何故ヴァンパイアは人の血を吸うのか?
吸血の脅威から逃れるにはどうすればいいのか?
どちらが生き残るべきなのか?
人と吸血鬼は、これからどんな未来を歩むのか?
何百年もの間議論されては、答えの出ないままのそれ。
昔の偉い人が考えても答えの出なかったものを、あたしなんかが考えたところで何とかなるなんて最初から思ってない。
けれど、それでも。
考えずにはいられないのは、きっとあたしが吸血鬼を殺す為に生まれた人間だからだろう。
時計塔で出会った彼は、あたしの事を知っていた。―――いや、あたしの一族の事を。
あたしによく似たヴァンパイアハンターに、ずうっと前に逢ったという。
彼は言った。ヴァンパイアを滅ぼす為には、人が滅びるしかないと。
彼は言った。ヴァンパイアを滅ぼしたいなら、卑怯な手でも躊躇わず使えと。
能力で絶対的に劣る人間がヴァンパイアに対抗するには、そうするしかない。
―――そんなこと、分かってる。
彼の言う事は全部正しくて、的を射ていて、あたしは何も言えなかった。
未熟者めって、暗に言われた気分だった。
小さい頃、ママが言っていた。あたしは、死んだおばあちゃんにそっくりだって。
彼が昔に逢ったのは、若い頃のあたしのおばあちゃんだったのかな。
だとしたら、彼とおばあちゃんはその時、何を話したのだろう。
一緒に闘ったんだろうか。それとも敵対したんだろうか。
分かり合えたんだろうか、分かり合えなかったんだろうか。
彼に訊きたい。彼から聴きたい。
それをした時、あたしはちょっと先へ進める気がする。
遭遇者:グラナ