20090105 日本経済新聞 朝刊

 金融市場の混乱が続き、個人の資産運用は難しい局面だ。銀行窓口での投資信託の販売額も減少するなか、銀行は個人マネーにどう向き合っているのか。日本経済新聞社と日経リサーチが実施した第四回「銀行リテール力調査」で総合首位になった千葉銀行の吉井利夫専務に聞いた。
 ――金融商品の販売状況はどうでしょう。
 「投資信託は苦戦している。従来は投信・保険を合わせて毎月二百億円近く売れていたが、二〇〇八年十月以降、六十億円か七十億円程度。投信を解約して預金に預け直す客も多い」
 ――金融商品の販売担当者は、顧客にどう対応しているのでしょうか。
 「こういう時期なのでどんどん売れとは言えない。むしろ今は既存の顧客に対するアフターフォローに力を入れて、経済情勢や、購入してもらった投信の状況を説明している。一月末までに預かり資産残高五百万円以上のすべてのお客に、訪問や電話で説明する。そういう活動が将来につながってくる」
 「人気投信の運用報告会も地域ごとに実施している。今までに約二千五百人の顧客が来場した」
 ――販売担当者はどのように教育しているのですか。
 「〇八年十月から優秀な販売員四人がトレーナーとして各支店を訪問している。三日間、一人の女性販売員につきっきりになって、接客態度や商品説明などを指導している。金融商品販売のロールプレイング大会も実施している。支店単位、ブロック単位、数ブロック単位で選抜を重ね、最後は本部で大会を開く。演じる側も見る側も勉強になる」
 ――市場の混乱を受けて、新しい金融商品の投入は考えていますか。
 「日本株をできるだけ組み込んだ新商品を検討している。日本株は相当下がっているが、逆に買い時だと考えて買っている人もいるためだ」
 ――長期的に「貯蓄から投資へ」の流れは続くのでしょうか。
 「投資信託の窓口販売が始まってからちょうど十年。今は足踏みしているが、今後、年金や医療など国民負担が増していくなかで、資産を運用して増やすという大きな流れは変わらない」
 金融市場の混乱を受け、個人投資家は資産運用に慎重になっている。投資信託などを購入する際は十分な説明を受け、リスクを見極めることが必要。金融機関の説明能力の向上も求められる。(Y)


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20090105 日本経済新聞 朝刊

 ゆうちょ銀行と全国のほとんどの金融機関の口座間で、五日から振り込みができるようになる。ゆうちょ銀行が民営化に伴い、民間金融機関の決済網である全国銀行データ通信システム(全銀ネット)への接続を認められたためだ。両者は激しい個人マネーの獲得競争を繰り広げてきたが、顧客利便の向上を目的に手を結ぶ格好だ。
 ゆうちょ銀との振り込みが可能になるのは、全銀ネットに接続する全国の銀行や信用金庫など、約千五百の金融機関。ゆうちょ銀では二〇〇九年は多い日で三十万件、サービスが浸透する二年後には同九十万件程度の利用があるとみている。
 ただ、全国の金融機関からゆうちょ銀に振り込む際に専用の口座番号が必要になるなど、仕組みが複雑なだけに混乱も予想される。ゆうちょ銀では一千人を超える社員を直営店や大規模な郵便局に配置し、利用者への説明などに努める。


