトーリ(Isora dei pescatori),イゾラ・マードレ(Isora Madre)と呼ばれます。
そして、これらの島々は中世時代にはボッロメーオ家が所有していたことからボッロメーオ諸島とも呼ばれるのだそうです。
ボッロメーオ家は当時ミラノを統治していたヴィスコンティ家、スフォルツェスコ家と並ぶ3大御三家のひとつであり、現在でもミラノ大聖堂の地下聖堂にはボッロメーオ家からミラノ大司教になったカルロ・ボッロメーオ(Carlo Borromeo 1584年没)が安置されていることで有名なのだそうです。
なお、マッジョーレ湖観光の目玉は、3つの島のうちイゾラ・ベッラが最も有名で、この島全体がボッロメーオ家の宮殿と庭になっています。
そしてこのイゾラ・ベッラは、その美しさや豪華さが、まさに湖に浮かぶミニ・ベルサイユ宮殿とも言えるべき代物で、あのフランス皇帝ナポレオンもこの島をとても気に入っていたそうです。