あたしたちヴァレンティン一族が何年前から続いているのか、あたしは知らない。
ただ、長いという事しか知らない。
一族の者が誰も分からなくなってしまうくらい、永い年月をヴァンパイア殺しの為に使ってきたのだ。
これからも、ヴァレンティン一族はヴァンパイアを殺し続ける。理由なんてない、それが一族の宿命だから。
墓地でヴァンパイアに遭遇した。
透き通るような白い肌。銀の髪。黒いコート。
彼の名は白銀鴉。本当の名前じゃない、手配書に書かれた仇名。
でも、彼の本名なんてどうでもいい事だ。彼は滅びるのだから。
彼に闘いを挑んだ。思えば、この街で初めての本格的な戦闘。
彼も、また昨日時計塔で話したダンピールのようにあたしの一族の事を知っていた。
彼の召喚した闇の狼を倒し、間合いを詰める。でも、まだ実地の勘というものがあたしには不足していた。結果的には逃げられてしまい、仕留め損ねた。
「自分は食事をしているだけだ。お前達もそれをするだろう、何が悪い」
「身勝手な事をするな」
「お前達にも罪はある」
彼の言う事にも一理ある。彼は生きる為に人を襲う。そうする以外に、彼には生き延びる方法がないから。
自分達は牛や豚を殺して食べるのに、ヴァンパイアは許さない。そんな事エゴだって分かってる。
あたしのしている事がまったくの無罪でない事も分かってる。
でも、人を襲うのは許さない。絶対に許さない。
罰は死んでから受けよう。あたしはきっと、天国へは行けない。
ああ、ヴァレンティン一族はきっと、一人残らず地獄へ行くんだ。
遭遇者:ヴィザード