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20090105 日本経済新聞 夕刊

■知るぽると塾 21日午後1時半―3時半、日本銀行甲府支店(甲府市中央1―11―31)。同支店を見学し、相続税と贈与税の基本について学ぶ。無料。申し込みははがき(〒400―0032 甲府市中央1―11―31 山梨県金融広報委員会「知るぽると塾」係)かファクス(055・220・1073)で14日までに。先着順。問い合わせは同委員会((電)055・227・2419)へ。
■住宅金融支援機構の「こんな時代だからこその“賢い住宅ローン利用術”」 18日午後1―3時、住宅金融支援機構本店すまい・るホール(東京都文京区後楽1―4―10)。現状の家計に無理がない返済額や、用意したい頭金の額、住宅ローンの賢い組み方などをファイナンシャルプランナーが解説。無料。定員250人。申し込みは電話((電)03・5800・8253)かホームページ(http://www.jhf.go.jp/)から。
■有価証券オプションセミナー 22日、午後6時―8時15分、東京証券取引所(東京都中央区日本橋兜町2―1)。オプション取引の基礎を解説。無料。申し込みはホームページ(http://www.tse.or.jp/)から。問い合わせは東証派生商品部((電)03・3665・1386)へ。
■日興コーディアル証券の「株式投資戦略」 22日午後1時半―3時、千葉支店(千葉市中央区富士見2―10―1)。2009年の国内株式市場の見通しについてストラテジストが解説。無料。事前予約が必要。申し込み・問い合わせは日興コンタクトセンター((電)0120・550・250)へ。
■大和証券特別セミナー「中国経済と株式市場の見通し」 13日午後2時―3時半、渋谷支店(東京都渋谷区神南1―23―14)。中国経済と株式市場の見通しについて解説。無料。事前予約が必要。申し込みは同支店((電)03・3463・9211)またはホームページ(http://www.daiwa.jp/)から。
■みずほ銀行の「これからの資産運用」 17日午後1時半―2時45分、上池上支店(東京都大田区上池台5―37―6)。資産運用の基本知識について解説。無料。事前予約が必要。申し込み・問い合わせは同支店((電)03・3726・5414)へ。


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20090104 日本経済新聞 朝刊

 日本経済新聞社が全国の二千人を対象に実施した「医療と健康に関する意識調査」では、回答した市民の半数以上が自己負担した医療費を「高い」と感じ、四割以上が「受診を控えた経験がある」と答えた。医療費を含む社会保障費をどう抑制するかが政府の重要な課題になっているが、一層の負担増を求めた場合、国民の反発を買うことが予想される。見直し議論が進む後期高齢者医療制度は「存続派」が「廃止派」を上回った。
 過去一年間に自己負担した医療費は「ゼロから一万円未満」だった人が二三・九%。「一万円以上五万円未満」が最多の四四・一%。「五万円以上」を払った人は三〇・五%だった。自己負担額について「高い」「やや高い」と回答した人は計五六・三%で、半数以上が割高だと感じている実態が浮かび上がった。一方で「適当な水準だと思う」とした人も四〇・〇%に上っている。
 政府諮問機関、社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)の試算では、二〇二五年度の医療・介護費用は〇七年度の二倍以上にあたる約九十四兆円に達するとされる。
 現行の三割負担を維持した場合、保険料が四十一兆円、国や地方の税金からの負担が三十九兆円、自己負担が十二兆円という内訳になる。このうち保険料と財政負担は経済成長を加味した場合でも、二五年度時点で十四兆円の不足が生じるとされる。試算は将来の保険料率や窓口での自己負担割合の引き上げには言及していないが、今後の議論で焦点になる可能性もある。
負担増に拒否感
 今回の市民調査では、「自己負担割合を増やすとしたらどの程度まで容認できるか」との設問に八二・九%が「現状のまま」と回答した。「四割程度まで」が七・二%、「五割程度まで」が五・〇%にとどまり、引き上げを容認するのは少数派だった。
 医療費の負担感は受診行動にも影響を及ぼしている。「医療費がかさむので受診を控えたことがあるか」との問いに、八・五%が「よくある」、三四・〇%が「ときどきある」と答え、計四二・五%が支払いを気にして病院に行かなかった経験があることを明かした。〇五年に日本経済新聞が実施した調査では、こうした経験がある人は三四・二%で、八・三ポイント上昇した。
 こうした傾向は若い世代に顕著で、年齢が上がるほど受診を控える人は減少。六十代の六五%以上、七十代の七〇%以上がこの設問に「ない」と回答している。
 自由回答欄に寄せられた記述では、自己負担の割合を引き上げることについて、「増やすことはNO」(七十代男性)と負担増を敬遠する意見が目立った。現役世代からも「一割程度にしてほしい」(三十代男性)など自己負担引き下げを求める声が複数寄せられた。「定額制にすべきだ」(五十代男性)や「負担増でなく、制度の改善で対応してほしい」(別の五十代男性)などの提案もあった。
 将来の医療費抑制をにらんで今年度から導入された後期高齢者医療制度。制度の周知不足から保険料徴収をめぐる混乱などスタートからつまずき、見直しに向けた議論が進む。同制度は、七十五歳を超えた高齢者を既存の社会保険から切り離し、別枠の保険体制に組み入れており、現役世代の負担を軽減し、高齢者自身に保険料負担を求めた。
 今回の調査では、「現行制度のまま存続すべきだ」が二〇・〇%、「見直して存続すべきだ」が一七・三%に上り、計三七・三%が制度存続を支持。「廃止すべきだ」とした三二・〇%を上回った。年代別にみると、制度存続を支持した人の割合が最も高かったのは七十歳以上の高齢者。男性の五四・三%、女性の五八・四%が「見直し」を含めて存続を求めた。
 「廃止すべきだ」とした回答が多かったのは、現役と高齢者の間にいる五十代、六十代の中高年層。五十代は男性四〇・八%、女性三一・二%、六十代は男性四七・三%、女性三二・四%が制度に反対した。二十代の男女、三十代女性の四八%以上が「(どうすべきか)分からない」と回答するなど、若手世代は無関心なこともうかがえた。
民間保険加入60%
 社会保障制度の“揺らぎ”に対応して、六〇%以上が「がん保険」など民間の医療保険に加入して自己防衛を図っていた。
 民間保険に加入しているのは男性六二・五%、女性六一・三%。世代別の加入率は二十代では男女ともに四〇%以下だが、がんなどのリスクが増す三十代になると男性六〇・三%、六八・九%と一気に加入者の割合が増えた。働き盛りで、子供の学費などの出費を支える四十代男性では七七・八%が加入し、全世代の中で最高だった。
 「あなたの余命はあと一年です。ただし、××円払えば健康な状態でもう一年だけ生存することができます」――。仮に医師からそう告げられたら「一年延長」にいくらまで支払うだろうか。市民調査では、「払わない」と回答した人が三二・八%で最多だった。
 「百万以上五百万円未満」が二七・二%、「百万円未満」が二四・三%で続いた。「一千万円以上」でも払うとしたのは四・一%にとどまった。このうち「一億円以上」払うとの回答は全体の〇・一%。
 「払わない」とした人の割合は世代間でばらつきがみられた。二十代男性、七十代以上の男女で四〇%を超えたのに対し、三十代女性、四十代女性、六十代男女で三割を下回った。
 「払う」とした人も金額は五百万円未満に集中。期限付きの余命延長に大金を積もうという市民の意識はそれほど高くなかった。厚生労働省のある幹部は「日本人は病気にかかった場合、根治したいという願望が強い。健康な状態だとしても一年だけの延長に価値を感じる人が少ないのでは」と話した。


