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Walking in the Air

ファンタジーPBCサイト「鉱山都市フランネール」の登録PC、ニコルの活動日記です。



PBCをご存知でない方、当PCに興味のない方は閲覧をご遠慮下さい。

あたしたちヴァレンティン一族が何年前から続いているのか、あたしは知らない。


ただ、長いという事しか知らない。


一族の者が誰も分からなくなってしまうくらい、永い年月をヴァンパイア殺しの為に使ってきたのだ。


これからも、ヴァレンティン一族はヴァンパイアを殺し続ける。理由なんてない、それが一族の宿命だから。



墓地でヴァンパイアに遭遇した。

透き通るような白い肌。銀の髪。黒いコート。

彼の名は白銀鴉。本当の名前じゃない、手配書に書かれた仇名。

でも、彼の本名なんてどうでもいい事だ。彼は滅びるのだから。


彼に闘いを挑んだ。思えば、この街で初めての本格的な戦闘。

彼も、また昨日時計塔で話したダンピールのようにあたしの一族の事を知っていた。

彼の召喚した闇の狼を倒し、間合いを詰める。でも、まだ実地の勘というものがあたしには不足していた。結果的には逃げられてしまい、仕留め損ねた。


「自分は食事をしているだけだ。お前達もそれをするだろう、何が悪い」

「身勝手な事をするな」

「お前達にも罪はある」


彼の言う事にも一理ある。彼は生きる為に人を襲う。そうする以外に、彼には生き延びる方法がないから。

自分達は牛や豚を殺して食べるのに、ヴァンパイアは許さない。そんな事エゴだって分かってる。

あたしのしている事がまったくの無罪でない事も分かってる。

でも、人を襲うのは許さない。絶対に許さない。


罰は死んでから受けよう。あたしはきっと、天国へは行けない。

ああ、ヴァレンティン一族はきっと、一人残らず地獄へ行くんだ。



遭遇者:ヴィザード

何故ヴァンパイアは人の血を吸うのか?


吸血の脅威から逃れるにはどうすればいいのか?


どちらが生き残るべきなのか?


人と吸血鬼は、これからどんな未来を歩むのか?



何百年もの間議論されては、答えの出ないままのそれ。

昔の偉い人が考えても答えの出なかったものを、あたしなんかが考えたところで何とかなるなんて最初から思ってない。

けれど、それでも。


考えずにはいられないのは、きっとあたしが吸血鬼を殺す為に生まれた人間だからだろう。


時計塔で出会った彼は、あたしの事を知っていた。―――いや、あたしの一族の事を。

あたしによく似たヴァンパイアハンターに、ずうっと前に逢ったという。


彼は言った。ヴァンパイアを滅ぼす為には、人が滅びるしかないと。

彼は言った。ヴァンパイアを滅ぼしたいなら、卑怯な手でも躊躇わず使えと。


能力で絶対的に劣る人間がヴァンパイアに対抗するには、そうするしかない。

―――そんなこと、分かってる。

彼の言う事は全部正しくて、的を射ていて、あたしは何も言えなかった。

未熟者めって、暗に言われた気分だった。


小さい頃、ママが言っていた。あたしは、死んだおばあちゃんにそっくりだって。

彼が昔に逢ったのは、若い頃のあたしのおばあちゃんだったのかな。

だとしたら、彼とおばあちゃんはその時、何を話したのだろう。

一緒に闘ったんだろうか。それとも敵対したんだろうか。

分かり合えたんだろうか、分かり合えなかったんだろうか。


彼に訊きたい。彼から聴きたい。

それをした時、あたしはちょっと先へ進める気がする。



遭遇者:グラナ

ゾックの枯れた森は、スノウブランの森とは対極に位置する陰鬱な場所。


魔物が徘徊するというその場所を訪れた時、折悪しく雨に降られて難儀した。


梅雨はまだ明けないのかな?まったく、辟易する。


神様もフラーネ様も、時々人間にイジワルをするのが困ったものだ。



捻じくれた、不気味な巨木の下で雨宿り。そしたら突然声を掛けられてビックリしてしまう。

先客がいたのだ。全然気付かなかった。相手にも言われたけれど、あたしはハンターの癖にどうも間が抜けてるというか、危機感知能力が欠落してるらしい。

死にたくなきゃ、改善しないとね……。困った困った。


あたしより先に雨宿りしていたのは、ラマラ。ドラゴンの血を注ぐ、トカゲの瞳を持った人。

簡単に誤解を解いて和解してから、彼と二人で雨宿り。

ドラゴンの事を少し聞かせてもらった。ドラゴンにもピンからキリまであるとの事。

彼はどっちなのかな?


