20090104 日本経済新聞 朝刊

 二〇〇九年は社会保障制度を安定して運営するための財源をより具体化できるかどうかが問われる年になりそうだ。医療や介護、年金の各制度とも財源不足によってほころびが目立っており、このままでは国民の安心を得られそうにない。厳しい財政の中で各制度は今年どう動き、私たちの生活にどのような影響を与えるのか探ってみた。
 〇九年の最大の課題は給料引き上げによる介護職員の確保。介護労働者の平均月給は約二十一万五千円(介護労働安定センター〇七年度調べ)。他産業に比べ見劣りするにもかかわらず、重労働であるため人手不足が常態化。必要十分なサービスが提供できない。
 政府はこれまで介護サービスの公定価格である介護報酬を引き下げてきたが、〇九年度は引き上げを決定。介護事業者の収入を増やし、労働者の給料増につなげる。介護報酬は全体で三%増。概算では一人当たり月二万円の賃金増が可能という(表A参照)。
 ただすべての介護サービスの値段が一律三%上がるわけではない。有資格者(介護福祉士)を一定割合以上雇うなど質の高い介護を提供していると考えられる事業者らに重点的に報酬を厚く配分する。職場によっては期待通りに給料が上がらないこともありそうだ。事業所収入が増えれば必ず従業員の給料が増えるとは限らない。人材の安定確保のためにはさらなる報酬増が求められるかもしれない。
 報酬を増やすと財源は余計に必要になる。そもそも高齢化が進み介護保険を使う人も増える。四十歳以上の国民が負担している保険料や税金の投入が増えていくことは避けられない。ただ〇九年度は税投入をさらに増やしたり、自治体の介護準備基金を取り崩したりする対応で保険料の上げ幅は小さくなる。
 六十五歳以上の高齢者が払う保険料は現在、全国平均で月四千九十円だが、横ばいか若干の引き上げ程度にとどまる可能性もある。
 介護サービス利用者は使った介護費の一割を自己負担する仕組みなので、介護報酬が上がれば自己負担分も上がる。


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