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20090104 日本経済新聞 朝刊

 二〇〇九年は社会保障制度を安定して運営するための財源をより具体化できるかどうかが問われる年になりそうだ。医療や介護、年金の各制度とも財源不足によってほころびが目立っており、このままでは国民の安心を得られそうにない。厳しい財政の中で各制度は今年どう動き、私たちの生活にどのような影響を与えるのか探ってみた。
 〇九年の最大の課題は給料引き上げによる介護職員の確保。介護労働者の平均月給は約二十一万五千円(介護労働安定センター〇七年度調べ)。他産業に比べ見劣りするにもかかわらず、重労働であるため人手不足が常態化。必要十分なサービスが提供できない。
 政府はこれまで介護サービスの公定価格である介護報酬を引き下げてきたが、〇九年度は引き上げを決定。介護事業者の収入を増やし、労働者の給料増につなげる。介護報酬は全体で三%増。概算では一人当たり月二万円の賃金増が可能という(表A参照)。
 ただすべての介護サービスの値段が一律三%上がるわけではない。有資格者(介護福祉士)を一定割合以上雇うなど質の高い介護を提供していると考えられる事業者らに重点的に報酬を厚く配分する。職場によっては期待通りに給料が上がらないこともありそうだ。事業所収入が増えれば必ず従業員の給料が増えるとは限らない。人材の安定確保のためにはさらなる報酬増が求められるかもしれない。
 報酬を増やすと財源は余計に必要になる。そもそも高齢化が進み介護保険を使う人も増える。四十歳以上の国民が負担している保険料や税金の投入が増えていくことは避けられない。ただ〇九年度は税投入をさらに増やしたり、自治体の介護準備基金を取り崩したりする対応で保険料の上げ幅は小さくなる。
 六十五歳以上の高齢者が払う保険料は現在、全国平均で月四千九十円だが、横ばいか若干の引き上げ程度にとどまる可能性もある。
 介護サービス利用者は使った介護費の一割を自己負担する仕組みなので、介護報酬が上がれば自己負担分も上がる。


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