彼は怪我をしていた。それ自体はそんなに深くはないみたいだったけれど、彼の革のグローブが無残な事になっていたので、縫ってあげる事にした。

報酬は、パフェ二杯とケーキがふたつ。

早く繕って、彼の厚意を受けるとしよう。



遭遇者:ラマラ


暑い日には、冷たいものを食べる!これ以上の幸福はない。断言する!


キンキンに冷やしたオレンジ、トマト。スイカやメロンでもいい。


頭が痛くなるくらいに冷たいものを頬張ってちょっとずつ溶かしながら味わうのは、まさしく至福だ。


だからこそ、素人目には気付かないだろうなんて考えで悪くなったグレープフルーツを売りつけるような人間は絶対に許しちゃおけない。



あたしが黒ずんだグレープフルーツシャーベットを売りつけられて、そこの露店のオヤジと口論を繰り広げていると、いつの間にかあたしの後ろには人だかりが出来ていた。


そこまで目立てば、当然自警団が収拾にくるワケで……。

あたしはそれで、セリカに出会った。


怒鳴りあったり、腕を掴んだり、なんだか色々あったけれど、彼女は事態を収めてくれた。

あたしの正当性をちゃんと認めてくれたのだ。それが純粋に嬉しかった。

むかつくオヤジからちゃんとしたシャーベットを弁償してもらい、それからお礼代わりに彼女の分もシャーベットを買う。


彼女はこの街へ流れてきたばかりらしい。生真面目な、凛とした人。あたしとは大違いだ。

ヴァンパイアの話題が出たので、色々話す。

彼女もヴァンパイアは大嫌いで、共存は出来ないと考えているらしい。

まったく同意見。ヴァンパイアは唾棄すべき存在で、殲滅するべきで、人類の敵なんだ。


彼女の過去には、何があったんだろう。ヴァンパイア・ハンターじゃない彼女が、ヴァンパイアを憎む理由はなんなのだろう。

いつか、それを話してくれる日が来ると嬉しい。


お互い田舎育ちでヴァンパイアが嫌いなんて、親近感を持たずにはいられない。

彼女と食べたシャーベットは、あたしが今まで食べたシャーベットの中でも一番美味しかった。



遭遇者:セリカ

満月の夜に、竜岩へ。


満月の晩は、人狼や吸血鬼が最も力を発揮する晩。そんな日に外をウロウロするのは、我ながら自殺行為だなと思うのだけれど……生憎明日のパンを買うお金にも困るくらいだったから、仕方がない。


村にいた頃は、寝てても村の人たちがパンやミルクを分けてくれてたから、こんな苦労知らなかった。


世知辛いね、世の中……。



賞金首を捜していると、戦士っぽい男の人に会った。

なんだかすごく人懐っこい、言うなれば……うーん、よく慣れた犬みたいな人。

彼―――ゼンは自分の事をフリーターだと言った。


どうにもあたしは、逢った人がたまに言う「無職」とか「フリーター」とかいうのが気に食わない。

男だったらいい歳こいてモラトリアムってないで定職につけ!とか思うわけデスケド。


彼があんまりのらくらした態度を取ってるもんだから、なんだか腹が立ってきて。思わず剣を向けてしまった。

といっても勿論彼を殺そうとしたわけじゃなくて、彼の腕を確かめようとして。

言葉だけじゃ伝わらない事は、剣を交えて伝えるに限る。


剣を向けたお蔭で、彼の事が少し分かった。
彼は強い。

「こんなの辻斬りと一緒だ」って怒られたけど、仕方ないわよね。

言葉で本音を言ってくれないなら、これが一番の方法だから。


遭遇者:ゼン